HOME> ゲーム> ファミ通DXパック発売記念! 『エースコンバット2』&『エースコンバットX2 ジョイントアサルト』サウンドチームインタビュー
●『エースコンバットX2
ジョイントアサルト ファミ通DXパック』同梱のサウンドトラックCD制作秘話
2010年8月26日発売予定のプレイステーション・ポータブル用ソフト『エースコンバットX2
ジョイントアサルト』(以下、『ACE X2』)。本作のファミ通DXパックには、オリジナルTシャツと『エースコンバット2』のサウンドトラックCDが同梱される。サントラCDは、1997年にプレイステーションで発売された『エースコンバット2』(以下、『ACE
2』)のサウンドに『ACE 2』未使用楽曲と『ACE X2』の新曲から6曲を収録し、合計100分を超える豪華2枚組という豪華な内容だ。このファミ通DXパックの発売を記念し、『ACE
2』のサウンドチームだった中西氏と大久保氏、さらに『ACE X2』の音楽を統括している椎名氏にインタビューを行った。
※『エースコンバットX2
ジョイントアサルト ファミ通DXパック』についてはこちらをチェック
ヘッドサウンドデザイナー/コンポーザー |
『エースコンバット3 エレクトロスフィア』から『エースコンバット6 解放への戦火』までのサウンドディレクターを担当。そのほかに『リッジレーサーズ』シリーズへも参加。 |
ヘッドサウンドデザイナー/コンポーザー |
『エースコンバット』シリーズのサウンドには、『ACE 2』から『エースコンバット6 解放への戦火』まで参加。『リッジレーサー』シリーズや『ファミリースキー ワールドスキー&スノーボード』などを手掛けている。 |
リードサウンドデザイナー/コンポーザー |
『ACE X2』のミュージックを担当。そのほかの代表作は『GOD EATER(ゴッドイーター)』、『テイルズ オブ レジェンディア』、『ミスタードリラー』など。 |
●シリーズ2作目の名曲が収録!
──ファミ通DXパックの目玉は何でしょうか?
中西哲一(以下、中西) 今回の特典CDには、『ACE
2』の未使用曲も収録しています。未使用なだけに曲名すらなかったのですが、作曲から13年を経て曲名が決まりました(笑)。ディスク2のほうに収録予定です。
──『ACE
2』のサウンドトラックは、当時デジキューブの予約特典としてシングルCDが作られたのみですね。
中西 はい。そのCDは、急な要望で作ることになり当時のサウンドスタッフ全員が3日くらい徹夜して作っていました(笑)。今回のCDを私たちが改めて聴くと当時の苦労が浮かび上がってしまうのですが、皆さんは楽しんで聴いてください。
──今回、『ACE
X2』の特典CDに『ACE 2』が収録されることになった経緯を教えていただけますか?
大久保博(以下、大久保) 「『ACE
2』のサウンドトラックCDを出してほしい」という、お客さんからの要望は多かったんですよ。でも、当時は家庭用ゲームのサウンドトラック化があまり行われていない時代だったので、実現しませんでしたが。今回13年ぶりにサウンドトラックを作る機会をいただけることになりました。
椎名豪(以下、椎名) 『ACE
X2』に、『ACE 2』の音楽が一部入っていることも理由のひとつです。
──なるほど。『ACE
2』以外にも過去作品の曲は入っていますか?
椎名 初代『エースコンバット』と『エースコンバット3
エレクトロスフィア』も一部収録しています。
中西 プレイステーション時代の作品をプレイされていた方には、本作をプレイして懐かしんでもらえたらうれしいです。
中西氏が持参してきたシングルCD。現在は入手できない激レア品だ。 |
●『エースコンバット2』の音楽はどうやって作られた?
──『ACE
2』の音楽は、当時どのようなコンセプトで作られていたのでしょうか?
中西 中心になって曲を作っていたのは、すでにナムコを退社している高橋さん(高橋弘太氏)と諫山さん(諫山亘秀氏)のふたりで、大久保と私は途中からチームに加わった形です。そのため、私たちがコンセプトを決めたわけではないんですよ。ただ、彼らから当時の話を聞いたところ、海外のインタビューで『トップガン』という言葉を使ったら、ディレクターから怒られたとか(笑)。
大久保 そのインタビューって、海外じゃなくてファミ通だったかも?
──ファミ通でしたか(笑)。戦闘機を題材にした映画というと、まず『トップガン』が浮かぶ人は多そうですね。
中西 意識していないと言えばウソになりますが、むしろそれとは異なる表現で自分たちなりの“空の戦闘音楽”を新たにイメージしていたはずです。“Briefing”や“El
Dorado” は海外TVニュース番組とかの曲を参考にしていたそうですよ。
大久保 ちなみに、途中から参入した私たちは、ある程度コンセプトが固まったあとで自由に作曲させていただきました。
──なるほど。制作当時に苦労された点などはありますか?
大久保 現在はコンピューターだけで曲のミックスが可能ですが、当時は手間がかかっていましたね。テープ式のレコーダーなんかも使っていましたし。
中西 『ACE
2』以前は打ち込みだけで曲を作るのが主流でしたが、ちょうど『ACE 2』のあたりから、打ち込みと生演奏をミックスしていく手法を使い始めました。
椎名 “演奏を途中からやり直し、録り直す”という作業が、現在では簡単にできますけど、当時はけっこうたいへんだったと聞きました。
大久保 そうそう。曲を録音したテープに、録り直したい部分だけを差し替えるといった、タイミングを少し間違えるだけで曲全体が崩れてしまうようなことをエンジニアは見事にこなしていました。
椎名 諫山さんは以前「当初は内蔵音源だけで曲を作ることを前提にスケジュールを立てていて、途中で生演奏も入れることになったので、時間がとにかくキツかった」と言っていましたね。
中西 生演奏をミックスさせるとなると、かなり時間が必要になってくるんですよ。大久保と私が参入することになったのは、スケジュールを間に合わせるためだったのです。
──なるほど〜。1曲1曲に時間がかかっているわけですね?
中西 とは言え、時間をかけられなかった曲もあったんですよ。“A
Fresh Youngster”という曲は、10分くらいで完成させたそうです。
──たった10分ですか!?
中西 ライブ感覚で2テイク録音して、そのうちのよかったほうを採用したそうです。
──即興で作っちゃうとはスゴイですね! 先ほど、制作の環境が変わってきた時期だとおっしゃいましたが、当時行った新たな試みなどはありますか?
中西 いろいろありますよ。たとえば、諫山氏の作った“Fire
Youngman”という曲には、最後のほうに「シュワーン」という効果音が入っているんですよ。これは、当時使い始めたローランドのRSSという機材に搭載していた“3次元音響処理技術”というものを使った音になっています。
──3次元音響というと、サラウンドのようなものですか?
中西 そうですね。2chなのに立体音響に聞こえる、いわゆる疑似サラウンドです。当時は新鮮な技術だったので、おもしろがって取り入れていました。
●『エースコンバットX2』の音楽は“幕の内弁当”!?
──『エースコンバット』シリーズは、静かな曲が多かったり、壮大な曲が多かったりと、作品ごとにテーマがハッキリしていますね。『ACE
X2』のコンセプトはどのようなものになるのでしょうか?
椎名 幕の内弁当のように、いろいろな音楽が入っていればいいかなと思って作りました。民族音楽風のものを始め、ロック、オーケストラ、テクノと、いろいろ盛り込んでいます。なぜなら、今回は世界中を駆け巡る内容なので、舞台や敵の心情に合わせて、曲のジャンルも変える必要があったのです。ゲームを進めていくと、雰囲気がガラリと変わることもありますが、びっくりしないでくださいね(笑)。
──曲の種類が多いと、苦労された部分も多いのでは?
椎名 今回は大勢の方が曲の制作に関わっているんですよ。たとえば『プリンス・オブ・ペルシャ』の音楽を作ったInon
Zurさんに楽曲制作を、『AFRIKA(アフリカ)』の音楽を作った鉾山亘さんにオーケストラアレンジと指揮をお願いしました。とにかくたくさんの方に協力していただいたので、スタッフロールがサウンド関係の人だらけになっていますよ(笑)。
中西 かなり細かく分業して音楽を作りましたね。
──各分野のプロフェッショナルが集まったという感じですか?
椎名 そうです。たとえば、プルーフリーダーという、音楽の校正専門の方がいます。打ち込みと楽譜のデータが異なる場合に指摘したり、「この音は出ない」といった楽譜の問題点を挙げてくれるんですよ。
──ゲーム中に音楽を聴いていると、爆発や機銃といった音といっしょに聴くことになりますが、そのあたりで意識していることはありますか?
椎名 言葉で表現するのは難しいのですが……効果音とBGMがぶつかり合わないように“音の通り道”ができるようにしています。
──最後に、『ACE
X2』およびファミ通DXパックを楽しみにしているファンにひと言お願いします。
中西 じつは、『ACE
2』のサウンドトラックCDが出るということで、諫山さんと高橋さんからメッセージが届いているので読み上げますね。「待たせてSorry(のんたん)」、「ヒゲSorry(こうたん)」。原文ママです(笑)。(※) でも当時は本当にこういうノリであのサウンドを作っていたんですよ。
──あははは! でも本当に『ACE
2』のファンは13年も待っていましたからね(笑)。中西さんと椎名さんからもお願いします。
中西 『エースコンバット』シリーズの名に恥じない、ファンの皆様にも初めてプレイされる方にもお楽しみいただけるものを作っていますので、ぜひ楽しみにしてください!
椎名 『ACE
X2』のマルチプレイ体験版も、いよいよ配信が開始されます! どんな音楽が収録されているか気になる方はぜひ遊んでみてください! マルチプレイはもちろん、ひとりでも楽しめますよ!
──ありがとうございました!
※“のんたん”は諫山氏、“こうたん”は高橋氏のこと。
【2010年7月1日修正】プロフィール部分の大久保博氏と椎名豪氏の写真が逆になっておりました。関係者ならびに読者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びするとともに、ここに訂正させていただきます。
※『エースコンバットX2
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