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”新MMORPG”でも使用、スクウェア・エニックスの開発ツール“クリスタルツールズ”の魔力とは?
GDC 2008

2008/2/24

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●『ファイナルファンタジー』前提にした共通技術基盤の経緯を語る
 

▲スクウェア・エニックスの村田氏が講演を行なった。

 2008年2月22日に行なわれた、スクウェア・エニックス 研究開発部 部長の村田琢氏によるセッションは“『ファイナルファンタジー』のテクノロジー”。熱心なゲームファンには“ホワイトエンジン(仮)”として知られている、スクウェア・エニックスの共通技術基盤の開発の経緯を、自身の開発暦を振り返りながら述べたものだ。

 “ホワイトエンジン(仮)”のベースとなる考えは、1997年に発売されたプレイステーション用ソフト『ファイナルファンタジー タクティクス』に始まったと村田氏は回想する。マップは3D、キャラクターは2Dというハイブリッドの表現方法が採用されていた『ファイナルファンタジー タクティクス』だが、当時のアーティストから「開発機上のデータをすぐにプレビューできる環境がほしい」という要望を受ける。ご存知のように、ゲーム開発はPC上で行なうわけであるが、PCのディスプレイに出力される画面と、実機(家庭用ゲーム機)上で表示される画面とでは微妙に違いがあった。PCと実機のデータのやり取りには煩雑な手間がかかるのだが、PCで修正したデータを即時に実機上で見られることで、よりクオリティーの高い作りこみをしたい……というのが要望の理由だった。そのリクエストに応える形で村田氏が制作した“即時プレビューツール”は、「その有効性にはやっていて驚いた」と本人がびっくりするほどの効果があった。「いま思うと、すべての道はここから始まったのだと思います」。

 ついで取り掛かったのがプレイステーション用ソフト『ベイグランドストーリー』(2000年)。村田氏にとっては、初の全編リアルタイムフル3D(オープニングのみプリレンダー)という同作で、スタッフ数の制約などもあり、より作業効率化が必要とされたこともあり、リアルタイムプレビューはますます重要性を増す。結果として『ベイグランドストーリー』は、「自分で言うのも何ですが、かっこいい画面がたくさんある作品に仕上がりました」という。『ベイグランドストーリー』はすでにプレイステーション2が発売されたあとのタイトルということもあり、「今後は3Dが主流になるだろう」という確信が当時の村田氏にはあったのだという。3Dにより表現が多彩になって、いいものを作るには、手間をかければかけるほどいいという時代が到来する時代が……。

 そしてそれは、プレイステーション2用ソフト『ファイナルファンタジーXII』(2006年)という形で村田氏の前に現れる。かつてないビッグプロジェクトに関わることになった村田氏は、あまりにチームが大規模なために、それぞれのチームごとに特化したツールの必要性に迫られたという。「ハードの性能がさらにあがり、できることも増えていくなかで、各チームごとにそれぞれ求めるものが異なってきた。それぞれに特化したツールがほしいという話になったんです」。

 一方で、時代は当時そろそろ次世代機の波が押し寄せようとしており、「共通の開発ツールがあったほうがいいのでは」という声が、社内から自発的に上がりはじめたという。ご存じのように、それまでのゲームメーカーは、同じ社内であっても横のつながりがあまりなく、社内資産の共有もままならなかった。だが、より開発負担がかかる次世代機にあたっては、社内で共通の基盤を作ったほうが、技術を共有化したほうが効率も上がるだろうという発想だった。自社でツールを開発することで、より自社タイトルのニーズに即したツールを作れるというメリットもあった。

 最初はゆるやかだった“会社横断”の流れは、その後徐々に大きなうねりとなっていき、「共通技術基盤開発に向けて真正面から取り組む部署」として、2006年9月に研究開発部が設立。専任のスタッフがつくことになった。“ホワイトエンジン(仮)”ができたのは、そんな発足からほんの1年後だったというから驚きだ。

 「“ホワイトエンジン”(仮)の方向性は、『ファイナルファンタジー』というシリーズをどう考えているかによって決まりました」と村田氏は言う。当然のこと、『ファイナルファンタジー』はスクウェア・エニックスにおける最重要タイトルであり、新しい共通技術基盤は、『ファイナルファンタジー』で使用されることを前提としていたからだ。

 「『ファイナルファンタジー』の特徴ということを考えた場合に、キャラクターに比重が置かれているという考えがすぐに浮かびました。ビジュアルデザインを優先して、キャラクターのかっこよさを見せることありきの作りかた。この考えが、“ホワイトエンジン(仮)”のベースになっています」。それはつまり、単にリアルなだけではなく、アニメのような“溜め”のかっこよさも取り入れたキャラクターを最重要視した作りかただ。物理的に正確であればいい……というわけではなくて、かっこよく動くことを重視しているのだ。また、大規模な開発チームで使えるということを前提に、チームごとにツールを特化したり、開発者のスキルの違いに対応するために、GUI(グラフィックユーザーインターフェース)にも力を入れたという。

 さて、ここまで“ホワイトエンジン(仮)”として紹介してきた、スクウェア・エニックスの共通技術基盤は、2007年9月のバージョン1.1のリリースをもって、新しい名称に改められた。この講演で世界で初めてお披露目された名称は“クリスタルツールズ”。

 「開発を終えた“クリスタルツールズ”は、スクウェア・エニックスのタイトル開発のなかで進化をしていくフェーズに入りました。開発者からのフィードバックを活かして、さらに表現の可能性を追求していきたいと思っています。さまざまなものに挑戦して、その成果を(GDCで)発表できる機会を楽しみにしています」と話して講演を締めくくった。その成果の発表は遠いさきのことではなさそうだ。

 この“クリスタルツールズ”は、PCとプレイステーション3、Xbox 360に対応(※スクリーン上で紹介された3機種のほか、村田氏が「まだ正式ではありませんがWiiにも対応する予定」との発言も)しており、現時点ではプレイステーション3用ソフト『ファイナルファンタジーXIII』、『ファイナルファンタジー ヴェルサスXIII』、そしてプロジェクトが進行中の“次世代MMORPG”で使用されているという。(※2008年2月25日記事修正)

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