大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MHX】体験版の、狩り納め

 『モンスターハンタークロス』の発売まで、いよいよあと数時間……。いてもたってもいられず、こうしてキーボードをポコポコと叩いて気を紛らわせている。毎回、『モンスターハンター』シリーズの新作が発売される前日は、今日のようななんとも言えない心模様になるんだよなぁ……。

「俺は、若いハンターたちについていけるのだろうか……?」

「我がガンランスは、錆び付いていないだろうか……?」

 ネガティブになる必要なんてまったくないのに、ついついそんなことを考えてしまう自分がいる。発売直前にだけ込み上げてくる、不安と恍惚ってやつだ。

 この、なんとも言えない気分を払拭しようと俺はSkypeを立ち上げ、“同僚の美人ドSゲーマー・Tさん”ことたっちーにメッセージを送った。

「おい、明日は『モンハンクロス』の発売日だぞ。わかってんだろうな?

 すぐにたっちーから返事が来た。

当たり前や!! 1週間前から、充電パンパンの3DSをカバンに入れてあるで!!」

 俺は相好を崩した。

おおおおお!!! エライ!!! てことは昼飯のときに、体験版で遊べるな!!! 試験直前(?)の復習しようぜ!!!」

 たっちーが頷いたのがわかった。

「もちろんや!!! このあいだのリベンジをしてやんよ!!!」

 “このあいだのリベンジ”ってのは、いまから1週間前の体験版配信日のこと。同じように昼飯時に集合してドスマッカオ、ホロロホルルの討伐に出向いたのだが、たっちーが、

(こいつ、わざとやってんじゃねーか……?)

 と思えるほどヒドい立ち回りをしてクエスト失敗になったことを指している。その様子は週刊ファミ通12月17日増刊号(12月3日発売)の巻末コラムに詳しいので、興味のある方はぜひご一読を。まあとにかく、この日はそれ以来となるふたりでの狩猟ということになるのだ。

 コンビニで弁当を購入してきた我々ふたりは、食堂の小さなテーブルで向き合った。ちなみに俺が唐揚げ弁当、たっちーはピザまんとサラダという不思議な取り合わせのメニューである。ピリピリと弁当のパッケージを開けながら、俺はたっちーに言った。

「このあいだはホロロホルルにヒデェ目に遭ったが、今回はそれを飛び越え、上級ハンター推奨のナルガクルガ討伐に出向こうと思う」

 サラダを口いっぱいに頬張ってから、たっちーがモゴモゴと返す。

「おお!! わかった!! 確かにワシらは、『モンスターハンター4G』でアブラナガス(ゴグマジオスのこと)まで辿り着いた上級中の上級ハンターだからな!!」

 俺は (−_−;) ←こんな顔になった。

「どこが上級だどこが……。ゴグマジオス、けっきょくふたりじゃ討伐できなかったじゃねえか……。じゃなくて、このナルガは俺ひとりでも、10分程度で狩れるんだよ。なんたって過去に、数千頭単位で狩ってきたからな。なのでオメーが多少足を引っ張っても、ホロロホルルのときのようなことにはならないかな、と」

 たっちーは激しく頷いた。

「おう!! わかった!!! てことは、ふたりで5分もありゃいけるってことだよな!! ……んじゃ、ピザまんは1クエ終えてからゆっくり食べよう〜っと^^」

 俺も、この意見には同意だった。「俺も唐揚げ弁当は、ナルガを狩ってから食べようっと^^^^」。

 そして、渓流を舞台にしたナルガクルガ討伐が始まった。前述の通り、俺は過去にイヤというほど狩っているモンスターだし、このモンスターをテーマにしたコラムも無数に書いている。それはイコール、ナルガクルガというモンスターが大好きだからなのだが、ともに行くたっちーは、

「なるが?? ナニソレ。知るわけないだろ」

 と言ってはばからない御人である。とはいえナルガクルガは、ジンオウガやテオ・テスカトルのような“裏がある”モンスターとは違うので、初見のたっちーでもそこそこ立ち回れるんじゃないかと思った。なので俺は、

「ナルガはイヤらしいことをしてくるタイプじゃないので、思う存分、操虫棍を振り回しなさい」

 とだけ言い、ガンランスを抱えて渓流を突っ走ったのだった。

 そしてまもなく、漆黒のスーツを纏ったかのようなしなやかなモンスターが、俺たちの前に現れた。

「ナルガだ!!」と俺。

「なにあれ黒い!!」とたっちー。

 黒光りする鞭のような身体は相変わらずで、どこかフォーマルな装いにすら見えてしまう。緩やかに、そしてたおやかに我々を見つめるナルガクルガの動きはどこまでも優雅だったが、この静寂が数秒後には夢の中の出来事となってしまうことを、俺はよく知っていた。……そう、ヤツはまもなく、渓流を吹き抜ける黒い風になるのだ。

「来るぞっ!!!!」

 俺がそう叫んだ瞬間、呼応するようにナルガクルガも「ぎゃおおおおお!!!」と咆哮! そしていきなり空中で1回転したかと思ったら、凶器と化したその尻尾を思いっきり地面に叩きつけてきた!!

ぎゃあああああ!!! い、いきなりちにそうに!!!><」

 初めて会った3秒後に“尻尾ビタン”をモロに喰らい、いきなり青色吐息となるたっちー。それを見て、俺は笑いが止まらなくなった。

「は、腹痛ぇwwwwwwwww」

 たっちーは、プリプリと憤った。「笑うな!!!www ちにかけたわ!!!w」

 そう、笑っている場合ではない。まずはセオリーに則って、ナルガクルガに攻撃を仕掛けよう。

 俺は支給品ボックスから持ってきた麻痺投げナイフ、シビレ罠、そして怒ったときの落とし穴などを駆使して攻撃チャンスを作り、フルバースト、竜撃砲、そして『モンハンクロス』ならではの“狩技”、“覇山竜撃砲”をド派手にぶち当てていった。ちなみに“狩猟スタイル”は“ブシドー”なので、ときおりジャストガードを交えて追撃もくり出してゆく。シングルプレイでナルガクルガを相手にジャストガードの自主練をしているので、かなり精度は上がってきたようだ。

「うんうん!! 楽しい楽しい!!!」

 よろこびの言葉が、ついつい口から漏れる。しかしいっぽうのたっちーは、しかめっ面を浮かべたままだ。そこで俺は、さっきから気になって仕方のなかったことを、女操虫棍使いに訊いてみた。

「あのぉ〜……先ほどからピョンピョンと飛び跳ねるだけで、1回も攻撃が当たっていないようなのですが……。気のせいでしょうか……?」

 するとたっちーは目をひん剥いて、老ガンランサーに噛みついてきた。

「失礼な!!!!!!!」

 たじろぐ俺に、さらに言葉をぶつける。

「1回当たったぞ!!!!!!(泣)」

 俺は本気で、唐揚げ弁当をテーブルから落としそうになった。

「テメー、やっぱり当たってなかったのか!!! やたらと跳ねるわりに、ぜんぜん乗らねーからおかしいと思ったんだ……!! おまえはバッタか!!!(怒)

 このあとの展開は、さらにヒドいものだった(汗)。

 たっちーの操虫棍がただの棒っ切れと化し、そのくせナルガを引きつけはするので、俺の攻撃も思うように当たらない。ひとりで10分で討伐できるものが、15分が過ぎ、20分が過ぎて……!

「ちょっと!!w いつになったら終わるのよ!!!w わ、ワシのピザまんが冷める!!!

 バッタ化した自分を棚に上げて、文句を言うたっちー。

「オメーもちょっとは攻撃当てろや!!w じゅ、10分で狩れるのに!!!>< お、俺の唐揚げが冷たくなる!!!><

 焦りから、さらに攻撃をミスりだす俺。そんなふたりでかつての看板モンスターを討伐できるわけもなく、信じられないことにまさかのタイムオーバー……(苦笑)。

うわあああああ!!! 終わった!!!! 明日から本番だってのに、最悪の体験版フィナーレ!!!

 とたっちー。

誰のせいだコラ!!!ww あああああ……。しっかりとナルガをクリアーしてから本番に向かいたかった……w」

 と俺。まことに締まらないフィニッシュとなったが、

「……まあ、これはこれで、俺たちらしいのかなぁ……w」

 妙に納得して、俺は3DSをパタンと閉じたのだった。

 ……さあ発売まで、あとちょっとだ!!

投稿者 大塚角満 : 16:28

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。

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