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教育コンテンツ国際コンクール“第36回日本賞”が開催! 佐藤隆善氏、水口哲也氏がシリアスゲームの可能性を語る

2009/10/27

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●シリアスゲームはジャンルではなく、いろいろな分野、産業に発展する可能性を持っている

 

 世界の教育番組の向上と国際的な理解や協力の増進のため、NHKが‘65年に創設した“日本賞”。これは毎年世界各国から応募されてくる教育コンテンツを審査し、その年の教育コンテンツナンバーワンを決める権威あるイベントだ。今年も“第36回日本賞”と題し、2009年10月22日〜28日に渡って、教育コンテンツの審査と識者によるトークイベントなどが開催されている。

 

▲2009年10月22日にNHKで行われた第36回日本賞の開会式の模様。NKHの今井副会長や、応募された教育コンテンツを審査する世界各国の審査委員が一堂に会した。その中には、東京大学大学院 情報学環 教授であり、日本デジタルゲーム学会 会長である馬場章氏(写真右)の姿も。

 

 2009年10月26日、第36回日本賞のプログラムのひとつであるトークイベント“ミート・ジ・エキスパート”で、キューエンターテインメント代表取締役である水口哲也氏、バーチャルヒーローズ(アメリカ)のアート製作責任者である佐藤隆善氏をゲストに迎えた“大人向けの教育コンテンツ:シリアスゲームの可能性”が行われた。

 

 まず、シリアスゲームとは何なのだろうか? その定義について両氏は、「比較的新しいカテゴリーであり、エンターテイメントだけではなく教育やトレーニングなど、いろいろな目的、意味を持ったゲーム」(水口)、「これだという定義はまだないと思います。いま、いろいろなメーカーがシリアスゲームにアタックしていると思うので、始まったばかりのゲームですね」(佐藤)との考えを示した。加えて水口氏は「楽しいだけではなく、インタラクティブ性を活かして何かを学ぶ、何かに気づくことができるものなので、今後数年で新しいカテゴリーとして派生するかもしれない」とした。

 

▲シリアスゲームの可能性について大いに語り合った佐藤氏(左)と水口氏(右)。

 

 続いて、佐藤氏から海外発のシリアスゲームが紹介された。ひとつ目は、救急救命士(Emergency Medical Technician)のトレーニングのために作られたゲーム。大都市で地震や異臭騒ぎが起きたときに、現場の状況からどんな道具を持っていき、重傷者に対してどのような処置をとればいいのかを判断するというもの。本作のターゲットはもちろん救急救命士のため、「シリアスゲームは販売ルートが難しいですね。このゲームもゲームショップで販売するのもどうかなって思います」と佐藤氏。しかし、映像を観た水口氏は「パッと見たら家庭用向けのゲームかと思いました。救急救命士向けですが、一般の人がこれをプレイして知識を身につければ、災害時に役立ちますよ」とコメントした。

 

▲こちらは救急救命士をターゲットに作られたシリアスゲーム。重傷者に対し、適切な処置を施さなければならない。

 

 ほかにも、宇宙開発をテーマにしたシミュレーションゲーム(クルーに作業を分担させて、壊れた酸素供給装置を迅速に修理する)や、ホテルの従業員向けにPSPで開発された従業員マニュアルゲーム(掃除が行き届いているか、接客対応などのワークシートをチェックしていく)など、さまざまなシリアスゲームが海外に存在することをアピールした。

 

▲こちらはNASAの依頼を受け、子供たちが宇宙開発に興味を持ってもらうことを目的に製作されたシリアスゲーム。

 

▲PSP向けに開発された本作は、ホテル経営者が従業員の教育の一環としてプレイさせるようだ。

 

 また、自身がいま製作している、エイズが蔓延するプロセスや、エイズに対する知識を子供たちに教える啓もうを目的とした作品を公開。プレイヤーが街の中でさまざまなミニイベントをこなすことで、エイズに関するメッセージが表示されるというもの。こうして、いくつかの作品を紹介した佐藤氏は、「シリアスゲームは、トレーニング、シミュレーション、啓もうの3つの要素が求められている」とした。

 

 今回の日本賞で、予備審査委員を務めている水口氏は、実際に応募があった作品の中から気になる作品を紹介。ひとつは、イギリスBBCが製作したスペイン語学習のためのWebサイト(RPGのように主人公がスペインを旅する内容で、買い物や乗り物に乗るときなど、各所でどのようなスペイン語を話せばいいのか体験する)で、「旅の途中でハプニングが起こることもあり、まるで映画やドラマを観ているように引き込まれる」と賞賛した。もうひとつは、教科書だけではわかりにくい学習カテゴリー(体の仕組み、料理など)を、わかりやすい映像教材としてまとめたサイト。この手の作品は今回の応募で非常に多かったようで、水口氏は「映像教材サイトはかなり広がりを見せているようで、実際に教育現場の先生も使っているそうです」とコメントした。

 

▲水口氏が日本賞の応募作品の中から注目した作品のひとつが、このスペイン語学習サイトだ。

 

▲もはや教育現場にも浸透しつつあるシリアスゲーム。映像教材を集めたサイトは、世界各国で実際に活用されているようだ。

 

 このほか両氏は、「親から何かを言われてもやらない子供たちに、ゲームを通じてやらせる要素がシリアスゲームに必要」(佐藤)、「昔はゲームに対してネガティブなイメージを持った大人が多かったけど、いまはニンテンドーDSなどで学習系のソフトがある。ゲームに対するイメージがどんどん変わっているのでシリアスゲームにとってはいい時代」(水口)など、シリアスゲームに対するさまざまな意見を交換。そして、今後のシリアスゲームについては、水口氏がXbox 360の新デバイス“Project Natal(プロジェクト ナタル)”を例に挙げ、「シリアスでもカジュアルでも、ゲームは体験のメディアだと思う。だから、今後のシリアスゲームでは、実際に体を動かしたりするインターフェースを用いたものも出てくるかもしれませんね」と語った。

 

※第36回日本賞公式サイトはこちら

※第35回日本賞の模様はこちら

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