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デジタルツールに縛られるな! 『機動戦士ガンダム』を手掛けた富野由悠季氏が語る
【CEDEC2009リポート】

2009/9/2

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●「アナログとデジタルでは道具の使いかたが根本的に違う」(富野氏)

 

 CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)が、2009年9月1日〜2009年9月3日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜、国際会議センターで開催されている。このCEDECは、社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)により毎年開催されている、ゲーム開発者向けの講演会。11年目を迎える今回は、2008年の約1.5倍のセッション数が用意されるなど、大きく規模を拡大して行われている。この“新生CEDEC”の模様をリポートする。

 

 開催2日目となる2009年9月2日の基調講演は、『海のトリトン』や『機動戦士ガンダム』を手掛けたアニメーション監督・原作者の富野由悠季氏による、“慣れたら死ぬぞ”というタイトルで行われた。

 

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▲基調講演が行われたメインホールは多くの来場者が集まり、立ち見が出るほどだった。


 「なぜこういう演題が決まったのか覚えていない」と来場者を笑わせた富野氏は、日本大学芸術学部映画学科卒業後に虫プロダクションへ入社したときの時代背景を、テレビが出始め映画産業が衰退していく中で、テレビの仕事は映画の仕事をやりたいと思っていた人間にとって、きちんとした映像の仕事ができない者がやるものだと思われていて、アニメーションの仕事はバカにされる時代。さらに、かつての映画産業で蓄積された技術(映画やアニメーションの作り方)が継承されることなく、富野氏はアニメーションを独学で学んだと当時の苦労も語った。

 

 つぎに、「現在のゲームはかなり映像に頼っている部分がある。ゲーム映像もアニメーションも、映像の作りかたや仕事のしかたは基本的に同じ」と主張。「ゲーム業界が誕生してから約30年経ったいま、業界や組織が完全に固まっているがさまざまな動脈硬化を起こし、このままでいいのかわからない状態となっている。この状態を突破するために、まえの時代にさまざまな経験を積んだ人が、知っていることを少しでもつぎの世代へ伝えたい」と述べ、今回の講演の趣旨に触れた。

 

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▲テレビ映像に携わる人間は、映画に携わる人間にバカにされる時代だったと苦労話を語る富野氏。

 

 富野氏は物作りの業界に関して、今後どうしていくかのハウツーはないと断言。自身もつねに考えていることを明かし、自分たちで考えなければならないと強調した。考えかたの手順は“原理原則”が基本。ただし、原理主義者に陥ってしまうと、つぎを生み出す組織を作ることができない。来年、5年後、10年後、20年後にどうするか、どう対応するかの具体的な形を出すためには、原理原則に立ち戻って考えなくてはならない。たとえば「よりよいゲームを作るためにはゲームの根本を考えてほしい。何をすればプレイヤーは楽しめ、ゲームで消費する時間をもったいないと思わないか」というように考えれば、つぎの開発のテーマがおのずと見つかる。「しかし、実際はほとんど思いつきません。思いついていたら『テトリス』を乗り越えるゲームがとっくに出ている」。また、新しいハードウェアの性能がアップするにつれ、そのハードウェアに対する要式だけをリニューアルするだけで新しく感じている。「本当はハードウェアのスペックが上がっているだけ。新しいハードウェアに対応した新しいゲームがあったら教えてほしい」と、ゲームの本質は多種類ではないと断言した。

 

 続いて、富野氏はデジタル技術に支えられている現代の問題を提起した。「CGは理工学系の仕事から、デザイナーの仕事になった」とし、「デザイナーのCG作品が世間に現れるようになったのはこの2〜3年。これまでの、理工学系が作画していたCGはつまらなかった」と語る。さらに、「CGのハードウェアはしょせんツール(道具)なのだから、ツールを使ってセンスある作品を作らなくてはならないと言われているのはすべて嘘」と発言。その答えとして、「道具というのは筆とペン。この道具で絵を描いたときに、上手な人、下手な人、芸術家になる人でそれぞれ個性が出るが、CGでのツールの使いかたに個性は出ない。アナログとデジタルでは道具の使いかたが根本的に違う」と主張した。さらに「今後はソフトウェアの向上により、CGの作画はデザイナーの仕事ではなく絵描きの仕事に移行し、新しい環境に対応した新しい才能が現れることでCGの表現が変化していく」と断言。

 

 最後に「複雑な道具ととても怖い部分があり、その道具を使うことが目的になってしまって、その道具を使って何をやるかを想像できなくなっている。このことを覚えておけば、どのように突破してつぎのステップへ進めるかがわかるはず」(富野氏)とデジタル技術の呪縛と解放について語った。

 

※CEDEC 2009の公式サイトはこちら

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