HOME> ゲーム> 日本一の“大人勇者”が決定――『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド』ファミ通トーナメントが開催
先日、最新章“逆襲の魔王”の稼動がスタートしたスクウェア・エニックスの業務用カードゲーム『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド』(以下、『レジェンド』)。子どもたちから高い人気を誇る同作だが、子どもといっしょに遊んでいるうちに、または古くからの『ドラゴンクエスト』ファンなど、じつは意外に大人のユーザーも多い。そんな高校生以上の“大人勇者”たちを対象とした公式大会“『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド』ファミ通トーナメント”が、2010年5月16日にエンターブレイン本社のイベントスペース“WinPa”で開催された。
今回の大会には、約600組の応募者が殺到。その中から抽選で選ばれた全96名の選手たちにより、男女ペアマッチによる“カップル大会”(16組32名)とシングルマッチの“ストロング大会”(64名)が行われた。会場周辺には、午前10時のオープン前から熱心な『レジェンド』ユーザーが訪れ、その数は50人以上にのぼった。そして本大会の司会進行は、週刊ファミ通で連載中のコーナー“こちらファミ通
ドラクエ部”でもおなじみの“バニーちゃん”こと有川知里と、同じくドラクエ部員の斎藤モゲが担当。また、特別ゲストとして『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズおよび『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』でプロデューサーを務める市村龍太郎氏、『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズのディレクターである吉田直樹氏も登場し、『ドラクエ』シリーズを象徴する楽曲『序曲』のテーマとともに大人勇者たちの大会はスタートした。
▲特別ゲストに市村プロデューサー(中央左)と、吉田ディレクター(同右)が登場。 |
最初に行われたのは、日本最強のカップルを決める“カップル大会”(レベル25制限)。子どもの影響でプレイを始めたと見られる夫婦もいたりと、参加者の年齢層は幅広く、戦術もさまざま。序盤からスペシャルカードを使用して一気に畳み掛ける人もいれば、ガードの固いモンスターを揃えて持久戦に持ち込む人など、それぞれじっくりと作戦を練って戦いへ臨んでいるようだった。使用モンスターカードの傾向としては、“ナイトリッチ”がやや多かったほか、“デンタザウルス”、合体モンスターの“カンダタ”も人気を集め、上位進出者のデッキでも使用されていた。大会は準決勝からステージ上で実施。ここまで勝ち残ったツワモノたちということで、つばぜり合いのボタン連打も含め、白熱した戦いが連続することに。
そして、決勝戦では“ゆうかさん、ゆうさん”ペアと“あつしさん、かよさん”ペアが激突。
両ペアが決勝戦で使用したデッキは、以下の通り。
▼決勝戦で戦った両ペアのデッキ
●ゆうかさん、ゆうさんペア
主人公1……魔物使い、モンスター……カンダタ(合体モンスター)
主人公2……魔物使い、モンスター……ゲリュオン(合体モンスター)
●あつしさん、かよさんペア
主人公3……バトルマスター、モンスター……ナイトリッチ、デンタザウルス
主人公4……賢者、モンスター……ずしおうまる、デスゴーゴン
序盤は、あつしさん、かよさんペアが使用したSPカード“めいそう”(相手の特技を1ターン防げるカード)の効果をうまくかわして攻撃を当てまくった、ゆうかさん、ゆうさんペアの合体モンスターチームが優勢。しかし終盤であつしさん、かよさんペアに連続で会心の一撃が発生し、形勢を一気に逆転。一方のゆうかさん、ゆうさんペアも、会心の一撃があと1回出れば勝利というところまで盛り返し、どちらに転んでもおかしくない、まさに決勝戦らしい緊迫した戦いとなった。最終的には、あつしさん、かよさんペアがHPゲージをわずかに残し、序盤の劣勢からの見事な逆転勝利を飾った。試合終了後、市村氏はあまりにドラマチックな試合展開に「劣勢になると会心の一撃が出やすいシステムとか、入ってないですよね!?(笑)」とコメント。吉田氏によれば、大会などではよくある光景だそうで「負けそうになると有利になるというウワサがあるんですけど……そんな仕様はまったくないですよ!(笑)」と話していた。
今回のファミ通トーナメントでは、大会のほかにも、ファンにはたまらない各種コーナー、ステージイベントも用意されていた。まず、大会会場とは別室になる休憩スペースに『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』シリーズ歴代のカード843枚と、“王者の剣”および“天空の剣”の実寸台レプリカを展示。また、大会会場内では初お目見えとなる新グッズを含む『ドラクエ』関連グッズや、六本木で営業中の“LUIDA`S BAR(ルイーダの酒場)”で好評を博しているスライム肉まん&カレーまんと“ロトの紋章クッキー”が販売された。さらに、シリーズ初期からのファンにはたまらなかったと思われるのが、初代『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』のプレイ筺体設置だ。ただ遊べるだけでなく、現在では入手できない初代『モンスターバトルロード』のカードが排出されるという、うれしいサービスも展開。初期からのファンには懐かしく、『II』からのユーザーは原点を知るいい機会ということで、最大1時間待ちオーバーの行列ができるほどの盛況ぶりとなっていた。
カップル大会とストロング大会のあいだには、ステージ上で市村氏、吉田氏によるトークショーが行われた。応募者・参加者たちから事前に募集していた質問に対して、両氏が包み隠さず答えるというコンセプトで、開始早々『モンスターバトルロード』を開発したきっかけについて聞かれた市村氏は、当時某社のキッズ向けカードゲームが大ヒットしているのを見て「プロデューサーとして悔しかったからです(笑)」という、かなりぶっちゃけた答えを披露することに。もちろんそれは冗談だが、市村氏は先のひと言で会場の空気をつかんだあとに、改めて「最初は、『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』の発売に向けて、小さな子どもたちに『ドラゴンクエスト』の楽しさを伝えたいという気持ちがありました」と、しっかりと回答した。「自分が子どもだったころ『ドラゴンクエスト』でワクワクした気持ちを、いまの子どもたちにも教えてあげたい」という思いは、登場モンスターの選出基準にも関係しているそうだ。吉田氏いわく「登場モンスターの選出基準は……僕の個人的な趣味です!」と会場を沸かせたあとで、「見ているだけでも楽しめるよう、動きがおもしろそうなモンスターを選ぶようにしています」とマジメに答えた。
シリーズの開発秘話を語るシーンでは、タイトルが本格的に動き出す前に市村氏が吉田氏へ見せたというゲーム筺体の手書きイメージイラストが会場で公開された。操作盤の中央に刺さった剣、ボタンはふたつ、など基本コンセプトはこの時点ですでに完成している。市村氏いわく「とにかく触ってみたいと思わせるデザインを考えていました」とのこと。『II』の筐体を見ればおわかりの通り、スタート時からブレていない市村氏のイメージ力には驚かされるばかりだが、それを見事に実現させた筺体開発を担当するタイトーの技術力もさすがのひと言。また、『モンスターバトルロード』シリーズのソフト開発は、ロケットスタジオと界グラフィックスが担当しているが、こちらは吉田氏が指名したそうだ。とくに界グラフィックスには熱心な『ドラクエ』ファンが多いらしく、「こっちが何も言わなくても、勝手にやるだけやってくれる人たちです(笑)」と、かなりの信頼を置いているようだ。
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『I』をリリースしたときの手応えに関する質問では、「こういったカードゲームは会社(スクウェア・エニックス)初の試みだったので、社内でも“大丈夫なのか?”という不安の声はありました」と市村氏。しかし、その不安は杞憂に終わり、稼動するやいなや大ヒットを記録した。すぐに結果が出た背景には、メインターゲットである子どもたちの両親世代の多くが『ドラゴンクエスト』シリーズを過去に触れていたからではないか、と市村氏は分析。「子どもがゲームを遊びたいと言ったときに、親が“『ドラクエ』ならいいかな”と考えてくれたのではないか、と思います」(市村)。世代を超えた『ドラゴンクエスト』シリーズの人気がうかがえるエピソードだ。
初の試みながら確かな実績を残した『I』。当然のように続編が展開されることになったが、そのスタートは「『I』が稼動してから半年後くらいには動き出していました」(市村)と意外にも早い。とは言え、『I』をプレイしていた人ならご存知だろうが、同作は稼動後もアップデートを重ね、最終的に第八章まで展開された。『II』の開発と並行して前作のバージョンアップも行うのはかなりの重労働だと思われるが……。吉田氏によれば、なんと『I』では第一章〜第八章までを、初期の段階で一気に作り上げたのだという。そして、タイミングを見て徐々に開放していくという手法を取ったとのことだ。こういった経緯もあり、開発スタッフは『I』が稼動している最中でも、『II』の開発に集中できたのだという。ちなみに、市村氏が最初に『II』の話を吉田氏に持ちかけたのは、移動中の新幹線の中だったのだとか。
『II』を開発するうえで苦労した点について、吉田氏は「モンスターの数がとにかく増えたので、バランス調整が大変でした」とコメント。また、『II』では前作のようにバージョンアップ内容を最初に一気に作るという手法は取っておらず、ゲームの稼動と並行して行っているとのこと。吉田氏は、バランス調整はつねに“大会が盛り上がること”を考えながら行っているそうだ。これは、可能な限り現在のデッキ流行などを反映させた内容にしたいという願いによるものだろう。一方の市村氏からは、「『II』で筺体のデザインをまるごと変えたのは、カードゲーム機の中でもスゴイことだと思います」という言葉も。合わせて、当初はもっと斬新なデザインを想定していたことを披露した。同氏によれば、『I』で剣を突き刺すというアクションを行ったのだから、つぎは「モニターを剣で斬れる(笑)」(市村)ものを考えたという。また、“天空の盾”をイメージしたモニターの外枠も、アイデア段階では開閉する仕組みだったそうだ。残念ながら、これらは設計の担当者から即ボツを喰らったそうで……。「少し現実を考えました(笑)」(吉田)という流れを経て、現在の筺体デザインに落ち着いたとのこと。
トークショーの締めくくりとして、家庭用移植作となるWii用ソフト『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードビクトリー』(2010年7月15日発売予定)にも言及。「アーケードのカードも、DSiウェアやケータイを使えば全部使用できるので、アーケードと同じ感覚で家庭でも遊んでください」(市村)、「Wi-Fiを利用すればいつでもどこでも対戦ができます。これまでアーケードで遊べなかった人も、対戦三昧になっていただければ」(吉田)とそれぞれ作品の見どころを説明した。
トークショーを挟んで実施された、シングルマッチのストロング大会(レベル無制限)。こちらもカップル大会同様、予選から白熱した戦いがくり広げられたが、2回戦以降に当たる可能性があるプレイヤーのデッキを分析する人がいるなど、勝負の“ガチ度”はより高く感じられた。デッキに組み込まれる人気カードはカップル大会と大きく変わらなかったが、“スライムタワー”、“聖なる祈り”といった最新章“逆襲の魔王”で登場したばかりの新カードを使用する人もちらほら。また、多くの人にとっては未知の存在となる、最新章から登場した合体モンスターを出してくる人も。よりバラエティー豊かなデッキ構成に、吉田氏も「つぎなる研究が、すでに始まっているようですね」と驚いた様子だった。
ストロング大会も準決勝からはステージ上でバトルが行われ、決勝戦には“COBU”さんと“さとう やすひら”さんが進出。両選手が決勝戦で使用したデッキは以下の通りだ。
▼決勝戦で戦った両選手のデッキ
●COBUさん
主人公……賢者、モンスター……デスゴーゴン、ファーラット
●さとう やすひらさん
主人公……バトルマスター、モンスター……オーシャンクロー、ナイトリッチ
勝負は最後の最後まで結末が読めない展開となった。まずCOBUさんのファーラットが“まどいの息”で、相手をすべて混乱させてラッシュをかける。その後も、デスゴーゴンの“ジゴフラッシュ”やSPカード“ゆうわくの踊り”といった状態異常を誘発するワザを巧みに決めつつ、主人公の“フールブレイク”できっちりダメージを取っていく、という戦法がハマり、前半はCOBUさん圧倒的有利な状態に。しかし、そこからさとう やすひらさんが猛追。COBUさんの状態異常戦法の隙を縫って、ナイトリッチの“暗黒ゾーン”で相手モンスターを闇の異空間へ送るといった攻撃が効果的に決まり、COBUさんの残りHPはたったの68、というところまで追い詰める。決勝にふさわしい、どちらが勝ってもおかしくない戦いとなったが、最終ターンでCOBUさんがとどめの一撃を発動。『ドラゴンクエストIV』のキャラクター、マーニャのセクシーな姿が見られる“疾風炎舞扇”で華々しくフィニッシュという、大人大会らしい結末となった。表彰式でCOBUさんは「いつも乱入対戦をしてくれる仲間たちのおかげでここまで来られました」と喜びのコメント。市村氏からは表彰状と記念の楯、副賞として豪華賞品が贈られた。
約5時間にわたり、盛りだくさんの内容で行われたファミ通トーナメント。吉田氏は「ファーラットという意外なモンスターが日の目を見るなど、皆さんのモンスター研究が作品に命を与えているんだなと感じました」と感想を語り、「初の大人大会がここまで盛り上がって、本当にうれしく感じています。また、こういった機会をぜひ設けたいと思います!」という市村氏の大会総括とともに、イベントはその幕を閉じた。
▲イベント終了後、ファンからのサインに応じた市村、吉田両氏。また、参加者全員にお土産として特製エコバッグが送られた。 |
※『ドラゴンクエスト モンスターバトルロードIIレジェンド』の公式サイトはこちら
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