"テレビゲームとデジタル科学展"記念シンポジウムが開催
●テレビゲームの楽しさ、つき合いかたを語った
▲ゲームクリエーター、教師、工学博士、社会学者とパネリストの顔ぶれ。 |
9月12日に、都内の国立科学博物館で"テレビゲームとデジタル科学展"の記念シンポジウムが開催された。会場では異なる分野でテレビゲームに関わるパネリストたちが集まり、テレビゲームの楽しさとは何か、テレビゲームとどうつきあえばよいのかについて話し合った。
パネリストは、ナムコで50以上ものタイトルの開発に関わってきた、ゲームクリエーターの岩谷徹氏、川崎市立麻生中学校の教師でメディアリテラシー教育について研究している中村純子氏、バーチャルリアリティー、ロボット工学などが専門の電気通信大学講師、稲見昌彦氏、テレビゲームと社会、人間心理との関わりについて研究しているお茶の水大学教授、坂元章氏の4人。司会役は、東京大学大学院助教授で、同大テレビゲーム研究プロジェクト代表の馬場章氏が務めた。
シンポジウムは"ゲームの楽しさ"についての話題からスタート。
▲岩谷氏は、ゲーム開発の第一人者として、その心構えを説いた。 |
岩谷氏 入社当時に営業研修をしたとき、木馬に乗った女の子の表情を見て「あの顔を見るために、人を喜ばせるために生まれてきたんだ」と感じました。その経験から、自分の好きなゲームを作ろうという考えを捨て、お客さんがどうすれば喜ぶのかだけを考えてゲームを作ってきました。現在はいろいろなエンターテインメントがありますが、"人の心にどう訴えるか?"は共通している。その中でゲームは"インタラクティブ性"が大きな特徴となっていますね。
稲見氏 映画やテレビと比較すれば、インタラクティブ性はゲームの特徴と言えます。でも、野球など現実世界での遊びにおけるインタラクティブ性とはどう違いがあるのですか?
岩谷氏 ゲームは世の中にない世界を提供し、その中にルールを作ります。架空の世界に入り込んで楽しむことができるんですね。それに、現実世界で野球をしようとしても、9人対9人の人数で本格的にできる環境はなかなかない。そういったことをシミュレーションしてできるということも、ゲームの特徴なんじゃないかと思います。
中村氏 現実の自分から離れて遊べるという楽しさもあるんじゃないかと思います。とくに中学生くらいの年代だと、自意識が出てきて授業でもなかなか手を挙げなくなりますが、(ゲームのように)自分を離れたところだとリラックスできたり、高揚感を持てたりできるんじゃないかと思うんですよね。
▲稲見氏は、技術者の視点からゲームのおもしろさについて言及。 |
さらに稲見氏は、ゲームと技術の関係についてつぎのような考えを示した。
稲見 技術が直接ゲームをおもしろくすることは難しい。映像がきれいになったからと言って、それでゲームがおもしろくなるというわけではない。では、技術はゲームにどういう影響を与えるのか? 技術はクリエーターがおもしろいゲームを作るお手伝いをすることができるんだと思います。クリエーターがこういうものを作ってみたいと思ったときに、それを実現する技術を作っていくことが大切です。
ゲームの楽しさとは別に、議論のもうひとつ大きな焦点となったのは"テレビゲームが人間に与える影響"について。
▲中村氏は中学校の総合学習の時間で、一昨年に流行した"ゲーム脳"をテーマに学生たちと調査を行った。 |
中村 教師の仕事を始めた15年ほどまえは、教育現場でゲームが問題視されている時期でした。生活時間の乱れ、暴力行為の誘発、金銭関係のトラブルなどが挙げらていれました。保護者の方に向けては、ゲームをやる時間のルールを決めたり、どんなソフトをもっているか把握してほしいと懇談会で言いました。いま、教育現場にパソコンのゲームが入ってきていることもあり、教育に活かせるゲームのよさってなんだろうと改めて考えてみたんですね。すると、暗記や記憶、自分自身で考え達成感が得られる、シミュレーションによる思考力の向上などが挙げられます。2年まえに『ゲーム脳の恐怖』という本が出ましたけど、私はそういった影響はないと思います。ゲームのよりよい活用によって、むしろ脳は活性化されているんじゃないでしょうか。
▲ゲームに関する専門的な研究はまだまだ足りないと述べる坂元氏。 |
坂元 影響というのは、プラスにもマイナスにもあると思います。教育に効果がある言われていますし、リハビリへの応用などが行われている一方で、暴力性を喚起するなど悪影響が心配されています。全般的に言えるのは、幅が広くて研究が足りない状態。ただ、分野によっては固まった意見が出てきました。’90年代の後半以降は暴力性についての研究する人が増え、ゲームのリアリティーが増してきた状況とあいまって、影響があるんじゃないかという考えかたに偏ってきた。ただ、その暴力シーンが"奨励された内容であるか"などいろいろな条件があり、今後も研究を進めていかなければならないといった状況です。また、研究成果からいちばんはっきりしているのは、空間知覚能力が伸びるといったこと。学力が低下するかについては、研究が少なくて結果もまちまちなので、はっきりとした結論は出ていないですね。
そのほかにも参加者からの指摘で新たな課題が浮き彫りになるなど、有意義な議論が交わされ、シンポジウムは成功に終わったのだ。
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