ファミ通.com 携帯電話の方はファミ通MAXをご覧ください。

ファミ通媒体メニュー



羽生蛇村日報

羽生蛇村日報 第32報 - 開発者インタビュー(中編)

 こんばんは。時計じかけ豊田です。訪れていただき、ありがとうございます。

 

『SIREN: New Translation(サイレン ニュー・トランスレーション)』の魅力をお届けしていく当ブログ。本日は、ディレクターを務める外山圭一郎氏と、シナリオを担当している佐藤直子氏のインタビュー中編をお伝えしていきます。


 

時計じかけ豊田(以下、豊田) おもしろポスターや看板が随所にある羽生蛇村ですが、各エリアの見どころを教えていただけますか?

外山圭一郎(以下、外山) まず、病院は『SIREN』の病院と学校の融合と言いますか。

佐藤直子(以下、佐藤) 役割としてはそうなりましたね。本当は学校も出したかったんですが……。

豊田 学校の取材には行かれていたのですか?

外山 若干行ってますね。リソース的な限界で、どちらかを選ぶかというところで病院になりました。病院はとくに緻密に取材をしていますので、見どころは本当にいっぱいありますね

豊田 解剖人形を置こうと思ったのも取材から得たアイデアですか?

外山 あれも取材した病院にありまして。

佐藤 頭が取れて転げたりとか(笑)。

外山 いつの間にかそうなってたんだよね。

豊田 “開発チームからこんばんは”で手術室の写真がありましたけど……。

外山 手術室はメチャクチャ気合入ってますね。かなりいい感じに再現されていると思います。

豊田 ちなみに、階段の構造も取材に行った病院をもとにしているんですか?

外山 そうですね。あと、現場にあったという理由で入れたものは焼却炉ですね。ふつう、あんなものが地下にあると思わないじゃないですか。

豊田 あ、実際に地下にあったんですか?

佐藤 そうなんです。実際に屋内の地下にあって。

外山 いや〜、本当に怖かったですね。取材した中でも、あの辺りがいちばん怖かったです。地下は基本的に、撮影にもほとんど使われていないらしく、ほったらかしになっていて。あまりにも怖かったので、本当はそこでイベントをやりたかったんですよ。お化け屋敷を1回作ってみたかった(笑)。いずれ実現できたらいいかなと。

豊田 (笑)。では、つぎに合石岳のお話を……。

外山 目玉は、トロッコを使った仕掛けですね。

佐藤 トロッコは、スクリプトのプランナーから絶対やりたいという意見があって。かなり苦労したんですけど、結果的に非常にいい感じに仕上がったと思います。

外山 『SIREN』では屍人に当たっても貫通していたんですよ。それが心残りで。本作ではふつうに轢けるようになっているので、そこには注目してほしいですね。

佐藤 あそこは取材をしたさまざまな場所を混ぜて作っているので、風景的なおもしろみが強いですね。鉄橋は奥多摩にある鉄橋がモデルになっているので、廃墟感がタップリ出ているかと。

豊田 なるほど。つぎは波羅宿集落を……。

外山 この場所は、取材したものをそのまま、というのではなくて、断片的なものを集めたものですね。とにかく水没の村をやりたいという僕の強い要望があって。ようやく、本当にようやくなんですけど、かなり苦労して完成した場所ですね。

豊田 プレイしているとふつうに感じちゃいますが、あの水没している感覚はやっぱりスゴイですよね。

佐藤 すごくたいへんでした。じつは、水面に力を注いだ関係で、夜の表現ができなかったんです。光が水に反射したり、水面に影が落ちたりするので処理しきれず……。ですので、波羅宿集落には夜のシーンがないんですよ。

豊田 流れているものもさまざまなものがありますし、水自体もちゃんと波打っていて……。

外山 物理エンジンで物を浮かべるのは簡単だと思っていたら、ものすごくたいへんで。「浮遊物がないなら、今回も登場させない!」という強いこだわりがあったので、自前のプログラムを組んで何とか実現できたという。

佐藤 水が濁っているということにもかなり力を入れていますので、じっくりと見てください。

豊田 続いて、刈割の見どころを。

外山 ある意味、『SIREN』シリーズで最初にやりたいと思ったのが棚田だったということもあり、本作でも絶対に出そうと決めていました。本作では、僕の理想に近い完璧な棚田が表現できたと思います。

佐藤 この場所も夜がないんですけどね。

外山 ふつう、ゲームでは水面は均一なんですよ。でも棚田は段差があり、当然ながら水面が反射する場所にも高低差が生まれるんです。それぞれの反射を表現するのは、処理的に非常にたいへんなんですよね。

豊田 でも、棚田は本当に美しいですよね。植物も一見するとただ緑があるだけだと思うかもしれませんが、よく見るといろんな種類があって……。全体を眺めると、本当にキレイな景色を生み出していて。

外山 植物の揺れの設定も、風が通りやすいところとか、風向きを考えて作っていますので。

豊田 続いて、屍人ノ巣のお話を伺いたいのですが。

外山 この場所は『SIREN』とはぜんぜん違いますね。もちろん、本作のほうが理想的と言いますか、こうしたかったということが実現できています。

豊田 僕の印象は整理されたカオスなんですけれども……。

佐藤 カオスには変わりないんですが、どれだけ多くのアンテナで受信するんだよ、という(笑)。

外山 ボンネットバスは僕の希望で取り入れたもので。あれは僕の幼少時にもすでになかったんですけど、田舎に行くと名残でたまに保存してあるのを見たりしていたので。日本の昔の風景の象徴ってことで、ぜひ取り入れてほしいとお願いしたものなんです。

佐藤 ただあるだけじゃなくて、揺れますからね(笑)。構造もアートディレクターががんばってくれて。屍人ノ巣は複雑な構造になっているので、指示するほうも、されるほうもたいへんだったんですよ。立体的なので図面で表現することも難しいんです。チームメンバーで何度も集まって「このつながりはどうなってたっけ?」というミーティングをくり返しながら作成を進めていって。

豊田 さらに、その場所をキャラクターや屍人が動き回るわけですもんね。

外山 もうカオスですよ。内部は本当にカオスですね(笑)。あのゴチャゴチャしたところをどう動かしていいのかと……。本当に毎度のことなんですけど、せめぎあいがあって。ある意味ゲームとして成立させることだけを考えるなら簡単なんですよね、その気になったらどんどん単純な構造にしちゃえばいいだけですから。見せる部分とゲーム部分は切り分けちゃえばいいんですけど、うちのスタッフは絶対にそれをやらないという(笑)。

佐藤 キャラクターと怪力屍人は違うルートを進んでいくので、そういった部分を見ていただけると、スタッフ一同、非常にうれしいですね。

豊田 最後に伊東家ですけれども……。

外山 『SIREN』でもっとも評判を呼んだステージでしたので、敢えて必要最小限の変更でもう一度登場させようと。

豊田 4人目がいたことには驚きました(笑)。

佐藤 外山から目玉になるステージだからという話があったんですが、「そのままだとつまらないよね」と言っていたんです。前回を越えるほどのおもしろさをどうしようかと話をしていたら、いつの間にか4人目としておじいちゃん屍人が増えていて(笑)。それを見た瞬間、「あ、これは絶対におもしろくなる」という確信を持ちました。

外山 タイムアタックに難があるなど、『SIREN』で不満だったところを全部解消するつもりだったので、けっこう作り込んでいますね。侵入方法のギミックも異常に多いですし。

豊田 薪を使った侵入方法には驚きましたよ(笑)。

外山 伊東家のモデルは、僕の妻の実家なんですよ。松戸にある昔は2階建てだった、いまは平屋の家屋なんです。さすがにちょっと古くなってきて危ないので、もうすぐ壊してしまう予定で。ですので、本作で見納めというか(笑)。

豊田 取り壊すまえに、最後にもう一度取材しそうですね(笑)。

外山 「(取材を)するならどうぞ」と言われてますね(笑)。

豊田 あ、エピソード1で訪れる下粗戸のことを聞き忘れていましたが……。

外山 あそこは結構紆余曲折を辿ったエリアで、当初は試作のみのミニマップだったんです。妙に雰囲気がいいというか、おもしろいということで本編で使うことになって。ですので、最初は交番はなかったんですよね。坂を上ったさきにある民家も、当初は廃屋でした。

豊田 あ、そうだったんですか?

佐藤 気づく人は気づくと思います。人が住んでいるにしてはボロ過ぎですから(笑)。

外山 序盤のシナリオがいったん完成し、演出強化のために死体を配置することになったんです。そのときに廃屋じゃダメじゃん、ってことになり……。

豊田 なるほど。

佐藤 急遽、電気を通したり、テレビをつけたりと、住んでいるようにリフォームしました(笑)。

外山 リフォームはしたけど、もとが廃屋なので、壁に穴があったり(笑)。こんなところ住まないよ、という感じですが(笑)。

佐藤 居間と風呂場に死体が置いてあったり、やり直すと新たな発見がある場所ですね。

外山 クローゼットに隠れないで、風呂場に隠れても進めることができますし、警官がドアを開けたところを強引に突破する方法があったり、意外といろいろなことができる場所なので、やり直してみるとおもしろいかもしれませんね。

(インタビュー後編へ続く)

 

 

 

開発チームからこんばんは


 スタッフロールのスペシャルサンクス欄に、『SIREN』で安野依子を演じてくれた水野雅美さんの名前があることにお気付きになったでしょうか。彼女は現在、ご実家の不動産業に関わっていらっしゃるのですが、オープニングを撮れるロケ場所がみつからず途方に暮れていた我々に、軽井沢に所有する別荘用地の使用を快諾してくださいました。まさに女神。しかし突然「2万坪ほど自由にどうぞ」と言われ困惑(笑)。実は撮影にも参加してくれて、儀式の村人の一人として出演もされてます。(外山)

 

 

ブログ後記

 ステージに関するお話をメインにお届けしていきましたが、いかがでしたでしょうか? まあ、もっともビックリしたのは、“開発チームからこんばんは”で述べられた水野雅美さんの情報だったりするかも知れませんが……。というわけで、さっそくオープニングシーンを見直してみました。……え〜、どれが水野さんなのか、よくわかりませんでした(笑)。あとでもう一度見直そうと思います。それでは、今日はこの辺で。ではまた明日。

 

(c)Sony Computer Entertainment Inc.
PS3、SCEIロゴ
プロフィール画像

時計じかけ豊田

ファミ通プロジェクトマネジメント編集部デスク。長くてよくわからない部署名だが、週刊ファミ通および姉妹誌にて"ファミ通チョイス"というマークが入っているタイトルを専属で担当する遊撃隊的部署のことらしい。編集歴10年。頭のネジがちょっぴり抜けている『サイレン』シリーズが三度のメシより好きな編集者。

カレンダー

2008年7月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    


2008年8月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31