大塚角満の ゲームを“読む!”
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G級に上がって以来、ほぼすべてのクエストで苦戦をしている俺とTさんのコンビだが、「これはさすがに余裕だろうwww」とナメくさっていたクエストもいくつか存在する。
そのうちのひとつがドスガレオス討伐であり、ザボアザギル亜種討伐だったのだが、この日記でも書いた通りどちらのクエストでも散々な目に……。でも! これらふたつのクエストに関しては、手こずったなりの理由が存在するのだ。それはズバリ、
「ドスガレオスもザボアザギル亜種も、ほぼ初見のモンスターだったから!」
ってもの。異種格闘技戦においてもっとも怖いのは、“相手に何ができて、どんなことをしてくるのかまったくわからない”ってことなのだが(いや俺、異種格闘技戦なんてやったことないけど)、この理屈はモンハン世界においてもしっかりと通じ、だからこそ俺とTさんはこれら2種のモンスターにいいようにやられてしまったのである。……これ、自分で書いておきながらものすごく論理的で、キーボードを叩きながら「なるほど!! いいこと言うなあ!!」って感心してしまいました。……いえ、頭はダイジョブですのでお構いなく。
苦戦の理由がわかったところで改めてG★1のクエストを眺めてみたのだが、なんとそこに、どう考えても“サービスクエスト”としか思えないチョロそうなクエストがあったではないか。俺はニヤニヤと笑いながら、Tさんに声を掛けた。
「おい、お嬢w ここにきてようやく、楽ができそうなクエストを発見したぜwww」
Tさんがうれしそうに、「え、なになに?w」と食いついてきた。俺は続ける。
「リオレイアとフルフル亜種の2頭討伐クエストwww どっちもここに来るまでに、さんざんやったモンスターやでwww さすがのキミも、そうそうやられることはあるまいwww」
妖しい微笑を浮かべながら、Tさんが返した。
「確かに、その2頭なら余裕そうねw ……ま、サメ亜種(ザボア亜種のこと)でやられてたの、オメーだけだけどな。今度は足引っ張んなよwww」
俺たちは口々に「ヘタこくなよ!」、「オメーがな!」なんて罵り合いつつ、“大地と魅惑とハンターと”のクエストに出発した。場所は、地底洞窟だ。
しかしこのクエスト、毎度のことなのだが、まったくうまくいかなかった。今回つかまったのはTさんのほうで、めったやたらとフルフル亜種にやられまくるのである。帯電に「バチュン!」と触れて1オチ、電撃ブレスを「バチバチッ!!」と浴びて2オチ、そして帯電ボディープレスで「ぷちっ」とつぶされて3オチめ……。電撃攻撃を喰らったときのHPの減り具合が尋常じゃなくて、俺がいくら生命の粉塵を飲んでも追いつかなかった。こんなパターンでクエスト失敗になることが5回連続で続き、さすがに「なんかおかしい……」と思った俺はTさんの装備を覗き見てみた。そして、「ぎゃっ!!」とひと声叫んでひっくり返ってから、Tさんに告げる。
「おい!!w お嬢の装備、雷耐性が−20になってるぞ!!ww オメーは鉄でできてんのか!!w」
しばらく前からTさんは、「なんでもいいからG級の装備が欲しい!」と言って、ザザミXシリーズの防具で全身を覆っていた。これにより確かに、上位時代と比べて防御力はハネ上がったのだが、それと引き換えに雷耐性を失っていたのである。
「すぐに着替えろ!! そりゃフルフルにやられるに決まってるわ!!w」
Tさんも、大いに驚いたようだった。
「ナニィ!!w こしゃくなヤツめ!!!」
慌てて防具を着替えに向かったTさん。すぐに「これでどや!!!」と言いながら戻ってきて、その姿を俺にさらした。
見れば、彼女が纏っているのは全身ゴアS装備。「ふむふむ。これなら大丈夫そう……」とつぶやきながら覗いてみると……。
「……って、オイwww その装備も雷耐性−15だぞwww ちゃんと見ろや!w だったらフィリアになれ。まだマシだろうに」
Tさん、「がってん承知!!!」と言って再びマイルームに消え、まもなくこんなことを言ってきた。
「ねえねえ、いま見たら天使(フィリア装備のこと)よりも、キリン装備のほうが雷耐性高いお。これなら何の問題もないだろ??」
あ、なるほど。そういえばTさん、かつてはキリン装備を愛用していたっけ。……うん、雷の化身のようなキリンの装備だったら、間違いなく耐性は高いだろう。たまにはヤツも、いいところに目をつけるではないか。ホクホク顔で、俺は応えた。
「いいねいいね。ナイスな案だわ。着替えろ着替えろ」
再び「がってん!!!」と元気に言って着替えに向かったTさん。ひさしぶりのキリン装備に袖を通して、「さあいこう!!! これでクリアーや!!!」とクエストに出発しようとする。俺も勢いに押されてそのまま出掛けるところだったのだが、なんとなくの胸騒ぎを覚えて彼女の装備を覗いてみた。
……そして、ガクッ……とうなだれてTさんに告げる。
「……ってオメー、防御力見たのかよ!w 135しかねーじゃねえか!!w 耐性以前の問題だわ!! 頼んますから天使に着替えてください!! お願いしますお頼みします><」
その後、「いやキリンを鍛える!」、「もう別なの作れ!(怒)」、「じゃあG級のフルフル亜種装備!^^」、「それがクリアーできねえんじゃねえか!!!(激怒)」なんてやり取りをくり返しているうちに疲れ果て、けっきょくこの日はチャットをしただけで解散になったのでした……(苦笑)。
おしまい。
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3月26日に、大塚角満の単行本が2冊、同時発売になります! まずは当ブログの書籍化である『モンスターハンタープレイ日記 逆鱗日和 天』!! ブログでは綴っていない、シングルプレイ時の様子を描いた書き下ろしのプレイ日記もたっぷり収録されておりますので、どうぞお楽しみください!
そしてもう1冊、『モンスターハンター』に登場するモンスターにフィーチャーした、ほぼ書き下ろし(!)の単行本『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学〜モンスター編R〜』も発売になります! 『モンハン3(トライ)』以降に登場のモンスター、48種の図説とそれぞれを主役に据えたエッセイで構成。まだブログでは触れていない、ダラ・アマデュラやゴグマジオスに関するエッセイなんかも書き下ろしで収録していますよ!
毎回同じようなことを書いているが、G級に上がってすぐに、壁となるモンスターが現れてしまった。そいつは何を隠そうザボアザギル亜種なのだが、あまりにもナメてかかりすぎたことをボコボコされたあとに深く反省しました。ザボア亜種さん、その節はたいへん失礼いたしました。
G級モンスターの手荒い洗礼に苦慮していたTさんは、俺とは違ってザボア亜種に対してかなり警戒していたと思う。
「このザボアザギル亜種って、どんなん? アカンやつ??」
この質問を俺は「ふっwwww」と鼻で笑い、返す刀でこんな回答をしていた。
「ぜんぜん余裕っしょ!ww 亜種とは言え、ザボアだもんwww とっととクリアーして、先に進もうぜwww」
ザボア亜種さん、その節はたいへ(以下略)。
このザボアザギル亜種、やってくることの大枠は原種のほうと大差はない。……んだけど、原種と比べて圧倒的に攻撃への意識が高く、膨張やら突進やらを頻繁にくり出してきて、ハンターを近寄らせようとしない。やってることは原種と似通っているのに、まったく別物のモンスターを相手にしているかのような錯覚を覚えるほどアグレッシブで、その“ギャップ”にまずは手を焼かされた。
「こここ、こんなはずじゃ……!!!」
そう思っている間につぎつぎと攻撃を喰らい、瞬時に昇天させられてしまう。その性能差は、入門したてで身体もできていない前相撲の力士を原種とすれば、ザボアザギル亜種は完全に幕内三役クラスの実力者。技のキレも手数も、スピードも体格も根本から違う相手に、ナメてかかって勝てるわけがないのだ。箸にも棒にもかからない立ち回りをし、
「アレヨアレヨ!!」
と踊っているうちに、俺とTさんは3連敗を喫した。……いや3オチではなく、3回連続でクエストに失敗するという“9オチ”をやってのけたのだ。しかも、このときは完全に俺のほうが足を引っ張っていて、9オチ中、7オチを記録するという体たらく。しかも一度などは、1回のクエストで5回も捕食をされて骨の髄までしゃぶられてしまったよ(マジです)。身体中からダシを抜かれてフラフラになった俺に、Tさんが冷ややかな声をぶつけてきた。
「キミ……ww どんだけコイツが苦手なの……?ww 私ですらあんまオチてないのにwww あまりにもしょっちゅう喰われているので、一瞬“もしかして、ワザと……?”って思っちゃったわww」
Tさんの発言を苦々しく聞きながらも、実際に俺のせいで前に進めなくなっているので「ち……」という舌打ちしか出てこない。
でも、これは由々しきことである。G級のこんな序盤でTさんに主導権を奪われようものなら、先に待つG2、G3の狩りで面倒なことになるのは火を見るよりも明らかではないか!
なので、俺は考えた。ザボアザギル亜種の対策を−−。
こいつの怖いところは、わりと頻繁に大ダメージ必至の水属性ブレスを吐いてくるところだ。しかも巨体に似合わぬクイックモーションで放ってくるので、俺はたびたび被弾して昇天の憂き目をみている。
「水ブレスのダメージを、もうちょっと抑えられればなぁ……」
そう思ってふと、当時愛用していたグラビドUシリーズを基本にした防具を見てみると、な、なんと……!
「……あ!!! この装備、水耐性が−22になってる!!」
そう、俺は気づいてしまったのだ。ザボアザギル亜種の水ブレスを喰らうたび、瀕死の重傷を負っていた理由に……! なーんだそうか。そうだよな!! 俺のようなベテランハンターが、理由なくザボア亜種ごときにボコられるわけがないんだよな!!
宇宙の真理を解き明かした哲人の顔になり、俺は厳かにTさんに告げた。
「お嬢、わかったよ。俺がオチ続けていた理由が。俺の防具、極端に水耐性が低かったのだ。これを見直してくるので、もう二度とオチることはないと思う。これぞ真理−−。これぞコトワリ−−」
しかつめらしい表情をする俺をつまらなそうに見つめながら、Tさんは「あっそ」と言い、「なんでもいいけど、つぎはなんとかしてよ!!」と発破をかけた。
俺は急いで、しばらく使っていなかったアークSを基本にした装備を身につけた。スキルは大したことないが(斬れ味レベル+1と力の解放+1だったか)、水耐性は太鼓判の+13である。これで、ザボアザギル亜種にやられる理由が完全に消失した。
「対サメ用装備、完成!!!www」
バカ笑いが止まらず、俺は笑ったまま何度目かのザボアザギル亜種討伐に向かった。
そして−−。
……俺、なすすべなくまたまたハットトリック( ゚д゚ )
「あのwwwww サメ用装備っての、もしかして着忘れました??www なんかさっきまでと変わらずにオチまくってる人がいるんですけどwwwww」
俺、まったく返す言葉もなく、
「サ、サメ……サメが、来る…………(((( ;゚Д゚)))」
と、うわごとを言い続けるのだった……。
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G級で最初の壁になったモンスターは、あろうことかドスガレオスであった。
嗚呼……。ドスガレオス……。懐かしの、ドスガレオス……。
老ハンターたちは一様に目を潤ませながら声を滲ませ、人によっては「こいつ見てると、腹が減ってくるんだよなwww」と言って、特上うな重を食いに走ったりしたかもしれない。またある人は、「うっはwww G級でドスガレオスとかwww チョロすぎるwww」と笑ったかもしれぬ。昔色の思い出の中にいるノスタルジックなモンスターながら、どこか小バカにしたくなる不思議なやつ。俺の持つドスガレオスへのイメージは、こんな感じだった。
実際、Tさんとふたりで初めてドスガレオスの2頭討伐クエスト“サンドのメシよりドスガレオス”に挑んだときがそうだった。
「このドスなんちゃらっての、初めていくけど、ヤバいヤツなんだろうなぁ……」
不安そうに顔色をなくすTさんに、俺は、
「いやwwww ぜんぜんwwww 余裕すぎると思うぞwww なんたってドスガレオスは、昔は“試し斬り用モンスター”の一角だったんだからwww」
そう言って笑った。この、ナメきった態度の中年男を竜撃砲の火炎で焼き尽くしてやりたい……といまは思う。
ドスガレオス討伐クエストの舞台は、旧砂漠(昼)だった。かつて幾千、幾万と通ったはずのこのフィールドだが、大規模な地殻変動でもあったのかすっかり雰囲気が様変わりしてしまっている。いたるところに高台や段差があったり、ガノトトス釣りに興じた地底湖がなくなっていたり……。ベテランハンターこそ、慢心せずに臨まないといけないフィールドかもしれない。
いっぽうのTさんは、向かうフィールドすべてが初体験の場所なので、そこが火山だろうが原生林だろうが火星だろうがまったく関係がない。
「道がわかんねえwwww」
と笑うくらいで、ドタバタとそのへんを走り回っている。このあたりが、悩みの少ない小娘の最大の武器といったところか。
そしてまもなく、俺たちの前にこのフィールドのボス、ドスガレオスが現れた。
「おおおおおお!!! 掃除機ぃぃぃぃいいい!!!www」
わけのわからないことを絶叫しながら操虫棍を構えて突っ込んでいくTさん。初顔合わせだというのに、“様子を見る”ってことを知らんのかこのオンナは。するとまんまとドスガレオスがその場で回転し、ややインハイ気味のスローカーブの軌道でストライクゾーンに入ったTさんが、
ばちこーん!!
とジャストミートされたではないか。そして、
“Tさんが力尽きました”
の文字……。絵に描いたようなプレイボールホームランをかまされたTさんに俺はかける言葉もなく、黙ってドスガレオスに攻撃をし始めたのだった。
けっきょくこのクエストは、度重なるガレオスのいやがらせ(背びれに躓くアレと砂吐きですよ!!!!)に翻弄され、さらにドスガレオス2匹がたびたび同じエリアに来てしまうことで大苦戦となり、15分過ぎにあえなく3オチで終了……。……25文字前に“大苦戦”と見栄を張って書いたが、苦戦どころか完敗(しかも俺が1オチ!!)を喫して強制送還されるという大恥をかかされてしまったのであった。
しかし真の事件は、大老殿に戻ってきてから起こった。どこか不満げで、ブスくれた顔をしていたTさんが、ブツブツとこんなことを言ったのだ。
「いまのクエストさ、無理じゃない?」
確かに2オチしたのはTさんだが、過去にも同じような失敗は何度も経験してきたはず。それなのにナゼ、いきなり心が折れてんの……? 不思議に思った俺は、思わず聞き返した。「え?w なんで?? ぜんぜんいけると思うけど?」と。これに対するTさんの返事が忘れられない。彼女は吊り目をさらに吊り上げて、はっきりとこう言ったのだ!
「……だっていまのクエスト、砂の中にいた掃除機みたいなヤツがボスなんでしょ? あんなふうにボスが6匹も7匹もいたら、対処しきれないじゃーん!!!」
きっかり6秒ほど心臓を止めたのち、俺は口から竜撃砲を発射した。
「……全部がドスガレオスじゃねーーーーよ!!!w あそこにいたほとんどは小型の“ガレオス”だ!!!ww ぜんぜん大きさが違うじゃねえか!!!wwww」
俺の指摘にもTさんはイマイチ不満顔で、
「えー……。そんなこと言われたって、あたしが見分けつくの、レイアとキリンだけだもん」
と、いつまでもブツクサと文句を言っていたのだったw
おしまいw
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G級昇格後、2回目のクエストは、アルセルタス亜種の討伐にした。俺もTさんもとくに欲しい素材があったわけではなく、「なんとなく、肩慣らしにちょうどよさそうダナ」というユル〜い理由のもとに選ばれたクエストだ。フィールドは、遺跡平原。これだけとっても、「何のハプニングもなく終了しそう」と思わせるに十分でありました。
実際、アルセルタス亜種との立ち回りは何の問題もなかったと思う。
「うは!w カブトムシ(アルセルタスのこと)がクワガタになった!ww」
なんてふたりで笑いあいながらも、狩場の主導権はアルセルタス亜種には渡さない。G級とはいえ、亜種とはいえ、アルセルタスは我々の敵ではない。
「余裕過ぎる!!!!www」
破顔したTさんが大言壮語をぶっ放し、俺が「鬼の首を獲ったかの如き発言w」と笑ったそのとき、遺跡平原のエリア4に妙なことが起こった。そんなことはあるわけがないのだが、エリアを満たす空気がまとわりつくような重みを帯び、その中を縫うように鋭利な“意思”のようなものが飛んできて、背中にグサグサと刺さる感触を覚えた。ニンテンドー3DSを持つ俺自身の背中に、絶望的な悪寒が走る。
な、何か、きた……。
さっきまであんなに平和な雰囲気に満ちていたエリア4に、カタストロフィを引き起こす終末的な何かが……。
その存在を先に見たのは、俺ではなく、Tさんだった。笑顔をいきなり真顔に変え、ちょっと上ずった声でつぶやく。
「な、なにアイツ……。き、キミの後ろのほうから、どう見てもヤバそうなヤツが歩いてくるんだけど……!!」
俺が振り返ろうとしたそのとき、Tさんの言う“どう見てもヤバそうなヤツ”が咆哮した。『モンスターハンター2(ドス)』の時代から、何百回も、何千回も耳にした破滅のメロディー……。
「ホキョォォオオオオオオオ!!!!!!!」
声の主を確認もせず、一心不乱にダッシュしながら俺はわめいた。
「ラ、ラージャンだ!!!!! ラージャンがきやがった!!!>< おおお、お嬢!! ヤツとはまだ関わっちゃダメだ!!!!!」
Tさんは、明らかに肝を潰していた。
「ラ、ラージャン!!? ラージャンって、キミがさっき言ってたヤツじゃん!!! こんな序盤に、いきなり出るのお!?」
……じつはこのクエストに出る直前、俺はTさんにこんなことを聞かれていた。
「ウチら、もうひと通りのモンスターと出会った? まだ私が知らない、ヤバいモンスターっているの???」
この質問に対し、俺はこう答えたのだ。
「んーと……じつは上位では避けて通ったモンスターが1種だけいるんだ。そいつの名前は“ラージャン”。まあ、G級ではしばらくは出てこないと思うけど、いつかはガチでやり合わなければいけなくなると思う。なので、名前だけは覚えておきなよ」
Tさんは感心したように「へえええ!!」と言い、さらにこんなことを尋ねてきた。
「そのラージャンってのは、強いの? イビルなんちゃらとか、テオなんちゃらよりも強い???」
俺は躊躇することなく、首を縦に振った。
「強い……ね。あくまでも俺の私見だけど、イビルジョーよりも、テオ・テスカトルよりも、ブラキディオスよりも、ラージャンは強くて怖いと思う」
震え上がったTさんは、消え入りそうな声で最後の質問をしてきた。「じゃ、じゃあ、出会っちゃったらどうすればいいの?」。
俺は言下に答えた。「逃げろ」。
……こんなにも早く、このときの問答を思い出させる事態に遭遇するとは思わなかった。破滅の足音が背後から迫ってきていることをヒシヒシと感じながら、俺はTさんに向けて怒鳴った。
「お嬢!! 逃げろ!!! そいつの攻撃を喰らっ!」
言いかけたところで、画面に信じられない文字が表示されたではないか。
“角満が力尽きました”
「うそーーーーーーーー!!!! 何が起こったの!!!?」とTさん。
「うええええええ!!!? ななな、何しやがったサル!!!」と俺。
状況から考えるに、どうやら巨石を持ち上げたラージャンがそれをブン投げ、ものの見事に俺に直撃。ほぼ満タンだった体力は一瞬にして“無”と化し、我が分身を天国へと連れて行ってしまったようだった。
けっきょくこのクエストは、ひたすらラージャンから逃げ惑いながらアルセルタス亜種を追いかけるという食物連鎖の縮図のような状況になり、やたらと時間がかかってしまった。あんなに余裕だったのに、たった1頭の“強者”の乱入によりここまで狩場は混沌としたものになってしまうとは……。
G級は、ナメたらエラいことになる−−。
ただただそれを印象付ける、象徴的なクエストでした。
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大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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