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アニメと見紛う表現! 松山氏が語る『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』のアートワーク
【GDC09】

2009/3/29

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●漫画・アニメとゲームが融合した人気作の背景

 

 2009年3月23日〜27日(現地時間)の5日間、アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、ゲームクリエーターのための国際会議、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)09が開催。世界中のクリエーターによる技術交流を目的としたGDCでは、トップクリエーターらによる注目の講演が多数予定されている。ファミ通.comではその模様を総力リポートする。

 

 開催4日目となる3月26日(現地時間)、キャラクター関連のタイトルを数多く手掛けるデベロッパー、サイバーコネクトツーの松山洋社長と同社のアートディレクター下田星児氏による講演が開催された。講演のタイトルは、“Cinematic Next-Generation Action NARUTO: Ultimate Ninja STORM - In-Game Artwork and Beyond”。プレイステーション3用アクション『NARUTO-ナルト- ナルティメットストーム』を題材に、コンセプトとテクノロジー、困難な制作を可能にするための環境作りについて講演。松山氏のジョークを交えながらのトークにより、セッションは終始アットホームな雰囲気で進められた。

 

 本セッションではまず、松山氏がプロジェクトのコンセプトを解説。世界的に売れているゲームは、日本人の目線で見ると、スポーツ、戦争、映画の3ジャンル。スポーツと映画は究極の版権ゲームであり、戦争は日本人の気質に合わない。つまり、日本人がこの3ジャンルを追いかけるのはちょっと違うのではないか。そこで原点に返り、日本人が日本人の強さを活かした文化、職人的技法を活かしたゲームジャンルを追求し、コミックとアニメーションに行き着いたということが語られた。開発は、プランナー1名、アーティスト7名、プログラマー2名の10人でスタート。次世代機だからといって最初から人数は必要ないこと。何を作るのか、どこで勝負するのかが決まるまでは少数精鋭でスタートすることが重要であり、適切なタイミングで適切な人員配置を行えば、低いコストで開発が可能だと説明した。

 

 

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▲「最初の半年間は“プレイステーション3の研究開発”を行っていました。プレイステーション3実機を使わずにゲームのイメージ映像を作成し、表現の方向性を定めることが重要です」(松山)。


 下田氏によるアートワークの解説で取り上げられたのは、キャラクター、背景表現、エフェクト、映像演出の4項目。キャラクターのコンセプトは、CGの硬さを感じさせない柔らかなアニメ的表現。アニメのように整備された情報とイメージ重視の配色が重要であると語られた。また、シェーディングでは、モデルにセルシェードをかけただけでは影がある硬い表現となるので凹凸を低減。とくに、目元部分は平坦にする独自の工夫を施したと解説。

 印象的だったのは、フリーボーンを活用したモーション。ハイキックをくり出す際のモーションを例に挙げ、関節構造に捕らわれないアニメ的な”しなり”の誇張表現が実現できたとコメント。リアルなアクションだけではアニメ表現との差異が生まれ、迫力が不足してしまうのだという。スピード感のほか、画面奥から手前にキャラクターが迫ってくるシーンでは、手を大きくすることで構図をダイナミックに見せ、映像としてのインパクトを強めたことも説明された。

 さらに、すばやく動くキャラクターのシルエットが伸びるという表現では、キャクターの手足に三角錐のポリゴンを埋め込んだと解説。これにより、手足の動きに追従するような柔らかいシルエットとなり、ユニークなモーション表現が実現できたと語っていた。フェイシャルに関しては、リアルな表現では頬や鼻元を重点的に制御する必要があること。対して、アニメ的表現では目元、口元を重点的に表現する必要があり、しわによる筋肉の動きを表現することが大切であるとコメントしていた。

 

 続く背景表現では、バトルステージのサンプルを見せながら描画範囲やポリゴン数などを解説。描画処理負担の軽減など、技術的なことに加えて、手書きタッチによる既存作品と差別化を行ったこと。シルエット表現に特化し、どこから見ても一枚絵に見えるような統一感のある背景を心がけたことなどが語られた。

 

 エフェクトでは、アクション自体のおもしろさで勝負したことを明かし、映像演出に関してはフローチャートで視覚的に作業工程を解説。各工程でディレクターチェックを挟むことで差し戻しをなくし、修正回数を減らすなど、ディレクターチェックの重要性について説明を行った。

 

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▲モニターに映し出された映像演出のフローチャート。要所要所でディレクターと版権元によるチェックが行われていることがわかる。


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▲「ディレクター、版権元のチェックにより、ブレのない映像演出が実現できました。また、チェックを出すことで版権元の信頼を得られた点も大きなポイントです」(下田)。

 

 セッションの最後には、再び松山氏が登壇。スライドを交えながら、サイバーコネクトツーの制作環境について説明が行われた。120名を超えるスタッフがワンフロアで制作作業を行っており、コミュニケーションを取りやすい環境を整えることが大切だとコメント。また、プロジェクトの確認や制作のブレをなくすため、週に1度、必ず全スタッフでミーティングを行っているという。余談だが、マンガや雑誌、DVDといった膨大な資料ライブラリのスライドが映し出されたときは、観衆から羨望の声があがっていた。

 

 松山氏は最後に、ゲーム制作では早期に表現コンセプトを決定して技法を選択し、最終的なイメージを見据えた状態で制作に取り組むことが重要だと述べた。スピーチが終わり、大きな拍手が沸き起こる中、松山氏から驚きのコメントが! 「弊社のプロジェクトは弊社だけの力でできているものではありません。じつは、バンダイナムコゲームスさんからの技術提供がありました。それは”NUライブラリ”(バンダイナムコゲームスのライブラリ)。NUライブラリを提供していただいたおかげで、弊社のわがままを突き通したプロジェクトが完成を迎えることができました。この場を借りてお礼を申し上げます」(松山)。

 

 つまり、これはバンダイナムコゲームスが独自のライブラリを提携企業ではないサイバーコネクトツーへ提供したというもの。それほどの信頼関係が両社にあるということを、強く感じさせるエピソードだ。

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