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ROCKSTAR HISTORIA Vol.4:『MAX PAYNE』

Text by Mask de UH

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▲強引にUH氏所有のGBA版画像からスタート。

 ROCKSTAR GAMESの歴史を振り返るにあたって、これまでプレイステーション時代における『GTA』シリーズを取り上げてきたが、ビデオゲーム市場に地球規模の革命をもたらした『GRAND THEFT AUTO III』について考察する前に、この度久しぶりの続編登場となったハードコアTPSシューター『MAX PAYNE 3』が、今まさに北米発売直後で話題沸騰という好機が到来! そこで予習復習の意味を込めて『MAX PAYNE』シリーズの歴史を取り上げてみたい。まずは記念すべき第1作目となる『MAX PAYNE』(以下、『MP』)を語らなければ始まらない。
 2001年の7月に北米で発売された『MP』は、時系列では『GTAIII』より少しだけ早い登場となる。対応機種はプレイステーション2、XBOX、PC、そしてなぜかゲームボーイ・アドバンス。ちなみに2003年にPS2版のみEA JAPANより日本版がリリースされている。R★ロゴとEAロゴが並んでいるソフトは、世界広しといえど 『MP』日本版ぐらいではないだろうか?(編集部注:PC版は2001年にP&Aから出ている。ただし日本語マニュアル付き英語版)

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 折しも時代はプレイステーション2全盛期であり、そこにビル・ゲイツがハンバーガーと一緒にXBOXを抱えた広告と共にゲーム市場に殴り込みをかけた年でもある。未知の洋ゲーハード"XBOX"には、ゲームソフトにリージョンがかけられていないタイトルが多いという噂を聞きつけた筆者は、早速アキバに走って本体を購入した思い出も懐かしいかぎりだが、その時に本体と同時購入したのが『MAX PAYNE』だった。

 それも、もう11年前の話なのが感慨深い。11年といえば、生まれた子供が河原でエロ本を拾うほど成長する歳月(いや、2012年の現代社会なら親のPCでアダルトサイト閲覧か)。だが、11年の経年はゲーム内の物語にも反映されている。『MP3』における主人公マックスは、イブシ銀のハゲ親父になってしまったが(編集部注:本当にハゲたのではなく、剃ってる)、11年前の彼は才気溢れる熱血麻薬捜査官であり、復讐に燃える1匹の狼だった。
 雪や小雨が降り、凍てつく空気が人の心までも凍らせる。潜入捜査官として活躍していたニューヨーク市警の若き狼、マックス。ある日、仕事を終えて帰宅した彼を待ち受けていていたのは、街の闇を牛耳る麻薬組織に惨殺された妻子の姿だった……! 途方もない悲しみの後にマックスの心を支配した怒りの炎は、彼を復讐の道へと駆り立てる。市警バッヂを外し、単身で武装したマックスは、敵組織の黒幕を倒すために夜の街に繰り出す……。



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 『MP』のゲームデザインは、非常に硬派なTPSシューターだ。ロングコートに二挺拳銃姿で、襲いかかってくる敵(主に麻薬によって理性を失い、マックスを殺害する命令だけを実行するジャンキー集団)を片っ端から排除するのがメインとなるのだが、ここで火を噴くのが銃撃時のスローモーション効果、いわゆる"バレットタイム"の導入である。特定のタイミングで任意で発動できるこのバレットタイム・システムは、敵の発射した弾丸を目視で確認してから避けつつ、華麗なアクロバット射撃で反撃して倒すという流れで成立しており、それはまさしく『マトリックス』の世界だった。
 そう、この頃時代はまさにマトリックス! ロングコートの内側には大量の武器弾薬を収納し、独特のカメラアングルとモーションで攻撃を退けるキアヌ・リーブス演じるネオの姿は、当時のトレンドである。しかし、『マトリックス』的な効果、視覚イメージ、そしてアクションがビデオゲームに活かされるようになるのは、映画公開より少し後の話。特にバレットタイムは、現在でこそ普通のゲームデザインに思われるが、当時としては画期的だった。『MP』以外にマトリックス感全開のゲームといえば、当時は『CONKER'S BAD FUR DAY』(N64、2001年)におけるモーフィアス救出作戦のパロディステージしか思い当たらないぐらいだ。バレットタイムは『MP』からビデオゲームに実装されたと断言できるだろう(異論は認める)。

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▲というわけで件の『CONKER'S BAD FUR DAY』のマトリックスパロディ。ちなみに開発はRareで、リメイク版が『コンカー: Live and Reloaded』(Xbox、2005年)に収録されてるとか。
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▲弾丸の航跡、側転ジャンプなど、マンマな表現。

 バレットタイムの重要性は、出現する敵が異常に多い時に発揮される。とにかくこの『MP』、襲って来る敵がハンパなく怖い。顔面蒼白で雄叫びしながら銃器や鈍器片手に飛びかかってくる。場所も時間も選ばない。地下鉄で、町中の裏路地で、廃墟と化したビル内で、マックスは集団で襲いかかるジャンキーどもを駆逐しなければならない。1人2人なら慎重に進めば対処できるが、ドアを蹴破った瞬間に完全武装が5〜6人こちらに銃口を向けていた時にゃあ大変だ。バレットタイム無しで乗り切るのは至難の状況だが、このタイミングこそ絶好のチャンス! バレットタイム1つで苦境に勝機を見出せることが理解できれば、『MP』は俄然と面白くなるのだ。

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▲完全にCGカットシーンでも実写動画でもない、実写を加工してコミック仕立てにした独特な表現。

 また、コミックパネルを使用した独特のストーリー展開も『MP』独特の表現である。美麗なCGムービーから幕開けしたものの、ゲームが始まると見劣りするポリゴンモデルの主人公を操作しなければならないというギャップは「没入感を削ぐ」という意見が多く、HD標準の現在でこそ克服されたが、当時は開発会社の命題として各社が様々な工夫を凝らしていた。コミックパネルという表現は、ハードボイルドな劇画タッチで進行し、動画ではなくマンガのコマで物語が進む一種のバンド・デシネ(ベルギー/フランスを中心に発展したコミック表現手法。『メタルギア・ソリッド』シリーズでも『メタルギア ソリッド バンドデシネ』で取り入れられた)に早い段階で挑戦していることが伺い知れる。

 しかし、様々な新しいシステム/ファクターが取り入れられた『MP』は、実は純正のR★開発ではない。開発を担当したのはREMEDY ENTERTAINMENT(近作はサイコサスペンスゲームの『アラン・ウェイク』)、プロデュースは3D REALMSが担当しており、『GTA』などの自社開発タイトルとは一線を画しているのが最大の特徴ともいえるだろう。また、様々なジャンルのゲームを手がけるR★であるが、実は純然たるTPSシューターど真ん中のシリーズは『マックス・ペイン』しか存在しない。これまた意外な話だが、同業他社が続々とTPSやFPSのタイトルを時流に乗ってリリースしまくっている状況と比較すると、R★がシューターゲームに対してなにがしかのこだわりを持っていることに気がつくだろう。

 この続きはマックスの復讐譚第二章『MAX PAYNE 2:FALL OF MAX PAYNE』を考察しながら、掘り下げてみたい。漆黒のノワール活劇から一転してビターなラブストーリーに変貌した続編を語らずして『マックス・ペイン3』は遊べない。どれだけ時間が経過していようと、物語は全てつながっているのだから。

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