小林ゆう『ゆうのお部屋』
赤松健先生×小林ゆうのクロストーク(その2)
人気声優、小林ゆうさんの連載企画がファミ通.comで始動! テーマはずばり小林ゆうさんが“会いたい人に会いに行く”というもの。記念すべき第1回目のゲストは、人気マンガ家の赤松健先生。小林ゆうさんが、切れ味鋭く、赤松健先生の秘密に迫る!(ってホントかな?)
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▲声優小林ゆうさんが、会いたい人に会いに行く。『魔法先生ネギま!』などでおなじみの人気マンガ家、赤松健氏(左)とのトークも佳境に入ってきました。 |
●『魔法先生ネギま!』のキャラ造形の秘話が明らかに
ゆう せっかくの機会なので、インタビュアー・小林ゆうとして、ファンを代表して質問させていただきます。私の後ろにはたくさんのファンの皆様が控えているものと思ってください。
赤松 どうぞ(笑)。
ゆう 私にとって『魔法先生ネギま!』は、心温まったり、キュンと切なくなったり、人生で大切なことを教えてもらうマンガなのですが、私がせっちゃんを演じさせていただいているということをのぞいて、いち愛読者としてお話しさせていただきたいことがあります。私がすごく涙したシーンがあるのですが、それはせっちゃんが……。
赤松 やっぱり、せっちゃんなのか〜(笑)!?
ゆう せっちゃんがエヴァと対決するシーンで(コミック12巻・108時間目「究極の選択」より)、エヴァから剣の道を追求するか、幸せを求めるかの選択を迫られたときに、せっちゃんが「剣も……幸福も……どちらもあきらめません!!」というシーンがあって、せっちゃんがそういうことを言うのがすごいうれしかったです。ほかの方が、ふわっとしたふつうの中学生であるのに対して、せっちゃんはたいへんな境遇で生きてきて、いろんなものを背負っている。私はそうしたせっちゃんが大好きで、そんなせっちゃんを演じさせていただけて、世界いちの幸せ者です!
赤松 し、質問じゃないじゃん(笑)!! ゆう画伯の後ろに控えているたくさんのファンがこけているよ?
ゆう あ、は、はい。うかがいたいことはたくさんあるのですが、先生はどうやって脳みその中で、ああいったすばらしい作品をかんがえていらっしゃるのですか?
赤松 初期のころは単行本単位でストーリーをまとめていたんですよ。たとえば、3巻だったら“エヴァンジェリン編”とか。4〜6巻にかけては“修学旅行編”とか。それはOVAを意識してまとめたものだったのですが、トータルのシリーズ構成を視野に入れたときに、各エピソードのテーマ的なものを考えるんですよ。「最初は木乃香とギクシャクしていたけど、だんだん解消していくお話しにしよう」とか。その過程で、“最後にこういうシーンを描きたい”というイメージが浮かんできて、そこから逆算的にストーリーを考えていくパターンが多いですね。だから、もともとああいうシーンを描こうと思って生まれてくるわけではなくて、流れのなかで自然発生的に湧いてくる感じです。
ゆう なるほどそうでしたか。では、つぎの質問をさせていただきます。せっちゃんはふだんは剣士であるかっこよさと、お嬢様の前ではしどろもどろになるかわいさがあって、とても魅力的なのですが、先生は「こういうキャラにしよう!」と思ってせっちゃんを作られたのですか?
赤松 刹那の半分は、『ラブひな』の素子から来ています。それに半分は別のエッセンスを付け加えました。いま言われて、たしかにいいキャラかもしれないと思いましたね。でも、最近の刹那が見せるかわいい一面は、最初のころにはなかったので、そのへんはやはり、ゆう画伯といっしょに作り上げてきたらこうなったという部分はありますよね。
ゆう 先生にそんなことを言っていただいて、私うれしいです。
赤松 だって、刹那は本当はもっと真面目くさったキャラでしたよ。武士っぽいキャラだった。
ゆう 最初のアニメシリーズで演じさせていただいたときは、音響監督さんから「武士のように演じてください」とお話がありました。
赤松 木乃香お嬢さんと和解してから丸くなりましたよね。
ゆう せっちゃんが変わられて、表情豊かになったのはうれしいのですが、いつくらいからああいうふうにしようというのはあったのですか?
赤松 さっきも言いましたけど、やっぱり声優さんに引っ張られる部分はどうしてもありますよね。アニメ化されたマンガ作品はそういう傾向があると思うのですが、マンガを描いていると、頭の中でそのキャラがアニメの声優さんの声でしゃべるようになってしまう
(笑)。そうすると、どうしてもシフトしてしまうんですよね。そのへんで徐々に変わっていったんじゃないかな。
ゆう それは、恐縮やらうれしいやらです。コミックの10巻目では、バニーガールのコスプレをしたせっちゃんが、髪の毛を下ろしているのですが(「82時間目 麻帆良祭、再スタート!?」)、赤松先生が、それは私のことを意識してくれてのもの……ってホームページに書いてくださっていて、とてもうれしかったです。私、いまでもせっちゃんと同じ髪の分けかたにしているんですよ。
赤松 もともと刹那は、こんなうさぎ耳のコスプレをするような子じゃなかったんだけどね(笑)。
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▲コミック『魔法先生ネギま!』第10巻より。 |
ゆう 赤松先生がお描きになるマンガに、私が少しでも関わらせていただけるなんて、それだけでうれしいです。私、10巻目は大切にしているんですよ。あ、もちろんほかの巻も大切にしていますけどね。ところで、登場する女の子たちはみんな個性的ですが、具体的にはどのような感じで、できあがったのですか?
赤松 前作の『ラブひな』は登場する女の子が5人くらいだったので、私が考えたのですが、『魔法先生ネギま!』はなにしろ31人もいるので、アシスタントとみんなで考えましたね。むしろ私が考えたのは少ないくらい。純粋に私が考えたのは、しずな先生と千雨くらいかな。名前も私が考えた子はいないかもしれないな。
ゆう はうっ!? なんだか、ちょっとジェラシーでした……。「刹那は私が考えました」と言っていただけるものだとばかり……。すみません。
赤松 (笑)。31人も考えられないから。
ゆう でも、先生は千雨ちゃんに思い入れがあるということでしょうか?
赤松 うん、昔はね。でも、最近はみんな平等に愛していますよ。ちなみに、キャラメイキングに関しては、『魔法先生ネギま!』は人数がたくさんいるので、カードに
“外国人”とか“幽霊”とかいった設定をそれぞれ書いて、ランダムにピックアップして作っているんですよ。
ゆう そうなんですか!
赤松 真名だったら、“巫女”で、“色黒”で、“スナイパー”とか。そんなキャラをふつう思いつかないでしょ? でも、カードを引いたら出ちゃったんだからしょうがない(笑)。それでキャラを作ったというのはありますね。
ゆう それが女の子たちの斬新な設定の秘密なんですね!
赤松 でも、刹那はそういうのではなくて、最初からある程度考えていましたけどね。“木乃香お嬢様を護衛する”というアイデアは最初からあったなあ。
ゆう 印象的なセリフは、どこから浮かびあがってくるのですか?
赤松 さきほど言ったみたいにシリーズ構成がありますからね。私だけが考えていたわけではないです。『ラブひな』は私が好き勝手にやっていた感がありますが、『魔法先生ネギま!』は、アシスタントや担当編集、アニメ版のスタッフや声優さんも含めて、みんなでやっている感じがありますよね。
ゆう それはたいへんありがたいお言葉です。ではつぎの質問に……。先生はどのシーンをお描きになっているときがいちばん楽しいですか?
赤松 描いているのはすべて楽しいのですが、読者のみなさんに喜んでいただけるのが楽しいですね。「ネギかっこいい」とか、「刹那かわいい」とか。
ゆう 先生が印象に残っているシーンはどのへんですか?
赤松 えーと、難しい質問だなあ。強いて言えば1話目かなあ。1話目でネギを始めとするみんなが電車から降りて急いで学校に行く……というシーンがあるんだけど、とにかく物量で行こうと思いましたね。ハリウッドならCGでごり押しするところを、緻密な描写の物量で攻めて、読者の方を『魔法先生ネギま!』の世界観に閉じ込めてしまおうと考えたんです。マンガってたいがいキャラクターから入るのですが、世界観から入ったということで、『魔法先生ネギま!』を左右する重要なシーンでしたね。
ゆう 私、
“麻帆良学園中等部2-A・ヒミツの放課後”のバツゲームの収録で、『魔法先生ネギま!』の学生服姿で、あの駅のモデルになった深谷駅に行ったことがあるんですよ。新宿駅から。みんなにジロジロ見られて恥ずかしかったです。
赤松 ゆう画伯の見目麗しい姿に注目していたんじゃないかな(笑)。
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▲コミック『魔法先生ネギま!』第1巻より。 |
ゆう あと、描きやすいキャラクターさんはいますか?
赤松 裕奈なんか描きやすいですね。
ゆう う、ううっ……またジェラシーが……。すみません。
赤松 (笑)。私が右利きなので、向かって右側に髪の毛が流れていくほうが描きやすいんですよ。女の子はおでこのバランスが難しいんだけど、裕奈はバランスが悪くなったら、結び目を移動させれば済むし(笑)。
ゆう 女性と男性だったらどうですか?
赤松 それはもう断然女性ですね(キッパリ)。愛を持って描くことができますから。
ゆう せ、せっちゃんはどうでしょう?
赤松 (笑)。もちろん、愛を持っていますよ!
ゆう ありがとうございます! ところで、先生がマンガ家を志すきっかけって何でしょう?
赤松 い、いきなりベーシックな質問ですね(笑)。
と、小林ゆうさんの天然ぶりが炸裂したところで赤松健先生との対談(2回目)は終了。次回は、小林ゆうさんが赤松先生がマンガ家になるまでのいきさつを聞きます。お楽しみに〜。それにしても、小林ゆうさんは、本当に桜咲刹那が好きなんだなあ〜としみじみ。
『魔法先生ネギま!』最新情報! |
●2009年2月17日発売予定(※完全受注生産) |
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小林ゆうさん出演情報 |
今日の5の2 佐藤リョウタ役 |
小林ゆう
2月5日生まれ。東京都出身。以前はモデルを務めていたほどの抜群のスタイルとルックスで人気を集める声優。代表作はアニメ『DAN DOH!!』の青葉弾道役、『魔法先生ネギま!』の桜咲刹那役、『さよなら絶望先生』の木村カエレ役など多数。
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