HOME> ゲーム> サッカーLOVE、JリーグLOVE溢れる『J.LEAGUEプロサッカークラブをつくろう!6 Pride of J』インプレッション
●『サカつく』シリーズ最新作はPSP
『J.LEAGUEプロサッカークラブをつくろう!6
Pride of J』(以下、『サカつく6』)はサッカークラブの経営者兼指導者になって、クラブを世界の頂点に導くシミュレーションゲームのシリーズ最新作。今回は四六時中、名古屋グランパスのことばかり考えているファミ通Xbox
360の編集者ムトウが『サカつく6』の魅力を探る。
セガサターン、ドリームキャスト、プレイステーション2。『サカつく』シリーズといえばどうしても家庭用据え置き機のイメージが強いです。PSPで登場する最新作も当初スルーの予定でしたが、なぜか他部署のファミ通.comの担当者が本体ごとサンプルROMを貸してくれるというではありませんか。『サカつく6』のことは気にはなっていたので「ありがたい話だ。あなたはなんていい人だ」と受け取ったのが1週間まえ。しかし、世の中そんな甘い話は存在しないのです。発売日に先駆けてプレイしてしまったことと引き換えに今回のインプレッション原稿を書くことになってしまいました。大人って怖いですね。
ちなみに『サカつく6』の詳細なゲームシステムについてはこちらの記事でわかりやすく紹介していますのでおすすめします。自分は1週間プレイして思ったことや気づいたこと、考えたことを書いているだけですので。
●クラブを愛するがゆえの悩み
『サカつく6』では従来のシリーズ作品のようにオリジナルクラブをゼロから立ち上げて、J2に参入。徐々にクラブとしての体力を蓄えながら、J1昇格〜リーグ制覇〜世界挑戦を目指すだけでなく、実在するJ1、J2クラブを指揮することが可能になりました。当然ゲームを立ち上げた直後にオリジナルクラブにするのか、実在クラブにするのか、決めなくてはならないのですが、これが本当に困りました。’93年のJリーグ開幕以来、いい時期も悪い時期も名古屋グランパスを応援してきたので悩む必要はないと思ったのですが……。能力の低いオリジナル選手、小ぢんまりとしたスタジアム、整備されていないクラブハウス、恵まれない資金力。小さなクラブがJ2から世界の舞台へと這い上がっていくサクセスストーリーも捨てがたいのです! このカタルシスは『サカつく』シリーズ経験者なら理解してもらえることでしょう。ファミ通.comの担当者からサンプルROMを渡されてから「どのクラブでスタートするか」、この決断を下すまでに丸1日悩むことになりました(実話)。最終的には「セーブデータが最大16個まで保存できるから両方やればいいだろうが! さっさとやれ!」という天の声がファミ通.com編集部の方角から聞こえたので、とりあえず名古屋グランパスでスタート。1週間後にはサンプルROMを返さないといけないですし、先日のACL敗退の無念を晴らしたかったということもあったし……。
しかし、ここでも難題が待っていました。実在するクラブを選択する場合、最初に初期資金の範囲内で所属選手や監督、スカウトと契約するのですが、当然、選手全員を雇うことはできません。年俸が高いけど即戦力になる主力を選ぶか、さきを見据えて伸び盛りの若手を選ぶか……。ちなみにここで半日悩みました(実話)。ファミ通Xboxの仕事をしながら頭の中ではセンターハーフの組み合わせは誰がベストか、ダヴィ選手は残すべきか否か、獲るべき若手は誰か、などを考えまくった結果が以下の通り。自分はこのメンバーで1年目から優勝争いに絡むことができました(名古屋グランパスは戦力的にも環境的にも比較的恵まれているクラブなのであたりまえかもしれませんが)。名古屋グランパスを応援している同好の士の参考になれば幸いです。ちなみにコメントは実際の選手に対する個人的な思い入れ、というか思い込みかもしれません。ゲームの攻略にはほとんど役に立たないことをお断りしておきます。
名古屋グランパス 初期契約選手[資金:12億6000万円] ■竹内彬 |
「心情的にどうしてもダヴィは契約できない」というときは巻祐樹選手、杉本恵太選手を獲得するといいでしょう。センターハーフの選択が難しいところで山口慶選手、吉村圭司選手を泣く泣くあきらめ、控えメンバーは期限付き移籍を中心に補強していく方針でした。
●クラブを愛するがゆえの悩み、再び
本作はJリーグ間であれば比較的選手の獲得は容易です。それなりの獲得資金は必要ですが、交渉のテーブルについてくれないことはほとんどありませんし、主力級でも期限付き移籍の交渉が可能です。堅実にJリーグクラブから補強すれば国内制覇は難しくはないでしょう。ただし、ここでもサポーターならではの悩みがあります。“名古屋グランパス”の名を冠している以上、クラブにまったく縁もゆかりもない選手ばかり獲ってきて優勝できたとして喜んでいいのか、喜べるのかという問題。熱心なクラブサポーターかつ『サカつく』シリーズ経験者であれば必ずぶつかるこの命題に対して、序盤は“かつてグランパスに所属していた選手”という条件で補強していきました。実際に獲得したのは、本田征治選手(草津)、青山隼選手(徳島)、片桐淳至選手(甲府)ですが、どうしても限界があります。こうなると徐々に条件を緩めるしかありません。つまり、“自分で納得できる理由をこじつける”のです。たとえば長友祐都選手(FC東京)は、小川選手の大学時代の先輩後輩の関係。
「……じゃあ、いいか。」
なんの根拠もありませんが、自分が納得できればいいのです。ちなみにハーフナー・マイク選手(鳥栖)もオーケー。父親のハーフナー・ディド氏は現役時代、名古屋のゴールマウスを守っていたし、現在はアシスタントコーチに就任。これならまったく問題ありません。納得です(自分が)。
ちなみに、『サカつく6』においてJリーグ制覇はまだ通過点。そのさきにアジア、世界というさらに上のステージが待っています。海外の強豪クラブに対して、どこまで“自分ルール”を適用できるのか。この葛藤と戦い、悩むこともクラブサポーターならではの『サカつく』シリーズの楽しみではないでしょうか。
●クラブを愛するがゆえに広がる楽しさ
ここからはプレイ中に感じた『サカつく6』の楽しみかたを紹介します。ただし、それなりに特定のクラブや選手に対して思い入れがないと同意してもらえないかもしれませんがご容赦ください。
ますは試合シーン。正直に白状すると携帯機を甘く見ていました。試合は2D画面で進行しますが、チャンス(ピンチ)が訪れると3D画面に移行。臨場感あふれるゴール前の攻防が見られます。もちろん画質は据え置き機に劣りますが、間一髪でGKがシュートをセーブしたときの安堵感もDFをドリブルでかわしてネットを揺らしたときの興奮度も引けをとりません。オプションの設定しだいで、ゴールシーンだけ見られるようにしたり、まれにしか発動しない光プレイだけにしたり、ユーザーのプレイスタイルに応じて細かく変更できる点もうれしいところです。と、ここまで書いておきながら、もっぱら気に入っている設定は3D画面をすべてOFFにした“2D画面&テキストのみ”。
「小川佳純、果敢にもシュートを放つ!」
この一文だけで脳内には実際に小川選手がややインサイドキック気味にミドルシュートを蹴りこむビジュアルが浮かびます。そう、ACL準々決勝(対川崎F戦)で放ったあの無回転シュート。通常、無回転シュートはボールの中心をインステップキックで押すイメージで蹴りますが、小川選手の少し特殊なフォームを頭の中でイメージして楽しむのです。ちなみに「小川佳純のドリブルが止まらない!」のときは、昨年の清水戦で魅せた自分の軸足にボールをぶつけてふたりのDFのあいだを抜いたトリッキーな超プレイを思い浮かべます。テキストだけを見て頭の中でプレイをイメージして、そして感動しましょう。実際にクラブや選手に強い思い入れがあり、よく知っているからこその楽しみかたではないでしょうか。「うまい!」とつぶやいてひとりニヤニヤするところまでいくと、かなり楽しいと思いますが通勤・通学途中にはプレイしづらいかもしれません。ご用心を。
選手の個性が能力のパラメーターだけでなく、スキルという項目で表現されている点も見逃せません。スキルによって選手の特徴が明確になっています。どのクラブサポーターでも、「いまは控えクラスだけど将来に期待したいんだよなぁ」という選手が必ずいると思います。たとえば名古屋グランパスでは花井選手。小学生から一貫してグランパス育ち、トップチームでもテクニックは随一ですが、プロのフィジカルとスピードの前に壁にぶつかっている印象です。しかし、“プレイメーカーLv.2”のプレイスタイルを持ち、“キラーパス”のスキルがあります。相手が攻勢をかけてきたところで「パス1本でDFの裏を狙いたい!」ときに、トータルの能力値はレギュラーに及ばない花井選手を投入してチームに貢献させることができました。特定の選手が試合で活躍できるようにお膳立てして、さらに特別練習を何度も何度もくり返すことで主力級に育てることが可能です。贔屓したい選手をとことん贔屓する、という楽しみかたもクラブのオーナーのみに許される楽しみかたでしょう。
イベントも豊富です。クラブ特有のイベントもありますが、くわしいことはネタバレになるので書けません。それでも、吉田選手が10歳以上の年上の楢崎選手(キャプテン)とタメ口で連携について話し合ったり、青山選手がポジションコンバートについて不満を言ったりする、といったイベントが発生したときには実際の選手の性格とリンクして、これまたニヤニヤしてしまいます。編集部で仕事している風に見せているときはプレイしづらくて本当に困ります(補足しておくと吉田選手は21歳の若さですでにルックスだけでなくメンタル面でもベテラン級の図太さを持ったDFリーダー。メンタルの強さは、自分のミスパスからピンチを招いてもつぎの瞬間にはまったく精神的ダメージを引きずらないところや名古屋サポーターにはおなじみの入団会見「ぼんじゅ〜る」発言で立証済み。青山選手は下がり目のMFが本職で、昨年の開幕当初にサイドバックで起用されたものの直後にC大阪へ期限付き移籍している)。
●最終的にはLOVEですよ、LOVE
最後になりましたが『サカつく6』の本質的な進化ポイントを紹介しておきたいと思います。とにかくすばらしかったのが、ゲームシステムの簡略化がもたらすテンポのよさ。携帯機のプレイスタイルに見事に適応しており、本当にサクサク進みます。たとえばシーズン中に継続して行われる練習は自動的にメニューをこなしていくので、プレイヤーがすることといったら適度に休息を入れたり、特別練習させる選手を選ぶことくらいです。とはいえ、ゲーム自体が薄くなったわけではありません。チーム戦術は攻守のキーワードを選ぶだけの簡易な設定もできるけど、いくつかの項目ごとに細かくスライダー(5段階)を指定して決めることもできます。選手の獲得にしてもスカウトが自動的にアップしてくれるリストをチェックするだけでもいいし、自分で獲得したい選手の特徴をオーダーすることも可能。ユーザーが望む幅広いプレイスタイルに対応しているのです。
最後の最後に。『サカつく6』はゲームです。しかし、半分はプログラム、もう半分はサッカーへの愛でできている作品です。選手の顔のビジュアルが見れば見るほど似ているという外面的なポイントも含めて、あらゆる面でサッカーLOVE、ひいてもJリーグLOVEが感じられます。ついでに自分のJリーグLOVEも再確認できます。応援している特定のクラブや選手がいれば、より楽しめることは間違いないでしょう。その分、試合に負けたときや選手に不満をもらされたとき、法外な年俸を要求されたときに辛い気持ちになることも多いですけど。そのジレンマがサッカーに限らずスポーツを応援する魅力なのではないかと思います。なんだか偉そうなまとめですね。すいません。でも、そのあたりもひっくるめて実感できてしまうのが『サカつく6』のスゴイところだと思いました。
筆者紹介 ファミ通Xbox(ム) |
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ふだんはファミ通Xbox 360の中の人。いつもいつもサッカーのことばかり考えているわけではないですが、名古屋グランパスの試合前日〜当日はだいたいあってる。でも今回の仕事(インプレッション)でそんな勤務態度が正当化することができました。ありがとう、ファミ通.com万歳! |
『J.LEAGUEプロサッカークラブをつくろう!6
Pride of J』 |
※『J.LEAGUEプロサッカークラブをつくろう!6
Pride of J』ファミ通.com特設サイトはこちら
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