小林ゆう『ゆうのお部屋』

【榊一郎先生・その3】原作者と声優の微妙な距離感!?

長らくお待たせしてしまってすみませんでしたー。お待ちかねの榊一郎先生との対談3回目をお届けします。今回のお話は、原作者と声優との微妙な距離感について。それぞれ思わぬところで遠慮があるようで……。


●「声優さんの技術力は本当にすごい!」

ゆう それにしても、今日は先生とお会いできるということで、ものすごく緊張したんですよ。先生はシンクラヴィアさんのお父さんでもありお母さんでもあるわけですから……。

榊 彼女の両親に挨拶にいく彼氏の心境ですか(笑)?

ゆう そうかもしれません。しかも、番組はすでに放送されているわけですし(※)。シンクラヴィアさんをお嫁さんに貰っている身でありながら、挨拶ひとつないということで、先生は怒っていらっしゃらないのかなと。結婚のあとのご挨拶みたいな形になってしまってごめんなさい!

 いえいえ。“ゆうのお部屋”に呼んでもらって私もうれしいです。物書きといっても声優さんとはあまり接点がないので。声優さんは近くて遠い存在なんですね。

ゆう 近くて遠い声優業界ですか?

 たいがいの作家さんが、自分の作品がアニメ化されても、声優さんと会うときは緊張するって言いますからね。

ゆう 先生が緊張されるのですか?

榊 あるライトノベルの作家さんも、「声優さんと会うと、緊張してしゃべれない」っていいますね。あかほりさとるさんみたいに、もともとアニメ畑の人だと免疫があるのでしょうが、そうでもないと緊張しちゃうケースが多いみたいですね。一方では作家仲間では、同じ時期にアニメ化をしていると、「俺のこの作品の声優さんは○○さんだ」、「僕のほうは××さんだ」って言い合いをしている(笑)。まあ、けっきょく私たちはアニメが好きなんですよね。私が原案とシリーズ構成を担当したアニメ『Mission-E』は、郷田ほづみさんが音響監督を担当しておられるのですが、「ウドのコーヒーは苦い」とか、キリコの声で言ってくれないかなあ……とか密かに思ったりしていました(笑)。『まかでみ・WAっしょい!』ではハプシェル役を飛田展男さんにお願いしているのですが、作家仲間からは「カミーユの無駄遣い!」って言われました(笑)。いずれにせよ、いい演技をしてくれた声優さんとはお話をしてみたいのですが、その機会がなかなかなくて。

ゆう 不思議ですね。私たちからすれば、パーティーなどに先生がいらっしゃると、恐れ多くてご挨拶もなかなかできない感じです。先生とキャラクターのこととかをお話してみたい。原作者の先生とお話するとなると、みなさん緊張されると思うのですが……。

 そういうお話はよく聞きますね。こちら側に言わせると、むしろ声優さんの邪魔にならないように、アフレコ現場にお邪魔したときなどは、隅でじっとしていますという人が多いですよ。知り合いの作家なんかも、声優さんが一生懸命演技をしているのにふんぞり返っているのは申し訳ないので、ドアの開け閉めをしていたという人もいますからね。「そういうことをしないで!」って関係者に怒られたらしいですけど(笑)。でも、知り合いの声優関係の人に言わせると、原作者が来ると現場に緊張間が走るみたいですね。やっぱり原作者だから。

ゆう 役者さんはみんな、原作者の先生とお話をさせていただけたらうれしいって思っているのではないでしょうか。少なくとも私はそうです。キャラクターがいて、私がいて、産みの親である先生がいらっしゃる。三者面談というか、温かい時間を体験できると思うんです。先生に対しては「役柄を演じさせていただいてありがとうございます!」という気持ちです

 そういっていただけるとうれしいですね。私たちも声優さんのすごさを実感することが多いですよ。学生時代に自主制作映画を作ったときに、けっこう泣かせるセリフがあったんですね。もちろん自分でシナリオを書いている限り泣きはしないわけですが、この役者さんが情感たっぷりの口調でしゃべると泣けてきてしまう。自分の作った作品がアニメ化されるとその傾向はより強くなりました。字面で見ている分にはまるで感動しないけど、声優さんの演技が入った瞬間に感動してしまうんです。自分の書いたものに泣けてくるのはとても恥ずかしいことなんだけど、感動して泣いている自分がいる。ちょっぴり固い話ですが、“情報の付加価値”ということになってくるんでしょうねえ。本当に声優さんの技術はすごいと思います。

ゆう ありがとうございます! って、いま声優さんの代表選手のような感じでお礼をしてしまいましたけれど、先生が私たち声優に対して素敵なお言葉をかけてくださって、本当に感激です。

原作者と声優さんとのコラボにより、素敵なアニメは出来上がるというわけです。次回でいよいよ榊一郎先生との対談もラスト。次回は小林ゆうさんが榊先生の執筆の秘密に迫る(予定)。

 

【榊一郎先生新作情報】

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『まかでみックス さーど 将軍様と呼ぶんじゃねえッ!』
著者:榊 一郎 イラスト:BLADE
発売日:発売中
定価:630円[税込]
発売元:エンターブレイン

ごくふつうの高校生、周防千里は“アバロン学園都市”に入学するが、そこに待っていたのはとんでもない学園生活だった! ネオ・ハイブリッド学園ラブコメの第3巻です! 


【DVD情報】


『まかでみ・WAっしょい!』DVD「その2である」
発売日:発売中
定価:6090円[税込]
発売元:ティー・オーエンタテインメント
販売元:メディアファクトリー

ハチャメチャな学園ラブコメディ『まかでみ・WAっしょい!』が満を持してDVDでリリース。DVDでは、テレビでは放送できなかった“むき出し”なシーンもたっぷり収録しているとのこと(全6巻予定)。

 

【小林ゆうさん出演作情報】

銀魂 猿飛あやめ役
テレビ東京(毎週木曜日午後6時〜6時30分)などで放送中

まりあ†ほりっく 祇堂鞠也役
チバテレビ(毎週日曜日深夜0時30分〜午前1時)などで放送中


OAD
魔法先生ネギま! 〜白き翼 ALA ALBA〜 桜咲刹那役

OAD
【獄・】さよなら絶望先生 木村カエレ役


※この対談は2008年11月末に行われたものです。


写真/小森大輔 

小林ゆう

2月5日生まれ。東京都出身。以前はモデルを務めていたほどの抜群のスタイルとルックスで人気を集める声優。代表作はアニメ『DAN DOH!!』の青葉弾道役、『魔法先生ネギま!』の桜咲刹那役、『さよなら絶望先生』の木村カエレ役など多数。