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”とりあえず受けたい授業 「ゲームサウンド編」”をとりあえず受けてみた
CEDEC 2007

2007/9/27

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●講師は『リッジレーサー』、『塊魂』のサウンドディレクター!

 

 CEDEC 2007の2日目のプログラムで、”とりあえず受けたい授業 「ゲームサウンド編」”という何とも心惹かれるセッションがあった。これはゲームサウンドにスポットを当てたもので、バンダイナムコゲームスのサウンド課に属する大久保博氏、三宅優氏の両サウンドディレクターを講師に迎え、同社の看板タイトル『リッジレーサー』シリーズ、『塊魂』シリーズのサウンド開発の実例が紹介されたのだ。

 

▲プレイステーション用ソフト『レイジレーサー』からシリーズのサウンド開発に携わっている大久保氏。

▲三宅氏は『鉄拳』や『リッジレーサー』のサウンドチームに参加。『塊魂』シリーズからサウンドディレクターとして活動。

 

 まず、昨年のCEDEC 2006で行われたセッション”サウンドチームからのお願い”の復習として、大久保氏がゲームサウンドのおもな役割を「ゲームのシーンや流れをよりドラマチックにして、ユーザーをその世界に引き込み、感情を誘導する。また、プレイヤーの状況を音で知らせることです」と説明。ゲームサウンドは”記号的演出(カーソルを動かしたときの音や項目を選択したときの音)”と”情緒的演出(映画で流れるような場面を盛り上げる音)”に分けられるという。また、演出を効果的にするために伝えたい音に優先順位をつけることで、「プレイヤーに注目してもらいたい部分をわかりやすく伝える役割もある」(大久保氏)という。つぎにサウンドディレクションについて。こちらも昨年のセッションのおさらいとして、「ゲーム開発プロジェクトに初期から参加して、仕様やコンセプトに合わせた発音の仕組みや演出方法のアイデアを提案して、このゲームがサウンドにどれだけの重みをかけているか把握します。これが仕事の組み立ての重要な判断基準になるんです」と説明した。

 

▲大久保氏は「サウンドディレクターに自由に提案させることが、成果を出させるいちばんの方法である」と解説。

 

 続いて、『リッジレーサー』シリーズサウンド開発の実例を、おもに『リッジレーサー7』を中心に大久保氏が解説。『リッジレーサー7』はロンチタイトルという点に重点を置いてサウンド開発に取り組んだそうで、始めはプロジェクトとしての意識を理解したという。また、ハードが売れなければソフトは売れない、話題のソフトがなければハードが売れないという、この関係が及ぼす影響を考えながら『リッジレーサー』プロジェクトの開発が進められた。そのとき、タイトルの狙いや企画、達成目標をヒストリカルレビュー(マーケティングリサーチ、アンケートハガキをもとに、プロジェクト内で行う検討会)と呼ばれる打ち合わせで詰めたそうだ。「PSP版『リッジレーサーズ』以降、この方法でシリーズの方向性を決めています」とは大久保氏。そこでプロジェクトが実現させたいポイントが見えてきたところで、サウンド開発が本格的に動き出した。

 

▲紹介された『リッジレーサー』シリーズの歴史。オレンジ色のタイトルが大久保氏がサウンドに携わった作品で、いちばん左のセルが黄色いタイトルはロンチタイトル。

 

 『リッジレーサー』の新作のサウンドを作るとき、大久保氏は”新要素”、”進化”、”変えない”という3つの要素を重要視するという。エンジン音ツールの提案(『レイジレーサー』で採用)、歌をBGMとして収録(『R4』で採用)、敵車のエンジン音を鳴らしたり過去作品の曲を収録(『リッジレーサーズ』で採用)、サウンドエフェクトがドルビー・デジタルサラウンド、プロロジックIIに対応(『リッジレーサー6』)と、シリーズごとにサウンド演出へのこだわりを見せているのだ。そして『リッジレーサー7』では、次世代感を出すサウンド作りを目指し、すべてのサウンドのフルラウンド化や日本語によるDJボイスの収録、リアルなエンジン音などなど、実現に至らなかったものも含めたさまざまなアイデアがもととなり、『リッジレーサー7』は無事ロンチタイトルとして発売を迎えた。

 

 話題変わって今度は『塊魂』のサウンド開発について。登壇したのは『塊魂』シリーズのサウンドディレクターを務める三宅氏。「サウンドディレクターとしては初めての仕事でしたが、サウンドに関してはすべて任せてもらえました。ディレクターの高橋慶太は温かい目で見守ってくれたし、プロデューサーも僕の言うことを聞いてくれました。このふたりは仲が悪くてそれを仲裁するのも僕の仕事でした(笑)」と、スクリーン上でサウンドディレクターとそれを取り巻く人たちの相関図を見せた。

 

 「新しいことや、オリジナルでなくても、ディティールの積み重ねが多ければ多いほど、そこに引っかかってくれる人が増えるはず。ディティールというのは何かに対する愛情だと考えています。仕事アサインの良し悪しについては、各担当者の能力を観察して適材適所の仕事を割り振ることも大切です。同様にスタッフに楽しく仕事をしてもらうために説明や演出を積極的に行うことが僕の責任でもあり、もこだわっている部分なんです。それと作曲におけるポリシーですが、できないことはやらずに得意なことで勝負します。自分のやりたい方向と求められている方向を一致させることで、ポテンシャルが最大限に引き出されると考えています」。これは三宅氏の仕事と作曲に対するポリシーについて。とくに作曲に関してはアーティストになったつもりで取り組むこと、ゲーム以外の業界にも目を向けることが必要なのではないかと語った。

 

▲『塊魂』のサウンドが生み出された影には、三宅氏の仕事と作曲にかけるこだわりがあったのだ。

 

 『塊魂』と言えば、ゲーム内の楽曲用に10人のボーカリストを起用したことで話題を呼んだが、この経緯について「プロジェクトメンバー全員がこのゲームをおもしろいと思っていたし愛していました。しかし、当時新規タイトルは苦戦を強いられており、『塊魂』を埋もれた名作にはしたくなかったんです。とにかく露出を増やし大作感を煽り、ソフトを売りたかった。それが歌手10人起用プランにつながりました」と三宅氏。このタイアップもゲーム制作の一貫として『塊魂』の世界観構築を狙ったものだと語り、当時、レコード会社に提出した企画書と候補に挙がっていた有名人の名前などを公開した。

 

▲ジャッキー・チェンにテーマソングを歌ってもらう予定だったことから、『みんな大好き塊魂』にはジャッキーそっくりなキャラクターが!

 

 そのほか、『みんな大好き塊魂』のテーマソングは、当初ジャッキー・チェンに歌ってもらう予定だったことや、mcハマーを始めとした海外アーティストの中から10人の歌手を選ぶ計画があったことなど、ここでしかきけない裏話も。最後に三宅氏は、「次世代ゲームでは、プレイするたびに毎回違う楽曲が流れるような、まるでゲームの中にバンドがいるような作品を目指していければいいかなと思いながら、高橋慶太といっしょにプレイステーション3で『のびのびBOY』を作っています。どうなるかわかりませんが、ご期待ください」とコメントした。

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