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iPhoneは儲からない?――ゲームジャーナリスト新清士氏が業界の現状を分析
【OGC2010リポート】

2010/2/18

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●今後生き残るにはプラットフォーム戦略の構築が今後のキーに
 

 ブロードバンド推進協議会主催による、ゲーム開発者向け技術カンファレンスOGC(オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス)2010が2010年2月17日に都内で開催。ゲームジャーナリストの新清士氏によるセッションでは、近年急速な勢いで拡大しているiPhone/iPod Touch向けアプリの話題を核に、ゲーム業界の直面している課題が語られた。

 

 「最近わかってきたことは、iPhoneは儲からないということ」。冒頭このように切り出した新氏は、まず具体的なデータを提示。それによればiPhone/iPod Touch向けゲームアプリは現在約2万4000本アップロードされている。そのうちの約80パーセントが有料アプリだが、価格は平均3ドル以下。加えて、ユーザーひとりがダウンロードするのは月平均で10本程度と競争はかなり激しい。iPhone/iPod Touchアプリで収益を上げるのがいかに困難かがわかる数字だ。
 

 純粋なアプリの売上だけで儲けるのが難しいとなれば、取るべき手段は「アイテム課金およびポイント課金」しかない。しかし、この道も容易ではないようだ。「アップルは(アイテム課金およびポイント課金)認めているが、申請がとおりにくい状態にあります」。ハドソンの『ネットジャン狂』がその一例で、同作は基本料金無料でネットワークを介した対戦時のみポイント支払いを行うというシステムのタイトル。当初の予定では2009年12月にリリース予定だったが、アップルの審査を通過できず、この講演が行われた時点でもリリースされていない。「一旦ポイント制など認めると、それが流通して独自の流通を確立してしまう」。アップルが審査に慎重な理由を新氏はそう説明する。さらに、この状況からは日本のメーカーが抱えるほかの問題も浮き彫りになってくるという。プラットフォームが自国にないということだ。情報取得の優先度は当然自国が高く、必然的に日本は開発やマーケットの形成などすべての点で後れを取ってしまう。

 

 加えて、iPhone/iPod Touchアプリの登場が新規参入を容易した一方で、市場がコンテンツデフレを起こし、勝者だけに収益が集中する“ウィナー・テイク・オール”の状態に陥っていると新氏は指摘。また、供給過剰なのはiPhone/iPod Touchアプリに限らず日本ではmixiアプリに代表されるソーシャルゲームも同様であると説明する。

 

 では、そんな状況の中でも売れるゲームとは何なのか? それは「時間をかけることに価値がある」と思えるもの。時間は貯蓄もできないし交換もできず、そこにユーザーが力点を置いているので「ユーザーは5分間しか待てない。一時間後におもしろさがわかるようなゲームは売れない」という状況が生まれているわけだ。

 

 iPhone/iPod Touchで儲けることの困難さを説いたうえで新氏は、今後取るべきは「土管を通るたびに、お金を落とすような」プラットフォーム戦略の構築であると提言。そのチャンスを得るためのキーはハードウェアのCPU性能の余剰部分にあるという。CPUは「10年でスパコンが1000ドル台のPCになる」速度で進化し、それにともなって低い性能のものは上書きされる形で姿を消していく。すると起こるのが、ふつうに利用する分には必要としないPCパワーの余りだ。そこへいかに「自分たちの技術を載せるか」がプラットフォーム戦略で勝利するためのキモなのだという。“Twitter”やソーシャルゲームがいい例だ。PCパワーの余剰が平均を押し上げ、低スペックのハードウェアでもテキストレベルでのやりとりを手軽に行える環境を実現したおかげで、上記のコンテンツは爆発的な普及を見せた。逆にPCパワーを見誤ったために失敗した例が『セカンドライフ』。コンセプト云々以前に、求めるスペックが一般的でなかったために普及しなかったというわけだ。

 

 プラットフォーム戦略を成功させるうえでは、“物語性”も重要であると新氏は分析する。ここで挙げられた例は、『涼宮ハルヒの憂鬱』の大ヒット。同作では「主人公のハルヒならこうする、という行動の指針」を示した“ハルヒ憲法”があり、ユーザーたちがそれを元にさまざまな解釈を行ったことも、ヒットの要因になっているという。もうひとつの例として新氏は先日発表されたアップルの“iPad”発売までの経緯に言及。正式発表以前から断片的な情報――つまり物語の枠が提供されたことで、人々は“アップルの物語”を構築し、熱狂した。単純にコンテンツを提供するのではなく、ユーザーを巻き込んで盛り上がる。これが新氏の考える物語性だ。
 

 「いま問われているのは、未来のビジョンをいかに語れるか」。新氏は再び時間の価値に触れ、お金を得られるコンテンツには「ブログを書くことやコンテンツの投稿が未来の自分に投資している」感覚が求められていると説明。「物語がその人の人生の一部になれば、お金を払い続けるでしょう」と結論づける。同時に、物語性の提供が過剰になれば「自分たちにとってつごうのいい情報だけ得る人たちが増えてしまう」と警鐘も鳴らす。たとえばアイテム課金やポイント制のような、ユーザーの弱い部分をついて収益を上げる手法。これが進めば、結果的に狭い世界での競争を強いられることになるかもしれないと新氏は考える。

 

 今回のセッションではゲーム業界を取り巻くさまざまな課題が浮き彫りとなったが、それでも新氏は「チャンスは広がっている」と断言する。「イノベーションを予測するのは難しい。しかし、変化の先端にいるかどうかは理解できる」。たとえ富を生み出さなくとも、流行り物にはとりあえず触れる。そして、すでにマーケットに存在しているものも含め、何と何を紐づければ収益を上げられるかをつねに考えることが重要であるとした。
 

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