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ブロードバンド推進協議会による特別講演が実施!日本でなぜオンラインゲームが普及しない?

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●オンラインゲームが日本で普及しない理由

 

▲報道関係者のみならず、多くのゲーム業界関係者が来場。オンラインゲームに対する注目度の高さがうかがえた。

 

 ブロードバンド推進協議会と国際ゲーム開発者協会日本(IDGA日本)は本日6月19日、オンラインゲームに関する特別講演会を開催。アジア圏のオンラインゲーム産業に精通している、ウィ・ジョンヒン氏(ソウル中央大学経営戦略学科助教授)の基調講演が行われたほか、中国のゲーム市場を研究している立命館大学助教授の中村彰憲氏と、『信長の野望 Oneline』のプロデューサーであり、コーエーの執行役員の松原健二氏を交えたパネルディスカッションも実施。アジアの最新オンラインゲーム事情について、さまざまな視点で議論がくり広げられたのだ。

 

ブロードバンド推進協議会

2003年にブロードバンド関連事業者の情報共有団体として設立。ウェブキャスティング研究会、ブロードバンド応用専門部会、オンラインゲーム専門部会など、3つの専門部会と研究会、勉強会で構成される。ブロードバンド事業の繁栄のため、それぞれが独自の研究や活動を行っているのだ。今回の特別講演はオンラインゲーム専門部会の活動の一環。同部会はオンラインゲームに特化した機関で、オンラインゲームに関する専門情報の交換及び、健全なオンラインゲームの普及発展を啓発していくことを目的としている。部会長は新清士氏(IGDA日本代表、立命館大学大学院政策科学研究科講師)。副部会長にはウィ氏と中村氏が就任している。

IGDA日本

ゲーム開発者を対象とした国際NPO組織、国際ゲーム開発者協会(IGDA)の日本支部。ゲーム開発者のコミュニティを発展させてお互いに切磋琢磨できる環境を作り、ゲームとゲーム産業の発展を目的とした活動を行う。CEDEC(CESAディベロッパー・カンファレンス)や東京大学ゲーム研究プロジェクトの運営など、ゲーム開発者を知識で支援する環境作りに関わっている。


▲アジア圏のオンラインゲーム市場に明るいウィ・ジョンヒン氏。経営戦略学科の授業でオンラインゲームを取り入れるなど、ゲームを積極的に教育活動に活用。「オンラインゲームが教育にも使えることを授業で証明したい」と熱く語った。

 

 まず、ウィ氏は日本、韓国、中国のオンラインゲーム産業の実情と、その発展の可能性について公演。とくに注目を集めたのは、"なぜ日本でオンラインゲームが普及しないのか?"について言及したときだ。その理由をウィ氏は、「オンラインゲームが普及する環境かどうかは3つのキーワードで分析できます(下の表を参照)。とくに日本ではビデオゲーム市場が強大なので、なかなかPCのオンラインゲームが浸透しない。韓国、中国とはまったく逆の環境であることがわかっています」とコメント。しかし、ウィ氏はまだまだ日本でもオンライゲームは普及するとしており、そのためには幼少のころからパソコンの指導を精力的に行うか、アーケードなどほかのプラットフォームとの連動などで広げていくか、もしくはビデオゲームのハードメーカーがオンラインゲーム普及に尽力すべきと語った。

 

日・韓・中の条件比較

 

日本

韓国

中国

ビデオゲーム市場が先行しているか

YES

NO

NO

ユーザーのPCの操作能力

低い

高い

高い

不正コピーの有無

解説:「ビデオゲームのみをプレイするユーザーをオンラインゲームに引き込むことは難しい」とウィ氏。欧州、北米でも同じ状況で、とくにPCのオンラインゲームは敷居の高いものになっているという。逆にオンラインゲームばかりしている韓国人にとって、ビデオゲームは"面倒なもの"として映っているようだ。韓国、中国ではビデオゲームがほとんど浸透していない。これは不正コピーが氾濫しており、ビジネスが成り立たないため。


日本の特徴

・PCを情報ツールとして考えている
・PCに恐怖感を抱く人が多い
・ビデオゲーム市場が成熟している
・インターネットカフェに行く目的はおもにネットサーフィン

韓国の特徴

・小さいときからPCに慣れ親しんでいるので操作能力が高い
・PC=玩具という感覚
・PC房(韓国のインターネットカフェ)はゲームで盛り上がる場所として浸透
・不正コピーがビデオゲーム市場を抑制、よってオンラインゲームが急成長

 

 またこれらを踏まえ、日本、韓国のゲームメーカーは今後、お互いの強みを活かして協力体制をとっていくべきだと提案。日本はゲーム企画やプロジェクト管理などゲーム制作にすぐれ、韓国はサーバーやネットワークの設計など運営のノウハウが強い。共同開発の波が広がっていくだろうとした。さらに日本人、韓国人、中国人の特性の違いをあげ、「中国ではPK(プレイヤーどうしが殺しあうこと)重視のゲームが盛んだが、日本では必ずしも好まれない。国や地域の特性にあったソフト制作、アップデートが必要になってくる」とまとめたのだ。

 

▲「互いの強い部分を活かし、日韓の企業協力」が必要とウィ氏

▲韓国では最近、"ワンソースマルチユーズ"の波が押し寄せてきており、アーケードとPC用オンラインゲームが連動した作品も登場! 人気を博しているという。


●急成長を遂げる中国のオンラインゲーム市場


▲中国のゲーム市場を研究している、立命館大学政策学部助教授の中村氏。

 

 つぎに行われたパネルディスカッションでは、中村氏が中国のゲーム事情について自身の見解を述べた。市場に存在する家庭用ゲーム機用ソフトの96パーセントが海賊版という、深刻な問題を抱える中国のゲーム市場だが、PC用オンラインゲームが活路を見出している。同国のオンラインゲーム市場は破竹の勢いで伸びており、2007年にはオンラインゲームユーザー数4000万人、市場規模は1000億円まで成長すると見込まれているほどだ。

 

 その急成長の影には中国政府の支援が大きい。2003年、同国のデジタル業界を推進する国家プロジェクト、"中国国家ハイテク研究発展計画(863プロジェクト)"にオンラインゲームが追加され、ゲームメーカーに援助金が配布されたほか、政府機関のひとつ"新聞出版総署"は健康的なゲーム産業を育てることを目的として、ゲームイベント"CHINA JOY"を昨年に引き続き10月に上海で開催予定。ここで中国産のオリジナルゲームを20タイトル発表するとしている。

 

 「いままで韓国のオンライゲームが人気だったが、中国が国を挙げてゲーム産業に力を入れてきており、国産ゲームが台頭してきてきる。西遊記や武侠もの(ファンタジー時代劇)を題材にした作品が依然人気です」(中村)

 

▲右肩上がりで急成長を遂げる中国のオンラインゲーム市場。
 

▲ほとんどのエンターテインメントはコピーされる状況。中国ではビデオゲーム産業が成り立たないとさえ言われている。

 

 しかし、オンライゲーム市場が繁栄する一方、ゲームのストレスによる犯罪やバーチャルアイテムの現金売買など、数々の問題が浮上してきてるという。

 

●つぎは"MO"の時代!?

 

 コーエーの松原氏はゲームメーカーの視点からオンラインゲームについてコメント。同氏が手がける『信長の野望 Online』は、現在の会員数は約85000人と年間7億円の利益がでるほど成長。「まだまだ満足のいく数字ではないが、きちんとビジネスになっている」(松原)とのこと。しかし、日本のオンラインゲーム市場全体を見ると、世界に遅れている状態だと懸念する。アメリカではプレイステーション2用ネットワークアダプターが約300万個売れているのにも関わらず、日本ではPS BB Unitとネットワークアダプターを合計しても40万個程度。コンシューマーのネットワーク化が進んでいる中で、日本は立ち上がりの速度が遅い状況なのだ。そんななか、カプコンのプレイステーション2用オンライン対応ゲーム『モンスターハンター』がオリジナル作品にも関わらず30万本以上のヒットを記録。松原氏は「オンラインゲーム市場にとってエポックメイキングなことだった」とコメント。「MMORPG(多人数参加型RPG)の開発は、時間や費用が莫大にかかるので、各メーカーがネガティブなイメージを持ち始めている。『モンスターハンター』のように少人数単位で対決や強力プレイを楽しむ"MO"が今後主流になっていくのではないか?」とコメントしていた。

 

 また、中国進出については「『信長の野望 Online』、『大航海 Online』ともに、中国で発売したい」と改めて明言。しかし、中国では熱狂的なファンが多いため、ユーザーの意見をどれだけ迅速にゲームに反映できるか、また政府の検閲、許認可の問題など、まだま問題が山積みであるとした。

 

※ブロードバンド推進協議会

※IGDA日本



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