『GTAV』デモリポート システム編
『GTAV』デモリポート システム編
『GTAV』デモリポート “Blitz Play”編
『GTAV』デモリポート “Blitz Play”編
『GTAV』カバーアートが公開
『GTAV』カバーアートが公開
『グランド・セフト・オートV』初のゲームプレイ映像が公開!
『グランド・セフト・オートV』初のゲームプレイ映像が公開!
Grand Theft Auto
マックスペイン3
『グランド・セフト・オート:バイスシティ』10周年記念盤トレーラー
『マックス・ペイン3』に影響を与えたブラジル映画『エリート・スクワッド』とは何か
2012.02.21
_sell

 ロックスター・ゲームスと映画は、切っても切り離せない存在だ。その関係の深さは、1979年のカルトクラシック『ウォーリアーズ』をゲーム化した『The Warriors』(PSP/PS2/Xbox、日本未発売)を手掛けているというだけでなく、各タイトルのインタビューで必ず映画に言及されるほど。一説には、映画をはじめとする参考資料を調べるリサーチチームも存在するとされる。

 2007年に公開されたブラジル映画『エリート・スクワッド(原題:Tropa de Elite)』は、ロックスター・ゲームスが『マックス・ペイン3』を制作するにあたって参考にした映画として挙げている1本だ。だが、この映画を評するのは実に難しい。なんせ、ニューヨークタイムズのマノーラ・ダーギスなど酷評する批評家もいたりするのだが、一方では、監督のジョゼ・パヂーリャが本作と2010年の続編『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE(原題:Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora E Outro)』により、『ロボコップ』のリメイク版の監督に抜擢されているほど評価もされているのだ。
 しかしながら、これだけは言える。本作は実に(こう言っちゃなんだけど映画版『マックス・ペイン』よりも)ロックスター・ゲームスらしい映画である。それでは、トランスフォーマーから12月にリリースされたDVD版をご紹介するとしよう(そう。2007年の作品だったが、最近まで噂の佳作でしかなかったのだ。まるで『マックス・ペイン3』に合わせたかのようなタイミング!)。



ストーリー概要

ES1

 ストーリーの中心となるのは、ブラジル軍警察のエリート特殊部隊BOPE。リオ・デ・ジャネイロにローマ法王が来訪することとなり、手段を選ばないことで知られるBOPEに、スラム地帯から麻薬ディーラーを一掃せよとの命令が下される。BOPE隊長のひとりナシメントは、妻の妊娠をきっかけに後継者を育成して過酷な隊から引退することを考えていたが、渋々これが最後の任務だと引き受けることに。
 一方その頃、正義心に燃える新人警官のネトとマチアスは、麻薬ディーラーとさえも癒着した腐敗しきった警察の実態に直面していた。ある夜、スラムの路上で行われるダンスパーティーを舞台に、ナシメント、ネト、マチアス、3人の男たちの抱えた複雑な感情が、一発の銃弾を引き金に交錯する……。


怒れる負け犬男たちのリベンジストーリー

 なぜ本作がロックスター・ゲームスらしい映画と言えるのか? それは登場人物たちが、全員挫折感と怒りを抱えた“負け犬男”たちだからだ。ナシメントは、過酷な任務と我が子を育てるにはあまりにも心配なリオの情勢に心が崩壊する寸前だし、ネトとマチアスは、癒着がつきない警察内部でも、ギャングやドラッグと日常生活が密着している周囲の人々とも、反りが合わずに孤立していく。

ES1

 近年のロックスタータイトルの主人公たちは、総じて負けた状態からスタートする。『グランド・セフト・オート III』のクロード・スピードは銀行強盗の最中にしくじり危うくムショ送りになりそうな所だったし、戦いの日々に疲弊しきって一発逆転のチャンスに賭けるためにアメリカにやってきた『グランド・セフト・オートIV』のニコしかり、政府に強要されてかつての仲間と対峙し瀕死の重傷を負う『レッド・デッド・リデンプション』のジョン・マーストンしかり、両親に疎まれた果てにサイテーな学校ブルワース・アカデミーに放り込まれる『BULLY』のジミー・ホプキンスであってさえも、要はどうしようもない状態に叩き込まれた男たちが己の力で這い上がるという話なのだ。



 ここで『マックス・ペイン3』に至るまでのシリーズの主人公マックス・ペインを再確認しておこう。初代『マックス・ペイン』がそもそも妻子を殺された元刑事の復讐譚で、復職した『マックス・ペイン2』でも再び事件の荒波に飲み込まれ、『マックス・ペイン3』でマックスがブラジルにやってくるのは、心破れて心機一転、旧成長する新興市場ブラジルの富豪のボディガードという仕事に魅力を感じてのことなのである。にも関わらず(案の定と言うべきか)富豪の家族が拉致され、ふたたび棺桶に片足を突っ込むハメになるのだから、マックスもまた、ロックスター・ゲームスが描いてきた男たちの系譜に正しく属する人間である。


 とはいえ、誰だって、別に世界の王になりたいわけじゃない。暴力と隣り合わせだからこそ「普通の暮らしも悪くねぇ」と思うことだってある。だが『マックス・ペイン3』にせよ『エリート・スクワッド』にせよ、物語の呪縛は暴力となって男たちに襲いかかる。どうしようもなくサイテーな世界の暴力に対して、人並みにすらなれない連中ができることと言ったらひとつだけだ。ブッ放すしかない。それ以上の力で世界を逆に服従させるしかない。

容赦ない暴力と命の安さ

 『エリート・スクワッド』は、それこそニューヨークのお上品な映画ライターが見たらドン引きするのかもしれないほど暴力が日常の隣り合わせに唐突に出てくる映画だ。戦いは戦場でも、悪の大邸宅でもなく、さっきまで子供が遊んでいた路地で行われる。しかも、ほとんど子供と変わらない連中を相手に。
 スラムはギャングと麻薬が隣り合わせのものとして、当然のことのように描かれる。『エリート・スクワッド』に出てくるギャングたちは、ビシッとスーツで身を固めているイタリアンマフィアや、ダボダボの服を着たアメリカのギャングスタ・スタイルのようなかっこよさはない。サッカーのユニフォームやタンクトップなど、普段着でライフルを担いで街中を歩いているという、ラフにもほどがあるスタイルなのだ。スラムの子供がそのまま育って銃を持ち、麻薬密売の片棒を担ぐというファベーラ(リオの貧困地帯)の過酷な現実は、その服装からも見て取れる。『マックス・ペイン3』のすでに公開されている画像にも、こういった服装のギャングたちが、スラム街の一角でマックスに向かって銃撃している様子が多数収録されている。

ES1

 もうひとつ特徴的なのは、容赦のない激しい暴力描写だ。誰もが癒着しているように描かれるリオの警察機構にあって、BOPEはカルト宗教かと思うほどの鉄の意志をもって正義の鉄槌を振り下ろす異様な集団として描かれる。入隊希望者を振り落とすためのキャンプの描写は非常に印象的だ。それもそのはず、これは、何も信用できない世界で仲間と正義のみを信じる男を作り出す、一種の洗脳儀式なのである。だから、その試練をくぐり抜けたBOPE隊員は、目的のためならば女性や子供の拷問さえも敢行する。責め抜いて恐怖で情報を吐き出させ、一度標的を捕捉すれば圧倒的な暴力で一網打尽にし、殺すと決めた者は必ず殺す。標的となったことを知ったギャングが震え上がるのも道理である。
 あまりにも犯罪と命の価値が安いことと裏腹の、圧倒的な暴力。ふたたび武器を手に立ち上がらざるをえなくなったマックスが直面するのも、このふたつの過酷な現実だ。果たしてマックスはいかに戦い、いかなる結末を迎えるのか? 『エリート・スクワッド』は、確かにその予習編として見ておくのに最適な映画の1本である。(編集部:ミル☆吉村)

『エリート・スクワッド』製作:ジョゼ・パジーリャ/マルコス・プラド、監督:ジョゼ・パジーリャ、脚本:ブラウリオ・マントヴァーニ/ジョゼ・パジーリャ/ロドリゴ・ピメンタル
2008年ブラジル / クライム・アクション / 英題:ELITE SQUAD
【DVD / 115分 / カラー / 片面2層 / 音声1:ポルトガル語ステレオ 字幕1:日本語字幕 / 画面:16x9 ビスタ】

販売元:トランスフォーマー 価格:3990円[税込]
(c) 2007 Zazen Producoes Audiovisuais Ltda. / Universal Pictures International B.V. / Posto9 Producoes Ltda. / Estudio Mega Ltda. / Quanta Centro de Producoes de Sao Paulo Ltda. All rights reserved.


2_small
-
-

『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』監督:ジョゼ・パジーリャ、脚本:ブラウリオ・マントヴァーニ/ジョゼ・パジーリャ/ロドリゴ・ピメンタル
2010年ブラジル / クライム・アクション / 原題:ELITE SQUAD 2 THE ENEMY WITHIN
【DVD/ 115分 / カラー / 片面1層 / 音声1:ポルトガル語ステレオ 字幕1:日本語字幕 / 画面:16x9 ビスタ 】

販売元:トランスフォーマー 価格:3990円[税込]
(c)2010 ZAZEN PRODUCOES AUDIOVISUAIS LTDA/FEIJAO PRODUCOES CINEMATOGRAFICAS LTDA/ GLOBO COMUNICACAO E PARTICIPACOES S.A. TODOS OS DIREITOS RESERVADOS

メインページ