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伝説的なシューティングがPSPで蘇る『零・超兄貴』インプレッション
【プレイ・インプレッション】

2009/3/19

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●独特な世界観を持つ“伝説のバカゲー”

 独特な世界観が根強いファンを持つシューティング『超兄貴』シリーズ。その最新作である『零・超兄貴』がガンホー・ワークスよりPSP(プレイステーション・ポータブル)用ソフトとして発売された。“原点回帰”をテーマにした本作を、『超兄貴』シリーズをこよなく愛する戸塚伎一が熱血インプレッション。 『零・超兄貴』の魅力を語り尽くす!

16-全員集合のコピー


●ゲーム史に燦然と輝く『超兄貴』の特異性

「いくら本人が真剣でも、それが度を越えるとおもしろくなってしまう」

 こういった、ちょっと穿った物の見かたの人類史的起源がどこにあるかは知る由もありませんが、1980年代の10年間と自身の10代がほぼシンクロしていた私個人の記憶では、データイーストやSNKといった一部のメーカーが当時リリースしていたアーケードタイトルに触れることで意識するようになりました。

 前述したメーカーの作品は、シリアスな設定によるハードな戦いを題材にしたアクションゲームが多く、ゲームとしてもやり込み甲斐がある佳作揃いでした。ただ、グラフィックの色使いや登場キャラクターのデザインがやたらと暑苦しく、“男臭くてカッコイイ”という印象の領域から“何だか気持ち悪い”、さらには“ここまでくると逆に笑えてくる”まではみ出す場合もしばしば。セガやタイトーといった当時の有力アーケードゲームメーカーが率先して、ゲーム世界をスマートに洗練させていく中、この“異物感”は際立っていました。

 後に1990年を前後して巻き起こった、吉田戦車や中川いさみらを中心とした“不条理ギャグ漫画”のブーム、あるいは、総合完成度の芳しくないゲームを“クソゲー”と称し、内容の至らなさ・常軌を逸した珍現象をあげつらい楽しむ風潮などとあいまって、“許容範囲外の世界そのものの様式を受け止める姿勢”が、多くの人々の間で自然と養われていきました。

 PCエンジンSUPER CD-ROM2用ゲーム『超兄貴』が発売されたのは、まさにそんな折。時代の空気を読み、満を持していたかのようなタイミングでのリリースでした。

 ゲーム内容的にはふつうに遊べる横スクロールシューティングながら、マッチョな肉体美を基調としたシュールなグラフィック世界、“声ネタ”を効果的に用いた捉えどころのないサウンドによって、当時のゲーマーに衝撃を与えました。

 本作に抱く印象は、「プロテインを摂取しつつ日々筋力トレーニングに勤しむボディービルダーが、コンテスト会場で披露するパンパンに張った肉体と、満面の笑顔」に対するそれに近いものがあります。というか、作り手が確実にそれと重ね合わせています。

 意味がわかならい人はとことんわからない一方、何かのきっかけで「これはこれでアリなんだ」と思った人は、その魅力の虜になってしまう……結果として後者のユーザーが多かったため、『超兄貴』は“伝説のバカゲー”としてゲーム史に残り、後に多くのシリーズ続編、世界観を踏襲したスピンアウト作品がリリースされたのでしょう。

●現代に蘇った“ふつうに遊べるシューティング”

 さーて前置きが長くなりました(笑)。今回レビューする『零・超兄貴』は、そんな『超兄貴』シリーズの“原点回帰”を謳った、横スクロールシューティングです。

 プレイヤーキャラは、攻撃タイプが異なるイダテン(クールマッチョな漢)とベンテン(美形の姐さん)から選択。オプションキャラとしてアドン、サムソンらが登場……と、基本構成は初代と同じ。ぱっと見のグラフィックも、描写の精密さにこだわっていたり、“新解釈”による大幅なデザイン変更が施されているわけでもなく、適度にいい加減なセンで抑えられて、例のゲーム世界にスッと入り込めます。

イダテン全身
ベンテン全身

▲プレイヤーキャラのイダテン(左)とベンテン(右)


 実際に遊んでみるとふつうに遊べてしまう操作性とゲームバランスで、これはこれでまた初代をほうふつとさせます。自キャラの衝突判定が身体の中心部だけになったり、オプションキャラで防げる攻撃が、小さいサイズの通常弾のみになったりと、細かい部分での違いはいくらでも挙げられますが、いずれも“ふつうに遊べるシューティング”としての前提を歪めるものではありません。

 ショットの左右方向への撃ち分けやオプションキャラのフォーメーションチェンジを駆使して敵の猛攻を凌ぐ感覚、初見では攻略の糸口がまったく見つからなくても、あきらめず何度もリトライするうちにいつのまにかノーミス&ボム未使用で倒せるようになっているボス戦の絶妙なバランスは、従来の『超兄貴』シリーズファンならずとも楽しめるでしょう。

 ステージ数は5(最終ステージは実質上ボスラッシュ)と、ちょっと少なく感じるかもしれませんが、各ステージが比較的長めで、それなりにメリハリも利いているので、プレイの手応えはなかなかのもの。一度クリアーした後も、追加プレイヤーキャラや高難度モードなどの隠し要素も数多く用意されているので、「1日1プレイ1クリアー」ペースで末永く遊び続けられるでしょう。

 『超兄貴』シリーズの大きな特徴のひとつである、突飛かつアグレッシヴなBGMも、本作で再現されています。再現どころか、唯一無二の“兄貴サウンド”を創りあげた張本人、葉山宏治が全面参加。本人直々によるリメイクや、新作なのにどこか懐かしい名曲の数々が、ゲーム全編にわたって演奏されます。

 葉山の兄貴による野太い掛け声や単語の連呼、何だかよくわからないけど熱っぽい語りが随所に散りばめられ、とりあえず暑苦しさは最高潮。好むと好まざるにかかわらず耳に残ります(粗野な空気の中から時おり覗かせる“ハッとするほどのイノセンスさ”が、絶妙な隠し味に)。

 個人的には、中ボス戦共通BGMのメロウな旋律と、ステージ3ボス戦BGMの“しゃくとりロ〜ラ〜♪”が、頭の中でリピートしっ放しです。いつも高尚なことで頭を満たしていたい人には、本作のサウンドはあまりおすすめできません(笑)。

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▲濃い世界が展開される『零・超兄貴』。ひと度その世界にはまると病みつきに……。


●オールドゲーマーの心を揺さぶるニクい演出


 最終ボス・ボ帝ビル(いつ見ても酷い名前だ)をはじめとする、『超兄貴』ワールドを象徴するおなじみの敵キャラも数多く登場。同シリーズファンにとっては、そこから新しい刺激は見出せないものの、“原点回帰”のテーマに偽りない、確固たる世界観を改めて確認できるでしょう。

 しかし、いちオールドゲーマー──とりわけ、ある特定のレトロハードに思い入れの強い私にとっては、たんなる“様式美”では片付けられない、じつに興味深い敵キャラが集中的に登場するステージがあります。

 後半の山場ステージ4は全体的にグロテスクな印象で、ほかのいかにも超兄貴ッ!! といったステージとは、少々毛色が違います。というのも、このステージで登場する一部のザコ敵やボスキャラ(3体)は、『超兄貴』に先行してメサイヤがリリースした、メガドライブ用シューティングゲーム『ジノーグ』に登場したものだからです。

 『ジノーグ』は、『超兄貴』と直接関連性のあるタイトルではありませんが、開発スタッフが同じと言われているだけあり、シューティングゲームとしての“ノリ”が非常によく似ています。

 ゲーム世界は基本的にダーク&シリアス。悪夢的なデザインの敵キャラがつぎつぎと登場するわけですが……。

 「あまりに気合が入り過ぎてか、不気味さを通り越してギャグになっちゃってるヤツ」

が結構いました。当初はそんなつもりで作ってはいなかったのでしょうが、どんどんエスカレートして、シリアスの領域を踏み越えてしまったのでしょう。開発スタッフがある時点で“価値観のズレ”に気づき、やがれそのズレた方向にシフトしていった痕跡が、『零・超兄貴』にも登場する敵キャラたちに見受けられるのです。

 『ジノーグ』のこうした制作過程がブレイクスルーになって、『超兄貴』の突き抜けたゲーム世界が誕生した、という当時の私(メガドライブユーザー)の推測が、シリーズ最新作によって正式に証明された……そんな意味合いでも、本作は意義のあるタイトルです。おっさんゲーマーは、なまった反射神経をいまいちど研ぎ澄ましてみてはいかがでしょうか?
 

Text by 戸塚伎一


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筆者紹介 戸塚伎一

ファミ通Xbox 360誌でクロスレビューを担当するフリーライター&漫画かき。シューティングゲームの腕前はいまとなっては下手の横好き程度だが、かつてはMSX版『グラディウス2』やアーケード版『ドラゴンスピリット(ニューバージョン)』を1クレジットクリアーできるほどやりこんでいた熱い時代がある(どっちもはるか昔だなあ…)。

 

「零・超兄貴』

対応機種

PSP

メーカー

ガンホー・ワークス

発売日

発売中

価格

6090円[税込]

テイスト/ジャンル

コミカル/シューティング

CERO

12歳以上対象

備考

初回限定版が7140円[税込]で発売


※『零・超兄貴』の公式サイトはこちら
※ファミ通特設サイト『零・超兄貴』はこちら

[戸塚伎一の過去のレビュー記事]
※仲間と戦うことの力強さと、圧倒的なゾンビの恐怖と……『レフト 4 デッド』インプレッション
※“現実”と“妄想”が入り乱れる不思議な体験……『カオスヘッド ノア』インプレッション

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