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操作しているだけで幸せな気持ちになれる会心の1作、『BAYONETTA(ベヨネッタ)』インプレッション
【プレイ・インプレッション】

2009/11/11

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●テレビゲームはテレビゲームで、いいじゃない

 セガ×プラチナゲームズがお届けするプレイステーション3、Xbox 360用ソフト『BAYONETTA(ベヨネッタ)』。“ノンストップクライマックス・アクション”と銘打たれた本作の見どころを、ライターの戸塚伎一が語る。

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 古くからの友人で、「アドベンチャータイプのギャルゲーはテレビゲームと認めない!」と主張し続けるフリーライターがいます。

 基本的に文章を読むだけ、プレイヤーのモチベーションが性的リビドーのみ……と、挙げる理由はいささか極端ではありますが、それもひとえに、旧来の──アクション操作の習熟度や、思考力・洞察力を総動員する“取り組むべき課題”としての色合いが強いテレビゲームへの愛情深さゆえ。私自身、そういったゲームが花盛りだった時代をリアルタイムで過ごしてきただけに、心情的には理解できる部分もあります。

 とはいえ「ふつうのゲームとギャルゲーの境界は?」とか「そもそもゲーム性って何だ?」などと言い出したらキリがないわけで、私としては、“テレビ(モニター)が必要なゲーム”ならどれもみなテレビゲーム。ことにそのおもしろさの前に厳格なジャンル区分は不要……と考えています。こうした境地にたどり着いたのには、フリーライターの仕事を通してさまざまなタイプ、ジャンルのゲームに触れてきたことと、“快楽の瞬間”に流される根っからの不真面目さが大きく影響しているんだと思います。

 ……こんな流れだと、『BAYONETTA(ベヨネッタ)』がいかに画期的なギャルゲーか? について延々と語り出しそうですが、今回は自重して(笑)、難易度ノーマル設定でクリアーして気づいたこと、思ったことを書いていきたいと思います。

●こいつ……ただのスタイリッシュじゃない!!

 “全編クライマックスのスタイリッシュ・アクション”とのふれこみで華々しく発売されたこの作品。切れ者の美人秘書っぽいルックスの魔女“ベヨネッタ”が、両手どころか両足にも装備した武器をフル稼働して、天使たちと戦っていく……という基本設定からして、すでにオシャレなにおいがします。

 ダメージを与えるごとに醜悪な本性を晒していく使徒たちを、涼しげな身のこなしで輪切りやミンチにしていくベヨネッタは、残酷な天使のテーゼを反故にする背徳感に満ち溢れ、なんとも妖艶。また、演出上グロテスクな表現に事欠かない地獄絵図的世界にあって、ある種のイノセンスを保ち続ける彼女の存在は、ジェンダーを超えた魅力を放っているとも言えます。

 ただ……実際に遊んでみると、一概にそうともいえない面が多く目につきます。

 プロポーション抜群のベヨネッタのアクションは流麗で、キメのポーズも総じてスタイリッシュ&クールなのですが、一部、判断が難しいというか……これって“オモシロ”の領域に入ってるんじゃないか? と疑いたくなるものが含まれています。

 中でも極めつけは、ボス戦のクライマックスで発動できる大魔獣召喚。髪やスーツに宿した獰猛な魔獣を解放し、巨大な敵をボコボコのグチャグチャにする、という一大スペクタクルシーンなのですが、この時のポージングが、ちょっとヘン。しかも彼女、ほぼ何も身に着けていません(解放しちゃってるので)。

 どう見てもおかしいのに、スペクタクル。この感じは、’90年代の名作ギャグ漫画『サルでも描けるまんが教室』で、集中線をバックに“ちんぴょろすぽーん”のポーズをする、全裸の相原と竹熊のコマにダブります。

 スタイリッシュの定義は個々の受け取りかた次第なところがあるものの、ともすればバカバカしさすら漂わせる“ビミョーな線”を堂々と突いてくるあたり、『BAYONETTA(ベヨネッタ)』がいかに挑戦的なテーマ性を含んだ作品かが、うかがい知れます。

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●凡人なりに見えてくるアクションゲームとしての”ヤマ”

 実際、格闘戦メインの3Dアクションゲームとしてどうか? ということに関しては……私がそれに言及していいものか、いまひとつ自信が持てません。

 というのも、お助けアイテムを消費しながら何度も何度もコンティニューし、アルフヘイム(フィールド内に入り口が隠されている、指定条件クリアー型の任意チャレンジセクション)も満足にクリアーできず、チャプター評価の約3分の2が最低ランク……といった“中途半端な腕前”なので、本作のアクションゲームとしての奥深さ、あるいはその逆のことについて語るのは、お門違いな気がするのです。

 あくまで中途半端な腕前なりに、難易度を下げずプレイし続けて感じたのは、「アクションの流れがツボに入ったときの気持ちよさは天井なしだな!」ということ。

 攻撃なりジャンプなりのボタンをわーっと押しているだけで、それらしいアクションの流れを楽しめるのは基本中の基本(※難易度設定をイージー以下にすれば、1ボタンで勝手にいろんな技が出ます)。そこに、敵の攻撃をギリギリの距離とタイミングで避けることで発動する“ウィッチタイム”が加わることで、棒立ち状態の敵をボコボコに攻撃できる爽快感がプラス。さらに、魔力ゲージが一定以上溜まっていれば、さまざまな拷問器具によって大ダメージを与える“トーチャーアタック”も発動可能……とくれば、さながら戦場はカーニバル。流れに乗り損ねた時のしっぺ返しは結構痛いものの、それを乗り越えてなお、“狂乱のひととき”を求めてしまうのです。

 ボス戦にしてもそれは同じ。初対面時は何だかデカくて強そうで、「こんなのと戦うの、ヤだなぁ」と憂鬱になるのですが、体のどこを攻撃しても一応ダメージは与えられるし、案外、攻撃自体に隙が多いので、いざ戦い始めるとまったくお話にならない感じはしません。

 しかも、一定ダメージを与えることで、敵の体によじ登って弱点の部位をピンポイントに攻撃できる、イベント的な戦闘シチュエーションが発生。巨体をじわじわと破滅に追い込んでいく充実感も得られます。

 険しい山だけど、決してお手上げなわけじゃない。なんだかんだありながらも登っている最中は楽しいし、登りきった先には清々しい景色が広がっている……というのが、中途半端な腕前なりの感想です。

●一筋縄ではいかない“ベヨネッタ・ナウ”

 『BAYONETTA(ベヨネッタ)』の作品性を言及する上で欠かせないキーワード。それは”伸縮するナウ”です。

 ナウとはNOW、いままさにこの時、のこと。それが伸び縮みとはどういうわけかというと、たとえば前述したウィッチタイム。発動中は、ベヨネッタ以外のキャラクターにとっては意識する間もないほんの一瞬も、プレイヤーにとっては濃密な時間帯。現実世界における数秒間に“いまできるありったけ”をつぎ込める……という意味で、ナウが相対的に引き伸ばされていることになります。

 その傾向がより顕著に、かつ様式美としてあらわれるのが、トーチャーアタックや大魔獣召喚といった大技の実行時。時間をかけてけれん味たっぷりに表現されるこれらは、もはやゲーム進行上のナウから切り離され、独立した出来事であるかのように展開します。

 ここでプレイヤーに要請されるボタン連打やスティックを回転する操作は、もはやお約束の掛け声や合いの手のようなもので、ノルマ自体、あってないようなものです(制限時間内にたくさん入力すれば与えるダメージが大きくなるなど、それなりにメリットはあります)。

 逆に、現実世界におけるほんの一瞬のナウに、プレイヤーとしての対応力がシビアに問われる場面もあります。セガのドリームキャスト用タイトル『シェンムー』(1999年)で、“QTE(クイック・タイマー・イベント)”との名称が与えられた、イベント的シーンでのボタン早押しアクションです。

 QTEが採用されている作品の多くは、「さあ、ここからがQTEタイムですよ!」と言わんばかりにメリハリの利いたシーン演出が用意されているものですが、『BAYONETTA(ベヨネッタ)』の場合はさりげなく……というか、「いまかよッ!?」みたいなタイミングで、唐突に挿入されます。

 それらのほとんどは、初回プレイでは対応できません。場面によっては失敗即ゲームオーバーになるので、プレイ・モチベーションが一時的に低下する原因になりがちです。

 本作のQTEが単なるイジワルや設計ミスでないとしたら、何なのか? これはまた難しい問題ですが、少なくともQTEひとつひとつに律儀(?)につまずいてきた私は、シーンがイベント的に進んでいても、ちっとも安心できなくなりました。

 QTEのタイミングや入力ボタンの種類は固定なので、何度かリトライして体にたたき込ませれば問題なくクリアーできるようにはなっています。でも、ゲーム進行上のナウの感覚が覆される時のザラリとした感触は、依然残り続けます。


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●テレビゲームはテレビゲームで、いいじゃない(2回目)

 以上のようなことが不快でしかないかといえばそんなことはなく、むしろその感触があってこその『BAYONETTA(ベヨネッタ)』、とさえ思います。

 伸縮するナウは、ストーリー展開にも全面的に用いられています。あまり具体的に説明するのは控えますが、現代と約500年まえの過去の出来事、あるいはその時々の記憶が、不死身の魔女のナウとして交錯し、自在に形を変えていくさまは何とも不思議で、それがベヨネッタというキャラクターの“深み”に繋がっているように思いました。やや長めのムービーをスキップせず、きちんと物語の流れを追っていれば、彼女がただ単に「ウフーンアハーン言いながら、たまに全裸まがいになるお姉さん」ではないことがわかるはずです。

 あと、これは私が30代後半のおっさんゲーマーだからかもしれませんが、本作をプレイしていると、ゲーム内どころか自分自身のナウが、ずいぶんと長いスパンで揺さぶられる気がします。

 本作は、ゲームのそこかしこに、セガ往年の人気ゲームの記憶をくすぐるささやかなフィーチャーが散りばめられています。技の名前とモーションが、あの3D対戦格闘ゲームにあったものとまんまいっしょ……といったあたりまでは「ゲームの世界観を無視したパロディーだなぁ」と笑って済ますことができたのですが、後半チャプターに用意されている3Dシューティングゲームセクションは、そうはいきませんでした。

 グラフィックやシチュエーションの破天荒さこそ『BAYONETTA(ベヨネッタ)』そのものですが、プレイヤーとして自分がやっているのは、『スペースハリアー』(1985年)に『アフターバーナー』(1987年)が少々……なこと。原曲を尊重したノリノリのアレンジBGMが、オリジナル版を憧れをもってプレイしていた時代のナウの感覚をダイレクトに呼び覚まし、

「俺はいま、いったい何をやっているんだろう……ていうか、いまって、いつだ?」

 という、時間認識のめまいを感じました。このあたり、テレビゲームというメディアの“体験性”の強さをフルに活かした、心憎いオマージュ表現だと思います。

 さまざまなレベルにおける“いままさにこの時”の衝撃ときらめき、そして、そこはかとない哀愁が詰まった『BAYONETTA(ベヨネッタ)』。「アクションゲームはどうも苦手で……」とか、反対に「俺は純粋なアクションゲームをやりたいんだけど」といった狭量なこと(笑)は言わず、ざっくりと“テレビが必要なゲーム”として、より多くのユーザーに触れてほしい作品です。


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Text by 戸塚伎一 

 

筆者紹介 戸塚伎一

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ファミ通Xbox 360誌でクロスレビューを担当するフリーライター&漫画かき。現在、難易度ハード設定で2周目をプレイ中。プレイデータは引き継がれているものの、ちょっと気を抜くとあっという間にゲームオーバー、のくり返しで、心が折れそうです。そんな時はちんぴょろ……じゃなくて大魔獣召喚ポーズを真似して、気持ちを高めています。

 
BAYONETTA(ベヨネッタ)
■機種:プレイステーション3、Xbox 360
■メーカー:セガ
■開発元:プラチナゲームズ
(プレイステーション3版移植開発:セガ)
■発売日:発売中
■価格:7980円[税込]
■テイスト:ファンタジー
■ジャンル:アクション
■プレイ人数:1人
■CERO:17歳以上対象
■備考:プロデューサー/橋本祐介、ディレクター/神谷英樹

※『BAYONETTA(ベヨネッタ)』の公式サイトはこちら
※ファミ通.com『BAYONETTA(ベヨネッタ)』特設サイトはこちら

[戸塚伎一の過去のレビュー記事]
※ローカライズされてこそ増した楽しみ、『ギアーズ オブ ウォー 2』インプレッション
※ゲーマーにとってのまさに“故郷” 『イースI&IIクロニクルズ』インプレッション
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