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『スペースインベーダー』の西角氏、『パックマン』の岩谷氏――業界の黎明期を牽引したふたりが語るゲームの“本質
【CEDEC 2008】

2008/9/9

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●“おもしろい”というゲームの本質を求め続けたふたりによるセッション


 2008年9月9日から11日まで、都内にある昭和女子大学で開催されているCESA デベロッパーズ カンファレンス 2008(CEDEC 2008)。本イベントは社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が主催する、国内最大級のゲーム開発者向けカンファレンスとなっている。
 

 今年で10周年を迎えたCEDEC。これを記念して開催されたセッション“すべてはここからはじまった 〜スペースインベーダーとパックマンから学ぶ事、そして次世代へ〜”では、節目の年を飾るにふわさしい、ゲーム業界の黎明期を牽引した人物たちが登壇した。

 

 ドリームス代表取締役の西角友宏氏は、社会現象にまでなった『スペースインベーダー』の開発者。業界歴は40年で、まさにゲーム業界の生き字引とも言える人物だ。東京工芸大学芸術学部ゲームコース教授の岩谷徹氏は、世界でもっとも成功したビデオゲームとしてギネス認定された『パックマン』の産みの親。そのほかにも『リブルラブル』、『源平討魔伝』、『リッジレーサー』などナムコ(現バンダイナムコゲームス)を代表するタイトルに数多く関わっている。


▲西角氏(写真左)と岩谷氏(写真右)のふたりを中心にセッションは進められた


 セッションの司会を務めたのは、高橋名人の愛称でおなじみ、ハドソンの高橋利幸氏。この3名に加えて、海外からThink Services Game GroupのJamil Moledina氏が登壇。同氏は毎年開催される世界最大級のゲーム開発者向け交流イベントGDC(ゲーム・デベロッパーズ・カンファレンス) の企画を取り仕切っている人物。セッションでは海外から見た、日本産ゲームの魅力や影響力などについてコメントを寄せた。


▲『スペースインベーダー』、『パックマン』の開発経緯から始まり、ゲーム業界の未来までが語られたセッション。Jamil氏(写真右から2番目)は海外からの視点で日本のゲーム業界について意見を述べた。


 まず最初に西角氏、岩田氏がそれぞれの代表作を生み出した経緯について説明。西角氏によれば『スペースインベーダー』が生まれた背景には、当時アメリカで開発された『ブロック崩し』の影響があったという。「箱とボールが出てくるだけのシンプルなゲームなのになんでこんなにおもしろいんだろう! と衝撃を受け、そこにゲームの本質も感じました」(西角)。このときの経験をきっかけに西角氏は「それを追い越そうという意気込み」で新作ゲームの開発に取り掛かり、『スペースインベーダー』が生まれたのだ。高橋氏はこの話を受けて、「敵が“攻撃を加えてくる”というのはたぶんあの作品が初めてでしたね」と当時を振り返る。

 

 岩谷氏は『パックマン』の開発経緯を明かすまえに、自身が持つ「物作りというのはいろいろな人の考えを自分の中の物差しに置き換えなきゃいけない」というポリシーを紹介。ナムコに入社した直後の新人研修で岩谷氏は、デパートの屋上などにあるプレイランドでの勤務を経験した。そのとき、ふつうの木馬とアニメキャラをモチーフにした木馬では、ふつうの木馬のほうが人気があるという状況を目にしたという。この理由をプレイランドのベテラン係員に尋ねたところ「親はちょっとでも子供が怪我をしそうに見える構造物のものには決してお金を入れない」という回答を得て、そこからさきの開発ポリシーを学んだという。そのほかにも、楽しそうに遊ぶ子供の笑顔を見て「こういうものを作るぞ!」という使命感を覚えるなど、プレイランドでの勤務体験は岩谷氏にとってのゲーム開発の原点になっているそうだ。

 

 『パックマン』の開発は、当時“男の遊び場”として認識されていたゲームセンターを「カップルや女の子ででも楽しめるようにしたい」という思いなどからスタートした。このコンセプトはポップなゲームデザインや、食べるという行為をイメージさせるタイトルなどからもうかがい知ることができる。ゲームデザインは、ルールはシンプルだがキャラの行動パターンが微妙に異なっていたりと、ライトからコアなゲームユーザーも楽しめる仕上がり。岩谷氏は「『パックマン』をひとことで表せば“いたれり尽くせり”。考えに考え抜いて作りましたね」と振り返った。

 

 両氏の話を受けてJamil氏は、『スペースインベーダー』と『パックマン』のアメリカでの受け入れられかたについてつぎのようにコメント。ふたつの作品にはゲームの枠を越えた影響力があったと語った。

 

 「どちらも、当時の若いデベロッパーに多きな影響を与えた作品です。あるデベロッパーは、『パックマン』が初めてアクションゲームのクリアー方法に複数の手段があることを提示した作品だ、と語っていました。また『スペースインベーダー』に関しては、悪い敵から守るというゲームデザインに“ストーリーの始まりを感じた”という声もあります。そのほかに、Tシャツ、音楽といったポップカルチャーにも影響を与え、ここから“ビデオゲームがたんなるオモチャではなくなった”のだと思います」(Jamil)


▲Jamil氏は日本産ゲームのアメリカにおける現状についても考察。アメリカではハリウッド映画のようなシネマ的な美観を持つゲームが受けるそうで、そういった観点からすると日本のゲームは「考えすぎで、アイデアを詰め込みすぎ」(Jamil)になるのだという。作品の良し悪しは別として「アメリカではカルト的なヒットになりがち」(同)なのが日本のゲームの現状というわけだ。


 続いての話題はゲーム業界の現状について。西角氏は「いまのゲーム業界はハード先行型で、いかにその性能についていくかという状況だと思う。昔は逆で、いかに性能の高いハードを作るか? という状況でしたからね」と、環境は非常に恵まれているとコメント。一方で「昔は何かひとつゲームを作れば発明だったので評価もされやすかった。いまは発売されるソフトの本数も多いので、正直、よくやっているなぁと思います」と、作る苦労は以前よりも増していると分析した。

 

 岩谷氏は「コンピューターゲームは作るたびに世間から攻撃されるという歴史だった。“30年間苦労して楽しいものを作ろうとしているのに、なんでこんなに認めてくれないんだろう”という思いはありますね」と、昔から変わらない世間の反応を指摘。それを踏まえたうえで「規制などは世間が決めるのではなくて、クリエーターひとりひとりの持つ倫理観で解釈を広げていってほしい。そういう意味で、今後もゲームという文化はさらに広がる可能性を秘めていると思います」と展望を語った。

 

 岩谷氏のコメントにある“攻撃されるという歴史”という言葉。なぜこれだけ厳しい状況の中でも、同氏はめげることなくゲームを作り続けられたのか? さらに掘り下げた解釈が明かされた。「30年間怒られる、褒められない。これに対して我々はなにくそと思い、そこから“ゲーム愛”や“使命感”が生まれてきたのです。男女関係にたとえると、最初は「いいなあ」くらいのつき合いから始まり、やがて愛情が育ち、最後は“絶対に守ってやる”という気持ちになるようなものですかね」(岩谷)。

 

 最後に西角、岩谷の両氏は高橋氏からの「ゲーム業界に対して助言をお願いします」という提案に対して、それぞれつぎのようにコメント。ゲーム業界の進むべき道を示し、セッションは終了となった。

 

 「いまはハードウェアがすばらしいし、これからも進化していくでしょう。いいハードが出てくると“それに合ったゲームを作らなきゃいけない”という使命感が出てくる。いくらアイデアがいいからと言っても、『スペースインベーダー』をいまのハードで出したった遊んではもらえないでしょうから。ただ、それでもゲームの本質は求め続けていってほしいと思いますね」(西角)

 

 「いままでいろいろな失敗をしてきましたが、いまになってそれらの失敗が糧になっていると感じています。褒められない、理解されないのはつらいですし、いまのゲーム作りは分担作業ですから、たとえ作品が褒められても自分が褒められる部分はないこともある。そうすると作っているのが楽しくない。プレイヤーの声がじかに制作側に返ってくるような仕組みがほしいところですね」(岩谷)


▲セッション終了後4人は、その結束を確かめ合うように肩を組んで写真撮影に応じた。


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