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世界市場に向けたゲーム開発をテーマにしたレクチャーが実施!

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●海外ゲーム事情に詳しい4人がゲーム開発の極意を明らかに!

 ゲームソフトを国内や海外向けにローカライズする業務を手がけるユニコンプロダクトが、ゲーム開発者を対象としたセミナー"ワールドマーケットに向けたゲーム開発"を開催した。これは、「制作費の高騰化などを受けて、世界的なマーケット拡大がもっとも重要な課題となっている」という近年の傾向を受けて、世界市場に向けたゲーム開発のノウハウをレクチャーしようというもの。セミナーでは海外のゲーム事情に詳しい4名による講義が行われたのだ。

▲国内&海外タイトルのローカライズを手がけるユニコンプロダクト主催による、世界市場をにらんでのノウハウを伝える講義が開催された。


 まず行われたのが、キュー・エンターテインメント代表取締役の内海州人氏による"21世紀のグローバルプロデューシング"。かつてアメリカにおいてプレイステーション事業の立ち上げなどにも関わった同氏は「世界のマーケットは急激に変化しており、日本のゲームメーカーは質的変化に対応し切れていないのではないか」(内海)と切り出した。さらに、現時点のゲーム市場を見るとシェアが落ちているのは日本だけであり、いずれはゲーム業界も映画産業のようなハリウッドと日本映画業界のような関係になってしまうのではないか、という危惧を述べた。

 そのうえで、日本のゲームメーカーに必要なものとして、「日本の会社はまず海外部門の強化が必要ですが、これをつなげる人材が少ない。ルールが変わっていることに気づかないので、鎖国状態にあるんですね。今後は開発初期の段階から、海外市場をにらんでの取り組みも必要になるでしょう。また、海外ではマルチプラットフォームは当たり前なのですが、効率の追求、共通技術の共有(ツール制作)などにも力を入れるべきだと考えています」(内海)と続けた。

 さらに、プロデューサーという役割の重要性を説明。「日本の開発現場は制作・クリエーター重視であり、マーケットは軽視されてきた。開発部隊にものを言える人があまりにもいないと思います。今後は世界に通じるプロデューサーとして、明確なビジョンや柔軟なコミュニケーション力、熱意や行動力を持った人材が求められていると思います」(内海)と結んだ。「クリエーターに対しては、まずは個人として愛情を根底で結ぶべき」だと話す内海氏。キュー・エンターテインメントでは水口哲也氏プロデュースのもと、PSP用ソフト『ルミネス-音と光の電飾パズル-』などの発売を予定しているが(発売元はバンダイ)、今後は次世代プレイステーションや次世代Xboxにも積極的に取り組んでいきたいとのことだ。ワールドマーケットに向けた今後の展開に期待したい。

▲キュー・エンターテインメント代表取締役の内海州人氏。ディズニー・インタラクティブのアジア・パシフィック地区のマネージングディレクターも務める。「対クリエーターでは意見の違いは人格の否定ではないことのルールを徹底する」(内海)とスピーチした。


 つぎに登壇したのが、リヴィール ラボラトリのCOOである田中泰生氏。"世界で勝つための開発メソッドのあり方〜トヨタがゲームを作ったら〜"というタイトルのもとに講義した田中氏は、「まずは考えることからはじめよう」といきなり結論を述べた。「北米向けだから……と、小手先で仕様を議論すべきではなく、王道をいくゲーム作りをするのが通用する時代になりつつあります。グローバル化による巨大マーケットの出現をチャンスととらえ、むしろゲーム開発をする人間は最初から世界共通感性に訴えかけるようなものを作りにいくべきだと思います。開発各人が現在のゲーム業界に流される慣性に流されるのではなく、"そもそもゲームは誰がどういう目的でやっているのだろう"、"本当におもしろいゲームってなんだろう"といった、原理的思考を積み重ねるとよいのではないでしょうか」(田中)。

 そんな田中氏が引き合いに出したのが、自動車メーカーのトヨタ。「トヨタは成熟した自動車市場の中で勝ち抜いています。事業構造や業界慣習が変わりにくくなっている、慣性の法則が支配している環境のなかで、変わり続ける勇気を持っている。また、トヨタはグローバルマーケットでの競争で戦っているわけですが、世界標準の感性を持っているわけです」と説明。さらには「私のイメージする世界最強のゲーム会社は、人やモノ、お金、情報といったさまざまなリソースがプロジェクトごとに離合集散する"生態系"だと思っているのですが、これはまさにトヨタが実現していることではありますね(笑)」(田中)と講義した。戦略コンサルタントからゲーム開発に転進したという、異色の経歴を持つ田中氏だけに、マーケット論にも踏み込んだ、興味深い内容の講義となった。

▲リヴィール ラボラトリ COO田中泰生氏。現在は世界最強のゲーム会社の立ち上げに向けて奮戦しているとか。「マジメな雑談を日々行う。異文化を持ち込むといった地道な努力が必要」(田中氏)とコメント。


 主催者であるユニコンプロダクトの代表取締役、マイク・サカモト氏がテーマにしたのは、"ローカライズの視点からみたゲーム業界の展望"。20年以上にわたって翻訳業務を手がけてきた氏は、日本語と英語の翻訳の苦労話をユーモアを交えて紹介しつつ、「日本語圏と英語圏とでは文化の違いがあり、微妙な温度差がある。そのギャップをいかに埋めていくかが翻訳という作業です」(サカモト)と説明した。

 折りからのIT化の波に乗る形でソフトウェアのローカライズに取り組むようになったという氏は、"もっとも難しいローカライズ"ということでゲームソフトに突き当たったという。そんな氏がいまのゲームソフトについて感じているのは、翻訳される言語の少なさ。「ゲームソフトはローカライズの言語が極端に少ないと思います。せいぜい英語以下主要言語程度です。これは、ローカライズのコストが高いと考えられいるためでしょうが、今後はゲームの開発をスタートする時点から、何言語に対応するか、どのように開発すれば効率化できるか、といったことを考えていくことが大切になると思います」(サカモト)と結んだ。翻訳などに長いあいだ取り組んできた氏だけに、聞き応え十分の講演だった。

▲ユニコンプロダクト代表取締役のマイク・サカモト氏。翻訳業界を経てソフトウェアのローカライズに携わる。ここ数年はゲームソフトのローカライズ業務にも従事。「"おいしい仕事"という表現は英語にはないので、どのように翻訳するかで苦労しました(笑)」(サカモト)など、豊富な体験談を披露。


 最後に講演したのは、ユビキタスエンターテインメント代表取締役の清水亮氏。ドワンゴなどに在籍時は、数多くの携帯電話向けコンテンツを手がけてきた氏は、"世界市場に向けた携帯電話ゲームの企画と開発"をテーマにスピーチ。豊富な海外経験を持つ氏は、まずは世界戦略の重要性を明言。「世界戦略の大切さにはいくつかの要因があげられると思います。まずは海外で展開することで開発リスクを分断すること。日本ではダメでも海外ではいけるということもあると思います。さらには、資金調達の流動化。海外資本を利用して、日本のコンテンツを作る…・・・という流れは今度出てくるかもしれません」(清水)などと説明した。

 "ライバルが世界"という状況のなかで、世界とはどのように勝負すべきかという点については、「アニメやゲーム、携帯電話、ロボット、メカデザインといった得意分野を活かしつつ、日本というブランドを最大限に活用すべきだと思います」(清水)とした。一方で、"世界に共通するもの"も必要になると続けた氏は、具体的に共通要素として(1)人類共通のテーマ、普遍性を扱う(冒険、努力、争い、友情など) (2)シナリオではなくてメカニズムを提供する (3)砂場であって遊園地ではない (4)自由度の確保が重要 (5)国民性の違いがそのままプレイスタイルに反映できる といった点をあげた。そのうえで、その国(人)独自のスタイルを貫くことが成功につながるのだと結論づけた。12月には、韓国メーカとコラボレーションしての、アニメとメカがでてくる携帯電話向けMMO『銀河銀河七海物語』を予定しているという清水氏。世界市場を相手にどのような真っ向勝負を見せてくれるのか、非常に楽しみだ。

▲ユビキタスエンターテインメント代表取締役の清水亮氏。新進気鋭のネットワークデザイナーとして、内外から注目を集める。「民族間の違いを抑えつけず、自由な遊びかたができることが必要」(清水)とか。


 日本のゲームメーカーにとって、海外展開はもはや至上命令に近いという現状を反映してか、セミナーにはゲームメーカーなどを中心に100名近くの聴講者が来場。盛んに質疑応答なども行われ、熱気あふれるセミナーとなった。講演者に共通していたのは、"おもしろいものを作れば世界でも受け入れられる"ということ。こうした地道なセミナーの積み重ねが、日本のゲーム業界を盛り立てていくのだということを実感させられた。

▲現時点では、北米だけでも日本の2.5倍の市場規模を誇る。国内メーカーにおいても、海外市場における比重は増えつつある昨今、海外市場にどう関わるかがカギを握ると言える。

 

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