HOME> ゲーム> 来期は売上の半分がオンラインゲームに――大きく変わるベクター
●オンラインゲームはベクター“第3の創業”
2010年2月17日、ブロードバンド推進協議会の主催により、OGC(オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス)2010が開催された。 オンラインゲームとオンラインコミュニティの業界関係者や研究者による多数のセッションから、ゲーマーにとっても見逃せない内容をより抜きでリポートする。
ブラウザゲームを中心にオンラインゲーム事業を急成長させるベクターからは、代表取締役社長の梶並伸博氏が、同社“第3の創業”と位置付けるオンラインゲーム事業について語った。
出版事業を軸に創業し、1995年に“第2の創業”としてPC用ソフトウェアのダウンロード事業をスタートさせたベクター。フリーソフトのダウンロードやシェアウェアの購入などでお世話になったことがある人も多いだろう。しかし、インターネットの予想以上の進化が、ベクターに方向転換を決意させることになる。ベクターではネットの高速化によりソフトウェアのダウンロードが加速すると予測していたが、逆にPCの利用スタイルが変化したり、ソフトウェアがネットサービスに移行するなど、事業が頭打ちになってしまったのだ。
では、なぜオンラインゲームが選ばれたのか。広告収入ではなく、ユーザーから直接収入を得られるものとして、梶並氏の頭に思いついたのは、ウィルス対策ソフトとオンラインゲームだった。しかし、ウィルス対策ソフトは1個オールマイティなものがあれば大体カバーできてしまい、バリエーションが少ない。一方、ソフトのダウンロード販売を大規模に行ってきた結果、課金システムと、大量のデータをさばく回線とサーバー技術という、オンラインゲームに必要なインフラがベクターには整っていた。こうして2006年の『ミックマックオンライン』からオンラインゲーム事業を開始し、M&Aによって規模の拡大などを行いながら成長させ、来期はその収益の半分にも達する。
現在のベクターにも旧来のクライアント/サーバー型(クライアントソフトをダウンロードしてサーバーを介して遊ぶ従来のオンラインゲーム)のオンラインゲームはあるが、その急成長を支えているのが『ドラゴンクルセイド』などのブラウザゲームであるのは衆目の一致するところだ。梶並氏によると、ブラウザゲームの開発が盛んなのは意外にも中国で、市場には200社300タイトルものブラウザゲームが存在するとのこと。ちなみに、3分の1ほどは三国志モノらしい。続いて、クライアントサーバー型のオンラインゲームと、ブラウザゲームの違いも示された。「クライアントサーバー型のいいところは表現力ぐらいしかない」と喝破する梶波氏。ブラウザゲームは、いわく軽量で、ダウンロード/インストールが必要ない、OSなどのプレイ環境を選ばない……ひとつひとつは「まぁそれはそうだけど……」という程度のものだが、梶並氏が明かしたユーザーのプレイスタイルを組み合わせると違いが明確になってくる。
オンラインゲームというと、いわゆる“テレホーダイ”時代の、夜間から明け方にプレイするイメージがいまだにある人も多いと思うが、ベクターのブラウザゲームのプレイヤーは、朝にログイン、会社や学校に来てログイン、帰る間際にログイン、寝る前にログインと、1回1回のプレイ時間は短いものの、4回ログインする傾向が見られるのだとか。確かにこれはクライアントサーバー型のヘビーなオンラインゲームでは、こういったプレイスタイルは難しい。会社のPCに、誰が数ギガバイトのクライアントソフトをダウンロードし、インストールするだろうか?
ネットブックが売れたことで、「ユーザー環境が相対的に低下」(梶並氏)しているのもブラウザゲームの浸透において重要な点だ。ネットブックには高速起動可能な独自のOSを持っているものがあるが、起動して数秒でWeb閲覧、インスタントメッセージング、メールが使えればいいというのは、何でもできることを目的としたWindowsとは異なる。梶並氏はWindowsを“デパート”、ネットブックを“コンビニ”と評した。平素の生活にはコンビニの方が合っているのは言うまでもない。そして、Windows向けに設計されたクライアントサーバー型のオンラインゲームは、3D表示機能が劣るネットブックではプレイがままならないどころか、そもそもLinuxベースの独自OSでは起動さえできないことが多い。クライアント/サーバー型のオンラインゲームは、概念的にも、現実的にも“コンビニ”に並ぶことはない商品だ。“気軽にプレイできるものを手軽にプレイする”という、生活の中でのゲームの位置づけそのものが違っているのかもしれない。今後ベクターでは、ブラウザー、ソーシャル、モバイル、世界をキーワードに戦略を展開していくとのこと。モバイルでは乙女ゲー『恋する私の王子様』が好調だが、先述のブラウザゲーム『ドラゴンクルセイド』もモバイル版が開発中で、近日投入される模様だ。
※OGC2010の公式サイトはこちら
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