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永久保存版: ロックスター・ゲームスのキーマン、ダン・ハウザーインタビュー(後編)
2012.02.15
Tag: News,

前編中編後編

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 ロックスター・ゲームス特集を行った、週刊ファミ通2011年11月10日号(2011年10月27日発売)に掲載した、ロックスター・ゲームスのクリエイティブ担当副社長、ダン・ハウザー氏のインタビューを3回にわたってお届けします。
 ハウザー兄弟のアーリーデイズからスタジオのポリシーまでを追った初回『グランド・セフト・オート』誕生の秘密を探った前回に引き続き、ロックスター・ゲームスにおけるリアリティ、モバイル市場に対する考え、そして今後の展望まで聞きますます。聞き手はロックスター・ゲームスファンならおなじみの人も多いかもしれない、洋ゲー冒険家のマスク・ド・UH氏。



プレイヤーが我々のやりたいことを感じ取ってくれることが目標だ

――ロックスターのゲームの根本にあるのは、飽くなき没入感へのこだわりだと思います。そのこだわりは『グランド・セフト・オート:サンアンドレアス』でひとつのピークを迎えたと思いますが、そこから『グランド・セフト・オートW』を開発するまでには、相当な苦労があったと推察できます。
ダン 没入感は、クリエイティブなものすべてにおいて共通する重要な要素だと考えている。クリエイティブな作品は、観る人をその世界に引き込むことを目的としているんだ。なかでもゲームは、没入感をプレイヤーにもたらすには、非常に優れたエンターテインメントだ。そして、我々はつねに人を引き付ける作品を作りたいと考えている。没入感を提供するという意味では、『グランド・セフト・オートW』の開発でいちばんたいへんだったのは、すべてをHDで描写された世界にすることだった。かつて、プレイステーションとプレイステーション2の移行に合わせて、『グランド・セフト・オート』シリーズが2Dから3Dに移行したときと同じように、『グランド・セフト・オートW』では全部をHDに移行させた。グラフィック、アニメーション・システム、カットシーン、フェイス・アニメーション、クルマの操作など、すべての要素を、よりリアルに感じられるようにしなくてはいけなかった。もちろん、街でミッションを受けてゲームが進行するというゲームデザインの根幹部分は共通しているが、ほかは全部作り直したんだ。

――通常の発想では、HDでゲームを作る場合は、グラフィックを極限まで美しく再現することに心血を注ぐものですが、『グランド・セフト・オートW』で目指したのは、リバティーシティの汚い街並み、道路のツギハギやゴミ捨て場、ファーストフード店の中の残飯などを細かく再現する方向ですよね?
ダン それが、『グランド・セフト・オートW』でリード・デザイナーを務めたアーロンの天才的な才能なんだ。彼はビルを美しく見せるのではなく、汚すことでよりリアルに見せた。彼は汚すことに、とても時間を掛けるんだ(笑)。それと同じように、登場人物も英雄的な人物ではなく、ある面は人間臭く、ある面は愚かな性格にしているんだ。

――HDは限界知らずの作り込みが可能ですが、そこでロックスターがやったことは、風景やクルマを美しくするだけでなく、“人間らしさ”を極限まで表現することに心血を注いでいたように思えます。
ダン まったくその通りだ。ゲームの登場人物を、本当に生きているように感じてもらいたいんだよ。リアリズムを追求しているとは思わないが、リアリティを歪んだプリズムで見るような感じだね(笑)。現実的な質感があっても、登場人物の感情が捻じれている。キャラクターの感情がデフォルメされていても、どこか信じられる部分があること、プレイヤーにその匂いを感じ取ってもらいたいし、同時に汚い部分……人間らしい愚かな部分があると感じてほしいんだ。

――ゲームで人間味を表現することへのこだわりは、『L.A.ノワール』で、いっそう強くなったと思いますが?
ダン ある意味ではそうだね。『L.A.ノワール』は、デザインが漸進的でクールであり、ストーリーが興味深く、風景を見ても美しい。この作品はほかのタイトルとは違い、独自のものを作り出すことに成功したと思う。いずれもロックスターのゲームなんだ。

――最新作となる『マックス・ペイン3』では、登場人物がいっそう表情を見せていて、ロックスターのクオリティーが、つぎの段階に到達したと感じましたよ。
ダン 『マックス・ペイン3』は、オープンワールドのゲームではないが、それを作るのと同じくらいの力を注ぎ込んでいる。さまざまな場面で革新的なことに挑戦しているよ。良質のアクション映画と同じような興奮を、ゲームで感じてもらいたい。徹底したリアリズムも、その方法論のひとつなんだ。

――日本から海外産のゲームというジャンルを観察していると、FPS(一人称視点シューティング)を主体とした戦争のゲームが目立つ傾向にありますが、ロックスターはそのジャンルには行かないですよね。やはり、あえて避けているのでしょうか?
ダン いまは意識して避けているよ。他社のやることはやらないのは、我々に流れるDNAのようなものだ。FPSに近いゲームがあるとすれば、『マックス・ペイン3』が該当すると思うが、ストーリーだけでなく、設定やゲームプレイに独自の要素を取り入れているんだ。ゲームには、オリジナリティーや何かおもしろいメッセージが入っていなければいけない。プレイヤーが我々のやりたいことを感じ取ってくれることが、ロックスターにとってのゴール地点とも言えるかな。

モバイルゲームに対しては何の戦略も持たないのが戦略

――今後の展開として、やはりスマートフォンを始めとするモバイルへの参入が気になります。この新しい市場に対して、どのような展開を考えていますか? ダン モバイルについては、据え置きのゲーム機と変わらない戦略を取るよ。つまり、“何の戦略も持たない”ということだ。純粋に、自分たちが確信を持てるクオリティーのゲームを作ることに焦点を絞っているんだ。そのような仕事をしている会社であることを誇りに思っているからね。“ビジネスの機会があるから”とか“市場のどこそこに隙間があるから”という理由で、商品を作るということはない。真剣に取り組んで、満足できる正しいことをやっていけばいいと信じている。モバイルがすべてのゲームを飲み込むとは考えていないが、重要な部分でもある。まったく商品を作らないのは愚かなことだ。過去、携帯ゲーム機が生まれたときに起きた強烈な現象は、すでにモバイルの市場で起こっているが、我々は携帯ゲーム機の市場において、成功も失敗も経験しているからね。

――モバイルの、タブレットやタッチスクリーンといった特徴的な操作性については、どう考えていますか?
ダン それは非常に重要な部分で、操作性に注目するのは正しいよ。モバイルのグラフィックがよくなれば、今度はコントロールのよし悪しが注目点になるからね。

――操作性以外にも、モバイルはゲームにとって重要な課題です。ロックスターは、モバイル業界の今後をどう捉えていますか?
ダン あくまで個人的な意見だが、一般的にモバイルの業界では、いい商品を作るのではなく、お金儲けだけに焦点を絞る人が多いと感じている。我々もビジネスをやっているので、もちろん収益を上げなければいけないし、そのための知識は大事だが、自分たちは優れた商品を作ったうえで、ビジネスにしたい。質の高い商品をさらに高めていくことで、ブランドを大きくしていければいいと思うんだ。だから、品質面で劣るような商品は送り出したくないよね。ゲームはビジネスとしても重要だが、ビジネスだけでは気が滅入るし、退屈だね。我々は金を儲けたいという理由だけでゲームを作っているのではないということを理解してもらいたいんだ。

――時代の節目となるモバイル市場に対して、ロックスターは先のことを考えていますか?
ダン 我々はいいものを作ろうとしているだけで、先端技術を予測したりはしない。ハードウェアを作っているわけではないからね。ゲームメーカーの視点としての話をしよう。ロックスターは、新しい形のゲームプレイを、モバイルやタブレットが持つユニークな特性を活かしたうえで実現することに努力しているし、この点に関しては、誰も追いついてきていない。ビデオゲームには35年の歴史があるわけだが、映画の歴史に比べて、非常に速く大きな進歩を遂げてきた。我々がいまやっていることは驚くべき、複雑な作業だ。進化はとてつもなく速く、つねに緊張感に溢れている。6年間でハードウェアがこんなにも進化したわけだからね(笑)。すごい速度で進むゲームという分野の真っ只中に身を置いて、アートが変化していくのを間近で見られるのはうれしいよ。

自分たちが遊びたいと思う作品を必ず買ってくれる人たちがいる

――今後、ロックスターが見据えているゲームの未来は、どんな形なのでしょう?
ダン 我々にとっての未来とは、“新しいことをやり続けること”だと思う。これまでは既存のジャンルでもほかとは違うものを作ったし、『グランド・セフト・オート』シリーズのように、自分たちの手で独自のジャンルを作った。変わったところでは、卓球のゲームなんかも作ったね(笑)。そういう意味において、つねに新しく、ほかとは違うものを作り続けていきたいんだ。伝統的なゲームプレイに新しい捻りを加えたり、キャラクターの性格をより進化した形で描写することには大いに興味があるからね。

――それはやはり、最初に述べられた思想の追求を続けていくということですね。
ダン 自分たちがやってきたことは、どこかのビジネス書で誰かが書いた経験を実践したわけではないんだ。同じチーム、非常に優れた人々と仕事を続けてきたことだけだ。また、それは決してひとりやふたりの話ではなく、ロックスターの全員が貢献してくれたことが、自分にとって重要なんだ。会社の指針として、ただ成功することやお金を儲けることに注力してこなかったからこそ、成功したのだと考えているよ。サムが、「消費者から見ればビデオゲームは高価だ。50ドル以上も払ってもらうのだから、本当に楽しんでもらえるようにしなくてはいけない」とよく言うのだが、いいゲームを作ることだけを第一と考え、できる限りの努力をしてきた。そこから先の結果は、自然に付いてくる。自分たちが遊びたいと思えるゲームを作れば、必ず買ってくれる人たちがいると信じているんだ。

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