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「いかに効率的かつコストを抑えてゲームを開発するか」に応える、3DCGソフトの巨人オートデスクの戦略とは?
【GDC 2010リポート】

2010/3/14

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●クリエーターの好みにあったツールを作り続ける

 2010年3月9日〜13日(現地時間)の5日間、アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、ゲームクリエーターによる国際会議、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)2010が開催。世界中のクリエーターによる講演が多数予定されている。ファミ通.comではその模様を総力リポートする。

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▲マーク・スティーブンス氏(右)とロブ・ホフマン氏(左)

 オートデスクは、“3ds Max”、“Maya”、“Softimage”という3大3Dグラフィック制作ソフトを擁する業界最大手のツール会社だ。このGDC 2010に合わせる形でそれぞれの3Dグラフィックソフトの最新バージョンを発表(記事はこちら)、開発者にとってさらに利便性の高いツール群を提供しようとしている。そんなオートデスクのバイスプレジデント、ゲームテクノロジーグループ メディア&エンターテインメント担当のマーク・スティーブンス氏とシニア・プロダクト・マーケティング・マネージャー、3Dメディア&エンターテインメントのロブ・ホフマン氏に話を伺う機会があった。

――この4月に主要なソフトウェアの最新バージョンがリリースされますが、“2011年版”の方向性はどのようなものですか?

マーク
 全体的な私たちの方向性としては、ゲーム開発におけるすべての側面を対象に、有用なツールを提供したいと思っています。とくに注力しているのが3Dグラフィックに代表されるアートの分野ですね。そこでは、“3ds Max”、“Maya”、“Softimage”、“MotionBuilder”、“MudBox”などを提供しております。一方で、新しいミドルウェアの最新バージョンも出します。キャラの動きを制御する“HumanIK(ヒューマンIK)“と、AIの“Kynapse(キナプス)”です。

 2011年版の方向性というのは製品ごとに異なりますね。製品はそれぞれ個性があって、どこに注力しているかが異なるんです。たとえば“Maya”は新しいユーザーインターフェースに注力しています。Qtに対応しているので、ユーザーインターフェースのカスタマイズが容易になるんです。“Softimage”は、フェイスアニメーションの”フェイシャルロボット“がつきました。リップシンクの機能も強化していますよ。“3ds Max”は、ビューポイントとレンダリング機能が強化されています。

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▲関節のある人間の動きをソフトウェアがサポートしてくれる“HumanIK(ヒューマンIK)“。


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▲AIのシステム“Kynapse(キナプス)”。


ロブ 大まかに言って、3つのグラフィックツールで力を入れているのは、ユーザーインターフェースとそのデザイン、ワークフロー、そして総合的な戦略です。改良ポイントはそれぞれの製品により異なりますが、つねにユーザーの要望に耳を傾けて、将来どのような方向に動いていくかを見据えたうえで、それにのっとって動いていこうと思っています。それぞれの製品にはそれぞれの強みがありますので、得意分野を伸ばしていこうと。ユーザーはより自分に適したツールを選べばいいわけです。

――オートデスクさんは、2005年には“Maya”を、2009年には“Softimage”を傘下に収め、“3ds Max”とあわせて業界の3大グラフィックツールを擁するわけですが、これらのツールを統合することはないのですか?

ロブ ありえません。と言いますのも、それぞれ3つのソフトウェアは、使ってくださっている方は、それぞれ「このグラフィックツールがすごく好きだ」という方たちばかりなんです。そして重要なポイントは、3つともとても収益性の高い製品であるということです。収益性が高いということは、製品をサポートしてくれる方たちに、より喜んでいただけるバージュンアップに向けて、その収益を投資できるということです。私たちにとって大切なことは、アーティストの方々自分の好みにあったツールを選択できる環境を提供することです。ですので、当面はこの3つのグラフィックツールをひとつのスーパーソフトウェアに組み合わせるという計画はありませんし、いずれかをやめるという選択肢もありません。3つとも開発を続けていくつもりでいます。

マーク 我々の日常生活においても、選択肢はつねにありますよね。クルマを買う場合も1車種ということはあり得ない。たしかに私たちは3つのグラフィックツールを擁していますが、それぞれ得意な分野がありまして、ただひとつに絞るということは賢明ではないと思っています。さらに、それぞれが同じ機能ばかり、というわけでもありませんし。“3ds Max”の機能が“Maya”になかったり、逆のケースもあったりします。もうひとつ需要な側面は、アーティストはその製品を使いこなすために大きな時間を割いて学んでいるということです。さらに各スタジオもそれぞれのツールを使いこなすためのインフラに多大なる投資をしている。したがって、それらを変えろと言われても、そんなに簡単にできることではないわけです。

ロブ とはいえ、3つのツールに互換性がないと齟齬をきたすことも多いです。たとえば、同じ開発チームでも、それぞれ別のグラフィクツールを使っているというケースもあります。そこで私たちは、今回のバージョンアップでは“FBX”でできることを増やしています。“FBX”というのはプラットフォームに依存しない業界標準の3Dファイルフォーマットですのこと。つまり、“Maya”で作ったソフトを“FBX”で保存して、“Softimage”を使っているアーティストに受け渡すといったことが可能になっているんです。

――なるほど。3つのソフトウェアを一同に擁することで利便性が高まるんですね。では、一方でオートデスクさんでは、“HumanIK(ヒューマンIK)“と“Kynapse(キナプス)”といったミドルウェアに取り組んでいますが、今後積極的に取り組んでいきたい技術などはありますか?

 

マーク 現時点でオートデスクは、キャラクターアニメーションにフォーカスを置いています。“HumanIK(ヒューマンIK)“と“Kynapse(キナプス)”に力を入れているのはそのためです。現時点では別のミドルウェアというよりも、ランタイム(※1)でのオーサリング(※2)に力を入れようとしています。ゲームエンジンなどを介することなく、3Dグラフィックツールから直接オーサリングを可能にする仕組みですね。実際のところ、キャラクター作りという意味では、まだまだ改善すべき問題が多いので、そちらでもすることはたくさんあると思いますよ。

※1ランタイム:ソフトウェアの実行に必要なプログラム
※2オーサリング:データを編集してソフトを作ること

――問題点というと、たとえばどのようなものがありますか?

マーク まず顔です。顔をリアリティー溢れるものにするには、本当にたいへんだと思います。私たちは“Softimage”に入っているフェイシャルロボットのテクノロジーに多大なる投資をしているわけですが、望むところはまだまださきにあります。

――では、『アバター』などにより3D立体視に対する注目度が集まっていますが、オートデスクさんではどのようなアプローチを考えていますか?

ロブ
 3D立体視には大いに興味がありますね。すでに“Maya”には立体視のツールが入っていて、ある目的に特化した形で使用することが可能になっています。もちろん、まだまだ立体視の機能は強化していきたいですね。

マーク 3D立体視の分野にも関心がありますが、『アバター』に関しては、映画の制作手法そのものもおもしろいと思っています。ディレクターのジェームス・キャメロンは、『アバター』を撮影するにあたって、モーションキャプチャー俳優を仮想空間に据えて、演技のチェックができました。この作りかたはゲームの制作手法と似ています。キャメロンは実際の出来上がりに近い環境を撮影時に作り上げて、収録を進められたんです。映画でもできることに私たちは関心があります。こういった手法は取り入れていきたいなと思っています。

――ところで、ツールに対する日米の温度差みたいなものを感じたりしますか?

マーク
 そういった意味での温度さはないですね。日米のクリエーターは両方とも同じような問題に直面していると思います。つまり、ゲームを開発するにあたっての課題は、「いかに効率的かつコストを抑えてゲームを開発するか」ということです。欧米でも日本のスタジオにおいても直面している状況はいっしょだと思います。私たちは、こういったクリエーターの声に耳を傾けて、ツール開発に取り組んでいきたいと思っています。

 

ロブ 日本市場ということに関して言えば、私たちも日本の市場はとても大切だと思っています。ずいぶんまえから主要なゲーム開発者と連繋してきましたし、3つのグラフィックツールはローカライズのために多大なる投資をしています。これからさきも日本市場は弊社にとって重要であり続けると思います。

※オートデスクの公式サイトはこちら
[関連記事]
※“3ds Max”、“Maya”、“Softimage”、オートデスクが誇る3Dソフトの最新バージョンが揃って発表
※3D開発ツール大手メーカー、オートデスクのキーパーソンが語る、「クリエーターのビジョンを形にするのがツールの役割」  

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