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Grand Theft Auto
マックスペイン3
『グランド・セフト・オート:バイスシティ』10周年記念盤トレーラー
永久保存版: ロックスター・ゲームスのキーマン、ダン・ハウザーインタビュー(中編)
2012.02.14
Tag: News,

前編中編後編

dan_houser_ph

 ロックスター・ゲームス特集を行った、週刊ファミ通2011年11月10日号(2011年10月27日発売)に掲載した、ロックスター・ゲームスのクリエイティブ担当副社長、ダン・ハウザー氏のインタビューを3回にわたってお届けします。
 ハウザー兄弟のアーリーデイズからスタジオのポリシーまでを追った前回に引き続き、今回は『グランド・セフト・オート』誕生の秘密を探ります。聞き手はロックスター・ゲームスファンならおなじみの人も多いかもしれない、洋ゲー冒険家のマスク・ド・UH氏。



『グランド・セフト・オート』はすべての基本であり思想の中核

――いよいよ質問を、核心へと進めます。やはり、『グランド・セフト・オート』シリーズが、ロックスターの中心を成すタイトルだと思います。まずは、記念すべき第1作目の『グランド・セフト・オート』を世に送り出すことになった経緯を教えてください。とくに、あのような“クライム・アクション”というテーマを思い付いた理由は?
ダン あれは、英国人である我々が、北米のマスメディアを見た反応が原点だ。アメリカのギャング映画と、チープなビデオカメラで撮影されたニュース映像が全米に生中継される状況を、ゲームに取り入れたんだ。たとえば、O・J・シンプソンと、彼を追いかける警察とのカーチェイスがワイドショーに生中継されていたときの衝撃。そこに、アメリカのギャングスター映画、そして現実のギャングをゲームで表現したんだよ。そんな世界に身を置いたプレイヤーが、思うがままに行動 を取れる。そんなコンセプトで生まれたのが、『グランド・セフト・オート』だ。

――『グランド・セフト・オート』は、それまでのタイトルとはまったく違う、新しい可能性を持っているゲームだと思いました。
ダン それは、自分たちも思っていた。最初の『グランド・セフト・オート』は、ロックスターが作るゲームすべての基本となり、後に中核となる理論の先駆けでもあったんだ。それまでのゲームといえば、宇宙戦争やファンシーなキャラクター、ファンタジーの世界でドラゴンと戦うといった定番ジャンルばかりだったけど、その定番以外を求める人たちが存在していると考えたんだよ。決して、定番のテーマが悪いわけではないよ。発想さえよければ、いままでとは違う設定でも成功できるという思想があるんだ。

――確かに当時は衝撃的だった分、ほかのタイトルと比較して浮いていた印象を受けました。ギャング映画の世界を再現したゲームなんて、ほとんどありませんでしたから。
ダン 風変わりな内容だったり、単に暴力的なゲームはほかにもあったが、SFやファンタジーの要素のほうが強かったんだ。『グランド・セフト・オート』のようなスタイルのゲームはなかったから、浮いて見えたのだと思う。内容には自信があったが、ほかのゲームに比べてもグラフィックは原始的だったし、ゲームデザインにも説得力がなくて、プレイヤーは当惑したと思う。また、当時のプレイステーションでは、自分たちが実現したかったゲームを作るには限界があって、急進的なゲームデザインは難しかった。妥協を余儀なくされた部分も大きかったんだ。

――しかし、そのようなハードの性能限界による妥協や制限は、『グランド・セフト・オートV』の登場によって、根本から変わりましたね。あれは、“革命”と呼べる出来事だったと思います。ゲーム市場を揺るがせた、あのオープンワールドは、どういったきっかけで生まれたんでしょうか?
ダン 『グランド・セフト・オートV』の1年前にリリースした『Smuggler's Run(スマグラーズ・ラン)』と『ミッドナイト・クラブ』で、すでにオープンワールドを実現していたんだけど、ドライバーがクルマから降りることはなかった。
 『グランド・セフト・オート』と『グランド・セフト・オート2』もオープンワールドではあったけど、2Dの時代であり、グラフィックもよくなかったよね。そこで、「3D環境で、ドライビングにアクション要素をプラスし、さらに行動範囲が制限されないゲームは魅力的じゃないか?」と考えた。同じような発想の作品はあったけれど、我々は、この発想を実現するためには、コンテンツをおもしろくすることがもっとも重要だと考えたんだ。

――制限を撤廃するところから開発がスタートするのは、コロンブスの卵以上の発想の転換であり、非常に勇気がいると思います。
ダン 『グランド・セフト・オートV』の開発に着手した当時は、プレイステーション2の初期段階だったけれど、3D環境で自由に行動できるゲームは、ゲームが持つ可能性を拡大できると考えていたんだ。自由に探索できることは大事だよ。プレイヤーができることを自由に選択できれば、おもしろい作品になると思ったんだ。

――その発想自体が、何かと制約の多いゲームビジネスの枠の中では生まれるものではないと思います。ある意味、現代アートを作る発想に近いのではないかと。
ダン その通りだね。これまでとは違う経験をプレイヤーに提供するのが、我々の目標なんだ。ゲームは多種多様でなければいけない。そして、オープンワールドを自由に探索するおもしろさは、まだ可能性を秘めている。『グランド・セフト・オートV』から10年経った現在においても、我々は氷山の一角を削っただけに過ぎない。進化して、変化をくり返し、ここまで到達した……と思いたいね。最初のアイデアは、必要に迫られたところからスタートしている。オープンワールドやほかとは異なるテーマ、デザインのゲームを作り始めた理由のひとつは、従来のゲームでは、とても日本のゲーム会社に太刀打ちできないし、マーケティングも彼らほどうまくはできない。従って、自分たちの方法論でやるしかないと考えたからだよ。

――ロックスターの独自性を市場に売り込むために始まったアイデアだったということ?
ダン そこにチャンスがあると思ったからね。

ゲームは新しいテレビであり多様なチャンネルが存在すべきだ

――『グランド・セフト・オート』シリーズに限らず、ロックスターの作品は、さまざまなジャンルの集合体だと見受けれますね。そこにポリシーを感じます。
ダン よく、「ゲームは新しい形の映画なのか?」と質問されることがあるけど、自分は「新しいテレビだ」と思っているんだ。テレビは、娯楽としてスポーツでもコメディーでも映画でも、何でも提供してくれる。ゲームも同じだと思う。スポーツが好きな人から、連続ドラマのストーリーを楽しむ人まで、幅広く満足させる柔軟性が、テレビにはあると思う。しかし、映画の場合は、かなり制限があると思うんだ。まず、2時間程度という時間的な制限があり、物語の構成もだいたい決まっている。だから、世界中で似たような内容の映画が多く生まれ、そこには、自由度があまりないと感じてしまう。映画はもちろん、ほかのゲームを批判するわけではない。いいゲームも悪いゲームもあるし、我々に刺激を与えてくれた作品もある。デザイン、コンテンツの両面で、世界にはさまざまなゲームが存在する必要があると考えているよ。

――ロックスターのゲームは、文化のミスクチャーだと感じます。たとえば、『グランド・セフト・オート:バイスシティ』(以下、『バイスシティ』)を初めてプレイしたとき、いきなりカー・ステレオからマイケル・ジャクソンの名曲が流れたことに、たいへん衝撃を受けました。あれは、ゲームと音楽の関係性すら変えたと思います。
ダン マイケル・ジャクソンの楽曲を起用することは、最初は実現不可能だと思っていたんだけど、彼自身がビデオゲーム、我々の作品の熱烈なファンであり、人気があってクールなものと関わるのが好きだったことが幸いして、彼個人が承認してくれたんだよ。そう言えば、『バイスシティ』は、『グランド・セフト・オートV』のリミックス・アルバムを作るようなイメージで制作したんだ。プレイヤーがゲームで許されるのは、ジャンプしたり撃ったりすることだけだった。そうではなくて、ゲームの世界にただ存在することが許される作品……クルマに乗ってあちこちをドライブする、ビーチをただ散歩して眺める、音楽を聴くなど、現実の世界と同じように、“ただ、そこにいること”が可能なゲームを作りたかったんだよ。その点では、音楽が重要な役割を果たしてくれたと思う。

次回:ラストはR★のこだわり、そして未来への展望について。

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