大塚角満の ゲームを“読む!”
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ここんとこ立て続けにイレギュラーな仕事やら、会社のなにやらが入ってきてしまって、原稿を書く以前に、まともにゲームで遊べない。『モンハンクロス』も、まだ触りの部分しかプレイできていないのでエラソーなことは書けないのだが(そもそも偉そうなことなんて書けないがw)、ちょっとだけ、どうしても記しておきたいことを。
11月28日の発売日、早朝5時に新宿のビックロに赴いて『モンハンクロス』の発売記念カウントダウンを見守った。そして、関係各位への挨拶もそこそこにイベント会場を後にし、家路の途中にある量販店でも『モンハンクロス』のみ早朝販売をしていたので、そこで無事、ソフトを手に入れることに成功したのでありました。
帰宅したのは、午前9時ごろだった。
まずは、空腹の腹いせに「おんぎゃぁぁぁあ!!! あんぎゃああああ!!」と大音声で鳴き叫びながら足にまとわりついてきた飼いネコのミュウを蹴飛ばし、「ホレ!! 好きなだけ食え!!」と吐き捨てて食器にエサを出してやる。
「にゃわわわわん……!!」
毎度のことだが、歓喜の声を漏らしながらネコメシをがっつくミュウを見て、思わず「バカだなぁ(苦笑)」と呆れ笑いが漏れる。こいつを家に迎えてから18年間、毎日のように展開される朝の風景だ。
俺はその足で、棚の上に置いてある青い箱の前にやってきた。そして箱に向かって「おはよう。『モンハン』の新作買ってきたんだー」と小さな声で報告してから、供えてある手のひらサイズの皿を手に取る。
「いま、水をかえてやるからね」
キッチンに行き、相変わらず「にゃわわわん!!」と鳴きながらエサと格闘しているミュウを横目に、皿の水を交換する。それを再び青い箱にお供えしてから、俺は小さな声でつぶやいた。
「いまから『モンハンクロス』やるんだぞ、アクア」
暗い話になってしまって恐縮だが、俺は今年の6月21日に、溺愛していた愛猫のアクアを病気で亡くしてしまっている。あれから半年近い時が流れ、だいぶ精神的に落ち着いてはきたのだが、ふいに元気だったころのことを思い出して涙が止まらなくなってしまうくらい、心に大きな穴が空いてしまった。なのでいまだにスマホやPCに大量に保存されている写真や動画を見ることができないし、彼女の写真を何枚か掲載している『逆鱗日和』も開けなかったりする。いくら心を強くもとうとしても、こればっかりはどうにもならないのだ。
俺は、アクアが我が家にいてくれた14年のあいだ、あらゆるゲームシーンで彼女の名前を使わせてもらっていた。主人公の名前はもとより、『ドラゴンズドグマ』のポーンもそう、競馬ゲームの馬の名称もそう−−。ネコのような姿をしているオトモアイルーなんて最たるもので、俺は一瞬たりとも躊躇することなく、任意の名前を付けられる1匹目のアイルーには必ず“アクア”という名前をつけた。俺にとってそれは、息をすることにも似た“当然の行為”だったのである。
コーヒーで眠気を押さえつけながら『モンハンクロス』を始めると、すぐに1匹目のオトモアイルーを迎え入れる段取りとなった。名前と、そして外見を決めて、そのコを雇うことができる。ここで自然と、俺の口から声が漏れた。
「どうしよっかな……」
いつの間にかメシを食べ終わったらしく、ミュウが俺にくっつきながら毛づくろいを始めていた。その頭をゴシゴシと撫でつつ、オトモアイルーの外見の項目をチラ見する。
「えっと……毛並みで近いのは、アメショ……かな」
アメショを選んで、おつぎは目だ。ここはほとんど迷うことなく、
「“ふつう”だろうなー。まあ、アクアはもっと美人だけど♪」
なんて言いながら“ふつう”を選んだ。
つぎは耳。ここも、すぐに決めた。
「耳は何気に、“聞き耳”がソレっぽいんだよねw いたずらっ娘だったから、動いているものを見るとすぐに耳がペタンと寝ていたしw」
尻尾に関しては、完全に“カギ”1択だった。
「このカギ型の尻尾!w これ、アクアのために用意されてるとしか思えんなーw もっと短かったけど、曲がり具合がソックリすぎるよww」
最後は声だが、これも、
「うん、“TYPE2”だ! アクア、声もメチャクチャ女の子だったからなーw これしかないわww」
と即決。そして完成したオトモアイルーに俺は“アクア”と名付け、まず最初に傍らのミュウにその姿を見せびらかした。
「見ろよミュウ!! アクアだぞ! ホレ、そっくりだろ!!ww」
画面に目を戻し、生まれたばかりのアクアを目を細めて眺める。そして改めてその姿を見たとき、俺はほとんど無意識にいまは亡きアクアの姿をオトモアイルーに重ね合わせようとしていたことに気がついたのだった。
「あ……。ついクセで、アクアを作っちゃったよ^^;」
思えば11年前に初代『モンスターハンター』が発売されたとき、すでにアクアは俺の傍らにいて、イャンクックやリオレウスと激闘をくり広げるハンターをじっと眺めていたんだよな。そしてときたま、激しく動く画面に闘争本能を刺激され、「うにゃ!!!」と鋭く叫んで画面にジャレついていたんだよなぁ(笑)。
くっきりと、当事の情景が頭に思い浮かぶ。まだ俺もアクアも若くて、命がキラキラと輝いていた時代−−。
これから毎日プレイするたびに、この名前を目にしていろんなことを思い出しちゃうだろう。でも無理に想いを封じ込めるより、楽しかったころを反芻しながらいっしょに飛び跳ねたほうが楽しいんじゃないか……!?
……よし、決めた! 今回もオトモアイルーのアクアといっしょに冒険しよう!!
「よ〜〜〜し!! アクア、またよろしく頼むな!!!」
俺は潤んだ目をこすりながら、アクアとともにフィールドに飛び出していったのだった。
そして−−。
昨日、ようやく集会所で同僚のたっちーと合流し、初めて協力プレイに向かうことができた。ともにオトモアイルーを連れ、1回目はイャンクック討伐に出かけたのだが、森丘のキャンプに降り立つなり、たっちーからSkypeが飛んできた。
「アクアちゃんや!!!!」
「元気に、飛び跳ねてる!!!><」
うれしくなって、俺もすぐに返事を返した。
「おう!!! 当たり前だ!!! これからずっといっしょに、狩りにいくんだからな!!! よろしくな!!!」
こうして、俺の『モンハンクロス』は始まったのだった−−。
おしまい。
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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