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SCE平井社長、ハードの展望語るもビッグサプライズなし
【TGS2009】

2009/9/24

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●モーションコントローラーは「標準コントローラーとして」

 

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 幕張メッセで開催中の東京ゲームショウ2009の初日に、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の平井一夫代表取締役社長兼グループCEOによる基調講演が実施された。基調講演のお題は“ソニー・コンピュータエンタテインメント2009年新戦略”。その名のとおり、平井氏はプレイステーションハード各機種について、ていねいに今後の展望を語っていった。

 

●ネットワークについて

 

 「ゲームユーザーのライフスタイルの変化にともない、ゲームビジネスも柔軟な思考で進化しなければならないと考えている。その最大の変化のひとつが、ネットワーク時代への対応です」(平井)

 

 プレイステーションの新たなプラットフォームとしてネットワークには非常に積極的なSCE。昨今、ネットワーク要素を取り入れたゲームが増え、それによりユーザーどうしのコミュニケーション、そして共通目的を持つコミュニティーが生まれ、ディスクだけでは味わえない体験ができるようになってきた。平井氏はこれを受け、今後は“聴く、遊ぶ、共有、見る、創る、交流する、発見する、学ぶ”の8つのキーワードを含むゲームの創出が必要だと持論を展開。その具体例のひとつとしてプレイステーション3用ソフト『リトルビッグプラネット』を例に詳細を解説した。同ソフトは、ネットワークを介して協力プレイが楽しめるほか、ステージをエディットでき、それをネットワーク上でユーザーどうしで共有できるという新要素が含まれる。

 

 「(『リトルビッグプラネット』の)ブルーレイディスクにはすでに50ステージが用意され、それだけでも十分なのに、現在はネットワーク上に128万ステージ以上まで増えている。1ステージを3分でプレイするとして、1日6時間365日間遊んでも29年間もかかってしまう途方もないボリューム。これはまさしく、ユーザー自身が楽しいステージをクリエイティブし、それをネットワークを使ってアップロード、ネットワークの先にいるほかのユーザーと楽しみをシェアするという新しい遊びと言えるんじゃないでしょうか」

 

 欧州で絶大なる人気を誇っているカラオケゲーム『SingStar』もプレイステーション2の時代は考えられなかったが、プレイステーション3にハードを移し、PlayStationStoreのライブラリーから新曲をダウンロードできるようになった。歌っている様子もアップロードできるようになり、ディスクの容量に左右されない楽しみが広がってきている。また、ソフトメーカーにとっても、「売り切りだけでは終わらない、さらにその先に収益をもたらすビジネスを展開できる」と、ネットワークはゲームの広がりだけでなく、ビジネスモデルにも好影響を及ぼすと力説した。

 

●プレイステーション3について

 

 プレイステーション3については、新型モデルが価格改定によって好調な売れ行きを見せていることについて言及。「魅力的な価格は、魅力的なゲームがあるからこそなりたつこと」と、値下げは本体発売からの時期的なものではなく、ソフト充実があっての決断、と強調。今年の年末商戦に向けて全世界で200タイトル以上を用意することを約束した。「大容量のブルーレイディスクフォーマットでプレイステーション3ならではの体験ができる」と、目前に迫った年末商戦にも自信を見せる。

 

 ここで平井氏は「話題を変えまして」と、8月のE3で電撃発表されたモーションコントローラーを改めて発表。このモーションコントローラーは、PlayStation Eyeとモーションコントローラーを使って、プレイヤーの動きそのものをゲームに入力できるという周辺機器。最大の特徴はユーザーの動きを忠実にトレースできるのはもちろん、奥行きの正確な検出ができ、振動や光によるフィードバックも楽しめることだ。対応ソフトは発表されなかったが、「デュアルショック3に続く第2の標準コントローラーとして」や、「たくさんのゲームを集めていく」と宣言するあたり、相当な力を注いでいくよう。2010年春発売予定。

 

●PSPについて

 

 発売から5年目を迎えたPSP(プレイステーション・ポータブル)は全世界で累計販売台数5290万台と影響力のあるハードへと着実に成長している。SCEはその市場をさらに拡大するために、業界初のネットワーク専用端末PSP goを投入する。日本では11月1日に発売することを改めて発表し、発売と同時に450タイトルがダウンロードできることを明らかにした(北米・欧州・アジアでは10月1日に発売、750タイトルを用意)。「ネットワークを介してゲームをダウンロードする環境はますます拡大していきます。PSPから直接PlayStationStoreに接続できるようになり、PC上でデータを管理できるMedia goもPSPフォーマットのひとつとして用意しました。SCEは従来のPSP-3000、PSP goともに力を入れて推進し、ネットワーク時代の携帯ゲーム機のエンターテインメントの世界をみなさまとともに創造していきたい」と、PSP-3000も含めて力を入れていくことを改めて宣言したのが印象的。

 

●プレイステーション2について

 

 2009年第一四半期でプレイステーション2の販売台数は1億3880万台にものぼるという。プレイステーションハードのなかで圧倒的な普及台数を誇っていて、エリア別に見ていくと日本は2150万台、北米は5680万台、欧州は5190万台、「とくにアジア地域では初代プレイステーションの2.7倍以上の売れ行きの870万台が普及している」とアジアが好調のよう。海外マーケットでは依然ソフトウェアの収穫期が続いているとのことで、引き続き力強く牽引していく。

 

●PlayStation Networkについて

 

 「プレイステーション3、PSP、モーションコントローラーなどハードウェアを縦軸とすると、それをつなぐ横軸がPlayStation Network(PSN)となる」

 

 2006年11月にサービススタートしてから現在のところ世界で58以上の国と地域、12の言語、22の通貨で展開されていて、全世界の登録アカウント数は2900万にまで到達したというPSN。「累計コンテンツダウンロード数は6億以上、累計売上額は250億円以上、今年度の通期見込みは昨年度の3倍を見込むなどコンテンツの充実とともに、ビジネスの規模も拡大してきました」。

 

 これらの売り上げのほとんどがゲームだが、今後は北米ですでに始まっているビデオ配信サービス(映画は2300本、テレビ番組は13300本以上を配信中)のようなノンゲームのジャンルも拡充していく考え。「今後はアメリカ以外のエリアも展開していく」との発言があったものの、残念ながら日本でのビデオや番組配信の発表はなし。たが、日本でも年内にコミックの配信を予定しているという。

 

●平井氏も“脈”に興味あり?

 

 これまでお伝えしてきたとおり、平井氏の基調講演では今後のキーワードが飛び出したにとどまり、サプライズと言えるまでの発言は確認できなかった。しかしながら、基調講演後に行われた日経BP社の浅見直樹氏とのやりとりで語られた、平井氏の“夢”は興味深いところ。

 

 平井氏は浅見氏からの「モーションコントローラーが発表されましたが、これから進化する余地はあるか?」との質問に「ひとつ夢を語っていいですか?」とこう切り出した。

 

 「まだこれはすぐにできることではないと思うんですが、ゲームをプレイしていてつね日ごろ感じるのが、自分自身が盛り上がったりするなどいろいろな感情が生まれてくる。でもこれは残念ながら受ける一方で、感情をゲーム内で表現することはできないんです。たとえばRPGなどでキャラクターと対話しているときに「なに平井あせってんだよ」、「嘘つくなよ、目が泳いでるぞ」というようなことを言ってもらいたい。それでさらにこちら側にも新しい感情が生まれる。モーションは“動き”を表現するものですが、私はこの単語のまえに“e”をつけて、“エモーション(感情)”の入力を実現したい。それは脈であったり、体温だったり、発汗であったり、目の泳ぎ具合はカメラで捉えたり、人間ドックのように装置をつけるのは無理でしょうから、いまのコントローラーよりもpick up and playで実現できたらと思います」

 

 東京ゲームショウ2006の久夛良木氏(現名誉会長)と浅見氏のやりとりで、プレイステーション3の発売まえの値下げが電撃的に語られただけに今回もビッグサプライズに期待が高まった。今回はそこまでインパクトのある発言はなかったが、平井氏は前述した“夢”のほかに、今後は世界のゲームショウや家電の見本市で注目されている“3D映像”にも尽力していく姿勢を見せた。今後もSCEは新技術を基盤としてゲーム業界、ゲームの進化を独自に模索していく。

 

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