HOME> ゲーム> 家庭用ゲームの傑作をケータイに移植する課題とは? ケータイ版『BIOSHOCK(バイオショック)』に見る事例
●ケータイのスペックに対応する形で、2Dバージョンと3Dバージョンの2種類を用意
2009年3月23日〜27日(現地時間)の5日間、アメリカ・サンフランシスコのモスコーニセンターにて、ゲームクリエーターのための国際会議、GDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス)09が開催。世界中のクリエーターによる技術交流を目的としたGDCでは、トップクリエーターらによる注目の講演が多数予定されている。ファミ通.comではその模様を総力リポートする。
開催1日目の“GDC
モバイル”セッションでは、世界規模でケータイコンテンツのビジネスを展開するIG
FUNのCEO、ショーン・マラテスタ氏による“家庭用のキラータイトルをモバイルに”と題する講演が行なわれた。ケータイコンテンツが充実してくるにつれて、家庭用ゲームの傑作がケータイコンテンツに移植されていくのは自然の流れだが、プレイステーション3やXbox
360といったハイスペックマシンのゲームを、ケータイというマシンスペックに制約のあるハードに移植するのは、当然相当な苦労が伴うはず。増してや家庭用ゲーム機で多くのファンを獲得しているゲームともなれば、ファンからの期待値も高く、移植に対する目もきびしくなる。マラテスタ氏は、そんな家庭用ゲームのキラータイトルを、ケータイコンテンツに移植する際の課題や苦労を語ったもの。サンプル例は、IG
FUNが2008年にケータイへの移植を発表した2KGAMESの『BIOSHOCK(バイオショック)』だ(日本ではスパイクより発売)。
まずマラテスタ氏は、家庭用ゲーム機からケータイに移植するに際しては、「家庭用ゲームは多くのボタンを操作する必要があるが、ケータイゲームではそういうわけにはいかない」、「グラフィックは当然家庭用ゲームと同程度というわけにはいかない」、「ストーリーのボリュームも制約がある」といった課題があることを列挙。さらには、「ゲームの権利を持っているメーカーがケータイゲームは“真のビデオゲーム市場ではない”と判断しがちなので、移植の承諾を得にくい」といったビジネス面での問題があることを指摘した。
これらの問題点に対してマラテスタ氏は、『BIOSHOCK(バイオショック)』にてどう対応したかとうと、まずはグラフィクのクオリティーに関しては、スマートフォンなど比較的高スペックのマシンに向けては3Dバージョンを、通常のケータイ端末向けには2Dバージョンをと、2種類の『BIOSHOCK(バイオショック)』を制作することで対処。「ハイグラフィックなゲームをどうやって2Dにするのかは大きなチャレンジでしたが、オリジナルのビジュアルを最重要視しながら作り上げていきました」(マラテスタ)とのこと。また、ストーリー展開にしても、「あくまでもオリジナルを最重要視しました。ストーリーは3分割して全体を若干短くしましたが、重要なストーリーラインは変えていません。ふつうのケータイゲームの3倍のボリュームのゲームプレイを提供していますよ」(マラテスタ)とのこと。「2D版はゲームのエッセンスを、3D版は見た目とゲームプレイの感触をうまく再現できたのではないか」とマラテスタもケータイ版『BIOSHOCK(バイオショック)』の仕上がりに自信のほどを見せた。どうやら、移植に際しては“とにかくオリジナルを大切にする”という指標が何よりだと言えるだろう。とはいえ、ケータイ版『BIOSHOCK(バイオショック)』は2Dチームと3Dチームを合わせて45〜50人の開発体制だったというから、相当な規模のプロジェクトだったことがわかる。「ケータイゲームは気軽に作る」という時代ではなくなっているようだ。
また、最後の質疑応答では聴講者の「iPhoneでの可能性は?」との質問に対し、「iPhoneはケータイと携帯ゲーム機の架け橋的な存在。『BIOSHOCK(バイオショック)』とiPhoneについてはトップシークレットなのでいまはコメントできないが、iPhoneはすばらしいハードだと思う。家庭用ゲーム機のユーザーがiPhoneに魅力を感じるのか、もっとカジュアルなゲームを遊びたいと思っているのかなどが課題だ」と回答。iPhone版『BIOSHOCK(バイオショック)』での展開について含みを持たせた。あるいは何らかの展開が期待できるかも。
なお、ケータイ版『BIOSHOCK(バイオショック)』は北米では2009年配信予定。残念ながら日本での配信は現時点では予定されていない。
▲3D(写真左)と2D(写真中央)の2種類を制作したケータイ版『BIOSHOCK(バイオショック)』。オリジナルストーリーを守ることに注力したという(写真右)。 |
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