―カラナックを編み出したそうですが、その際のことを教えてください。
少々長くなるぞ……
この銃「アナイアレイター」は
優れた銃ではあるが、発射音が大きいという欠点があった。
だから戦場では、一度撃ったらすぐに射撃地点から移動しないと危険だった……
だが、蒸気の羊亭で飲んでいた時のことだ。
店の片隅で流しの吟遊詩人が哀歌を歌っていた。
お世辞にも歌は上手くなかったが、おそらく計算尽だったのだろう。
店内の壁や天井に彼の声が反響した結果、幾重にも重なったメッセージとして、詩が心に
響いてきた……
そして、いつしか、私も含め、店にいた客全員が涙していたのだ。
ひょっとしたら、銃の発射音を周囲に反響させることで
敵の戦意を喪失させることができるかもしれない。
そうして編み出したのが、カラナック……葬送歌という訳さ
―若年で筆頭黄金銃士隊長の地位を得たときはどんな気分でしたか?
別に。
当然の結果だったし。
……でも父と和解するきっかけにはなったかな。
―攻撃は最大の防御?
戦略の常道じゃなくて?(さも当然のように)
―勝手に婚約者を決めた父親をどう思いますか?
あの時は許せなかった。
けど、いま思えば無鉄砲な私を心配した、父なりの優しさだったのね。
―射撃以外の特技があれば教えてください。
裁縫……かな。
特に編み物は楽しいわ。