HOME> ゲーム> 職業選びで悩めるのがうれしい『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』【後編】
●深層まで潜った冒険者(筆者)が伝える、職業選びの楽しさと悩ましさ
アトラスより2010年4月1日に発売される、ニンテンドーDS用ソフト『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』(以下、『III』)。さまざまな職業のキャラクターとともにパーティーを組み、スリルと謎に満ちたダンジョンを冒険するRPGの最新作だ。
筆者紹介 川島ケイジ |
かわいらしい絵柄や、骨太なシステムを備えたゲームが大好きな週刊ファミ通編集者。RPGを担当することが多く、『世界樹の迷宮』シリーズや『ペルソナ』シリーズもこよなく愛している。 |
●“モンク”だけはパーティーから外したことがない
パーティーの回復役であり、ときには拳で攻撃にも参加するオールマイティーな職業、それがモンク。この職業ばかりは、つねに必須と考えたほうがいいかもしれない。
シリーズファンのために、旧作で回復役だった職業“メディック”との違いを挙げてみる。まずは、メディックに比べて戦闘不能を回復する“リザレクト”を覚えるのが早い! レベル10に満たない(B2Fに進んでいない)うちから覚えられるので、かなり助かる。ただし、これは序盤から死なせる気満々なゲームバランスゆえの配慮と思われるので、難度の低下を心配する必要はない。また、メディックは相応のスキルポイントを割り振らないと実用的な攻撃スキルを覚えなかったが、モンクは序盤からガンガン攻めることもできるので、オールマイティーさにいっそう磨きがかかっている印象。ウォリアーには一歩譲るものの、アタッカーとしても活躍してくれる。
ただし、ファランクスが防御に忙しいのと同様に、やはりモンクは回復に忙しくなりがちなので、まずは回復スキルをひととおり覚えるのが先決かと。とくに、状態異常を回復する“リフレッシュ”は、仲間全員を回復できるよう早々にスキルレベルを上げるべし。状態異常で死なせる気満々な敵が、わんさか出てくるから!
▲最初の階層で強敵(F.O.Eと呼ばれる異常に強いモンスター)に挑むなら“リフレッシュ”は欠かせない。倒せばナイスな武具ゲットにつながるのがセオリーだ。 |
●“ゾディアック”の燃費向上が勝利のカギ
炎、氷、雷の属性攻撃をすべて使える星術使い。敵の弱点を突くにはもってこいのゾディアックだが、やや大器晩成タイプの職業だと思う。
あえて、序盤におけるゾディアックの難点から記しておく。それは、星術の燃費がよくないこと! 通常攻撃にあまり期待できないゾディアックは、TPが尽きると途端に存在意義が薄くなってしまうので、それはなるべく避けたいところ。そこでオススメなのが、敵を倒すとTPが回復する“リターンエーテル”だ。ほかの仲間の攻撃力と、敵の残存HPをしっかり見極めて、ゾディアックにトドメを刺させるのは難しいことじゃない。また、特定のモンスターを、特定の属性攻撃で倒したときのみ得られるアイテムもあり、これが強力な武具の入手につながったりする。それから、パッシブスキル(常時効果スキル)の“特異点定理”を覚えておけば、属性攻撃で敵の弱点を突いたときのダメージが上昇するのはもちろん、効果音も変わるので、こちらも早めに習得することが望ましい。戦闘を数多くこなし、敵の弱点捜しに励むためにも、TP消費を抑える準備をしておきたい。
パーティー強化と勝利のために“リターンエーテル”を活用し、積極的に属性攻撃を使ってこそ、ゾディアックが星のように輝いてくるはずだ。
▲敵ごとに弱点が異なるので、全体にヒットする属性攻撃を覚えるのは後回しでいいかも。 |
●状態異常と封じを制する“ビーストキング”
ビースト(獣)を召喚し、敵を攻撃しつつさまざまな状態異常を付与できるビーストキング。ゾディアック以上に大器晩成タイプという印象だが、それゆえに、階層が深くなるほど活躍の場が増す職業だ。
ビーストキングのスキル“獣王マスタリー”を覚えれば、たとえ5人パーティーで参戦メンバーに空きがなくても、ビーストを6体目の仲間として召喚できる。さらに“獣王マスタリー”を高めれば、状態異常を付与する確率が上昇。また、パッシブスキル(常時効果スキル)の“獣の心”を高めれば、ビーストの攻撃力、防御力、HPが上昇する。このふたつのスキルは基本として、特定のビーストを召喚するスキルで多彩に攻められるのがうれしい。
たとえば“催眠梟招来”なら、催眠梟を招来して敵全体に睡眠効果を付与し、以降も数ターンごとに睡眠効果を与え続ける(それ以外のターンではガードする)。また、“大鳥招来”なら、大鳥が敵単体を攻撃しつつ頭封じの効果を付与し、以降もオートで攻撃する。こんな具合に、敵のあらゆる部位を封じたり、ほとんどの状態異常を付与できるスキルが揃っているのだ。
招来したビーストをプレイヤーが直接操作することはできないが、そんな不便を補って余りありすぎる便利さが、ビーストキングの魅力。ひととおり習得するには相応のスキルポイントを要するが、絶対に育てておくべき!
▲スキル“聞きかじりの経験”を早いうちに覚えさせ、パーティーに参加せずとも経験値が少しずつ溜まるようにしておくといい。 |
●後列にいながら前衛らしく攻める“バリスタ”
バリスタは、仲間と連動するパイレーツとは対照的に、単独で活躍するタイプのアタッカー。また、後列から攻撃しても威力が落ちない弩(大型の弓)を使うため、ウォリアーのように前列に立つ必要はないのだ。
炎、氷、雷の属性つき弾幕を乱射する“バラージ”系のスキルや、1ターン後に矢弾の雨を降らせる“レインフォール”など、通常の敵を一掃するのにもってこいの全体攻撃が便利。さらに、HPが自分の倍以上ある相手への攻撃力が増すパッシブスキル(常時効果スキル)“ジャイアントキル”は、ボス戦で驚異的な威力を発揮する。敵単体を対象にした攻撃スキルのヒット数が、一定確率で増えるパッシブスキル“ダブルアクション”と組み合わせれば、ウォリアーもビックリのダメージをもたらせるだろう。夜間だけ通常攻撃のクリティカル率が大きく上昇するパッシブスキル“ナイトビジョン”も、TPを消費せずに大ダメージを与えられるのでオススメだ。
あえて難点を挙げるなら、スキルの燃費が少々よろしくない点だが、逆に言えば、それを克服すれば完璧すぎるアタッカーになる。“TPブースト”でTP最大値を上げたり、TP回復アイテムを常備して、完璧に近づけてみるといいだろう。
▲敵単体に強力な突攻撃をくり出す“ヘビーショット”。ボス戦など、ここぞというときに使いたい。 |
●“ファーマー”は戦力ではなく存在に価値あり
外見や役どころが公開されて以来、戦力になりそうにないという不安が囁かれてきたファーマー。しかし、安心してほしい。そんな不安は的中しつつ、それでもなおパーティーに加えたくなる魅力がある。
ファーマーのスキルによる、おもな恩恵を列挙してみよう。バトルでの取得経験値が増える、モンスターの落とすアイテムが増える、街まで一瞬で戻れる、一定歩数のあいだモンスターとの遭遇率をゼロにできる、ダメージ床やぬかるみ(移送速度低下)の効果を受けなくする……などなど。敵との遭遇率を下げるスキルや、床によるダメージを軽減するスキルならほかの職業にもあるが、ファーマーの場合は、スキルレベル1で遭遇率やダメージをゼロにできてしまうのだ。しかも、ほかの職業であれば、採取、採掘、伐採の3種類がある素材収集スキルをそれぞれ伸ばさないと、ダンジョンで素材アイテムを採集できないが、ファーマー限定のスキル“収穫マスター”なら、それらの実行可能回数をいっぺんに伸ばせる。素材を街で売却すれば、冒険の貴重な資金源になるうえに、素材のおかげで店の品揃えが充実して、より強い武具を購入できるようになる。
バトル時の攻撃役としてはまったく期待できないが、ファーマーがいるだけで探索がすこぶる快適になる。これもまた、ある意味では貴重な戦力と言えるのかもしれない。
▲バトルでは、スキル“子守唄”で、敵全体を眠りに誘うことも可能。ただし自分も寝てしまう。 |
●“サブクラス”で職業ふたつのいいとこ取り
ここまで、各職業の使いどころを紹介してきたが、「どれも魅力的でパーティー編成に迷っちゃう!」という冒険者も少なくないだろう。かくいう自分もそのひとりだ。「全編を通してオススメのパーティー編成は?」なんて聞かれても、「正解はない。たくさん考えられるという意味で、正解などない!」と開き直ったように断じるしかない。そんな優柔不断にならざるをえない状況を打破してくれるのが、異なる職業のスキルを補助的に習得できるという、本作から加わった画期的な新システム“サブクラス”だ。
サブクラスの一例を説明しよう。
自分はプリンセス命なので、姫様とはつねにいっしょにいたい。また、序盤からファーマーの恩恵も受けてきたが、階層が深くなるにつれて、さすがに専業ファーマーをパーティーに入れる余裕がなくなってくる。そこで、姫様にファーマーを兼業してもらうことにした。サブクラスに決定した職業のスキルを覚えるには、メインのスキルを覚えるために必要なスキルポイントを利用する。しかし、上で述べてきたオススメのスキルを中心にすれば、スキルポイントが足りないということもなく、バトルでも探索でもパーティーを支えてくれるようになる。「サブクラスは、職業の没個性を招きかねないのでは?」という声もあるかと思うが、“クラス専用スキル”に分類されている一部のスキルは、サブクラスでは習得できないので、一応の制限はある。逆に言えば、それ以外のスキルはすべて覚えられるわけだが。「ファランクスには、槍スキルよりもモンクの回復スキルを覚えてもらおう!」とか、「ビーストキングがゾディアックの属性攻撃まで使えたら万能じゃね?」とか、あらゆる組み合わせに何かしらのメリットを見出せるので、いい意味で、これにもまた正解はない!! ……と思う。
また、自分は、キャラクターに性格づけがなされていない没個性なところも、『世界樹の迷宮』シリーズの魅力だと思っている。ウチの姫様は、じつは農民出身で、戦いから離れると仲間のために素材採集で汗水流してくれるんです……なんて妄想をくり広げられるのも、また楽しいではないか。
……と、ここまで書き終えてみれば、かなりの長文になってしまったが、最後にひとつ付け加えたい。冒頭で、B22Fをシリーズ史上最凶と記したが、アトラスの小森成雄ディレクターが「B24Fのほうがヤバいかもしれませんよ」と教えてくれた。どうやら、最凶と断じるにはまだ早かったようだ……。
フロアの広さ自体はB1Fからさほど変わらないというのに、どうしてこれほどまでに難度の差を生み出せるのか。冒険者としては、開発者(の容赦なさ)に感服してしまうというか、挑戦状を叩きつけられたような心地で、奮起せずにはいられない。ぜひ、自分なりに最強のパーティー編成を模索して、最凶のダンジョンを乗り越えてほしい。
『世界樹の迷宮III 星海の来訪者』 ■機種:ニンテンドーDS ■発売元:アトラス ■発売日:2010年4月1日発売 ■価格:6279円[税込] ■テイスト:冒険・ファンタジー ■ジャンル:RPG ■プレイ人数:1〜5人 ■通信機能:DSワイヤレスプレイ対応 ■CERO:全年齢対象 ■備考:ディレクター:小森成雄、キャラクターデザイン:日向悠二、モンスターデザイン:長澤真、サウンドコンポーザー:古代祐三 |
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サウンドトラックアウトテイク” |
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