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小島監督、孤独な学生時代を語る? Apple Storeの講演会に小島秀夫氏が出演

2009/4/26

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●小島監督の新作については……「E3で」!? 

 2009年4月26日に東京・銀座にあるApple Store, Ginzaで、“Dream Classroom”と題された講演会が行われた。この講演は学生優先で入場できる無料のイベントで、さまざまな分野で活躍する著名人を講師に迎え、成功の秘訣などを語ってもらう“夢のある授業”となっている。この日行われた第5回Dream Classroomでは、『メタルギア』シリーズの生みの親、KONAMIの小島秀夫監督がみずからの半生を振り返り、クリエーターを目指す受講生たちにメッセージを送った。
 

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▲講演は超満員! Apple Storeのイベント、しかも世界中にファンがいる小島監督が出演するとあって、国外からの留学生も多かったようだ。


 小島監督のモノ作りの原点にあるのは、映画だ。両親の影響で映画を見始め、観たい映画を選んでひとりで映画館に出かけるようになったのは小学校5年生のときだったという。最初に自分ひとりで観に行った映画は、『ローラーボール』。`70年代なかばのことだった。

 

 「映画の何がよかったのかというと、自分の知らない世界を見せてくれるから。自分の知らない地域や時代を見せてくれる。映画の中で語られる物語よりも、その部分にまずは惹かれました」(小島)

 

 じつは本を読まない子供で、「家族に心配されていた」という小島少年。映画や、テレビからさまざまなものを吸収していった。東京生まれで3歳のときに関西に引越し、そのギャップから家に閉じこもりがちだったこともあって、かなりのテレビっ子でもあった。「スパゲッティの食べかたも、アメリカの冷蔵庫はデカいということも、それからキスのしかたも、すべてこのころにテレビで知りました(笑)」(小島)。影響を受けたのは、それだけではない。「映画を観て、その音楽を好きになってサントラを聴くようになったし、映画のノベライズを読んで、その作家を追跡して本を読むようにもなりました。ファッションもそう。いまの僕を形作っているものの最初の窓口は、全部、映画だった」(小島)。

 

 ただ映画を観るだけではなく、みずから表現をするようになったのは、観たい映画を自分で選ぶようになった時期と同じく小学5年生のとき。それまでまったく本を読まなかったが、海外ドラマ『刑事コロンボ』のノベライズにハマり、推理モノの小説を読むようになった。そこから、自分でも小説を書くようになったのだという。

 

 「本当は、映画を撮りたかったんです。でも、どうしていいかわからない。それこそ学校の行き帰りに映像が頭に浮かんで、それを文字にしてノートに物語を書いていたんです。最初に書いたのは、「俺は丈夫だ」が口癖の丈夫(たけお)君が主人公の推理小説(笑)。中学生になってからは、本格的に原稿用紙を買ってきてSF小説を書いていました」(小島)

 

 中学、高校時代には友人と自主映画を撮ったりもしている。自宅に8ミリのビデオカメラを持っていたタツオという友人と“ヒデタツプロダクション”を設立。年に数回は40分〜50分の映画を撮って、文化祭で上映することもあった。「『ゾンビ』なんて映画も撮りました。特殊メイクも全部、自分たちで作りましたよ。肉屋で牛の肉と骨をもらってきて、飛行機墜落現場の場面で使ったこともあった。ぜんぜん人間のものには見えなかったですけどね(笑)」(小島)。さぞ楽しい活動だったのだろうと思えるが、「子供のお遊びだったので、ちゃんとしたものではなかった。そのストレスを小説にぶつけていたんだと思いますね」と小島監督。つぎからつぎへと創作意欲が湧きながらも、理想とする映画の形では表現しきれずに小説へと向かっていたようだ。


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▲小島監督の履歴書も公開!? 「死ぬまで現場でゲーム創りを続けたい」と書かれているが、“創作”が小島監督のキーワード。「創作の創という字が好きなんです。クリエイトの部分ですね、作業ではなく。死ぬまでというより、死んでも創り続けるのが夢です」とのこと。

 

 そうして書き溜めていった小説だが、世に発表することはなかったという。「一度だけ、賞に応募したことがあるんですけど、ぜんぜんダメで。その後は毎回、枚数制限を超えてしまって賞に出すこともできなかった(笑)」(小島)。中学、高校、大学まで、学校が終わって家に帰ってくると、ひとり黙々と原稿用紙に向かう日々が続いた。「作りたいものがどんどん出てきて、作らないと体が破裂してしまうというか(笑)。でも、誰が見るかもわからずに作り続けるのは、かなりしんどいことでした。いまと違ってネットで作品を発表することもできず、ワープロもないから、気に入らなければ最初から書き直しで……」(小島)。このころの自分自身を、「表のヒデオと裏のヒデオがいた」と小島監督は表現する。表のヒデオは、明るく、学校では委員長も務める人気者。だが、ひとりになると、裏のヒデオが顔を見せる。「暗かったですよ(笑)。映画をやりたいけど、できない。だから小説を書く。けど、誰も本当の僕を知らない、ってひとりで悶々としていました」(小島)。小島監督の大学時代は、ちょうどバブルの真っ盛り。周囲は浮かれ、遊んでいる中で理解者もおらず、外では明るく振舞いながらもひとりになると「膝を抱えてうずくまっている」ような学生時代だったそうだ。

 

 「『二十歳の原点』を読んだのも、このころ。いま生きている人で、僕を理解してくれる人はいない。もう亡くなられた方にしか理解されないとまで思いました。僕には映画という夢があった。でも、そこへのつながりかたがわからなかったんです」(小島)

 

 転機となったのは、やはりゲームとの出会い。友人にゲームセンターに連れていかれ、『ゼビウス』にハマった。「『ゼビウス』には世界観があったんです。それまでのゲームは背景が真っ黒なものが多かったんですけど、この作品はきちんとデザインがされていて、世界があったのがよかった」(小島)。『ゼビウス』が家庭でも遊べるから、とファミコンを購入し、朝から晩までゲームをするようになった。「僕の師匠」と小島監督が呼ぶ宮本茂氏の『スーパーマリオブラザーズ』や『ポートピア殺人事件』など、ファミコン時代の名作に触れるうち、小島監督はゲーム業界に入る決意をする。「映画を作りたくても、どうしていいのかわからなかった。でも、ゲームなら同じようなことができる」と思えたのだという。

 

 「僕は、夢が叶わなかった人なんです。映画という夢に破れて、ゲームを作るようになった。映画の夢を捨てて、違う夢に乗っかってここまできたんです。でも、いまではそれが天職だと思っています。ひとりで小説を書いていても、自分と友だちしか読まない。読み手がそこにいない以上、プロじゃないんですよね。自分が作ったゲームの感想をユーザーからもらうようになって、それを意識するようになりました。『スナッチャー』あたりから、濃い手紙をいただくようになったんです。「このゲームで、人生が変わった」って。それまで、自分が作りたいから作っていたのが、社会的な責任を感じるようになりました。『メタルギア』は、もう僕だけの持ち物じゃない。世界中にファンがいてくれて、「作ってくれ」という声がある以上、作らなければいけないと思うようになりました。評価してくれるファンがいてくれるからこそプロで、だからこそ続けられるんです。そういう意味では、僕は幸せだと思いますね。まだまだ、続けていきます」(小島)


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▲笑いを織り交ぜながら、楽しそうに自身の半生を振り返った小島監督。だが、同じようにクリエーターを目指す人たちには、現在の成功の裏にある学生時代の思い出話が響いたはず。


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▲スクリーンを使って、小島監督に影響を与えたいくつかの事柄も紹介された。こちらは、アポロ11号による月面着陸。小学校入学まえにリアルタイムで中継を見て、宇宙に行きたい、宇宙飛行士になりたいと夢見たのだという。現在でも、「死ぬまでに宇宙に行くのが夢」だが、宇宙飛行士への憧れもゲームに活かされている。「誰も行ったことのないところに行くだけなら簡単なんです。宇宙飛行士は、勇気と頭脳で、行って“帰ってくる”ところがすごいんです。『メタルギア』でもそうでしょう。行くだけなら簡単。行って帰ってくるのが難しいんです」(小島)。

 

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▲小島監督、小学1年生のときに開催された大阪万博にも影響を受けた。「このころは、世界中の問題をテクノロジーが解決してくれると思われていた。いまでは批判もありますけど、テクノロジーというものを知ったのは大阪万博でした。それに、世界の人に初めて会ったのも大阪万博でした」(小島)。

 

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▲大学時代に聴いていたのが、“Joy Division”というバンド。ひとりで悶々としながら、音楽を聴いていたのだそうだ。

 

 今回の講演の受講者は、半数以上がモノ作りを目指すクリエーターの卵たち。小島監督は彼らへのメッセージも込めて、みずからのモノ作りに対する考えも披露した。ここでは、そんな“小島語録”をほんの一部だけ紹介しよう。

 

 「ゲーム作りは、テクノロジー依存型なんです。どんどんつぎのテクノロジーが出てきて、いままでできなかったことができるようになる。いままでいっしょにはやれなかった別の分野の人とも、コラボレーションできるようになる。だから、飽きないんです」

  

 「グローバルなモノ作りを考えるようになって、日本だけではなく、世界中の優秀な方といっしょにやらないとダメだと思い始めました。日本人だろうが何人だろうが、関係ないんです。いろいろな国の人と同じ目的に向かって楽しくやることが重要。それでこそ、いままでできなかったことがやれるようになるんです。そういう意味で、僕は“肉食”になったと言っています。日本食も食べつつ、肉も食べましょう、って(笑)」

 

 「ゲームを作るときに、既存のゲームから発想してはダメだと思うんですね。手塚治虫さんの言葉ですが、「マンガからマンガを描くな」と。同じことを僕もスタッフに言っています。いいゲームを作るには、いい小説を読んで、いい映画を観て、いい音楽を聴かないと。いまはまだゲームになっていない感性を持ってくるべきです」

 

 「たとえば映画の授業で、先生が「あの映画はこうだ」と言っていたとする。でもそれは、その先生を通したもので、その人の観かた、ルール化されたものなんです。だから、必ず元の映画を観たほうがいいと思います」

 
 「プロのクリエーターになるまでは、孤独で評価されない。自分も経験してきたことなので、すごく辛いと思います。でも、そこが出発点なので、めげないことですね。必ず、世界中に同じ感性、情熱を持った仲間がいます。いまはインターネットもあるでしょう。僕の時代にはそんなものはなかったけど、KONAMIに入って仲間に出会い、救われました。初めて仲間に出会って、こんなにうれしいことはなかった」

 

 「僕自身、映画を観て、いろいろな思想、考えがあると知ったことが身になっているんですね。だから、自分がデザインするゲームは、そういうメッセージ性を必ず入れたい。映画は、カメラと時間を作り手が制御できるもの。一方、ゲームはそれをユーザーが制御できるんです。だからこそ、没入感は映画以上のものがある。ゲームをプレイして感じたことは仮想現実だけど、その人の経験になるんです。僕はそれを利用して、よりメッセージ性を強めることができると考えてゲームを作っています。何が言いたいのかというと、小島秀夫のゲームは説教ゲームだよ、という宣言です(笑)」

 

 「あと何年、現役でい続けるのかというと……30年くらいは大丈夫かな? プロのモノ作りになってから、死にたいと思わなくなったんです。ファンがいてくれて、もう自分だけの人生ではないと思うようになったので、体のことも考えて運動もします(笑)」

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▲自身の今後については、 「今年、46歳になるので“余命”ということを考えるようになりました(笑)。ゲームはずっと作り続けていたいんですけど、映画もやりたいし、小説も書きたいですね。何より、死ぬまで現場にいたいです。死ぬときは、現場か映画館で(笑)」(小島)。


 ちなみに、ゲームファンがもっとも気になるであろう新作についても質問があったのだが、「6月にアメリカでE3というものがあるんですよ」とはぐらかした小島監督。詳しくは何も語られなかったが、今年のE3で小島監督の新作発表があるのかも?

 
 

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