HOME> ゲーム> 海の神秘に触れられるアドベンチャーゲーム『FOREVER BLUE(フォーエバーブルー) 海の呼び声』
●感動的な海の神秘さにミックスさせたアドベンチャーのゲーム性
ダイバーとなって、世界中の海を冒険しながら、さまざまな生物たちとの触れ合いや、美しい景色を堪能できる海洋探索ゲーム『FOREVER
BLUE(フォーエバーブルー) 海の呼び声』。イルカやクジラと戯れたりするだけでなく、財宝のサルベージなど、海にまつわるさまざまな体験を行うことができる作品である。Wiiでリリースされた同作を、泳ぎが苦手なフリーライター、世界三大三代川がプレイ。泳げなくたって海の虜になってしまう、そんな同作の魅力を語ってもらった。
●自然と虜になる広大な海中の世界
気づけば、ポカーンと口を開けていた。何も考えない人になったわけではない。唖然とするほどの衝撃を受けたわけでもない。ただただのんびりと、ゆったりとした状態でプレイしていたら、いつの間にかリラックスしすぎて口が開いていたようだ。焦らず急がずじっくりと。この言葉が、これほど似合うゲームは多くない。そんなゲームが、今回紹介するダイビングアドベンチャー『FOREVER BLUE(フォーエバーブルー)海の呼び声』だ。
『FOREVER BLUE(フォーエバーブルー)海の呼び声』は、海洋探索をモチーフにしたアドベンチャーゲームのシリーズ第2弾。プレイヤーは、ひとりのダイバーとして世界中の海へ潜っていくことになる。
本作の魅力は、何と言っても本当に海へ潜っているような感覚が味わえるところ。海へ潜り、目の前に広がる青い世界を味わえば、知らず知らずのうちに実際に海の中へ入っているような錯覚を覚えるだろう。海の中では、自由に泳いでいる魚たちにWiiリモコンを向けて、魚の名前や生態を調べることができるほか、エサを上げたり、なでたりといったスキンシップを図ることができる。また、スキンシップをくり返したり、魚の写真を撮ったりして仲よくなると、その魚に関する豆知識が読めるといったおまけもある。さらには、自身で育てたイルカをバディ(相棒)にしていっしょに海中を泳いだり、クジラにつかまって泳いだりといったこともでき、もともとダイビングに興味があったものの、実現できていないという人にはたまらない内容になっている。これらの要素だけでも十分楽しいのだが、ゲームとして見た場合、もう少し明確な目標が欲しくなる場合がある。それこそが、本作から新たに加わったストーリーの要素だ。
●ゲームへの導入に結びつくストーリー
本作の世界には、とある伝承がある。それは、聴いた者に不幸を与えるという“竜の歌”にまつわるもの。主人公は、その伝承を調べるべく、“海のなんでも屋”RARダイバーズサービスという会社に所属するのだが、そこで働いているうちに、徐々に竜の歌に関する事件が起こっていく……。
謎の多いストーリーに加え、ジュブナイル的な展開など魅力あるストーリーなのだが、この物語のすごいところはそれだけではない。ストーリーの進行に合わせて、新たな海へ訪れることになり、知らず知らずのうちに海中の探索スポットへ案内していく、この導入が巧みですばらしいのだ。というのも、前作では好きな海域で探索ができたものの、プレイヤーは漠然とした目標の中で海中探索を楽しむことになっていた。だが、今回のように物語を追う中で新たな海域へ訪れることになれば、自然と新たな魚を発見し、気づけば海中に眠る遺跡へ訪れているという流れができるのだ。RPGなどで言えば、ストーリーに合わせてつぎの街へ訪れることは当然なのだが、こういった海洋探索をモチーフにしたアドベンチャーで、ここまで見事にストーリーとゲーム性を絡めたゲームはなかなかないだろう。
●豊富なゲーム要素と、魅力を倍増させる音楽
さらに、本作はこのストーリー以外にも遊べる要素が驚くほど多く用意されている。魚を探索し、図鑑をコンプリートしていくことに加え、特定の魚の写真を撮影してほしいといった写真撮影の依頼、観光客を観光スポットへ案内するガイドの仕事、海や仕事仲間にまつわるサブストーリーなど、とにかく要素が多い。とくにサブストーリーは、ひとつの目標をクリアーするたびに、つぎのストーリーが進む連作の仕組みになっているうえ、その目標が“制限時間以内に特定の魚を救助せよ”といった、いかにもゲームらしい1回でクリアーするのが難しいものだったりする。そのため、気づけば本編ストーリーそっちのけでサブストーリーに夢中になることもあるほどだ。
さらには、これまでに見つけた魚を自由に配置する水族館のプロデュースもできる。大型水槽に自分の好きな魚だけを集めて配置し、その水槽へ自分がダイビングしていっしょに泳ぐという夢のようなシチュエーションも味わえるのだ。ただし、配置できる魚はトータルで一定のサイズを超えないようにしないといけないため、全種のクジラを集めるといったことはできない。限られたスペースだからこそ、どの魚とどの魚をいっしょに水槽に入れるべきかと思い悩み、ついつい真剣に自分の好きな魚について考え始めてしまうのだ。そのほか、海底で見つけたサルベージ品の収集など、とにかく豊富な遊び要素が用意されている。
しかも、それらをこなすことでお金替わりのポイントが入手できる。このポイントを使って、さまざまなダイバー装備を購入できるのだが、中には潜る時間を延ばすための装備品といった、成長要素のある装備品があるのもうれしい仕掛けだ。
自由きままなダイビング、いろいろと楽しめる遊び要素、それらはどれも楽しいのだが、その楽しさをより引き出しているのは、本作の音楽である。海の神秘性を感じさせる壮大な音楽は、海でゆったりと泳いでいる感覚を増幅させ、非常に心地いい気持ちよさを演出してくれる。さらに、ストーリーの演出に合わせて挿入される“ケルティック・ウーマン(アイルランドの女性音楽グループ)”のボーカルつき楽曲がとにかく秀逸。詳細は伏せるが、とある場所を初めて探索に訪れたときは、その神秘的なグラフィックとともに流れ出した、荘厳な楽曲により、冒頭に書いたようにただただ見とれ、自然と鳥肌が立つほどの感動を味わった。この感動は、アクションゲームやRPGなどでは味わえないこのゲームならではの感覚だろう。
●海好きだけでなく、ゲーム好きにも勧めたい一品
これまで海などを探索するゲームは、ある程度のおもしろさはあるものの、どうしても途中で飽きることも多かった。それは、ゲームを始めた当初の魚を見つける喜びなどが持続しないことが原因だと思われる。本作も、正直に言えば絶対に飽きないとは言えない。だが、ストーリー性を導入したダイビングに、写真やガイドなどの仕事、さらには水族館やサンゴなどを配置するプライベートリーフの作成、そして脈々とつながっていくサブストーリーなど、とにかく遊べる要素が多い。
しかも、前述したとおり、そのほとんどの要素でポイントが得られるため、自身のダイバーグッズを買うことにもつながっているのだ。ただ遊べる要素を多く用意するだけでなく、遊ぶためのモチベーションになる工夫は、簡単に飽きさせないことにつながっているはずだ。
本作は、海や魚が好きな人はもちろん、ゲームらしいゲームが好きなユーザー、そしてふだんはあまりゲームを遊ばない人まで、誰でも気軽に、そしてじっくりと遊べるゲームに仕上がっている。あまり興味が湧かないと思っている人も、まずは騙されたと思って手に取ってほしい。きっと想像以上の海への没入感、ゲームらしい内容に驚き、ポカーンと口を開けながら、リラックスムードでゲームにハマっているはずだ。少なくとも筆者は、いまでもポカーンと口を開けて、テレビ画面いっぱいに広がる青の世界へ見入っている。
text by 世界三大三代川
著者紹介 |
週刊ファミ通編集部出身のフリーライター。ダイビング経験はゼロ。泳ぎも得意ではなく、クロールと平泳ぎのあいだのヘンな姿で泳いでいる。本作のお気に入りのシーンは、泳ぐペンギンを下から見上げたところ。 |
FOREVER BLUE(フォーエバーブルー) 海の呼び声 | |
対応機種 |
Wii |
メーカー |
任天堂 |
発売日 |
発売中 |
価格 |
5800円[税込] |
テイスト/ジャンル |
ダイビング・探索/アドベンチャー |
備考 |
ニンテンドーWi-Fiコネクション対応、Wiiスピーク対応 |
※『FOREVER
BLUE(フォーエバーブルー) 海の呼び声』公式サイトはこちら
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