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実写ゲームを作るノウハウを教えます! イシイ監督が『428〜封鎖された渋谷で〜』の制作秘話を披露
【CEDEC2009リポート】

2009/9/4

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 ●『忌火起草』と『428〜封鎖された渋谷で〜』の撮影スタイルの違いとは?

 CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)が、2009年9月1日〜2009年9月3日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜、国際会議センターで開催されている。このCEDECは、社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)により毎年開催されている、ゲーム開発者向けの講演会。11年目を迎える今回は、2008年の約1.5倍のセッション数が用意されるなど、大きく規模を拡大して行われている。この“新生CEDEC”の模様をリポートする。

 3日間に渡るCEDEC2009の、トリを飾るセッションのひとつとして行われたのが、“「428〜封鎖された渋谷で〜」におけるゲームの現場・映画の現場”。その内容はというと、チュンソフト開発によるふたつの作品『忌火起草』と『428〜封鎖された渋谷で〜』の撮影スタイルの違いを比較しつつ、実写ゲームを作るための制作ノウハウを伝授するというもの。チュンソフトのイシイジロウ総監督と映像ディレクターの飯野歩氏が出席して講演は行われた。メイキング映像をふんだんに交えながらの講演は、「CEDEC最後の講演なので、エンターテイメントとして軽く見ていただいてもいいかな」とイシイ氏が語るとおり、トークイベントといった趣きで進行した。

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▲チュンソフトのイシイジロウ総監督。この日はPSP版『428〜封鎖された渋谷で〜』発売記念イベントから駆け付けた。

 2007年にプレイステーション3用ソフトとして発売された『忌火起草』。当時会社から「実写ゲームを作る!」というミッションを受けたイシイジロウ氏は、最初戸惑ったという。チュンソフトにとって、実写ゲームの制作はセガサターンの『街』(1998年)以来、約10年ぶりとなり、当然そのころのノウハウはまるで残っていなかったからだ。そこでイシイ氏は、「実写だったら映画監督にお願いすればなんとかなるだろう!」ということで、ツテを頼って映像ディレクターの飯野歩氏に声をかける。当時映画監督の仕事を誤解していたというイシイ氏は、監督に“絵作り”を求めていたという。つまり、絵コンテにぴったり合致した絵(写真)を作ってくれるのが映画監督だという認識があったのだ。「カメラの種類を決めるのも監督の仕事だと思っていました。実際の映画では撮影部の仕事になるんですけどね(笑)」とイシイ氏は当時をそのころを振り返って懐かしそうに笑う。飯野氏も「最初に『忌火起草』の話をもらったときは、監督ではなくて絵コンテでした。“レイアウトを大切にしたい”、“かっこいい絵を撮りたい”というリクエストがありました。その後現場でも監督をすることになったのですが、映画の現場とは違うことがわかったので、ちょっとギャップがありましたね」と振り返る。紹介された『忌火起草』のメイキング映像では、構図などをきっちりと決めて撮影する様子が紹介されていた。「1枚の写真にかける思いはありました。仕上がった絵は当初の想定どおりでした」(飯野)という。

 ところがこの手法ができるのは、時間がしっかりと取れるセットだから可能だったこと。『忌火起草』から1年後にプロジェクトがスタートした『428〜封鎖された渋谷で〜』の撮影ではそういうわけにはいかない。なぜなら、『428〜封鎖された渋谷で〜』の舞台は渋谷で、悠長にセットを組んでいる余裕はないからだ。「最初に渋谷を舞台にしたいと映画関係の人に言ったときは“渋谷は(撮影をするのが)日本でいちばんたいへんです”と言われました。実際渋谷を舞台にした映画はあまりないし、新宿とかのほうがよっぽどラクみたいです。“札幌とかでできませんか?”とも言われました(笑)」(イシイ)という。そこでイシイ氏が思いついたのが、『忌火起草』で助監督として参加していた毛利安孝氏を『428〜封鎖された渋谷で〜』に起用するというプラン。映画業界では、撮影にあたっての具体的な現場の段取りを決めるのが助監督の仕事で、『忌火起草』のロケでテキパキと指示をする毛利氏を見て、「毛利さんを中心にして渋谷の街で撮影をするのはどうかな?」と思いついたという。「『忌火起草』では1枚の絵にこだわったのですが、『428〜封鎖された渋谷で〜』では渋谷で撮影をする、ということが重要でした。撮影は飯野さんにお願いしたのですが、僕らのやりたい絵作りはわかっているので、あとは任せますという感じでしたね」(イシイ)という。

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▲映像ディレクターの飯野歩氏。『忌火起草』では絵コンテと監督を、『428〜封鎖された渋谷で〜』では絵コンテとカメラマンを担当。チュンソフトの実写ゲームになくてはならない存在。

 メイキング映像などをご覧になっている方ならご存じのとおり、『428〜封鎖された渋谷で〜』の撮影にあたっては、役者さんが実際に演技をしている。撮影初日に「芝居をやる」と提案したのも毛利氏で、最初は誰もが「え!?」という反応だったという。毛利氏がお芝居をすることにした理由を、飯野氏は「『忌火草』の撮影は20日だったのですが、『428〜封鎖された渋谷で〜』の撮影は2ヵ月にも及びました。毛利さんとしては、スタッフや役者などが緊張感を絶えさせずに撮影するには、芝居をベースにしたほうがいいと判断したのではないでしょうか」と語る。お芝居の多くはゲームとしてはむだかもしれないが、「ベストの1枚を引き出すため」(イシイ)にはけっしてむだではなかったというわけだ。「まさに映画現場みたいな感じの現場でした。できあがったものを見たら、役者さんがいちばんびっくりしたんじゃないでしょうか」(イシイ)とのことだ。

 撮影にお芝居を盛り込むことで、想定外の出来事もあったという。『忌火起草』の経験値から、当初2ギガバイトの記憶メディアが10枚もあれば十分まわしていけるだろう想定していたカメラでの撮影だが、3日間で追加して90枚買うことになったという。「とにかく写真を撮りまくりましたね。なぜこんなに記憶メディアが必要になるのか、会社の人には訝しがられましたけど(笑)。12万枚から4000カットをセレクトしたのですが、大量に写真を撮ったことで、想定しなかった絵ができましたし、結果としてものすごくいいものができました」とイシイ氏も作品のデキには太鼓判を押す。

 最後の“異業種とモノを作るには?”という設問のまとめでイシイ氏は、「『忌火起草』はゲームのやりかたを押しつけて結果を出しましたが、『428〜封鎖された渋谷で〜』では(映画関係者に)自由にやってもらう余裕がぼくらにできました」と語る。このノウハウをさらに活かすためにも、チュンソフトにつぎなる実写ゲームを期待したいものだ。

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▲『忌火起草』の撮影風景。1枚の絵にこだわっての撮影となった。

▲『忌火起草』プロジェクトの組織図。監督はあくまでもグラフィックの下にくるという構成。

▲『忌火起草』でのロケでの撮影風景。テキパキと段取りをこなす毛利助監督を見て、イシイ氏は『428〜封鎖された渋谷で〜』への起用を思いつく。

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▲役者の演技も相まって、躍動感溢れる『428〜封鎖された渋谷で〜』の撮影風景。渋谷で撮るということに意義があった。

▲『428〜封鎖された渋谷で〜』プロジェクト組織図。ゲーム開発と映画部隊の二重構造は変わらず。


※『428〜封鎖された渋谷で〜』の公式サイトはこちら
※CEDEC2009の公式サイトはこちら

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