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アートディレクター、上国料勇氏の『ファイナルファンタジー』美術の時間
GDC 2008

2008/2/23

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●『ファイナルファンタジーXIII』トレーラー映像も上映

 

 近年の『ファイナルファンタジー』シリーズにとって欠かせない人物が、GDC 2008でセッションを実施した。その人物とは、『ファイナルファンタジーX』で背景美術ディレクター、『ファイナルファンタジーXII』でアートディレクターを務めた、スクウェア・エニックスの上国料勇氏。プレイステーション3用ソフト『ファイナルファンタジーXIII』でもアートディレクターを務める彼が、デザインするときにどのようなインスピレーションを得たり、自身のデザインがゲーム制作にどう影響するかなど、『ファイナルファンタジー』の美術にスポットを当てたトークがくり広げられた。

 

▲中学校のころは、画家のアンドリュー・ワイエスやイラストレーターのフランク・フラゼッタに憧れ、油絵の画家だった経緯を持つ上国料勇氏。

 

 「スクウェア・エニックスには、デザイナーの募集でデザイン画を送ったんですが、もともと油絵の画家をやっていたんです。それで、そのころの絵もおまけで送ったら、そっちの絵で採用になりました」と、じつは油絵の画家という経歴を持つという上国料氏。気ままに絵を描いていた画家が、ある時期からゲーム制作現場で働くことになり、チームとして作品を手掛けることになったのだ。そこで、「ユーザーが操作するキャラクターの目線を意識して、そのキャラクターの手が届く範囲にデザインの見どころを配置するようになりました」という。デザインに対する意識に変化が表れたわけだ。「画家としてひとりで活動していたときは、絵画なのでデザイン性、トレンドを重要視していなかったんですが、いまの仕事は逆にその要素がいちばん重要になってしまうので、考えかたや物の見かたを180度変えなければいかなかった。カルチャーショックでしたね」(笑)。

 

 上国料氏はスクウェア・エニックスのアートチームにおいて「グラフィックに関わるすべてのセクションに対してディレクションを行う権限があり、場合によっては企画に踏み込んで話をできる」立場にある。アートディレクターが要求するコンセプトと、プランナーが作った企画案に基づいて理想像を作り、各デザイナーにはアートディレクターの定めたガイドラインの沿ってデザインをおこす。ただ、「デザイナーひとりひとりの個性を潰さずに、バリエーションを持たせるために可能な限り自由に描かせるように注意しています」と、スタッフ全員でいっしょになって魅力的な『ファイナルファンタジー』のすばらしい世界を作っていきたいという考えを示した。

 

  スクウェア・エニックスはタイトル、プロジェクトごとにゲームディレターを立てているが、アートディレクターとはどのようなやりとりをしているのか? 上国料氏は「ゲームディレクターからは大まかな設定やゲームシナリオのプロットをもとにしてどういった絵がほしいかというオーダーが来ます。それを受けてイメージイラストをどんどん描いていきます。関係を説明すると、ゲームディレクターの意向を実現するために連繋を取って、新しいグラフィックの表現を実現するために各セクションとのパイプ役にもなります」と説明した。

 

 『ファイナルファンタジー』のような人気シリーズは長期間にわたって実行されるプロジェクト。上国料氏は、「長い期間作り続けていると、途中で自分の考えかたや世の中のトレンドも変わっていきますので、そこは意識して対応します」という。新しい技術が導入されることで表現の幅が広がることもあるため、その作品が持つコンセプトだけに囚われることはないと語った。作品のコンセプトといえば、『ファイナルファンタジー』シリーズのコンセプトは何なのか? 「毎回作品ごとに変わっているので、これだというスタイルがないんです。クールを追求する作品もあれば、オーソドックスなファンタジーを押し出す作品もあるんです」だとか。共通して言えることは、”いずれにしても、強いオリジナリティーを持たなければならない”ということ。上国料氏は「『ファイナルファンタジー』のスタイルを体系化させた人はまだいない」としながらも、歴代の『ファイナルファンタジー』シリーズのアートディレクターは、皆それぞれ独自の『ファイナルファンタジー』らしさやデザインの持論を持っているとのことだ。

 

 上国料氏も開発に携わる話題のプレイステーション3用ソフト『ファイナルファンタジーXIII』。このゲームのトレーラー映像が、同セッションで上映された。このトレーラー映像、日本では東京ゲームショウ2007でクローズドとして公開されたもの。上映後、客席からは大きな拍手が沸き起こった。この映像について上国料氏は、「バトルシーンとそこに繋がるアクションシーンがリアルタイムで、それ以外がCGになります。リアルタイムでは表現しきれないものはCGで作ります。群集が登場するシーンや広大な場所を見せるシーン、物語のクライマックスにあたる大規模なアクションシーンをCGで表現しています」と説明。そして実際に、ゲーム開発で使用されたコンセプトビジュアルを公開してくれた。『ファイナルファンタジーXIII』の舞台となる世界”コクーン”とその中に存在する”都市”のヴィジュアルに、集まった人たちの目も釘付けになっていた。

 

▲セッション後は、現地の開発者に質問攻めされる上国料氏。

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