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まずは洋ゲーを遊べ――日本と海外ゲーム市場の本質的な違いを徹底討論
【CEDEC2009リポート】

2009/9/2

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●「追い抜かれてしまった、という危機感を持ったほうがいい」(高橋徹)

 

 CESAデベロッパーズカンファレンス(CEDEC)が、2009年9月1日〜2009年9月3日の3日間、神奈川県のパシフィコ横浜、国際会議センターで開催されている。このCEDECは、社団法人コンピュータエンタテインメント協会(CESA)により毎年開催されている、ゲーム開発者向けの講演会。11年目を迎える今回は、2008年の約1.5倍のセッション数が用意されるなど、大きく規模を拡大して行われている。この“新生CEDEC”の模様をリポートする。

 

 急速に拡大する海外ゲーム市場。近年は日本のゲームメーカーも積極的に海外進出を打ち出し、グローバル展開されている国産タイトルも少なくない。“国際会議〜ゲームでの日本と海外の本質的な違いとは何か”と題したスペシャルセッションでは、国産ゲームが海外で勝負していくために必要なことなどが、パネルディスカッション形式で語られた。

 

 登壇者はタイトー ON!AIR事業本部 海外営業部のScott Blow氏、バンダイナムコゲームス グローバル開発部のJames Vance氏、ゼニマックス・アジアのゼネラルマネージャー高橋徹氏、イギリスのゲーム開発者向け雑誌“Develop”の編集者であるEd Fear氏。これに進行役としてエンターブレインの相沢浩二が加わり、計5名が意見を交わした。
 

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 最初のお題、日本と海外のゲーム観については、すべての登壇者が「まったく違う」という意見で一致。James氏は「海外のユーザーはより幅広いエンターテイメント層の影響を受けながら、ゲームを選んでいる」と語り、表現力の向上にともなって、いまやゲームはドラマや映画と同じ枠組みで扱われていると説明した。

 

 Scott氏はアニメ表現をたとえに、日本と海外ではユーザーの求めているものがまったく違うことを強調した。「アニメブームは海外でも起きているが、それはあくまで一部のオタクだけ。アニメが嫌いな人は本当に嫌いなので、キャラクターデザインがアニメ調なだけで完全にダメ。海外ではムキムキだったり、ハゲでマッチョのおっさんが人気なんです(笑)」(Scott)。James氏はこれに「海外の人は、華奢なアニメキャラが大きな剣を振ることに納得できない」という、設定の整合性にこだわる海外ユーザーの特徴もつけ加えた。

 

 アニメを例にとって、ゲームに対する概念の違いが明確になったところで、話題は日本のゲームが欧米で成功するためにするべきことは? というテーマへ移行する。「海外はゲームを開発する際、マーケットの分析から始まるが、日本は自分たちがやりたいと思うものを作って、それを売るという感じ。言うなれば、職人対ビジネス。日本はアートの精神が強い」とJames氏。ユーザー同様、作り手側も日本と海外では考えたがまったく違うという指摘を行った。

 

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▲ともに日本のゲームメーカーで海外市場を担当しているScott Blow氏(左)とJames Vance氏(右)。両方の市場を熟知した視点から、意見を述べた。


 高橋氏もJames氏の意見に賛同。「海外は物を作るときのスケジュールや予算管理が非常にしっかりしている。作る人間は作品にこだわりを持つべきだが、ゲームはあくまでビジネス。しっかりと管理できる人もいなければいけない」と語り、大作RPG『オブリビオン』が平均70〜80人もの大所帯で2年の歳月をかけて制作されたという実例を紹介した。加えて、「海外では5本作ったらそのうち2本がデモの段階で潰れることも珍しくないです」と、ダメな作品には早めに見切りをつける必要があると説く高橋氏。そのためにも、日本のメーカーは海外を見習って開発段階でのユーザー向けテストプレイを頻繁に行い、「お金を出してくれるお客様が正しい」という、よりユーザーに寄った考えを重視するべきとした。


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▲日本のゲームも大好きというEd Fear氏(左)。「ストーリー、キャラに焦点を当てた作品は日本ならでは」などのコメントを寄せた。高橋氏(右)はカプコン、スパイクで数多くの海外タイトルをローカライズした実績を持つ。2008年から『オブリビオン』や『フォールアウト 3』で知られるゼニマックスの日本支社に当たるゼニマックス・アジアのゼネラルマネージャーに就任。


 さて、マーケティングというマクロな視点での意見は複数上がったが、具体的にどういったゲームを作れば海外で成功することができるのか? James氏は「まず海外のゲームを遊んでほしい。“自分はこう思う”といった考えは置いといて、どこが海外で評価されているのかを認識してほしいんです。また、海外のユーザーが日々吸収しているエンターテインメントも知るべきでしょう。個人的には、爆発をいっぱい入れたほうがいいんじゃないかと(笑)。それがいいかは別として海外では毎日そういうのを観ているんですから、アニメを捨てて『24』とかを観てください」と、若干きびしめの意見。

 高橋氏も「洋ゲーをいくら日本人が手直してしてもけっきょくは洋ゲーなんです。それは日本のゲームに関しても同じ。だから、自分たちがいま持っているものをどうラッピングするのかを考えたほうがいいかもしれません。もちろん、洋ゲーから学べることも多いと思うので、向こうの文化に日ごろから触れていることも大事です。ただ、銃を撃ったことのない人間が作ったシューターはやっぱり怖くない。戦場の臨場感や恐怖感が伝わってこないんです」と文化の違いの大きさを語る。

 一方、Ed氏からは「いま海外ではユーザーに罰を与えるようなゲームはほとんどありません。これは簡単なゲームを作るということではなく、オートセーブやムービースキップなど些細な問題です」と興味深い発言が飛び出した。同氏によれば、近年海外で発売されているタイトルの多くはオートセーブを搭載しており、セーブ忘れによるやり直しが発生しない作りになっているという。この傾向が強まった背景にはゲームユーザーの年齢も関係しているそうだ。「ある調査によれば、欧米のゲームユーザーの平均年齢は35歳だと言います。この年齢の人は仕事や家族に時間を取られるため、ゲームをじっくり遊ぶことができない。好きなときにゲームをやめられることが重要なわけです」(Scott)。

 

 高橋氏はこの意見を受けて「海外の人に日本のゲームを見せると、ムービーを飛ばせないのか? と言われることがある。短く区切って遊べるゲームが流行っているんです」。さらに「ゲーム業界はこれまで日本が世界をリードしていたが、いまはすでに追い抜かれてしまっている。海外のゲームをバカにしている人が多いですが、謙虚な気持ちで見てほしい。追い抜かれてしまった、という危機感を持ったほうがいい」と、現在のゲーム業界における日本の立場も明言。Ed氏は「欧米に負けたというのはひとつの真実かもしれません」と高橋氏の言葉に答えつつ、「対応すべきことは大きなことばかりではありません。小さなこともたくさんあります。それの積み重ねが、世界で成功するために必要なことでしょう」とメッセージを送った。

 

※CEDEC 2009の公式サイトはこちら
 

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