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【MH4G】第77回 ドスガレオス、ジャストミート

 G級で最初の壁になったモンスターは、あろうことかドスガレオスであった。

 嗚呼……。ドスガレオス……。懐かしの、ドスガレオス……。

 老ハンターたちは一様に目を潤ませながら声を滲ませ、人によっては「こいつ見てると、腹が減ってくるんだよなwww」と言って、特上うな重を食いに走ったりしたかもしれない。またある人は、「うっはwww G級でドスガレオスとかwww チョロすぎるwww」と笑ったかもしれぬ。昔色の思い出の中にいるノスタルジックなモンスターながら、どこか小バカにしたくなる不思議なやつ。俺の持つドスガレオスへのイメージは、こんな感じだった。

 実際、Tさんとふたりで初めてドスガレオスの2頭討伐クエスト“サンドのメシよりドスガレオス”に挑んだときがそうだった。

「このドスなんちゃらっての、初めていくけど、ヤバいヤツなんだろうなぁ……」

 不安そうに顔色をなくすTさんに、俺は、

「いやwwww ぜんぜんwwww 余裕すぎると思うぞwww なんたってドスガレオスは、昔は“試し斬り用モンスター”の一角だったんだからwww」

 そう言って笑った。この、ナメきった態度の中年男を竜撃砲の火炎で焼き尽くしてやりたい……といまは思う。

 ドスガレオス討伐クエストの舞台は、旧砂漠(昼)だった。かつて幾千、幾万と通ったはずのこのフィールドだが、大規模な地殻変動でもあったのかすっかり雰囲気が様変わりしてしまっている。いたるところに高台や段差があったり、ガノトトス釣りに興じた地底湖がなくなっていたり……。ベテランハンターこそ、慢心せずに臨まないといけないフィールドかもしれない。

 いっぽうのTさんは、向かうフィールドすべてが初体験の場所なので、そこが火山だろうが原生林だろうが火星だろうがまったく関係がない。

「道がわかんねえwwww」

 と笑うくらいで、ドタバタとそのへんを走り回っている。このあたりが、悩みの少ない小娘の最大の武器といったところか。

 そしてまもなく、俺たちの前にこのフィールドのボス、ドスガレオスが現れた。

「おおおおおお!!! 掃除機ぃぃぃぃいいい!!!www

 わけのわからないことを絶叫しながら操虫棍を構えて突っ込んでいくTさん。初顔合わせだというのに、“様子を見る”ってことを知らんのかこのオンナは。するとまんまとドスガレオスがその場で回転し、ややインハイ気味のスローカーブの軌道でストライクゾーンに入ったTさんが、

 ばちこーん!!

 とジャストミートされたではないか。そして、

“Tさんが力尽きました”

 の文字……。絵に描いたようなプレイボールホームランをかまされたTさんに俺はかける言葉もなく、黙ってドスガレオスに攻撃をし始めたのだった。

 けっきょくこのクエストは、度重なるガレオスのいやがらせ(背びれに躓くアレと砂吐きですよ!!!!)に翻弄され、さらにドスガレオス2匹がたびたび同じエリアに来てしまうことで大苦戦となり、15分過ぎにあえなく3オチで終了……。……25文字前に“大苦戦”と見栄を張って書いたが、苦戦どころか完敗(しかも俺が1オチ!!)を喫して強制送還されるという大恥をかかされてしまったのであった。

 しかし真の事件は、大老殿に戻ってきてから起こった。どこか不満げで、ブスくれた顔をしていたTさんが、ブツブツとこんなことを言ったのだ。

「いまのクエストさ、無理じゃない?

 確かに2オチしたのはTさんだが、過去にも同じような失敗は何度も経験してきたはず。それなのにナゼ、いきなり心が折れてんの……? 不思議に思った俺は、思わず聞き返した。「え?w なんで?? ぜんぜんいけると思うけど?」と。これに対するTさんの返事が忘れられない。彼女は吊り目をさらに吊り上げて、はっきりとこう言ったのだ!

「……だっていまのクエスト、砂の中にいた掃除機みたいなヤツがボスなんでしょ? あんなふうにボスが6匹も7匹もいたら、対処しきれないじゃーん!!!」

 きっかり6秒ほど心臓を止めたのち、俺は口から竜撃砲を発射した。

「……全部がドスガレオスじゃねーーーーよ!!!w あそこにいたほとんどは小型の“ガレオス”だ!!!ww ぜんぜん大きさが違うじゃねえか!!!wwww

 俺の指摘にもTさんはイマイチ不満顔で、

「えー……。そんなこと言われたって、あたしが見分けつくの、レイアとキリンだけだもん

 と、いつまでもブツクサと文句を言っていたのだったw

 おしまいw



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投稿者 大塚角満 : 12:06

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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