HOME> ゲーム> 『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』は『キャシャーン』をリスペクト? ディレクター三上真司氏が合同取材で明かす
三上真司氏がディレクターを務め、稲葉敦志氏がプロデュースするプラチナゲームズの最新タイトル、プレイステーション3、Xbox 360用ソフト『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』(2010年10月発売予定)。現地時間2010年6月16日、アメリカ・ロサンゼルスで開幕したE3 2010のセガブースに、同作の体験コーナーが設置された。これに合わせて、日本のメディアを対象とした三上氏の合同取材も実施されることに。同氏の解説を交えつつのデモプレイ、それを受けてのインタビュー時間が設けられた。
三上氏はまず最初に、E3
2010で出展されたものと同じステージのデモプレイでゲームの基本操作を紹介した。本作の主人公“サム”は3種類の銃器を装備しており、それらは十字キーの上、右、下方向に割り当てられていてリアルタイムで切り替えることが可能。左方向はグレネードの選択で、銃器同様リアルタイムに変更できる。ちなみに三上氏オススメのグレネードは開発コードで“しびれ”と呼ばれているもの。その名のとおりロボットをしびれさせて動かなくするという効果を持ち、これをいかに効果的に利用するかが高難度なステージを攻略するうえでのキーになるという。
『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』を象徴するアクションが、スピーディーなバトルを実現する“ブースト”。直線的な高速移動を行うこのシステムには「できるだけアクティブに動いてほしい」(三上)という狙いがあり、遮蔽物へのカバーリングと組み合わせて使えば、回避と攻撃を流れるようにくり出せるのだ。そのほか、時間の流れがスローになる“ARモード”も特徴的なシステムのひとつ。ステップ中に銃をかまえることで発動、と手軽に利用できるが、連続で使い過ぎるとオーバーヒートしてしまい一定時間ブーストが使えなくなるというデメリットも。ARモードを使用するタイミングの見極めもゲームを効率的に攻略するうえでのポイントとなりそうだ。
ちなみに『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』はイージー、ノーマル、ハード、ゴッドハードという4段階の難易度を用意。イージーモードでは“イージーオートマ”と呼ばれる照準アシスト機能も使うことができるのだが、これが三上氏いわく「超きもちいい」出来なのだという。照準アシスト機能は多くのシューターで搭載されているが、『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』のソレはかなり精度が高いというか、有効範囲が広いらしく、銃器をかまえて発射するだけで周囲の敵をつぎからつぎへと撃ち抜いてくれるらしい。
E3 2010出展バージョンのステージに続いては、三上氏いわく「嫌がらせで入れたようなステージ(笑)」をお披露目。瓦礫の斜面を下から上に進むという構成で、敵の攻撃に加えてときおり巨大な岩も転がってくるというオマケつき。「見ただけでもしんどそう」(三上)という言葉に深くうなずける、かなり歯応えのあるステージだ。ここのデモで三上氏はふたつの新情報を紹介。まずはともに行動する仲間について。仲間は瀕死状態に陥ったときプレイヤーに救助を求めてくるのだが、このときにちゃんと救助を行うとお礼にアイテムをもらうことができるのだ。もうひとつの新情報は武器の成長。本作では残弾がフルの状態で新たに弾を獲得すると、武器の性能が少しランクアップする。なので、特定の銃器を集中的に性能アップさせることも可能というわけだ。
三上氏によるタイトルプレゼンは以上で終了に。このあと、同氏への合同インタビューが行われた。その模様を以下にお届けする。
●イージーオートマは“棚からぼた餅”的な楽しさ
――『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』開発するうえで参考にしたタイトルなどはありますか?
三上 最近自分の好きなタイトルの多くが海外産なので、参考にしたと言えば『ギアーズ
オブ ウォー』、『コール オブ デューティ』シリーズですね。あとは、アニメの『新造人間キャシャーン』(笑)。参考にしたタイトルに負けない気持ちというか、本作はシングルプレイしかないので、そこの部分の作り込み、やり込み要素については自信を持っています。
――シングルプレイのみとのことですが、マルチプレイを入れなかった理由は?
三上 我々がマルチプレイのノウハウを持っていなかったことに加えて、よりクオリティーの高いものを作るためにオンラインをカットしたという事情もあります。両方やろうとすると、どちらも中途半端になってしまうかもしれないので。
――次回以降の展開としてはマルチプレイもありえるということでしょうか?
三上 次回についてはプラチナゲームズさんに聞いてもらわないとなんとも(笑)。ちなみに本作はシングルプレイに特化して作っているので、これをマルチプレイにするというのは非常に難しいでしょう。キャラクターのアニメーションや当たり判定などいろいろなものがすべて破綻するので、マルチプレイを搭載するには一から作り直したほうが早いくらいです。
――主人公が非常にヒロイックな描かれかたをしていますが、その狙いは?
三上 そこはやはり『キャシャーン』だからです(笑)。本当のことを言えば、銃を使わずに殴るシステムにしたかったくらいですから(笑)。でも、それだとキビシイですよね、とくに海外では。トゥーンタッチのグラフィックで殴る蹴るをやって、銃は持っているけどそれを撃たずに飛ぶだけ、とかだったら通用しません。そもそもシューターにするというのは最初から決めていたことで、イメージとしては“シューター、たまに『キャシャーン』”といった具合でしょうか。とは言え『キャシャーン』からはかなり離れていると思います(笑)。ヒロイックなものにしたいというエッセンス、白に黒いラインというキャラクターデザインにそれが残っているくらいでしょう。また、格闘メインのゲームについては『ゴッド ハンド』ですでにやったので、同じことはやりたくなかったという考えもありました。
――ゲームの世界観が現在公開されている映像などではすべて無機的ですが、自然を感じさせるステージなどはあるのでしょうか?
三上 やっぱり森が欲しいですか……いちおう森っぽいものあります(笑)。ただ、基本的にはいま公開されているイメージに近いものが多いでしょう。有機的なものをたくさん詰め込むとなると、開発期間的にきびしくなってしまうところもありましたから。ただ、すべて無機的だと寂しいので、背景に海があったり森のような場所、ダムのステージなどもあります。
――ボス戦で、指定されたコマンドをタイミングよく押していくシーンがありましたが。
三上 あれは“QTシステム”ですね。当初は多く入れる予定だったのですが、作り手から見て費用対効果が薄いことがわかりだいぶ削りました。なので、QTシステムを使うところは数ヵ所しかありません。オマケの中のオマケですかね。
――さきほどのデモで、上から巨大な岩が落ちてくるシーンなどがありましたが、ああいった動きは物理エンジンで処理しているのでしょうか?
三上 基本的には物理エンジンのHavokを使っています。ただ、主人公や敵のアニメーションなど見た目のクオリティーに直結する部分は別で作っていて、そこはうまく切り分けをしています。
――ゲーム中にスコアがあるとのことでしたが、部位破壊をすると高得点が獲得できるといった仕掛けがあるのでしょうか?
三上 中型以上の大きさの敵に関しては部位破壊が可能で、それによって高得点を稼げるようになっています。ただ、中型の敵はやっかいなやつが多いので、あまりそれを意識しているとすぐにやられてしまうでしょう。ちなに、雑魚に関してはヘッドショットをすればボーナスが得られます。でも、プレイ中はスコアを見ている暇がないんですよね(笑)。
――ゲームの難易度は全体的に高めを意識したのでしょうか?
三上 そこはわざと高めにしました。簡単にプレイできるものより、難しめに設定されたほうがこのゲームに向いているんじゃないかと考えたんです。ゲーム全体の動きがこれだけ早いと難しそうに見えるでしょうし、一瞬の判断でたくさんの情報を得て動かなければいけない。そんなゲームなので、中途半端な難易度を設定するよりは、ふだんゲームをたくさん遊ぶ人がやり込めるようにと考えました。ただ、そこからスタートしたら途中で難易度が「これはマズイぞ」という状況になりまして(笑)、イージーモードも入れることにしました。ノーマルも当初考えていたものよりはだいぶ簡単になっていて、がんばればほとんどの人がクリアーできる難度になっています。それと、カメラ移動とキャラクター操作を同時に行うシステムが敷居が高いと感じる人もいるので、照準だけでも自動にでできないか……と考えた結果できたのがイージーオートマです。これ、じつはかなりオススメです。棚からぼた餅といった感じで、まったく狙っていなかったのですがこれが予想外におもしろい(笑)。つぎからつぎへとヘッドショットをしてくれて、すごくテンポがよくて気持ちいいんです。ただ、これで進むと簡単に敵が倒せてしまうのでプレイ時間が半分くらいになってしまうかもしれません。
――ゲームの総プレイ時間はどれくらいになるのでしょうか?
三上 ノーマルだったら大体7時間くらいだと思います。ただ、プレイタイムにはデモシーンなどの時間が含まれていないので、実際には10時間くらい遊んだことになるでしょう。
――ストーリーについても聞きたいのですが、このゲームをクリアーしたあとに得られる感情をひと言で現すと、どのようなものになるのでしょうか?
三上 基本的にはスカッとする……と言いたいのですが、シナリオについてはまだあまり言えません。途中途中に重たいシーンもありますが、ハリウッド映画に近い楽しみかたができるんじゃないでしょうか。
――ゲーム中に主人公がタバコを吸っていましたが、アレにはどんな効果が?
三上 待機モーションをどうしようかなと考えたとき、今回のキャラクターはスーツを着ているからできることが限られているなと思いました。たとえばケツを掻いたり、髪の毛をかき上げたりとかができない(笑)……だからタバコかな、と。しかし、ゲーム的に何も機能しないのは寂しいので、タバコを捨てると敵ロボットが熱に反応してそっちへ攻撃するという要素を加えました。ちなみにひとつのエリアにつき3本までという制限があるんですけど、実際にゲームをするとタバコを吸っているヒマはないと思います。
――最後に、ソフトの発売を待つファンに向けてメッセージをお願いします。
三上 人以外のものを撃ってこんなに気持ちいいゲームはそんなにないと思いますし、ほかのシューターでは味わえないスピード感、爽快感もぜひ体験してほしいです。そしておもしろいと感じたら、ぜひ買ってください。よろしくお願いします。
※『VANQUISH (ヴァンキッシュ)』の公式サイトはこちら
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