大塚角満の ゲームを“読む!”
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G級昇格後、2回目のクエストは、アルセルタス亜種の討伐にした。俺もTさんもとくに欲しい素材があったわけではなく、「なんとなく、肩慣らしにちょうどよさそうダナ」というユル〜い理由のもとに選ばれたクエストだ。フィールドは、遺跡平原。これだけとっても、「何のハプニングもなく終了しそう」と思わせるに十分でありました。
実際、アルセルタス亜種との立ち回りは何の問題もなかったと思う。
「うは!w カブトムシ(アルセルタスのこと)がクワガタになった!ww」
なんてふたりで笑いあいながらも、狩場の主導権はアルセルタス亜種には渡さない。G級とはいえ、亜種とはいえ、アルセルタスは我々の敵ではない。
「余裕過ぎる!!!!www」
破顔したTさんが大言壮語をぶっ放し、俺が「鬼の首を獲ったかの如き発言w」と笑ったそのとき、遺跡平原のエリア4に妙なことが起こった。そんなことはあるわけがないのだが、エリアを満たす空気がまとわりつくような重みを帯び、その中を縫うように鋭利な“意思”のようなものが飛んできて、背中にグサグサと刺さる感触を覚えた。ニンテンドー3DSを持つ俺自身の背中に、絶望的な悪寒が走る。
な、何か、きた……。
さっきまであんなに平和な雰囲気に満ちていたエリア4に、カタストロフィを引き起こす終末的な何かが……。
その存在を先に見たのは、俺ではなく、Tさんだった。笑顔をいきなり真顔に変え、ちょっと上ずった声でつぶやく。
「な、なにアイツ……。き、キミの後ろのほうから、どう見てもヤバそうなヤツが歩いてくるんだけど……!!」
俺が振り返ろうとしたそのとき、Tさんの言う“どう見てもヤバそうなヤツ”が咆哮した。『モンスターハンター2(ドス)』の時代から、何百回も、何千回も耳にした破滅のメロディー……。
「ホキョォォオオオオオオオ!!!!!!!」
声の主を確認もせず、一心不乱にダッシュしながら俺はわめいた。
「ラ、ラージャンだ!!!!! ラージャンがきやがった!!!>< おおお、お嬢!! ヤツとはまだ関わっちゃダメだ!!!!!」
Tさんは、明らかに肝を潰していた。
「ラ、ラージャン!!? ラージャンって、キミがさっき言ってたヤツじゃん!!! こんな序盤に、いきなり出るのお!?」
……じつはこのクエストに出る直前、俺はTさんにこんなことを聞かれていた。
「ウチら、もうひと通りのモンスターと出会った? まだ私が知らない、ヤバいモンスターっているの???」
この質問に対し、俺はこう答えたのだ。
「んーと……じつは上位では避けて通ったモンスターが1種だけいるんだ。そいつの名前は“ラージャン”。まあ、G級ではしばらくは出てこないと思うけど、いつかはガチでやり合わなければいけなくなると思う。なので、名前だけは覚えておきなよ」
Tさんは感心したように「へえええ!!」と言い、さらにこんなことを尋ねてきた。
「そのラージャンってのは、強いの? イビルなんちゃらとか、テオなんちゃらよりも強い???」
俺は躊躇することなく、首を縦に振った。
「強い……ね。あくまでも俺の私見だけど、イビルジョーよりも、テオ・テスカトルよりも、ブラキディオスよりも、ラージャンは強くて怖いと思う」
震え上がったTさんは、消え入りそうな声で最後の質問をしてきた。「じゃ、じゃあ、出会っちゃったらどうすればいいの?」。
俺は言下に答えた。「逃げろ」。
……こんなにも早く、このときの問答を思い出させる事態に遭遇するとは思わなかった。破滅の足音が背後から迫ってきていることをヒシヒシと感じながら、俺はTさんに向けて怒鳴った。
「お嬢!! 逃げろ!!! そいつの攻撃を喰らっ!」
言いかけたところで、画面に信じられない文字が表示されたではないか。
“角満が力尽きました”
「うそーーーーーーーー!!!! 何が起こったの!!!?」とTさん。
「うええええええ!!!? ななな、何しやがったサル!!!」と俺。
状況から考えるに、どうやら巨石を持ち上げたラージャンがそれをブン投げ、ものの見事に俺に直撃。ほぼ満タンだった体力は一瞬にして“無”と化し、我が分身を天国へと連れて行ってしまったようだった。
けっきょくこのクエストは、ひたすらラージャンから逃げ惑いながらアルセルタス亜種を追いかけるという食物連鎖の縮図のような状況になり、やたらと時間がかかってしまった。あんなに余裕だったのに、たった1頭の“強者”の乱入によりここまで狩場は混沌としたものになってしまうとは……。
G級は、ナメたらエラいことになる−−。
ただただそれを印象付ける、象徴的なクエストでした。
◆◆◆告知!!◆◆◆
3月26日に、大塚角満の単行本が2冊、同時発売になります! まずは当ブログの書籍化である『モンスターハンタープレイ日記 逆鱗日和 天』!! ブログでは綴っていない、シングルプレイ時の様子を描いた書き下ろしのプレイ日記もたっぷり収録されておりますので、どうぞお楽しみください!
そしてもう1冊、『モンスターハンター』に登場するモンスターにフィーチャーした、ほぼ書き下ろし(!)の単行本『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学〜モンスター編R〜』も発売になります! 『モンハン3(トライ)』以降に登場のモンスター、48種の図説とそれぞれを主役に据えたエッセイで構成。まだブログでは触れていない、ダラ・アマデュラやゴグマジオスに関するエッセイなんかも書き下ろしで収録していますよ!
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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