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『FFXI』グローバルオンラインプロデューサーのSage Sundi氏が語るRMT対策のすべて
【CEDEC2009リポート】

2009/9/4

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●やるからにはペンペン草も生えないレベルまで(Sundi氏)

 

  CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)が、2009年9月1日〜2009年9月3日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜、国際会議センターで開催されている。このCEDECは、社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)により毎年開催されている、ゲーム開発者向けの講演会。11年目を迎える今回は、2008年の約1.5倍のセッション数が用意されるなど、大きく規模を拡大して行われている。この“新生CEDEC”の模様をリポートする。

 

 2日目の2009年9月2日、スクウェア・エニックスのオンラインRPG『ファイナルファンタジーXI』(プレイステーション2、Xbox 360、Windows用)で、グローバルオンラインプロデューサーを務めるSage Sundi氏が講演を行った。タイトルは“FINAL FANTASY XIグローバル運営とスペシャルタスクフォースのすべて”。グローバルオンラインプロデューサーという名称は聞き慣れないかもしれないが、要は開発以外のすべての事柄を統括する役職。また、スペシャルタスクフォースとは、RMT(リアルマネートレード)やBOT(不正なツール)の使用などの不正対策の専門チームで、Sage Sundi氏が統括している。講演ではおもに、2002年5月16日のサービスインからこれまでに渡るスペシャルタスクフォースの活動が語られた。

 

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 本題に入るまえにSage Sundi氏は「開発と運営は切り分けるべき」と主張した。理由はふたつ。ひとつは「現実的な作業量が半端でない」(Sage Sundi氏)こと。GM(ゲームマスター)とカスタマーサポートを合わせて、1日に約20万本のコールがあり、それに対応するだけでも膨大な作業量となるうえ、それを整理して開発陣に報告しなければならない。開発と運営業務を平行させるのは困難で、「分業したうえで連繋する」(Sage Sundi氏)体制が望ましいという。もうひとつの理由は“開発脳”と“運営脳”の違いにあるという。これはどういうことか? Sage Sundi氏は長年謎だった不具合の原因がついに判明したケースを仮定して説明した。そうした場合、開発は当然、不具合を修正しようとするが、運営的な観点で考えると、ユーザーがすでにそのことを折り込み済みで長期間プレイして、ほかの要素との関係が構築されている場合、当該の不具合を解消することによってバランスが崩れる可能性などを考慮する。結果として、大きな支障がない“実質仕様”になっている場合は、不具合修正を見送るという判断を下す場合もあるそうだ。また、いまでは発売されるのが当たりまえになったコンセプトアートなどは、ひと昔まえまでは開発陣が出すことを嫌う傾向があったという。これは、開発として未完成なものを世に送り出すことを避けたいという考えが働くため。それでも運営側が販売の判断を下すべきときはある。このようなことを「開発チームだけで判断すると自分の中で葛藤してしまう」(Sage Sundi氏)から、開発と運営は分けるべきだという。
 

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 続いてSage Sundi氏はサービスインからこれまでに渡るスペシャルタスクフォースの活動を5つの期間にわけて説明した。第1期は“チート期”で3、4年まえのこと。チートとは、実行中のプログラムに干渉して制作者の意図しない行為を行うこと。チートを行うにはある程度の技術が必要だが、これに対する手段としてログ(プレイヤーの行動記録)の強化が行われた。具体的には、ログを解析、分析するためのツールが作成されたという。

 

 第2期は“Bot期”。Botとは不正な操作やくり返し操作を行うためのツールで、この場合はくり返し同じ動作を行うためのツールを表す。この時期に横行したのは釣りシステムを悪用した、いわゆる“寝マクロ”。マクロをプログラムすれば、あとは自動的に釣りがくり返されるという仕組みだ。1回当たりに稼げる金額は微々たるものだが、RMT業者は同時に多数のキャラクターを操作する。それ故、Sage Sundi氏は「細かいという理由で見過ごしてはいけない」と説いた。対策として、人とツールによる監視に加え、ログのさらなる強化、釣りシステムの変更が行われた。似たようなケースで、NPCに5ギル(『ファイナルファンタジーXI』の世界内での通貨単位)を渡して勝負に勝つと、10ギルが得られるクエストがあった。これを悪用して1日に100万ギルを稼いでいたRMT業者がいたという。勝負にかならず勝つように細工を施していたそうだ。クエストの所要時間は1、2分。1回当たりたった5ギルの稼ぎだが、多数のキャラクターを使用して、くり返し同じ行動を続ける業者の手にかかると大きな金額となるようだ。

 

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 第3期は“不正アクセス期”で、いわゆるアカウントハッキングの被害が増加した。これはユーザーをフィッシングサイトなどに誘い込んで、キーロガー(キーボードの入力記録を採るプログラム)などをユーザーのPCに忍び込ませることで、IDやパスワードを盗む行為。盗んだIDとパスワードで本人になりすましてログイン。通貨やアイテムを根こそぎ盗んでしまうというやり方だ。未成長なキャラクターの場合、しばらく温存されたのち、成長してから通貨やアイテムをとられるケースもあるという。ほかの不正行為は必ずしも違法行為でないものが多いが、これはれっきとした犯罪行為で、刑事罰が科せられるのも特徴だ。スペシャルタスクフォースはこれに対し、ユーザーへの啓蒙活動とともに、被害者救済を実施。さらに警察との連携強化や、ワンタイムパスワードの導入を行った。なお、ワンタイムパスワードとは、専用の機器にログインするたびごとに違うパスワードを送るシステムのこと。スクウェア・エニックスでは2009年4月に導入し、すでに約10万個の販売実績を上げている。これにより、『ファイナルファンタジーXI』でのアカウントハッキングの被害は減少したという。

 

 第4期は“栽培期”で、これは栽培システムを悪用したもの。形態としては第2期で横行した釣りシステムの悪用に近いが、こちらは一般ユーザーの目につかないところで行われる“アングラ化”に特徴があるという。こちらも1キャラクター当たりの利益は少ないが、大量のアカウントを使用して無視できない金額が稼ぎ出される。対策としては、不正行為者と思われるアカウント情報の収集が行われ、不正行為者と判明した場合にはIPアドレス単位でブロック。ほかのアカウントでもゲームにログインできない処置が採られた。また、一般ユーザーに影響が出ない範囲で栽培システムの仕様変更も行われた。

 

 最後の第5期は“チャージバック期”で「現在、多くの運営企業がこれに悩まされている」(Sage Sundi氏)という。チャージバックとは、クレジットカードの所有者に身に覚えのない支払いが、カード会社によって取り消されること。RMT業者が盗難カードを使用して入会し、後日、本来のカード所有者の申告により、それが盗難カードと発覚。ゲームの運営企業に料金が支払われないという仕組みだ。当然、盗難カードで入会し、作成されたキャラクターは、ほかの不正行為の実行に使用される。対抗策としては、本人認証システムの“3Dセキュア”の導入が挙げられた。

 

  Sage Sundi氏は全体を通じて、細かくログを残すことが必要だと説いた。残すべき情報は、いつ、誰が、どこで、何をという“4W”と、持ち主にたどり着ける手がかり。これを長期間保存することと、分析するシステムの重要性も指摘された。さらに、新たな動きへの対応として、新しい需要をログに反映させること、警察、法務部門との連繋、経理、決済システムの強化も重要だという。

 

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▲実際に使われている不正対策のツールも公開。トレードログからアイテムやギルの流れを追跡する“いもづるくん”の存在は有名だが、そのほかにも20種類くらいのツールが使用されているという。Sage Sundi氏によると、こうした不正対策ツールは「日々誕生している」という。

 

 最後にSage Sundi氏は「RMTとの共存はあり得ない。臭いものには蓋という姿勢もあり得ない。やるからにはペンペン草も生えないレベルまで、徹底やらなければならない」と明言。BOTの使用ていどでは何の処罰も下されないオンラインゲームも多い状況の中、今後も不正行為に対して厳しい姿勢で臨むことを宣言した。

 

※CEDEC2009の公式サイトはこちら
 

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