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サイバーコネクトツー松山社長が明かした愛のあるキャラクターゲームの制作手法
【CEDEC2009リポート】

2009/9/4

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●キャラクター版権タイトルは原作への愛がないと作れない!?

 

 CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)が、2009年9月1日〜2009年9月3日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜、国際会議センターで開催されている。このCEDECは、社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)により毎年開催されている、ゲーム開発者向けの講演会。11年目を迎える今回は、2008年の約1.5倍のセッション数が用意されるなど、大きく規模を拡大して行われている。この“新生CEDEC”の模様をリポートする。

 

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 今回のCEDECから運営に参加したサイバーコネクトツーの代表取締役社長、松山洋氏は、“みんなが知らない!? キャラクター版権タイトルの作り方”というタイトルでキャラクターゲームの制作手法を明らかにした。

 

 講演では、おもに同社の『NARUTO -ナルト-』シリーズを題材に、キャラクターゲームが作れるようになる秘伝が伝授された。キャラクターゲームの制作依頼は待っていれば向こうからやってくるものではないと説いた松山氏は、それではこちらから手を挙げればいいかというと、それだけでもダメだという。では、どうすればキャラクターの権利を持っている版権元を説得して、企画を承認してもらえるのか? 松山氏は講演全体をとおして原作への愛が必要であることをくり返し語った。「愛がなければ作っちゃダメ」とまで言う松山氏の“NARUTO愛”はとにかく徹底しており、関連作品をすべて購入するのはもちろん、同社のスタッフがいつでも観られるように、社内に通称"松山文庫"を設置するほど。同社のスタッフには、仕事中にずっと『NARUTO』の映像を流しっぱなしにしている人もいるとのことで、その“NARUTO愛”は社内のスタッフにも浸透しているようだ。さらに、これに止まらず、キャラクターの権利を持つ版権元から指摘された監修結果の資料もすべてデータベース化しているとのこと。これは「やってしまった失敗を共有するため。2回失敗することは許されませんし、その場にいなかったでは済まされません」(松山氏)という理由による。担当者が代わった場合でも、失敗体験を共有できるための配慮だが、ここまで徹底した体制に驚かされる。

 

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 キャラクター版権タイトルは、まず企画段階でキャラクターの権利を持つ版権元による企画審査を通過したのち、制作過程においても監修を受けることになる。企画審査での注意点として、松山氏は原作のターゲットや作品世界に沿ったものである必要があり、「奇抜な企画はダメ」ということを挙げた。また、同じ原作をもとにした別のゲームの企画が動いている可能性も考慮して、バッティングを避けることも必要であるという。基本的にゲームだけが売れるような考えでの企画は歓迎されず、原作もいっしょに盛り上がるような企画でないと承認される可能性は低いとのこと。窮屈な印象を受けるかもしれないが、これはもちろんゲームより先に原作が存在しているから。原作にはすでにファンがついており、そのファンの作品への思いを裏切ることはあってはならないと松山氏は語った。見かたを変えれば、ファンがすでについているということは、ターゲットが明確な分、プロモーション展開がしやすいという面もあるという。

 

 制作過程における監修には、一次審査と二次審査があり、『NARUTO』の場合は一次審査で出版社による大きいチェックが入り、二次審査ではアニメーション会社による詳細なチェックが入る。なお、サイバーコネクトツーの『NARUTO -ナルト-』シリーズは、直接的にはアニメーションの版権をもとに作られている。「始めたころはほとんど喧嘩でした。でも長いことやっていくと、そのうちモアベターにするための提案しかもらわなくなります」(松山氏)と松山氏が述懐したのは、アニメーション監督とのやり取りについて。当初はアニメーションとゲームの作法の相違から食い違いが生じることもあったが、お互いの作り方の違いを理解するに従って、“こうしたほうがもっとよくなる”といった建設的なアドバイスに変わっていったという。
 

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 サイバーコネクトツーの制作手法も独特で、まずゲームのコンセプトを決めてからジャンルを決定する。これは「その版権タイトルでしかあり得ないゲームデザインであるべき」(松山氏)という考えかたからきている。たとえば、“直感的で派手なキャラクター表現”というコンセプトを先に決めてから、それを表現するにはどのようなゲームデザインがふさわしいかを決めるという。

 

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▲“直感的で派手なキャラクター表現”というコンセプトが先にあり、その後、対戦格闘というジャンルが決定。

 

 途方もない情熱を注ぎ込んでキャラクターゲームを制作していることが明らかにされたが、松山氏はその制作過程で「キャラクターというものが何なのかを学ばせてもらった」と語った。これは、『NARUTO -ナルト-』シリーズと並ぶ、同社のもうひとつの看板タイトルである『.hack//』シリーズに活かされており、『NARUTO -ナルト-』シリーズを手がけて以降に制作された『hack//G.U.』は、それ以前のシリーズ作品よりもキャラクター造形に深みが増しているという。
 

※CEDEC2009の公式サイトはこちら
 

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