HOME> ゲーム> 今度の『バイオ』は恐怖だけじゃない 『バイオハザード5』インプレッション
●これまでのシリーズにはない、新感覚の『バイオ』体験
カプコンの人気サバイバルホラーゲーム『バイオハザード』シリーズ。そのシリーズ最新作としてプレイステーション3とXbox
360でリリースされた『バイオハザード5』では、バイオテロを画策する者たちと、それを未然に防ごうとする者たちの戦いが描かれる。今回は、このシリーズ最新作の魅力を、『バイオ』シリーズをすべてプレイしているフリーライター、世界三大三代川が紹介していく。
●絶妙なバランスが生む、恐怖と焦燥感のエンターテインメント
集団に襲われる恐怖や、狂気をはらんだ敵と対峙する恐怖を味わいつつ、少ない残弾数から来る焦燥感が弾切れという新たな恐怖も生む。もう無理。もう限界。もうやられる……と思っていると、ふと気づけば残弾数ひとケタで敵を倒している。そんな恐怖のピークを越えひと息つくたびに、このゲームがどれだけよくできているかを痛感させられる。
『バイオハザード5』は、ホラーゲームの金字塔と言われる『バイオハザード』シリーズの最新作。敵が迫り来る恐怖と、周囲を探索するアドベンチャーを絶妙に融合した俯瞰視点で進行する初期作品から、『4』では主人公の後方から覗くような視点(ビハインドビュー)にフルモデルチェンジ。敵を狙い撃つアクションとしての楽しさを追加し、世界中から多くの賞賛を浴びた。『5』は、その『4』のシステムを受け継ぎパワーアップさせた、プレイステーション3&Xbox
360初の『バイオハザード』新作である。主人公は、初代『バイオハザード』や『コード:ベロニカ』などに登場したクリス。彼と、同じく初代『バイオハザード』から登場している宿敵・ウェスカーとの因縁の決着が描かれる。こう書くと、初代『バイオハザード』から遊んでいない人には敷居が高いように感じられるが、まったくもってそんなことはなく、本作で初めて『バイオハザード』シリーズに触れるという人にも楽しめるストーリー展開になっているのでご安心を。
※画像クリックで拡大されます。 |
『5』の最大の特徴は、クリスのパートナーであるシェバが加わったこと。シェバはAIで自動的に動くため、つねにパートナーとともに行動するのだが、彼女とは運命共同体であり、彼女が敵に襲われてやられてしまってもゲームオーバーになってしまう。だが、当然ながらデメリットだけではなく、銃で敵を倒してくれるほか、こちらや自分がピンチになればハーブを使って体力を回復してくれる。ときおり、「もっとハーブを大事に使えよ!」と思うこともあるが、そのおかげで生き延びているのも事実なので、あまり強くは言えない。そのため、シェバとは着かず離れず、お互いをカバーし合いながら行動していくのが最適なのだが、いかんせんゲームはそうさせてくれない。シェバでしか進めない場所、ひとりがスイッチを抑えて進行ルートを確保しておかないといけない場所などがたびたび登場するのだ。シェバに強力な武器を持たせておけば、ひとりでも十分活躍してくれるのだが、それでも限界はある。離れ離れになった状況で、ライフルを使った遠隔攻撃でカバーしたり、少しでも早く合流できるように近づいたりする必要が出てくる。だが、そういう場面に限って大量の敵がシェバを襲ったり、シェバが襲われるだろうなーと思っていると、クリスの背後から敵が出てきて「こっちかよ!」と焦ったりするのが、いかにも『バイオハザード』である。
ちなみに、このシェバを人間が操作するCo-op(協力)モードこそ本作の真骨頂なのだが、それはのちほど紹介させていただく。そして、このパートナーに加えて大きな変更が加えられたのが、方向キーを押すだけで装備している武器を切り替えられるシステムだ。
従来の『バイオハザード』シリーズでは、武器を変更する際に、一旦メニューを開く必要があった。突如現れた敵の集団を前にショットガンを使おうと判断した場合、まずはメニューを開き、そこで心を落ち着かせつつショットガンを選択できたのだ。だが、本作では方向キーの上下左右それぞれに武器をセットし、上を押せばショットガン、下を押せばライフルといった瞬時の切り替えができるようになった。これにより、武器変更のたびにメニューを開いてゲームを中断することはなくなり、ゲームが著しくテンポアップ。実際にはポーズを使ってゲームを止めることもできるのだが、武器変更のたびに若干でもできていた小休止がなくなると、プレイヤーの焦り、混乱は倍増するものだ。ライフルで遠くの敵を攻撃して武器を下ろしたその瞬間に目の前に敵が現れ、急いでハンドガンに切り替え……るつもりがボタンを押し間違えて、手榴弾を装備。なんてことも焦るほどに起こってしまうものだ。だが、このシステムによりアクションゲームとしての緊張感はさらに高まり、その場に応じた最適な武器の判断を瞬時に考えることも非常に楽しくなってくる。また、メニュー画面を開く必要がなくなったことは、前述の協力プレイの快適さにもつながっている。
本作では、オンライン、もしくは画面を分割することで、ふたりでの協力プレイができる。協力プレイでは、AIで動いていたシェバをもうひとりのプレイヤーが自在に動かせるのだが、プレイする人次第でゲーム性が大きく変わることとなる。クリス、シェバ両方のプレイヤーがともに本作を初めて遊ぶ者どうしならば、さきの展開を予想しながら相談しつつ進んでいくという王道の楽しみかたができるだろう。
これが、片方がすでに本作をクリアーした人だったり、ゲームがうまい人だったりすれば、初めて遊ぶ人をカバーしながら遊ぶ、ボディーガードのような楽しみかたが可能になる。そして、ふたりのプレイヤーがどちらもクリアー済みの熟練者だった場合、これはゲームの目的さえも変化する。さきの展開を知ったうえでのムダのない行動、瞬時に敵を倒し、いかに迅速にクリアーできるかを目指す、すなわちハイスコアアタックのような楽しみかたができるのだ。しかも、本作はクリアー時間などのスコアがランキング形式で集計されるため、まさにランキング入りを目指したプレイが楽しめるわけ。熟練者どうしならではの役割分担、ふとした瞬間に味わえる意志の疎通は非常に気持ちよく、これまでの『バイオハザード』シリーズにはなかった感覚と言える。
ひとりプレイ、協力プレイ、どちらでも初めてプレイしたときには、冒頭に書いたようにギリギリの残弾数でボス敵を倒すといったシチュエーションになることが多いはずだ(的確に敵を倒すうまい人たちは例外)。というのも、本作の敵の強さや敵の行動パターンがプレイヤーの腕前によって変わるためである。プレイヤーに合わせ、ハラハラドキドキしながらも、難しすぎると感じさせない、絶妙なゲームバランスがそこで成り立っているのだ。どんな腕前の人でもつねに緊張感を持って遊べるこの土壌があればこそ、ひとりプレイでも協力プレイでも熱く楽しめるというわけだ。
最後に。筆者はひとりプレイ、協力プレイ両方で遊んだのだが、圧倒的に協力プレイが楽しかった。とくに、さきの展開を知らない友人とのプレイは、ふたりで悩み、ふたりで叫び、ときに責任をなすりつけ合い、大興奮で楽しめた。もし、これから本作を遊ぼうとしている人で、いっしょに遊べる知人、友人がいるならば、ぜひ協力プレイで遊んでほしい。さきの展開を知らない1度きりの体験を友人と味わえる機会、その貴重な機会は極上の楽しさを味わわせてくれるはずだ。
text by 世界三大三代川
著者紹介 |
週刊ファミ通編集部出身のフリーライター。ホラー映画、ホラーゲームは大の苦手ながら『バイオハザード』シリーズだけはひと通りクリアーしている。だが、基本的に憶病なチキンプレイのため、プレイの様子を見ていた編集者から「お前のクリスは操作してないときだけカッコいいな」と言われる始末。……余計なお世話だ。 |
バイオハザード5 | |
対応機種 |
プレイステーション3、Xbox 360 |
メーカー |
カプコン |
発売日 |
発売中 |
価格 |
各8800円[税込] |
テイスト/ジャンル |
ホラー / アクション・アドベンチャー |
備考 |
プレイステーション3版はPLAYSTATION Network対応、Xbox 360版はXbox LIVE対応、Xbox 360版『デラックス エディション』(数量限定)は8800円[税込]、メタルケース、セレクショントラック(サウンドトラックCD)同梱、プロデューサー:竹内潤、川田将央 |
【プレイ・インプレッション】の関連記事
- 爽快感やゲーム性など、あらゆる面でレベルの高いアクション『NINETY-NINE NIGHTS II(ナインティナイン ナイツII)』インプレッション - 更新日時:2010年7月30日
- 萌え要素とミステリーの融合による独特の世界を創り上げた『メモリーズオフ ゆびきりの記憶』インプレッション - 更新日時:2010年7月29日
- 新たなジャンルのアドベンチャーゲーム『TRICK×LOGIC(トリックロジック)』 - 更新日時:2010年7月22日
- 良質な舞台を観終わったあとの余韻を漂わせる良質な娯楽作『ゴースト トリック』インプレッション - 更新日時:2010年7月7日
- 自由度の高い幅広い遊びかたがうれしい『ライオットアクト 2』インプレッション - 更新日時:2010年7月6日
- 他作品とは一線を画するオリジナリティーが魅力『ジャストコーズ2』インプレッション - 更新日時:2010年6月12日
- クラブ作りだけでは終わらない『サカつくDS 2010』の魅力 - 更新日時:2010年6月9日
- Xbox 360版『MHF』クローズドベータテストプレイ・インプレッション! - 更新日時:2010年6月1日
- 光源を巧みに活かした独特の演出が秀逸、『アラン ウェイク』インプレッション - 更新日時:2010年5月31日
- 日本発、アクション・シューティングの金字塔『ロスト プラネット 2』インプレッション - 更新日時:2010年5月25日
この記事の個別URL
ソーシャルブックマーク |
評価の高いゲームソフト(みんなのクロスレビュー) |
※ ブログ・レビューの投稿はこちら!(ブログの使い方) |
その他のニュース

『ストV AE』はときど、ふ〜ど、板橋ザンギエフを含む有力候補たちがウィナーズでDAY2に進出。『KOF XIV』は決勝トーナメントのメンバーが決定【EVO Japan 2019】
2019年2月15日、福岡県の福岡国際センターにて、格闘ゲーム複数タイトルの大型大会“EVO Japan 2019”のDAY1が実施された。

『ファークライ ニュードーン』プレイレビュー! あの“終末”から17年後を描くまさかの新作は、ポストアポカリプスに新たな文脈を加えた意欲作
ユービーアイソフトより2019年2月15日に発売された『ファークライ ニュードーン』。『ファークライ5』の17年後を舞台にした本作の“刺激”をレビューしていこう。

アプリ『プリンセスコネクト!Re:Dive』のテレビアニメ化が決定! 制作は『マナリアフレンズ』などを手掛けるCygamesPicturesが担当
サイゲームスより配信中のスマートフォン向けアプリ『プリンセスコネクト!Re:Dive』のテレビアニメ化が決定。

アニメ『ペルソナ5』で主人公たちが通う秀尽学園高校のジャージを商品化! こだわりの再現度を見よ
アニメ『ペルソナ5』より、主人公たちが通う秀尽学園高校のジャージを再現したアイテムが登場。アトラスDショップにて現在予約受付中。

これが演劇で魅せるガンダムだ!モビルスーツ戦はどう描かれたか? 舞台『機動戦士ガンダム00 -破壊による再生-Re:Build』ゲネプロをリポート
ガンダム舞台に立つ!! 気になるその内容に迫る!

原由実さん&原紗友里さんが『オーバークック2』とVRホラーゲーム『ホラー SENSE』を遊ぶ! ニコ生特番が2019年2月17日(日)20時より放送
『原由実の○○放送局 大盛』の特番が、2019年2月17日(日)20時より、ニコニコ生放送にてスタート。

ミンゴスが『ドラゴンクエストビルダーズ2』に挑戦する『今井麻美のニコニコSSG』特番が2019年2月16日(土)19時から配信!
2019年2月16日(土)19時より『今井麻美のニコニコSSG』の特番を配信決定。今回は、ミンゴスがリスナーさんといっしょに『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』をプレイします。

『デビル メイ クライ 5』発売前夜イベント“SSS Devil Night”開催決定! イベント参加者の募集を開始
『デビル メイ クライ 5』発売前夜イベント“SSS Devil Night”の開催が決定した。

ネタバレ注意! 『キングダム ハーツIII』最強キーブレードを入手しよう
『キングダム ハーツIII』に登場する最強のキーブレードの入手方法を紹介。これを入手すれば、あの敵も楽勝!?

『メトロ エクソダス』攻略情報! 過酷な世界を生き延びるために役立つ知識を伝授
2019年2月15日に発売された『メトロ エクソダス』で覚えておくべきテクニックをお伝えする。