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最新の技術で描かれる古典RPG『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』
【プレイ・インプレッション】

2009/10/29

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●悩む楽しさは、まさに古典RPGが放つ往年の魅力

 “古きよきRPGを現代の技術で作り上げる”というテーマのもと、制作されたニンテンドーDS用ソフト『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』。ファミコン時代のRPGに慣れ親しんだ人にとっては懐かしく、最近のRPGに慣れ親しんだ人には目新しさを感じるであろう同作が、2009年10月29日にいよいよ発売となった。そんな『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』のインプレッション記事をお送りする。同作をプレイしたのは、さまざまなジャンルのゲームのインプレッション記事をファミ通.comで書いてきているフリーライターの世界三大三代川。


●王道の世界観が作る懐かしい手触り

 

 プレイ中に何度「どうしたらいいの!?」と悩んだことか。そして、そんな悶々とした気持ちを抱えて、翌日に再度プレイをしてみれば、「なーんだ、こんな簡単なことだったんだ」と、あっさりと先へ進むようになる。ゲームが進まなくなって、本気で悩んだのはどれくらい振りだろう。ましてや、翌日になると、なぜかあっさりと進んでしまう。そんな気分を味わったのは、本当に久しぶりな気がする。最近、いかにネットや編集部の人に頼っていたか、『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』をプレイして、そんなことに気づかされた。

 

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 『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』は、その名のとおり『ファイナルファンタジー』(以下、『FF』)シリーズの外伝として、ニンテンドーDSで発売されたRPG。“古きよきRPGを現代の技術で作り上げる”というテーマのもとに、王道ファンタジーの世界観、テンポのいい手触りといった、懐かしさを感じさせる作りになっている。実際にプレイしてみると、主人公のブランドが王様に謁見し、さらわれたお姫様を救うところから物語が始まったり、町の草原の中や家屋の裏などの見えない場所にアイテムが隠されていたりと、ファミコン時代のRPGを遊んでいた人にとっては、ニヤリとせざるを得ない要素がふんだんに入っているのが特徴だ。だが、ニヤリとばかりしていられない、冒頭に書いた「どうしたらいいの!?」と渋い表情になって悩んでしまうのも、昔懐かしいRPGの特徴であり、本作ではその点も再現している。

 

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 渋い顔になってしまう理由のひとつが、ヒントの少なさ。ヒントが少ないというよりは、「つぎに○○へ行きなさい」といったわかりやすいメッセージがないため、最近のRPGに慣れている人にとっては「あれ? 本当につぎの場所に進んでいいのかな?」と不安になったり、「そもそも、つぎの場所の候補地が3ヵ所あるんですけど?」と、困惑したりする状況になる。そんな不安を感じつつ、「たぶんこっちだろう」と進むと、「ああ、よかった。合ってた」という状況に……ならない場合もあるのが、昔のRPGというか本作の油断できないところである。

 

 そして渋い顔になるもうひとつの理由が、敵の強さ。本作は、前述のとおりテンポがいいため、ザコとのバトルもサクサクと進んでいく。だが! だからと言って油断することなかれ。サクサクと進んでいくバトルを見守っていると、いつの間にか主人公たちが瀕死になり、ふと気づけば全滅寸前。対処しようとしたら全滅していた……。なんてこともしばしばである。とはいえ、十分気をつけていたところで、ボスの攻撃で最大HPを上回るダメージを食らったなんていうこともあるのだが。これらの渋い顔になってしまう場合、解決法はひとつである。悩むのだ。

 

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●新たな戦略を生み出した新バトルシステム

 

 ユーザーを悩ませる仕掛けは、バトルシステムにも用意されている。本作のバトルにはMPが存在しない。代わりにあるのは、あらゆる行動でポイントを消費する“AP”だ。APは、1ターンごとにひとつ溜まり、最大5つまで溜められる。たとえば“たたかう”のコマンドはAPをひとつ消費するだけだが、ファイアなどの魔法、特定のアビリティに関しては2〜5のAPを消費する可能性がある。だからこそ、毎ターン溜まるAPを徐々に使っていくのか、“ためる”を使ってAPを溜めてから強大な技で一気に敵に大ダメージを与えるのかといった選択が生まれるのだ。しかも、本作ではフィールドでケアルなどの魔法を使う場合にもAPが必要とされる。だが、APが溜められるのはバトル中のみ。そこで、ザコ敵とのバトルである程度敵を倒したら、パーティー全員で“ためる”を選び、APを満タンにしてフィールドで使うための分を確保してからバトルを終わらせるといった作業が必要になる。しかも、こういった説明はゲーム中にほとんどない。みずから悩み、編み出していかなければいけないのだ。ちなみに、本作の魔法はジョブ(本作では“クラウン”と言うが、その詳細は後述)に依存せず、どんなジョブでも、使いたい魔法の魔法書を持っていれば使用できる。魔法書は、アイテムとしてつねに持っていなければいけないのだが、アイテムが持てる枠はひとり15個。その中に、武器、防具、アクセサリー、魔法書、回復アイテムなどをやりくりしなくてはいけない。なんとも悩ましい仕様を作ってくれたもんである。

 

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 『FF』シリーズおなじみのシステムと言えば、さまざまなジョブに変身して物語を進めていく“ジョブチェンジシステム”だ。今回のジョブは、ジョブごとのイメージを具現化したクラウン(冠)をかぶることで変身できる。おなじみのナイトや白魔法使い、黒魔法使いなどのジョブに加え、新たに精霊使い(これが強い!)や遊び人といったジョブが登場する。これらのジョブをキャラクターごとに割り振り、敵や進むべき洞窟に合わせて変えていくのだが、ジョブはただ戦っていてはレベルアップしない。ジョブのクラウンに、敵が落とす宝石をはめることでレベルアップしていくのだ。だが、ここにも悩める子羊を生む仕掛けがある。宝石は、敵を倒すと一定確率で敵が落とすのだが、代わりに敵はお金(ギル)を落とさないため、宝石を換金しなくてはならない。また、特定のお店では、武器に宝石をはめて武器を強化することもできる。どれもこれも使うのは、全部で8種類ある宝石の中のどれかである。クラウン強化に使い、換金に使い、武器強化に使う。足りるわけがない! ならばどうするか。もうお分かりだろう。悩むのである。なるべく宝石の数を減らさないようにバランスよく換金し、クラウンは必要最低限なレベルアップに留め、武器の強化は必要に迫られるまでやらない。そうして節約していると、突如強敵が現れ全滅させられる。すると、8種の宝石のどれかがランダムで半減してしまうのだ。もうSっ気たっぷりの仕様に苦笑いするしかない。

 

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●悩みが生む、プレイ感覚の共有

 

 これまで嫌がらせのように“悩む”と連呼してきわけだが、別に嫌がらせのつもりはない。じつは本作のスゴいところは、これだけ悩ませておいて、解法がいくつもあるところなのだ。どこに進めばいいかわからない場合、物語の進行上、とくに寄らなくていい場所があるときがある。どの道具を持つか迷った場合、アイテムで対応するか、魔法で対応するか、はたまた力で押し切るかといった選択が可能になっている。強敵に遭遇した場合、敵の属性を見抜いて対処することもできれば、特定のクラウンを強化して強力な技で強引に倒すこともできる。これだけ解法が用意されているからこそ、どの手段で困難を切り抜けるかという悩む楽しさが生まれ、このゲームを遊んだ人たちと、「どこで悩んだ?」とか「あの敵はどうやって倒した?」と盛り上がれるのだ。この感覚は、ゲームを遊んだ翌日の学校でお互いの話で盛り上がれるという、まさにファミコン時代のRPGと同じもの。ゲームの内容だけでなく、この感覚を共有させることすら再現してしまうのは、お見事と言うほかない。

 

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 おそらく、発売後すぐに攻略サイトができあがり、詰まった人は気楽な気持ちでそこを見るだろう。それを否定するつもりはない。だが、本作はプレイヤーそれぞれの体験談で盛り上がれる稀有な作品だ。だからこそ、詰まったときはまず悩み、それでもダメだったときに初めて攻略記事や攻略サイトに頼ってほしい。たとえ周囲に同じゲームで遊んでいる友人がいなくとも、その体験談はネット掲示板などを介して盛り上がれるはずだ。なんてことを書いておきながら、筆者はまだこのゲームをクリアーしていない。後半には差し掛かっているものの、先日、別の人が目の前でクリアーする姿を見たくらいだ。その人いわく、終盤はもっともっと悩ませる仕様になっているらしい。そんな困難にぶち当たったら、人に聞かない自信がない。でも、人に聞くのは悩む楽しさを堪能してから……いや、でも早く先に進みたいし……。ああ、悩ましい。

 

text by 世界三大三代川

 

著者紹介
世界三大三代川 

週刊ファミ通編集部出身のフリーライターであり、『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』の記事担当。ゲーム本編を進めずに、ミニゲーム“ジュスカの1日店長”にずーっとハマっていた経験を持つ。好きなクラウンは、黒魔法使い。


光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-
機種:ニンテンドーDS
メーカー:スクウェア・エニックス
発売日:発売中
価格:5980円[税込]
テイスト/ジャンル:冒険・ファンタジー/RPG
備考:プロデューサー:浅野智也、キャラクターデザイン&アートディレクター:吉田明彦、サウンドディレクター:神谷智洋、開発:マトリックス、ディレクター:時田貴司

※『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』公式サイトはこちら
 

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