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Text:永田泰大(週刊ファミ通編集委員)





 ソフトを予約するのが嫌いだ。絶対にイヤだとは言わないが、できればしたくない。理想的な話をすれば、帰り道、電車の中などで「おお、そういえば今日はあのソフトの発売日ではないか」などと思い立ち、財布を覗いて紙幣が足りないようなら銀行に寄り、通る商店街の小さいがなかなか活気のあるゲームショップにふらりと入り、多く仕入れられてはいるものの若干残りが少なくなってきたといった塩梅で置かれているソフトを見つけて手に取り、レジへ行きエプロン姿のちょっとやせっぽちの兄ちゃんへ手渡し、「****円になります! ありがとうございます!」などといった覇気のある応対を受け、ソフトをバッグに入れて足取りも軽く家路につき、途中コンビニでお気に入りのお菓子など購入し、鼻歌交じりで家に着くやコーヒーを沸かして楽な服装に着替え、クッションなどで座る位置を定めたのち灰皿を手元に置き、はやる気持ちを抑えるようにビニールをはがしてパッケージを開き、ぱらぱらと取り扱い説明書など読みつつ基本操作を確認し、おもむろにソフトをトレイに設置するやいなや電源を入れてオープニングをじっくり眺めたのち、万感の思いを込めてスタートボタンをビシッと押したい。そういう人に私はなりたい。

 いかがだろうか。

 そんなわけで、『ドラゴンクエストVII』発売日前日深夜、僕はいまだ予約もせず「なんとかなるさ」と「ヤバいヤバい」のあいだでうだうだしているわけである。

 思い起こせば一昨年の『ゼルダ』もそうだった。いい年してチャリを飛ばした。『パワプロ6』のときは発売日を3日ほど過ぎたあとで突然やりたくなって、けっきょく新宿まで電車で行った。近所のコンビニに『FFVII』があったと聞いて、編集部からダッシュした。『ミスタードリラー』のGB版は昨日ようやく手に入れた。レジの兄ちゃんの応対は悪かった。そういえば『コロコロカービィ』が売り切れてるって本当だろうか。

 どうして予約ができないのだろうか。予約すると負けのような気がする、この根拠なきこだわりはなんだろうか。俺は踊らされないぜ、とでも思っているのだろうか。そのあげくにいい年してチャリで東京中を駆け回っていては本末転倒ではないだろうか。

 そうこうしているあいだに深夜の2時である。もう7時間ほどで開店である。白状しよう。いま強く僕はそう思っている。そう、予約しておけばよかった!

 この際だからこれをご覧になっている人が抱きがちな誤解を解いておこう。いい機会だからおぼえて帰ってください。それは、ゲーム雑誌の編集者だからといって、ソフトを簡単に手に入れられるわけではないということだ。たしかに、そういったことを非常にうまくやってのける人は何人かいる。たしかに、販売状況や予約状況も確認しようと思えば確認できないことはない。しかし、けっきょくは個人の資質の問題である。そういうことがまめにできる人間であれば、ゲーム雑誌の編集者じゃなくてもうまくソフトを入手するし、そういったことができない人間は、たとえ公称部数80万部を売る週刊ゲーム雑誌の編集者をやっていてもチャリで駆け回るしかないのである。だから、「ビビのぬいぐるみが欲しいんだけど無理?」とかいう電話をかけてこないでくれ、友よ。

 そうこうするあいだに深夜の2時を20分ほど回った。『ドラゴンクエストVII』のプレイ日記を引き受けてはみたものの、僕はまずそれを入手できるのであろうか? あ、そういや、これ仕事なんだから、デイリーファミ通編集部が調達してくれてもいいんじゃないのか! どうなのエディ!? 

 とりあえず明日、僕はチャリに乗るのだろうと思う。新宿近辺で、いい年してチャリで駆け回っている男(やや血眼)を見かけたら、『ドラクエ』情報を教えてあげてください。

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