大塚角満の ゲームを“読む!”
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前回の続き。
テオ・テスカトルの最大奥義“スーパーノヴァ”の猛威にさらされて、俺もTさんも青色吐息だった。なにしろ、テオが上昇したなぁ〜……と思ってから大爆発が来るまでの時間が短すぎて、武器を構えた状態からだとどうにも避けようがないのである。そこでいろいろ考えて、
「スーパーノヴァが“来た!”と思ってからではもう遅い。なので、つねに“来るかも!?”を念頭に置きながら立ち回らなければならぬ」
という結論に至り、俺とTさんはその通りに立ち回ってみた。
しかし、狩りの最中はず〜〜〜〜〜〜………っと「くくく、来るかも!?」と針を全開にしたハリネズミのように警戒しているので、俺もTさんもテオに近づくことができない。わかりやすく表記すると、これまでのポジション取りが、
о(`Д´)♂
【テオさん】
о(`Д´)♂
↑このように密接していたのに対し、警戒しまくりの今回は、
|´・д・)ノシ
【テオさん】
|´・д・)ノシ
こんな感じ。
どちらも「怖いお〜>< ドッカンこわいお〜〜〜><」と言うばかりで近寄ろうともせず、いたずらに時は流れて時間切れとなってしまった。さすがに、
「これは狩りじゃねえ!!! お見合いだ!!!」
と我に返って再び接近戦を試みるも、またまた「きゃあああああ!!! 光ったああああ!!!」と断末魔の悲鳴だけ残して消し炭にされてしまう(俺が)。よしんば、体力が満タンでギリギリのHPを残して生き残ったとしても、スーパーノヴァの爆風には気絶の効果までついているので万事休すだ。こんな失敗が、10回ほども(!)続いてしまった。
それでも、Tさんはまだマシだった。
「あ!」
と思った瞬間に双剣を畳んで緊急回避をしたり、それほど突っ込んでいなければ武器を構えたまま走るだけでセーフティーゾーンまで逃げることができた。いっぽうの俺は、「あ!」と思って重い重いガンランスを「やっこらせぇ」と畳もうとしても、その動作が3分の1も終わっていないところでピカッと光って三途の川。「ならば!」と武器を抱えたまま逃げようとしても、エッホエッホと2歩歩いたところでピカッと光って黄泉比良坂。慌ててBボタンを連打すると「ぴょんぴょん♪」とのん気にバックステップを踏むだけ……ってのは前回書いた通りで、要するにガンランスを持っている限りテオのスーパーノヴァからは逃れることができないのである。
「このモンスターを相手にするようになってから、圧倒的にキミが落ちるようになったねwww まさか、これほど苦手にしていたとは知らなんだ^^;;;」
うぷぷぷぷ……と笑いながらTさんが言う。俺は気色ばんで反論した。
「ぜんぜん苦手じゃねええええ!!! 俺はテオは得意なんだ!!!>< こんなにオチることは、かつてなかったんだよ!!! 信じてくれええええ!!!><」
白けた表情でTさんが返す。
「信じるも何も、実際にオチてますしマスのおすし……www」
完全に、バカにしきっている態度だ。……いかん! これはいかんぞ!!! もう、こうなったら……!
俺はひとつの決意をし、Tさんに覚悟の程を告げた。
「そこまで言われたなら仕方がない……。もう二度とテオ相手にオチないために……俺は装備を変えるぞ!!!」
Tさんの顔色が変わった。
「おおおおお!!!! キミが装備変えるの、珍しいな!! ……して、どんな装備に??」
俺、「ふふん」とニヒルに笑ってから、確信に満ちた表情でTさんに言った。
「テオのスーパーノヴァは、ガンランスを持っている限りかわせない知った−−。では、かわせないなら、どうする?」
そこでひと呼吸置き、スゥと息を吸い込んでから核心に切り込む!
「かわせぬなら、受け止めればいい!!! ヤツの攻撃はすべて、ガンランスの盾で受け切ってやるッッッ!!!!」
Tさん、驚きの表情で「ええ??」と言った。
「受け止めるって言ったって、さんざんガードの態勢で吹っ飛ばされてたじゃんwww ……あ、単純に防御力を上げるってこと?? それで生存率を上げようと……?」
俺は「チッチッチ!」と首を振った。
「まあ、ちょっと見てろよ。いまから“それ用”の素材を集めに走る。明日には完成させるので、楽しみにな」
そして、翌日−−。
「できた!!!! 対テオ用、対スーパーノヴァ用の完璧装備!!!! これでもう、何も恐れるものはなくなったッッッ!!!!」
これを読まれている皆さんは、もうおわかりでしょう。俺が作った装備……というか、纏ったスキルはコレです!!
……そう!!! ガード大好きハンターの最終兵器“ガード強化”だあああああ!!!! ついでに、“防御力UP【小】”、“ガード性能+1”、“水属性攻撃強化+1”、“砥石使用高速化”といったスキルも発動。この防御一辺倒のスキルを見たら、
「うはwwww カメかwwww」
と笑われてしまいそうだが、もう俺にはこれしかなかったのッ!!!(ナゼかキレる)
でまあTさんにも、「なにそのヘンな格好wwwww」と大笑いされながらテオ・テスカトルの討伐に出向いたのだが、俺の狙いはドンピシャ。スーパーノヴァが来る直前にガッチリとガードを固めることで、その脅威を受け止めることができたのである!!
「おっしゃああああ!!!! スーパーノヴァ、完封ぅぅぅうう!!!!」と俺。
「……完封ってわりに、体力がけっこう減ったようですけどwww」とTさん。
……そう、じつはガード強化で受け止めてもかなりの体力を削られてしまうので、過信は禁物。でも、俺がオチなくなったおかげでクエストは順調に進み、ようやくテオ・テスカトルを討伐することができたのでした。
おしまいw
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突然ですが、『謎解き×ゲーム モンスターハンター謎BOOK』という書籍が、エンターブレイン……てかKADOKAWAから2015年2月5日に発売されます!! 価格は1200円+税。『逆鱗日和』のコラボ謎もあり、ぽん吉さんがイラストを描き下ろしていたりして……!! 1月18日から始まるモンハンフェスタの会場でもらえるチラシに限定謎を掲載しておりますので、会場に足を運ばれる方はぜひともチェックを!! ……さらに!! このチラシ、逆鱗日和ファンなら要チェックですよ……!(意味深)
★お知らせ★
何度かお伝えしてきましたが、9月26日に3年ぶりの刊行となる『逆鱗日和』シリーズの新作、その名も『本日もやっぱり! 逆鱗日和』が発売となりました!! 過去7作の『逆鱗日和』から選りすぐりのプレイ日記78編(!)を抽出した傑作選となっておりますが、もちろん! 書き下ろしもたっぷり収録!! モンハンショートショートあり、藤岡要ディレクターとのロング対談ありと、過去作を持っておられる方も楽しめる造りとなりました! シリーズ初の文庫サイズとなり、持ち歩きも楽チンになりましたので、興味のある方はぜひとも手に取ってみてください!
テオ・テスカトル討伐の1回目でズタボロにされたのは、Tさんひとりだった。このモンスターが何をしてくるのか……ってことを1ミリも知らないまま出向いたので仕方ないことではあるのだが、とにかく、
ブホオオオオオオ……と火を吐かれたらそれを浴び。
カチッ! ボカン! と粉塵爆破が来たらそれも食らい。
ヒュルルル〜〜〜ピカッ! とスーパーノヴァ(上空に飛び上がって爆発するやつね)が放たれたらそいつにも巻き込まれて消し炭となる……。
下位の時代からそうなのだがTさんは、“モンスターの特徴的な攻撃はすべて受け止める”という大横綱を髣髴とさせる方針があるらしく(Tさん弁「んなわけねーだろ!!」)、レイアのサマーソルト、レウスのワキャキャキック、ジンオウガの尻尾ビタン、ブラキディオスの粘菌爆発などなど、そのことごとくを食らってきた。ぶっちゃけ、下位の時代はこれでもどうにかなったのだが、上位、それもテオの渾身の攻撃ともなると甘いことは言っていられず、そのたびに致命傷の大打撃に。2回目の挑戦でもまんまとスーパーノヴァを浴びて昇天してしまったのを見て、さすがに俺は苦言を呈した。
「ちょっとちょっとお嬢さんw テオが上空に向かってヒュルルル〜〜〜って飛び上がったら、超絶ヤバいスーパーノヴァがぶっ放されるからww いい加減、学習しなさい!w」
Tさん、一応「てへ^^;」と言って反省のそぶりを見せた。
「すまんすまん^^; “あ!”とは思うんだけど、どうにも対応できなくって……。難しいなー!」
ここぞとばかりに、俺はベテラン風を吹かせた。
「ま、キミは圧倒的に経験が足りないから、ある程度は仕方がないと思うのよ。それでも、何回かやっていれば、じきに予備動作が見えてきて食らわなくなる。この、俺のようにね」
Tさんが珍しく、尊敬のまなざしを俺に向けた。
「角満先生、さすがっす!!! 勉強になります!!!」
俺、「よっしゃよっしゃ。ガンバレヨ」とエラソーにTさんに言い、飛び去ったテオ・テスカトルを追って地底火山を走った。
そしてまもなく、怒り狂うテオを火山の片隅で発見した。ガンランスをシャキンと構え、Tさんに発破をかける。
「おし!! お嬢!! テオの動きをよく見て!! 俺の立ち回りも参考に!!」
Tさんが元気に頷いた。「はい!!! センセイ、がんばります!!!」。
俺たちふたりはしばらくのあいだ、無言で立ち回り続けた。攻撃もそこそこ当たっていたので、テオはすっかり怒り心頭である。
(よ〜し。このまま決着つけてやる!!!)
勇者の瞳を煌かせながら俺がそう思ったとき、なんとテオがヒュルルル〜〜〜とアドバルーンのように上昇していったではないか!!! 俺のガンランスは突き刺す対象が消えたおかげで、虚空でフラフラと文字を書いている。見ればTさんは何かを予感したのか、遥か遠くで俺の立ち回りを眺めていた。俺、猛烈なパニックに襲われる。
「きゃ、きゃーーーーーー!!! ススス、スーパーノヴァくるうううう!!! ビッグバンこわいいいいい!!!!」
慌てて逃げようと思ってBボタンを連打するも、悲しきガンランサーはピョコンピョコンとバックステップを踏むだけ(苦笑)。もちろん、テオが上空に動く動作をしてからスーパーノヴァが放たれるまで数秒もないので、武器を畳む時間なんてない……。そんな、壊れたカエルのおもちゃ状態のガンランサーに非情な洗礼が。
ピカッ!!!!!
MIDOが力尽きました
すぐさま、TさんからSkypeが飛んできた。
「あの!!wwwww “俺の動きを見ろ!”ってドヤ顔で言うから角満先生を眺めていたらwwww なんかピョンピョン後ろに跳んでるさなかに空が光ってセンセイが天に召されたんですけど!!wwwww ピョコピョコ後ろに跳ぶことに、何かヒントが!!?www」
俺、顔を真っ赤にしながらTさんに言った。
「いいい、いま間違ったわ!!(なにをだ) わ、わは! わはははは!!」
そして、言葉を続ける。
「いまのは悪い例!!! “突っ込みすぎると痛い目に遭うよ!”っていうね! さあ、つぎから本番な!!!」
そして。
気を取り直して再び、テオ・テスカトルと渡り合っていると、数分前とまったく同じような状況になった。つまり、
・ガンランサー、油断して突っ込みすぎる
・双剣使い(Tさんね)、何かを察して遠くにいる
・テオさん、上空に……
俺、またまた哀愁のパニック状態。
「きゃ、きゃーーーーーー!!! ままま、またキタァァァァ!!!>< もう間に合わないよーーーーー!!!><」
ここで俺、無駄だとわかりつつもRボタンを押して必死のガード(苦笑)。
「た、盾よ!!!>< マグレでいいから1回だけ、我が身を守っておくれ!!!><」
そんな願いもむなしく……。
ピカッ!!!!!
MIDOが力尽きました
「…………」と俺。
「……………………………………」とTさん。
いかん……。
このままでは、ベテランハンターとしての威厳が失われてしまう!!!
ここで、俺が採った対策とは……?
次回に続く。
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ここ1週間ほど、モンハンフェスタの狩王決定戦に言及していたため、通常のプレイ日記をお休みしておりました。が、それもひと段落したので平常運転に戻そうと思う。
“上位★7の3つの壁”について書いている途中だったな。
クシャルダオラ、テオ・テスカトル、アカムトルムという恐るべきモンスターたちに俺とTさんのふたりで立ち向かったわけだが、何を隠そうもっとも手を焼いたのは“ウォール・テオ”ことテオ・テスカトルである。
「いま“手を焼く”とテオの炎をかけたんだろwww」
とプゲプゲ笑われそうだが、そんな意図はまったくなく本当に苦労した。我が家の近所のIさん夫婦が飼っているコリー犬のジャクソン君(大型)が炎を纏ったテオに見えて、
「ひぃぃぃぃぃぃ!!! テ、テオがリアルでも攻めてきたっ!!!!><」
と幻覚を見てしまうほど、★7のテオには苦しめられてしまったのである。
でもじつは俺、これまでテオ・テスカトルにはそれほど苦手意識を感じたことがなかった。当ブログの第43回で書いたイビルジョーに対する優越感ほどではないが、
「恐ろしいモンスターには違いないが、ぶっちゃけ俺のほうが強いよなwww」
なーんて考えていたのだ。それはひとえに、『モンスターハンター2(ドス)』の時代から幾度となく拳を交えてきたからで、彼の思い描いていることが手に取るようにわかるようになっていたのよ(ナゼかオカマ語)。ゆえに、今回の3つの壁についても、
「アカムはきっと、どこまでいってもアカムだろう(あたりめーだ)。なのできっと、どうにでもなる。そしてテオも、俺から見たらさほど怖い相手ではない。となれば……」
確信に満ちた口調で、俺は鋭く切れ込んだ。
「もっとも恐ろしいのは、クシャルダオラだ。間違いない。コイツを乗り越えさえすれば、あの“大蛇”まで一直線だぜ!」
そして俺は同じことをTさんにも伝えた。
「お嬢、いまからクシャルダオラってモンスターのクエストを貼る。これは“★7の3つの壁”の中で、もっとも高く、険しいものだ。でもここを乗り越えられれば、一気にG級への視界が開けるぞ!! 密かに目標にしていた“年内にG級”も達成できるかもしれん!!!」
2014年12月15日あたりの出来事である。晴れやかな笑顔でTさんが言った。
「マ、マジで!!!? やったああああ!!! 辻本プロデューサーといっしょに遊んだとき、“いつか私もこうなりたい!”って思ったけど……ついにその域に達することができるんだな!!!」
俺は「うんうん!! そうだとも!!^^」とニコニコ顔で応じて、Tさんをクシャルダオラが待つ氷海に連れ出した。
「きっと、何度も跳ね返されると思う。でも、クシャルダオラの向こうにG級はあるのだから、くじけずにがんばろう!!」
なんて言いながら……。
そして。
じつにあっさりと、クシャルダオラ討伐wwwww
もちろん、ヤツの纏う“龍風圧”やたびたび吐き出される“大竜巻”には苦しめられたが、意外なほど順調に狩りは進み(Tさんが2オチしたけどw)、“最大の壁”と目していたモンスターを1回目の挑戦で退けることができたのであった。これには、俺もTさんも大喜び。
「やったやったーーーーー!!!! これでG級!!? ついにG級!!!?」とTさん。
「もう、G級になったも同然!!! 2014年中にG級ハンターになること確定だああああ!!!!」と俺。
我々ふたりは、「G級になるまで、3ヵ月もかかっちゃったねぇ^^;」、「いやでも、がんばったほうだと思うよ^^^」、「まだまだ私たちの“狩道”は続くな!!」、「『4G』の“G”の部分を味わうのはここからだぜ!!w」なんて能天気に言い合いながら、つぎの狩りに向けての準備を始めた。相変わらずトロケそうな顔で、俺は言う。
「んじゃ、つぎはテオね^^ 回復とクーラーだけありゃいいから^^^ クシャルは2オチしちゃったので、今回は1オチ以内に収めようぜ^^^^」
Tさんが素直に頷いた。「はーい^^ いやあ、まったくやられる気がしねえwwwww」。
そして……。
開始10分足らずで、何もせぬままTさんがハットトリック(3オチ)……(愕然)。
「い、いまの、様子見だから。つぎ、本気で行くわ」と涙声でTさん。
「お、おう。ままま、まあ初見だったしな」と震え声で俺。
1回目よりも入念な準備をし、「よ、余裕余裕」なんて強がりを言いながら再び地底火山に乗り込んだが……。
またまた、10分程度で3オチ……。
しかも今度は俺が2オチするという体たらく。ここにきてようやく、俺たちはとんでもない勘違いをしていたことに気がついた。
「おい……。どこが“クシャルを越えたらG級”なんだ……? 角満先生、2オチされましたけど……?」とTさん。
「ももも、もしかしてテオって、すんげえ強いんじゃね……?((((( ;゚Д゚)))))」と俺。
“年内G級”に、黄信号が点滅した瞬間であった。
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前回の続き。
辻本良三プロデューサーと別れて狩王決定戦予選が行われているコーナーに近づいていくと、
「あ!!!w 大塚さん!!w ブログ見ましたよ!!w 太刀&操虫棍とは相変わらずチャレンジャーですね!!!ww」
語尾に笑い……どころか、全面的に大笑いしながら背の高いメガネ男が話しかけてきた。「ちっ!」と舌打ちをしてから、その男に言う。
「うっせー。これでもけっこう、いい感じで立ち回りを詰めてきたんだからな! 見て驚くなよ!」
するとメガネ男、「うんうん、そうでしょうともw」とまだ笑いながら、思いもよらない指摘をしてきた。
「ところで大塚さん、太刀なんですよね? てことは、立ち回りの基本に◎◎◎を△△して×××になって、“おっしゃ! 大ダメージ!!”って喜んでいたりします??」
伏字なのは、まだ地区予選が1会場目しか終わっていないからだ。やっぱ作戦は、自分で考えるのが楽しいものだしな!! メガネ男の言葉に、俺は力強く頷いた。「もちろん!! それはマストの作戦として組み込んであるぜ!!」。ここでメガネ男、あまりにも衝撃的なセリフをぶっ放す。
「……それ、おそらくまったく効果がないですよ^^; 何度も検証して確かめましたから^^;;;」
「えっ!!!!!」
と固まる俺。激怒したのは、傍らで会話を聞いていたTさんだった。
「ちょっと!!! オメー、“ここは確実に決めなきゃ話にならんぞ!”って言って、何度も練習させたよな!? アレ、じつは意味がなかったのか!!? ……ってオイ!! なんとか言えや!!」
地蔵と化した俺に、Tさんの強烈なレバーブローが突き刺さった。「はうっ!!!!」と呼吸が止まった俺に、Tさんが「あ、でも……」と言って話しかける。
「でも、町の腕自慢くらいのハンターが言うことだったら、あんま信憑性がないかも?? さっきのメガネ男は、ナニモノ??」
俺、タラリと冷や汗を流しながらボソボソとTさんに言った。
「……前回の狩王^^; つまり、日本の頂点に君臨するハンターのひとり^^;; 通称・天才^^;;;」
再度飛んできたTさんのボディーブローが俺の胃に突き刺さった。
とは言えいまさら立ち回りをいじったりしたら、混乱の極みに陥ってしょーもないタイムを叩きだすことは目に見えていた。なので俺は、
「いまから立ち回りに手を入れるのは現実的ではない。ここは練習を信じて、本番に臨もうではないか」
とTさんに進言。するとTさんも、
「もちろん! それしかないよ! 落ち着いて立ち回って、なんとか2分台で帰ってこようぜ!!」
と目に力を込める。そう、もうやるしかないのだ。
そしてすぐに、我々の本番の時間がやってきた。緊張のあまり、手のひらに汗をびっしょりとかいてしまった俺に比べ、Tさんは意外なほど落ち着いて見える。
「お嬢、緊張してないの?」
と尋ねるとTさんは、
「まあ、わりと平気だけど……。それより、場馴れしているはずのキミがそんなに緊張していることに驚いたわw パズドラのイベントとか番組で、何万人、何十万人が見ている前でプレイしてるのにwww」
などと言う。確かにそうなのだが、やはり狩王決定戦の予選は、一種独特なものがある。それはきっと、良くも悪くも自分ひとりで決着がつけられる競技とは違い、自分の一挙手一投足が相棒との結果にも関わってくるのが大きい。
(自分のミスがきっかけで、力を出せなかったら!><)
そんな想いが、俺の手汗につながっているのは間違いなかった。
そのようなヘタレた心模様で迎えた本番。スタッフに導かれて予選の席に腰をかけると、端っこに座りすぎたせいで席の反対側がハネ上がり(つまりシーソーのようになったw)、「うわ!!!!」と短く悲鳴をあげてひっくり返りそうになってしまった(恥)。
「ちょ!!ww あぶな!!w なにやってんのwwww」とTさん。
「ぐはああ!! 本番前から恥じかいた!!><」と俺。でも、このハプニングのおかげでイヤな緊張が奥に引っ込み、若干震えていた両手がピタリと止まったではないか。
……よし、もう大丈夫だ!
「練習の成果を、すべてここに置いていこうぜ!!」と俺。
「もちろん!! 悔いのない立ち回りをしよう!!」とTさん。こうして、我々の狩王決定戦チャレンジが始まった。
そして−−。
途中、若干グダってタイムロスをしてしまったが、致命的なミスもなく、なんとか無難にまとめてダイミョウザザミを討伐することができた!
「うん!! そこそこにまとめられたかなー!!」
Tさんも、晴れやかな顔をしている。感覚的に、練習での最速タイムには遠く及ばないのはわかっていたが、大崩れすることなく帰ってこれたことが、俺もうれしかった。そんな、“チーム・こっそり逆鱗日和”の予選結果は……!
2分58秒40
でした!!! 表示されたタイムを見て、俺とTさんは同時に「おお!!w」と笑った。
「とりあえず、2分台でよかったねー!!w 最低限の目標はクリアーできたよ!!」とTさん。
「だな!!!w 凡庸なタイムかもしれないけど、俺たちなりにがんばれた!!」と俺。とてもじゃないけど決勝のステージに上がれるタイムではないが、自分たちで考え、詰めてきた立ち回りを実践できたので、俺もTさんも笑顔になることができたのである。
さてこれを受けての結果だが、東京予選367チーム中、こっそり逆鱗日和の順位は……!
222位
となりました!!! 貼り出された順位表の前で、「222位……。まあ、こんなもんかね……」と苦笑いを浮かべる俺とTさんの背後から、悪魔の子軍団を始めとする仲間たちがつぎつぎと言葉を浴びせてきやがりました。
「大塚さん、ニャンニャンニャンじゃないですか! さすがネコ好き!!www」
「角満さん、見ましたよ!!w ニャンニャンニャンとはすげえ!!ww」
「ニャンニャンニャン、狙ってやったんですか!?ww」
「ニャンニャンニャンとは恐れ入りました!!!ww」
「ニャンニャンニャン!!www」
「ニャンニャンニャーーーン!!!wwwww」
…………ニャンニャンニャンニャンうるせえええええ!!!!!!
こうして、我々のチャレンジは幕を閉じた。……と言いつつ、決勝ステージでの達人どものすばらしい立ち回りに完全に魅せられた俺とTさんは、それからも毎日、昼飯や帰宅後の時間を使ってはダイミョウザザミ、セルレギオスと戯れている。
「角満!! 新しい作戦を思いついたんだけど!!!」
「お嬢お嬢!!! つぎ、あの立ち回りを試してみようぜ!!」
なんて言いながら。ハンターの向上心に火をつける狩王決定戦は、やっぱ最高だぜ!
おしまい。
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1月18日。ついにモンハンフェスタ'15、東京大会の当日がやってきた。
俺は朝の7時前には起床して飼いネコ2匹の朝飯を準備し、さらにネコのトイレの掃除もしてから風呂に入った。湯船に浸かっているとまもなく、アクアという名の世界一かわいい雌ネコが風呂の扉をガリガリと引っ掻いて「開けろにゃ! 開けろにゃ!」と騒ぎ出す。
「温かい空間で、新鮮な水を飲ませろにゃ!」
と言っているのだ。忠実な下僕である俺は「ハイハイw わかったわかった^^;」と言いながら扉を開けて迎え入れ、手桶に水を入れてアクアに与えてやった。
いつも通りの、平常運転な風景。こうして、決戦の日は始まったのである。
バタバタと準備を整えて家を飛び出し、電車に揺られてン時間経ったころ、俺は東京大会の最寄り駅である海浜幕張駅に到着した。ここで相棒のTさんと合流し、一路、幕張メッセへ。慣れた道を歩いて会場に近づくと、そこにはすでにガララアジャラを思わせる大蛇のような行列ができていた。
「うひゃああああ!! この人たち、みんなハンターなの!!? まだ朝早いのに、頭が下がる!!!!」
モンハンフェスタ初参戦のTさんが、キツネを思わせる切れ長の目を見開いた。(オメーもそのうちのひとりだよ)という言葉を飲み込みつつ、俺は言う。
「会場の中は、もっとスゴイことになってると思うぜ。さあ、入ってみようか」
そう言ってTさんを促し、ホールに入ったところ……。
ご覧の通り、広い会場がハンターで飽和状態になっておりました。
「たまげた……。モンハンなめてたわ……」
驚きのあまり放心状態になってしまったTさんを引っ張りながら、とりあえず会場のアチコチを見て回る。すると、そこら中で知り合いに遭遇して口々に同じことを言われた。
「大塚さん! ブログ見ましたよww 盛大に玉砕してきてくださいww」
「恥をかかないことを祈っておりますwww」
「まだ引き返せますよ!!w」
そんな連中に、俺は決まってこう返していた。
「決勝に残って、ステージでしゃべることも考えてあるわ!!! それを見て、ほほほ、吠え面かくなよ!!!」
そのたびに、「何ハードル上げてんだ!!!」とTさんから思いっきりボディーブローを食らって悶絶させられたが、まあそのくらい、気合が入っていたということですね。
そんなこんなをしつつ狩王決定戦の予選が行われているコーナーに近づいていくと、見知った連中が列に並んでいた。彼らに気安く声を掛ける。
「いやがったな悪魔の子たち。おまいらの天下も今日までだぜ。ふっふっふ」
俺に“悪魔の子”と呼ばれた4人が一斉に振り向き、「あ! 角満さん!!www」と言って笑い出した。
「ブログ見ましたよ!!w あみだで武器を決めたって、ホントなんですか!?ww」
「太刀&操虫棍ってマジですか!!?w スゴいですね!!!w」
「最速タイムはどれくらいなんですか!!?www」
なんだか、非常にうれしそうである。そんな彼らに、
「わ、笑ってられるのはいまのうちだ! 決勝ステージで待ってるからな!! 負けるんじゃねえぞ!!!」
と捨て台詞をぶつけ、俺とTさんは再びテクテクと会場を練り歩き始めた。
ひと通りの展示物を見終えてメインステージの脇にやってくると、聞き慣れた声が話しかけてきた。
「大塚さん! どもども!!」
振り返ると、そこにいたのは辻本良三プロデューサー。「あ、良三さん! あけおめ!」という挨拶もそこそこに、俺はTさんを紹介した。
「良三さん、こちら、いつも集会所でお世話になっている“たっちー”ですw」
超絶人見知りという設定はどこにいったのか、Tさんがベラベラと自己紹介をした。
「リアルでははじめまして〜! たっちーです!! いつも助けてくれてありがとうございます!!」
良三さんが笑った。
「あー!! たっちーさん、はじめまして! 集会所ぶりです!!w また今度遊びましょうよ!!」
ひと通りの挨拶が終わったところで、俺は良三さんに宣言した。
「いまから狩王決定戦の予選に出てきますわ。……決勝のステージで会いましょう!!!」
とたんに、良三さんが腹を抱えて笑い出した。
「ブログ、見ましたよ!!!www 大塚さん……太刀だって!?w うわあああ!!! メッチャ似合わねええええ!!!!ww 長い付き合いですけど、大塚さんが太刀を使っているところなんて見たことないわ!!!www こりゃ事件だ!!ww」
うなだれながらも、俺は虚勢を張った。
「そりゃ見たことないっしょ……俺自身がほとんど見たことないんだから!!!!w いやでも、いい感じに仕上がったんだよ!!! ステージで待ってろよ!!!」
良三さんはまだ笑いながら、「わかったわかったw 待ってる待ってるww」と言ってバックヤードに消えていった。……これで、完全に外堀が埋まった。あとはがんばるだけだ!!
というわけで次回、いよいよ決着です^^;
◆◆◆告知!!◆◆◆
突然ですが、『謎解き×ゲーム モンスターハンター謎BOOK』という書籍が、エンターブレイン……てかKADOKAWAから2015年2月5日に発売されます!! 価格は1200円+税。『逆鱗日和』のコラボ謎もあり、ぽん吉さんがイラストを描き下ろしていたりして……!! 1月18日から始まるモンハンフェスタの会場でもらえるチラシに限定謎を掲載しておりますので、会場に足を運ばれる方はぜひともチェックを!! ……さらに!! このチラシ、逆鱗日和ファンなら要チェックですよ……!(意味深)
★お知らせ★
何度かお伝えしてきましたが、9月26日に3年ぶりの刊行となる『逆鱗日和』シリーズの新作、その名も『本日もやっぱり! 逆鱗日和』が発売となりました!! 過去7作の『逆鱗日和』から選りすぐりのプレイ日記78編(!)を抽出した傑作選となっておりますが、もちろん! 書き下ろしもたっぷり収録!! モンハンショートショートあり、藤岡要ディレクターとのロング対談ありと、過去作を持っておられる方も楽しめる造りとなりました! シリーズ初の文庫サイズとなり、持ち歩きも楽チンになりましたので、興味のある方はぜひとも手に取ってみてください!
前回の続き。
俺とTさんのコンビが狩王決定戦へ向けた練習にあてられた時間は、実質1週間ほどだったと思う。同僚とはいえ、Tさんは編集者でも記者でもないので俺との時間はなかなか合わず、捻出できたのは昼飯の時間と、帰宅後の1〜2時間ほど。もともとの実力を考えると、狩王決定戦で上位を目指そうと思ったら圧倒的に練習時間が不足していたが、
「集合できないときも、個人練習をしてスキルを磨こう。タイムは二の次でいいから、納得できる立ち回りにたどり着くことを最終目標にしようじゃないか!」
我々はそう言い合い、トライ&エラーをくり返して立ち回りを詰めていった。そしてその甲斐あってか、タイムは少しずつよくなっていった。
……ホントはここで細かな立ち回りを書きたいのだが、前回のブログでも書いた通りまだ地区予選の途中なので、そういうヤボな記述はしないことにする。……たとえなんの参考にもならない立ち回りだとしてもな!!ww
そんな、先週の金曜日。
Tさんが俺の仕事が終わるのを待っていてくれたので、1時間ほど会社のカフェテリア(という名の食堂)で顔を合わせて練習することができた。ネットを介しても練習はできるが、実際に会ってアレコレと議論しながらのほうが圧倒的にはかどるというもの。我々は飲み物とお菓子をテーブルに広げ、バリバリゴキュゴキュと摂取しながら「ハイつぎ!」、「もういっちょ!!」とダイミョウザザミの討伐数を増やしていった。
しかしある瞬間から、Tさんの動きに違和感が出てきた。明らかに反応が遅れて、攻撃や乗りのタイミングをミスるようになっていったのだ。それどころか、闘技場にダッシュで入っていく場面でも、ノタノタとノンビリ歩いているし……。「ん!?」と思って、俺が指摘した。
「おいコラ。なんでまた、歩いて闘技場に向かってんだw ダッシュしろや」
Tさんが首を捻った。
「いや、なんかおかしい……。さっきからジャンプ攻撃をしようと思っても、ナゼかゴロゴロと転がっちゃうし。ダッシュしようとしても最初の1歩が出なくて歩いちゃう……」
そういえば……。
と、俺はここ1週間の練習風景に思いを巡らせた。言われてみるとこのとき以外にも、おかしな場面でTさんが前転をしたり、ノロノロと歩いていることがあったのである。でもときたまだったので、「ハイまたでたー! 得意の前転!!w マジメにやれや!w」と笑い飛ばしていたのだが、どうやらこれはTさんの怠慢ではなく、彼女の3DSそのものに問題があるのかもしれない。そこで俺は、
「ちょっと、その3DS貸してみ」
と言ってTさんの3DSを受け取り、Rボタンでのダッシュを試みた。すると……。
ノタノタノタノタノタ……
なんとRボタンがほとんど利かず、彼女のキャラはゆっくりと散歩(笑)しているではないか! 俺、絶望の表情でTさんに告げる。
「お嬢、コレ、Rボタンがバカになってる……。これじゃあまともに立ち回れるわけがないわー……」
Tさんも崖っぷちの状況を察して暗い声を出した。
「やっぱそうかぁ……。この3DS、初期中の初期のヤツだからなぁ。それが急に酷使されて、ビックリしちゃったのかも……」
Rボタンの入力は、入ることもあれば入らないこともあった。こんな不安定な状態で練習したとしても、本番では戸惑いが待っているだけな気がする。なので俺は言いました。
「とりあえず、今日はここまでにしとこうか。まあ、立ち回りはほぼほぼ固まったから、それを思い出して本番に臨むしかないな」
悲しそうな顔で、Tさんが謝った。
「そう……だね。……なんか、ゴメンね」
俺は努めて「なんとかなるさー!w」と明るく言い、「んじゃ、日曜日な!」と言って銀座の雑踏に飛び出した。
そして、本番を翌日に控えた土曜日。
Tさんからのけたたましい着信で俺は目を覚ました。ナンダナンダとスマホを確認すると、そこには「練習しようぜ!!!!」のメッセージ。慌てて俺は、メッセージを返した。
「おはー。……って、キミの3DS、壊れてるじゃんw」
すぐにTさんから、驚くべき返事が返ってきた。
「うむ!! 旧型は確かに壊れたけど……さっきお店に行って、新型ニンテンドー3DSを買っちゃった!!ww いまデータの引越し中だから、それが終わったら練習できるぞ!! 最後の追い込みやで!!! 気合入れろよな!!!!w」
え……。
ええええええええええ!!? マ、マジで3DSを新調したのぉぉぉおおお!!?
驚いて「あうあうあう!!!?」としか返せない俺に、Tさんが恥ずかしそうに状況説明をした。
「せっかく本気で練習してきたんだから、万全の態勢で本番を迎えたいじゃん! それにそもそも、あの調子の悪い旧型じゃほかのゲームをやるにも支障があるしね(笑)。いいタイミングだったんだよw」
おおおおおおお……>< なんて泣かせることを!!><
Tさんの男気(?)溢れる英断のおかげで、我々は本番前に最高の環境で練習することができた。しかも、この日までの最速タイムは“2分41秒”だったのに、Tさんが新型3DSに変えた瞬間……。
2分37秒
という最速タイムが叩き出される!!! 我々は驚きつつ、「うおお!!! 続けてやるぞ!!」と大慌てで何度かダイミョウザザミと戯れた結果……!!
2分40秒
2分43秒
2分36秒
2分41秒
2分32秒
ずっと夢だと思っていた“安定2分台”が出るようになったああああああ!!!
こうして我々は、「自分たちなりに、やれることをやった!」と納得できるところまで状態を仕上げ、本番に臨むことになったのだが……!?
次回に続く〜。
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ハンターたちが待ちに待っていたイベント、モンスターハンターフェスタ'15がついに開幕! 全国5都市で行われる地区大会の皮切りとして、1月18日に幕張メッセで東京大会が実施されたのだ。
そんな東京大会。俺もハンターのハシクレとして、「ぜひ参加したいっ!!」と思った。それも……取材ではなく、“大会出場者”のひとりとして!!!
大会とはもちろん、最速ハンター日本一を決める“狩王決定戦”。俺は、新たな相棒・同僚の美人ドSゲーマー・Tさんに声を掛け、ふたりで東京大会の予選に参加することを決めたのだった。そして、問題となる使用武器は……最終的に“あみだ”で選ぼうということになり、結果、
俺は太刀、Tさんは操虫棍ということになり、問答無用でこの武器での練習が始まったのだった。
……とはいえ、このブログの読者の方々だったらご存知かと思うが、ワタクシ大塚角満はガンランスが導入された『モンスターハンター2(ドス)』の昔から、ほとんどこの武器意外触ったことがない。『2(ドス)』が発売されたのが2006年2月だから……………ってオイオイ、丸々9年くらいガンランスオンリーだったってことじゃねえか!! ……いや、ほかの武器も遊びでチョコチョコ使ったことはあるし、太刀についても同様だが(気刃大回転斬りがあまりにかっこよくて、「くるりんパ!」と言いながら振り回していたw)、遊びは遊びであって何かが身についたわけもなく……。それはもちろん、モンハン初心者であるTさんも同じなのだが、彼女は、
「この場合、キミは中途半端で余計な知識が足かせになって苦労するかと思う。それに比べて私は、どの武器だろうがサッパリ何も知らないので、砂漠に水を撒くかの如く、テクニックをつぎつぎと吸収していくに違いない!!!」
と、根拠のない理屈に傾倒して自信満々。でもそのわりに、「……もしも初歩的な武器の使いかたが載っている本をお持ちでしたら、練習に持参していただけないでしょうか^^;;」と平身低頭で、そこはかとない不安も覗かせていた。こんなふたりで、どうにかなるのでしょうか……?
そしてこの日から、昼飯の時間を利用しての“Road to KARIO 大特訓”が始まった。とは言えまずは、
「しばらくは、お互い武器に慣れるための“アイドリング期間”としよう。遠いようだけど、それがいちばんの近道だとオラは思う」
と孫悟空のようなことを言いつつ、我々は1回目のダイミョウザザミ討伐に出発した。
「ぴょーん! ぴょーん!!」とTさん。
「くるりんパ! く、くるりんパ!!」と俺。
効果音だけは元気に発していたが、「ぴょーん!」と言いながらTさんはゴロゴロと地面を転がり、「くるりんパ!」と叫ぶ俺は気刃大回転斬りを外しまくって練気ゲージはノーマルのまま(苦笑)。結果、記念すべき1回目のクリアータイムは、
6分55秒
この結果を受けて、俺とTさんは口々に言い合った。
「これは……テキトーに武器を振り回していただけにしては、なかなかのタイムなんじゃないの??w」とTさん。
「……だな!!w 1回目にして、今後飛躍的にタイムが伸びるビジョンが見えた気がするわ!! 意外と俺たち、あみだでいい武器を引いたんじゃね??w」と俺。
気をよくした俺たちふたりは、「さあ、もう1回いってみよー!! 今夜はカニ鍋や!!」なんてニコニコ顔で言いながら、くり返しダイミョウザザミ討伐に打って出たのであった。
ちなみに、練習中のタイムは逐一、俺がスマホのメモ帳に入力してデータベース化していた。それによると、6分55秒のつぎのタイムは4分49秒(!)で、2回目にして宣言通りの“飛躍”を果たし、我々は「いい武器引いちゃった!www」の思いを強くする。下のスクショは、練習序盤の1月9日あたりの結果を抜き出したものだ。
この時点での最速タイムは、
2分49秒
で、俺とTさんはともに、
「俺(私)らって、けっこううまくね!?」
という悲しき勘違いをし始めることになるのである……。
ちなみに、俺たちがどのような感じで立ち回りを詰めていったのかといえば、当たり前のことながら「つぎはコレを試してみよう」、「あの動きの可能性も検証したい」とお互いに案を出し合っての“トライ&エラー”が基本だ。具体的にどのように上り詰めていったのかも書こうと思えば書けるのだが、まだ1ヵ所目の地区大会が終わったばかりなのでそれは伏せようと思う。
……え??
「オマエらの作戦を参考にするわけがねーだろ!!www」
ですって!!?
ちょいちょいちょい!!! まだ東京大会の結果は書かないけど、俺たちは俺たちなりに健闘したんだかんな!!!w ……俺たちなりにな!!w(強調)
というわけで、次回に続くw
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前回の続き。
1月18日に開催されるモンハンフェスタ2015の東京大会に、同僚の美人ドSゲーマー・Tさんとともに訪れることを決めた俺。でも行くからにはメインイベントたる“狩王決定戦”に参戦したいと思い、Tさんには黙ってコッソリと、このタイムアタック日本一決定戦にエントリーしていたのであった。
でまあ、紆余曲折の末にTさんも大会参加に合意(前回の記事参照)。予選突破に向け、地獄の特訓に邁進することになったのである。
さて、ここで改めて振り返るが、今回の狩王決定戦の予選種目は闘技大会の“ダイミョウザザミ討伐”である。古くからのハンターであれば、サザエのつぼ焼きを見ただけで胸焼けがしてくるほどおなじみのダイミョウザザミだが、『4G』が初モンハンのTさんにとっては今回が初のご対面。ゲームの進行的にもまだダイミョウザザミは出てきていないので、このモンスターに関する特徴や性質をイチから叩き込む必要があった。
……しかし何を隠そう、この予選種目にみる真の懸念材料は、ダイミョウザザミではなかったのだ。“その事実”を見た瞬間、俺の頬を冷たい汗が伝い、血の混じったような声がジワリと口から漏れた。
「……な、な、な、なんだこの武器種は……」
Tさんと試しに一度だけ出掛けたときは、「セーブしなきゃ何でもいいや」ってんで、よく確認もせずにボタンを連打して気づかなかった。でもいま、改めてじっくりと見てみたら……!! プルプルと震える俺に気づいたTさんが、怪訝な表情で話しかけてきた。
「どしたの? とっとと練習を始めようよ。時間は有限なんだぜ」
俺、弱々しい視線をTさんに振り向け、小さく「武器が……」と言った。するとTさん、「え? 武器??」とオウム返しに言い、そそくさと闘技大会に入ってゆく。そしてしばし後に「え? え??」と素っ頓狂な声を出しながら、「確認なんだけどさ……」と切り出した。
「確認なんだけど……双剣はどれ?? 剣斧って何?? ……あと、盾斧ってのとライトボウガンての、初めて見たんだけどコレも武器なの???」
そう……。この闘技大会で選べる武器は、太刀、スラッシュアックス、チャージアックス、操虫棍、そしてライトボウガンの5種なのだ……。これ以上ないほどの絶望の表情を作り、簡潔に俺は告げた。
「双剣なんて……ない!!!! ……ついでに、俺のガンランスもありません!!!ww」
「えっ!!!!」
と短く悲鳴を上げたきり固まってしまったTさんを見て、俺はナゼか笑いがこみ上げてきた。
「ヤ、ヤバいwww 前途多難すぎて笑えてきたwww わ、わは。わははははは……」
これに、Tさんがブチ切れる。
「笑ってる場合か!!! これ、武器どうすんの??w この5種から選ぶしかないんでしょ?? ……私、どれも使ったことないんだけどww ……あ、操虫棍は最初に使っていたけど、カメムシ(猟虫のことらしい)飛ばして遊んでいただけで、使ったうちに入らない……w」
俺は唸った。Tさんのことももちろん心配だったが、俺はガンランスが導入された『モンスターハンター2(ドス)』以降、99パーセント以上この武器しか使っていないのである。唯一、ガンランスのなかった『モンスターハンター3(トライ)』では、ハンマー、ランスあたりをメインに使っていたけど、このダイミョウザザミ討伐ではどちらもない……。そして、ガンランス以前に使っていた片手剣や大剣も……w
さらに俺にはもうひとつ、「ここだけは譲りたくない!><」と強く主張したい要素があった。チラチラとTさんを盗み見ながら、ボソボソと俺は言った。
「……しかも、ここでガンランス以外の武器を使ってしまうと、武器使用頻度のグラフが穢れてしまうではないか……!! ずっと、ガンランスオンリーの美しいグラフだったのにぃ……!!!><」
シラケた顔で、Tさんが「けっ」と吐き捨てた。
「それはどうでもいいです。……ホレ、とっとと決めろ!! 時間もそんなにないんだから!! どの武器を使ったらいいんだ!?」
「ロマンのわからない女はコレだから……」とかなんとかブツブツ言いつつ、俺は深刻な声を出した。
「いや……。ものの見事にふたりが使ったことのない武器がピックアップされているので、どれを使っても大差がないような……。もちろん、アレコレ試して最良の2本を選ばなきゃなんだけど、そんな時間もないしなぁ……」
それを聞いたTさんはパァっと笑顔を作り、「だったら簡単じゃん!!」と言って恐るべき提案をしてきた。
「どれを選んでも大差ないなら……あみだで決めようぜ!!!w どれが当たっても、恨みっこナシ!!! キチンとその武器で練習して、タイムを縮めていけばいいじゃん!!!」
「えええええええ〜〜〜!!!? あ、あみだ〜〜〜〜!!!?(驚愕)」
……ということで、前回の記事の冒頭につながる。俺はしばしのあいだ「そ、そんな紙切れで決めちゃうなんて……」とウジウジしていたものの、「往生際が悪い!!!」とTさんから叱責を受けてシブシブとあみだの案を了承した。
この“原本”に、
「オメーは信用ならん。何か細工をしているかもしれない」
と失礼な前置きをしてからTさんが線を追加。これでもう、逃げられない。
「角満君……。キミはどの武器を引きたいの……? 私はホントに、どれでも同じだけどさ……」とTさん。
「どれも変わらないんだが……マジで使ったことのない操虫棍とチャージアックスは、できることなら避けたい! 太刀とスラアクとボウガンは、横一線です……w」と俺。
そんな、ヤケクソとも言える覚悟を決めてあみだをなぞった結果……。我らテキトーコンビの選択武器は、以下の通りとなりました!!!
「わあ!!!ww 唯一触ったことのある操虫棍になったけど……使うのをあきらめた武器でもあるんですけど!!!www」とTさん。
「た、太刀か……。最後に触ったの、遠い昔なんですけど……。ある意味、もっとも俺に似合わない武器が当たったわ……」と俺。
でも、“恨みっこナシ!”が今回の抽選会の大前提。選んでしまったからには、これでタイムを縮めていくしかない!!!
そしてこの日から、お昼や帰宅後など時間を見つけては、ふたりで練習に励んでいる。当然、最初は武器に慣れるところから始めたのでボロボロもいいところだったのだが、50回、100回……と数を重ねるにつれていいタイムが出るようになってきた。このまま突っ走れれば、あるいは……!!
我々の狩王決定戦チャレンジがどうなったのかは、来週の更新で。
……期待しないで待っていてください!!w
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本日も“★7の壁”に関するドタバタ劇を書く予定でしたが、1話だけ時事ネタを挟ませていただきます。
とある平日の昼下がり−−。
深刻な顔をした男女ふたりが、食堂のテーブルを挟んで向かい合わせに座っていた。その表情は青ざめ、近くにいる人だったら、男がペンを持つ手がプルプルと震えていたのがわかったかもしれない。
「いやしかし……キチッと話し合いもせず、こんな紙切れ1枚で決めていいものか……」
男がため息といっしょに言葉を吐き出した。もしも言葉に色があるなら、いま吐いたそれは真っ赤な血の色をしていたことだろう。
「往生際が悪い!!! 何を使っても同じなら、割り切ってコレで決めるしかないっしょ!!」
女のほうはいたって、意気軒昂である。こうやって追い詰められたときに開き直れるのは女のほうで、男はいつまでもグジグジブツブツと“女の腐ったような”態度をとる性質なのかもしれない。
(そう考えると、“女の腐った物体=男”ってことになるのかな……)
思わず、その場の議論に関係ないことを考えていると、女はピシャリとこう言った。
「ホレ!! ぼんやりしていないで、早く“あみだ”作りなよ!! とっとと決めて、練習しなきゃでしょ!!」
ああ……。やっぱコレしかないのかぁ……><
男はあきらめ顔で天を仰ぎ、「しかたない……」とつぶやいてからペンを走らせ始めた。まもなくできたのが、こんなあみだくじだ。
ここで、食堂の風景からちょっとだけ時間を巻き戻す。
正月休み明けの平日。俺はふと“あること”を思い出して、年始の挨拶もそこそこにTさんにSkypeを飛ばした。
「お嬢お嬢!! あけおめことよろ!! というわけで、1月18日ってなんか予定入ってる???」
すぐに、Tさんから返事がきた。
「あけおめ〜〜〜! ……って、なんだいきなり。1月18日……って、日曜日か。いや、なにもないと思うよ?」
ホッとしつつ、俺はペラペラと軽薄な口調で続けた。
「あーよかった^^ いやその日さあ、モンハンフェスタの東京大会なんだわー^^ ぜひいっしょに出場しようと思って^^^^」
Tさん、「ふーん」と気のない返事をした。
「ああ、そうなんだ。まあ、せっかく『4G』を楽しんでいるんだから、そういうのに行くのもいいかもねー! 行きましょ!」
俺、(言質を獲った!)と大喜び。
「やったー! んじゃ、今日から練習しようぜ^^ 出るからにはそれなりに仕上げないと、ハンターたちに失礼だからな!!」
ここでTさんが「ん?」と言った。
「ん?? ちょっと待って。練習……って、なんの練習???」
俺、素知らぬふうで答える。
「へ?? ダイミョウザザミに決まってんじゃん。ナニ言っちゃってんの」
「え?」とTさん。
「え?」と俺。
埒があかないと思ったのか、Tさんの語気が強くなった。
「“え?”じゃねーよ! ダイミョウだかショウグンだか知らないけど、もっと具体的に説明しろって言ってんの! モンハンのイベントを見に行くんだろ!? それに練習が必要なのか!?」
俺、「あーはいはい^^;」としらばっくれてから、さもふつうのことのように詳細を説明した。
「ホラホラ、モンハンフェスタに“狩王決定戦”っていうイベントがあるじゃん?^^」
憤慨して、Tさんが返す。
「知らねーよ! 私はコレが初モンハンなんだから! モンハンフェスタってのも初耳だわ!」
「うんうん」と俺は頷いた。
「あー、だよねー^^; その狩王決定戦っての、ナンバーワンの狩猟コンビを決めるタイムアタックの全国大会なのよ^^ その予選に応募しておいたので、俺のパートナーとして出てほしいなーって^^」
しばしの重苦しい沈黙のあと、Tさんは顔面全体が口になったかのような表情でこう言った。
「はぁ!!!!?」
以下、俺とTさんのやり取り。
角:いやホラ、カプコンの人も“大塚さん、今回のパートナーはどなたで? ブログで活躍しているたっちーさんですか? だとしたらおもしろそうですねー”って言ってるし!
T:はあ!? ウソつけ!! カプコンのどなただよ!!
角:橋本さん。
T:って、名前言われてもわからんわ!! ウチらの会話に初登場じゃん!!
角:じゃあ聞くなよ。
T:言葉のアヤだろ!!(泣) ……って、えええええ!!? ホントに大会なんか出るのーーー!!? でもキミ、別の人と出るとかなんとか言ってなかった!!?
角:ふふふ。それについては、いろいろ考えているのだよ。……でもまずはとりあえず、逆鱗日和旋風を巻き起こしてやろうじゃん!!
T:いやああああああ!!! 超絶人見知りなのに、大会なんてむーりーーーー!!!
……という会話のあと、俺は、「まあ騙されたと思って、1回だけ闘技大会のダイミョウザザミ討伐をやってみない? 装備、アイテムは準備されているので、身ひとつで行けるからさ」とTさんを誘惑。するとTさんは、「……じゃあ、1回だけ」とブツブツ言って俺のあとについてきた。そして、クエスト終了後……。
「……ちょっと。これ、キチンと立ち回りを考えてやったら、もっとタイムが縮まるってことだよね?」
若干コーフンした面持ちでTさんが言った。俺は(しめた!)と心のうちで快哉を叫びつつ、ここぞとばかりに畳み掛ける。
「その通り!! これが“知略を練り、オノレを磨きながら立ち回りを突き詰める”という、モンハンのもうひとつの顔なんだわ。……な、おもしろいだろ?」
Tさん、恥ずかしそうにコクンと頷いた。
「……うん、おもちろい」
こうして、晴れて俺とTさんのコンビで狩王決定戦に参戦することになったのだった。
で、ようやく話は冒頭に戻るのだが……。
長くなりそうなので、続きは次回!
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「上位★7のクエストには3つの壁があると俺は言った。なんだか覚えているかね?」
いつものように集会所で、同僚の美人ドSゲーマー・Tさんと合流してチャットをしていたときのこと。難度の高い★7のクエストに打って出るにあたり、俺はTさんに上記の質問をした。するとTさんは「もちろん!!!」と元気に応えてベラベラとしゃべり出す。
「アレだろ!? 人類の存亡がその壁にどーたらこーたら……ってやつ。えーっと、確か壁の名前はウォールロー……」
俺は「わかったわかった!!」と言って、慌ててTさんを制した。
「ちゃんと覚えてはいるようだな。そう、ウォールクシャル、ウォールテオ、ウォールアカムがソレだ。でもこいつらは本気で屈強なので、その前に肩慣らしをしておきたいと思う」
「ほうほう」と頷くTさんを一瞥してから、俺は話を続けた。
「とりあえず、もっとも組し易しと思われる“イビルジョー”の討伐にでもいきますか」
Tさん、コクンと頷く。
「その、いびるじょーってのがナニモノかは知らんが、簡単なら行こうではないか。ギッタギタにしてやんよ!!!」
というわけで、イビルジョー討伐に出向くことになりました。
さてここで多くの読者の皆さんが、「簡単と騙してジョーのクエに連れていくなんて、ヒドい!」とフンガーフンガーと憤慨されたかもしれない。でも、いきなりSっ気を出してTさんにイジワルをしたわけではなく、俺はホントの本気で“イビルジョー=組し易し”と思っているのである。
ではなぜ、自他共に認めるヘッポコハンターの俺が“最凶”の一角でもあるイビルジョーを相手に「余裕!!」なんて思っているのか? その理由はおそらく、イビルジョーが初登場した『モンスターハンター3(トライ)』の時代に見出すことができると思う。
当時、俺は『逆鱗日和』の担当編集・江野本ぎずもとともに狩りをしていたのだが、拙著『本日もただいま! 逆鱗日和』に書き下ろしで“イビルジョー狩猟物語”を書くと計画し、毎晩ふたりであーだこーだと言いながら狩りにくり出していたのである。最初こそ、「これ、ふたりじゃ無理じゃね……?」なんて言っていたのだがじきにイビルジョーの動きに慣れ、締め切りのギリギリになってついに討伐に成功。その瞬間、この屈強なモンスターに対する恐怖や苦手意識といったネガティブな感情がいっさい消え、「イビルジョー、なんぼのもんじゃい!!!」と言えるようになったのである。これにより、
余裕な俺+初見のTさん=イビルジョー討伐
という確固たる方程式ができあがるので、なんの危機意識もなくイビルジョー狩猟のクエストを貼り付けたというわけだ。
それでも、なるべくハンター側に有利になるような戦術を組み込んでおくのは、モンスターに対するリスペクトの証である。出発の準備を進めながら、俺はTさんに告げた。
「お嬢、今回の狩りでは“眠り生肉”ってものを使ってモンスターを寝かせるからな。ピコーンピコーンて合図をしたら、攻撃の手を止めろよ。んで、爆弾がボカーンって爆発してから攻撃を再開するように!」
Tさんが元気に応じた。
「わかった!!! ピコーンとボカーンだな!!!!」
ホントにダイジョブかな……。
でまあ、氷海を舞台にしたクエストが始まったわけだが、イビルジョーと遭遇するなり、Tさんがギャアギャアとわめき出した。
「こここ、こいつ!!!!! この恐竜!!!! 確かなんかのクエでいきなり目の前に現れて、“!!!!!!!???”と驚いているうちに喰われたヤツやん!!!!!」
あ、そういえば……w
なんのクエストか忘れたけど、大型モンスターがいないと思っていたエリアでTさんがいきなり昇天し、クエストに失敗したことがあった。で、集会所に戻るや俺が、「なにしてんだよ!!ww モンスターがいないところでオチるなよ!!w」と罵ると、Tさんは珍しく必死な口調で、「ち、違うよ!!!! なんかデッカい恐竜みたいなのが現れて!!! ホントだよ!! ホントにいたんだよお!!!!><」と泣き喚いたのである。いまわかったのだが、どうやらそれがイビルジョーだったらしい(笑)。笑いを堪えながら、俺は言った。
「よし!! そのときの恨みを晴らしてやれ!! なあに、意外とヤツの攻撃は当たらないから、懐に飛び込んで斬りまくれ!!!」
するとTさん、「うおおおおおおし!!!!」と叫ぶや双剣を構え、イビルジョーに張り付いて攻撃を始めた。その姿を確認してから、俺もガンランスを構えた。
そしてしばらくすると、イビルジョーがデコボコのアゴからヨダレを垂らし始めた。これは……そう!! 眠り生肉のチャーンス!!! 嬉々として、Skypeで俺は叫ぶ。
「あ! お嬢!! ぼちぼちヤツを眠らせるからな!! 合図したら攻撃を止めろよ!!」
するとSkypeから短い返事が。「ラジャー!」。
しかし……。
眼前のイビルジョーは、いつまでも寝ることがなかった。最初の“ヨダレタイム”を終えてエリアチェンジをしてからも、幾度となくチャンスがあったはずなのに……。そのうち、Skypeががなり始める。
「ねえねえ! まだ眠ってないよね!? 合図、見逃してないよね!?」
Tさんである。俺は簡潔に返事を返した。「見逃してない」。
そして、狩猟開始から15分。奮闘していたTさんが1オチを計上。さらに、「余裕余裕www」と半笑いで狩りをしていた俺が、イビルジョーのカーソルが点滅(捕獲の見極めを付けていたので)しだしたところでまんまと2オチ目を記録してしまった。
でも、あとはもう捕獲するだけだ。2オチはしちゃったけど、やっぱりイビルジョーは俺のライバルたりえないモンスターだなあ。はははははー。
……と、支給品ボックスから目ぼしいものを物色していたとき、思いもかけない事態が起こる。
「きゃああああああ!!!!www」
断末魔の悲鳴が聞こえたかと思ったら、なんと復帰したTさんが速攻で3オチ……w 余裕と思われたイビルジョー討伐で、まさかの“クエスト失敗”となってしまった。
そして、集会所−−。
「ちょっと!!! もう捕獲できたのに!!! なんでオチんだよ!!!」
怒る俺にTさんは「逃げ切れんかった!!!><」とうなだれるも、すぐに「あ、そうだ」と顔を上げて俺に質問してきた。
「そういえばヤツを眠らせる……とかなんとか言ってたと思うけど、けっきょく寝たの? そんな姿、見た覚えがないんだけど」
俺、「バウン!!」と心臓が跳ねたのを感じた。仕方なく、質問に答える。
「あ、あー、アレ^^; 眠らせるって話ね^^; ……いやじつは、なんか知らんけど眠り生肉が見当たらなくてサ^^;; どこに落としちゃったのかなーなんて^^;;; ホント、モンハンって不思議なことがあるよねー^^;;;」
しばらくポカンとしていたTさん、いきなり我に返ってギャンギャンと吠え出した。
「テメー、それ忘れただけじゃねえか!!!! 眠らせるのが成功していたら、3オチしなかったろ!!!! 人のせいにすんな!!!(怒)」
けっきょくこの日は、「角満が悪い!!」、「いやお嬢のせいだ!!」の応酬となり、イビルジョーへのリベンジに向かうことはなかった(苦笑)。
こんなことで、3つの壁を越えられるのだろうか……?
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何度かお伝えしてきましたが、9月26日に3年ぶりの刊行となる『逆鱗日和』シリーズの新作、その名も『本日もやっぱり! 逆鱗日和』が発売となりました!! 過去7作の『逆鱗日和』から選りすぐりのプレイ日記78編(!)を抽出した傑作選となっておりますが、もちろん! 書き下ろしもたっぷり収録!! モンハンショートショートあり、藤岡要ディレクターとのロング対談ありと、過去作を持っておられる方も楽しめる造りとなりました! シリーズ初の文庫サイズとなり、持ち歩きも楽チンになりましたので、興味のある方はぜひとも手に取ってみてください!
シャガルマガラを見事に退け、ついにハンターランク“7”となった俺とTさん。『4G』を始めてから約3ヵ月ってところなので決して早い歩みではないのだろうが、Tさんがモンハンの“モ”の字も知らなかったことを考えると、俺的には感無量と言えるほどの感動がある。
しかし……。
ここから先に現れるモンスターたちは、どのクエストを取ってみても一筋縄ではいかない連中ばかりである。気合を入れて臨まないと、ヘタしたらひとつもクリアーできずに泣く泣く引退するハメになる……なんて未来もあながちありえないことではないような気もしてくる。
なのである日、俺はTさんに、「今後のハンティングライフに関する緊急ミーティングを開きます」と重々しく切り出し、ここから先の道のりがいかに険しいかを説明した。
「お集まりの皆様。お疲れ様でございます」
Tさんが白けた声を出した。「皆様って……私しかいないんですけどw」。無視して、俺は続けた。
「シャガルマガラを討伐し、新たなステージに進んだ我々ですが、こっから先に現れるモンスターはマジでヤバいヤツらばかりです。心折られる可能性が高いです」
「ふむふむ」とTさん。しゃべっているうちにだんだん気持ちが高ぶってきて、俺はわめき始める。
「キミは初対面となるイビルジョーやラージャン、金レイア、銀レウスなど恐るべきライバルたちが多数現れるわけですが、★7のクエストには昔から、“3つの壁”があると言われております」
Tさんが眉間に皺を寄せた。「ほう……?」。かまわず俺は続ける。
「その3つの壁は俗に、こう呼ばれているのです……。……“ウォールクシャル”、“ウォールテオ”、“ウォールアカム”と……ッッ!!! この3つを越えない限り、人類に安息の日々は訪れない……ッッ!!!」
首をかしげて、「どっかで聞いたような……」というTさんを、俺は敢然と無視した。
「さあ心臓を……ッ!!」
最後のセリフを言いかけたところで、Tさんがブチ切れた。
「うるさい!! わかったよ!!!w ていうか、壁を越えるのか立ち向かうのか、よくわからんわ!!ww」
俺は「はっ」と我に返り、「コホン」と1発咳払いを入れてからマジメに説明を始めた。
「つまり、ここから“古龍”という伝説の生き物たちがつぎつぎと登場して、我々の前に立ちふさがるのだよ。その代表格、“クシャルダオラ”、“テオ・テスカトル”、そしてこいつは飛竜種だけど“アカムトルム”を、★7で退けなければならないのだ。……もう、考えただけでも震えてくる。これからの難行が頭をよぎって……」
Tさんは一瞬だけ険しい顔をして「マジか……」とつぶやいたが、それほどネガティブに考えているわけではなさそうだった。その証拠に、こんなことを言う。
「……まあでも、なんとかなるよ! いままで何度も“壁が現れた”、“今度こそヤバい”ってキミは言ってきたけど、どうにかこうにか乗り越えてこれたんだし! がんばろうよ!!」
いつの間にか、励ますほうと励まされるほうの立場が逆転してしまっていた。でも、古龍(+アカム)の恐ろしさを知らないとは言え、Tさんの天真爛漫さは時として不思議なほどの力になる。
(そうだよな! なんとかなるよな!!)
2分前までの沈んだ気持ちはすべて吹っ飛び、軽薄なほど明るい声になって俺は叫んだ。
「なんか、いける気がしてきた!! よぉぉぉし、まずはクシャルダオラから狩ってやるか!!! いくぜ!!!」
Tさんも、鬨の声をあげる。「おっしゃあああ!!! やるかーーー!!!!」。
そして俺たちは……。
古龍(とアカム)の洗礼を受けることになる…………www
続く……。
※すみません! アカムトルムは飛竜種でした!! 加筆修正いたしました!
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その日−−。
いつものようにTさんとふたりでテキトーなクエストを遊び、ワイワイギャアギャアと言い合いながら集会所に戻ってくると、クエストカウンターにいるギルドマスターのおっさんが吹き出しを出しているのが見えた。「あ!!」と思ってチャットで伝えようとすると、俺よりも早くTさんがわめき出した。
「あっ!!! じ、じじぃが!!! じじぃがナンか言ってるお!!!!」
興奮するととたんに、Tさんは言葉が乱れる。若干苦笑しながらカウンターに突っ走っていくTさんを眺めていると、彼女は続けざまにこんなことを叫んだ。
「デタぁぁぁああああ!!!! 緊急クエスト!!! なんか、シャクれるとかマガるとか言ってる!!! ナニこれ!!! やばそう!!!」
なんにでもコーフンできるルーキーをうらやましく見つめながら、厳かな口調で俺は告げた。
「シャクれても曲がってもいないわw “シャガルマガラ”だよ。物語の重要なカギを握るこいつを超えない限り、俺たちは前に進めないのだ」
ポカンとして、Tさんが返す。
「緊急なんだから、超えなけりゃ先に進めないのは当たり前だろ」
いきなりリアルなことを言われ、とたんに俺は恥ずかしくなった。
「う、うっせー! そ、そういうふうに考えたほうが盛り上がるだろ!(恥) ホレ、行くのか!? シャガルマガラの討伐に!!」
間髪入れずに、Tさんが「応ッ!!!」と吠えた。
「あったりまえ!!! どんなモンスターか知らんけど、たっちーさんの双剣でギッタギタにしてやるわ!!!」
このとき、俺は頭の中でこう思っていた。
(……最初の3回は捨てよう。お嬢はギッタギタにされるだろうが徐々に動きをつかんでもらって……。4回目からが勝負ダナ)
初見の驚きを大事にしてほしいので、今回もTさんにモンスターの情報はいっさい入れない。それゆえの玉砕覚悟なわけだが、返り討ちにあうビジョンしか見えなかったとしても、しっかりと準備はしていかなければならぬ。俺は回復フルセットに生命の粉塵、閃光玉などをカバンに詰め、Tさんが貼った緊急クエスト“廻り集いて回帰せん”を受けた。さあ、シャガルマガラ討伐だ!!
特殊なフィールド“禁足地”に足を踏み入れると、さっそくTさんがSkypeで騒ぎ出した。
「わ!! なにここ!! なんか怖い!!!」
そして、幽鬼のようにユラリと現れたシャガルマガラを見るや、さらにギャアギャアとわめきたてる。
「わ!! いた!! あれがシャクレか!!! なんかヤバそう!!!」
うるさいったらありゃしない。
それでも、幾たびもの死線を潜り抜けてきた成果なのだろう。Tさんはなかなか巧みに立ち回り始めた。シャガルマガラの動きをいっさい知らないのだからすべてカンなのだろうが、眼前を避けるようにサイドに回りこみながら懐に飛び込み、鬼人化して斬り込んでゆく。トリッキーなブレスも動物的な動きでつぎつぎと避け、再びシャガルの懐へ−−。閃くふた振りの刃は車輪のように回転し、強烈な斬撃となって気高き天廻龍に叩き込まれていった。
そして−−。
……俺、15分過ぎに1オチ^^;;;;
「あ^^;;; や、やっちったwwwww」
ネコタクから転げ落ちながら、SkypeでTさんに言う。
「ちょっと!!!w ^^;;; じゃねえよ!!w 私より先にオチるな!!!www」
ひとりで立ち回りながら、Tさんが返事をよこした。うーん、なかなか余裕ではないか……。
そんな、クエストスタートから20分。
すでに尻尾は切断し、「もしかしたら、初見でいけちゃうかも!?」と思い始めたところで、Tさんが痛恨の2オチ目を計上した。しかし、
「あああああ!!! いまのケアレスミス!!! ごめん!! ……でも、イケるよね!? このままがんばれば、討伐できるよね!?」
Skypeを送ってきたTさんに、落ち込んでいる様子は見られない。強く頷きながら、俺は応えた。
「いけるとも!!! 決着つけようぜ!!!!」
そして−−。
クエスト開始から25分過ぎ……。歓喜の瞬間が、俺たちにもたらされた!!
「ぎゃおおおおおおおお……!!!」
しなやかな身体をくねらせながら、シャガルマガラが断末魔の咆哮を轟かせた。その刹那、画面に表示された会心のメッセージ!!
“QUEST CLEAR”
これが吠えずいられぬものか。
「いけたあああああああ!!!! シャガルマガラを超えたぞおおおお!!!!」と俺。
「うわああああああああ!!!! すげえええええ!!!!! 私たち、強くなってるーーーー!!!!」とTさん。ほんのちょっと前まで武器を砥ぐことも知らなかった彼女とふたりで、シャガルを討伐できる日が来るとは……(涙)。
でも、感動してばかりもいられない。俺たちは、「いまの勢いで、もう1回いこう!」と言い合って、俺の緊急クエストに出発。そして25分過ぎに討伐を果たし、晴れてハンターランク“7”となったのでした。
でも……。
ここまでは正直“助走の期間”のようなものだろう。★7で待ち構える恐るべきモンスターとの生存競争から、ハンターの真の歩みが始まると言っても過言ではないのだから……。さてさて、どうなるのやら……。
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新年、明けましておめでとうございます〜!! 本年も逆鱗日和なブログをよろしくお願いいたします!!
さて。
上位に上がってから俺はず〜〜〜っと、スキュラS装備の着たきりスズメになっていた。デフォルトで発動する、捕獲の見極め、罠師、毒無効というスキルがすばらしく、さらに装飾品と護石によっては、“見切り+3”、“水属性攻撃+1・見切り+1”、“広域化+1・見切り+1”なんていうステキスキルもプラスできるので、「もう俺、一生コレがあればいいけんね」と世捨て人のような心境になって着古したスキュラS装備を愛でていたのである。
でもそんなある日、おなじみ同僚の美人ドSゲーマー・Tさんがこんなことを言ってきたのだ。
「前から思っていたけど、キミってずーーーっとその装備だよね。確かに、すぐに捕獲してくれるのでありがたいんだけど、ぼちぼち新しい世界に踏み出してもいいんじゃないの? そんなに保守派だったっけ??」
俺は驚いた。『4G』がモンハンデビューの小娘に、まさかそんなアツいセリフで諭されるとは思わなんだ!!!
いやでも確かに、ここ最近の俺はスキュラSのスキルに甘えすぎていたかもしれない。これを着ている限り解毒薬を持っていく必要はないし、罠も爆弾も瞬時に設置してくれる。何より最速で捕獲することができるので、クエストに無駄な時間をかけずに済む……。でもそれゆえに、ここ最近の狩猟は事務的というか機械的というか能面的というか、とにかく右から左へベルトコンベアーで流すかの如く作業的にこなしていたような気がする。そんな効率的でガチな狩りに嫌気がさしたからこそ、俺は原点に返ってTさんや中目黒目黒、岩田ジュビ漏といった“ヌルいヤツら”と日々を過ごしているのではなかったか−−。Tさんはそんな狩猟風景を暗に指差し、「着替えたら?」というひと言に隠して俺を諭してきたのでは……!!!
俺はドバドバと感涙をこぼし、Tさんにすがりつくように嗚咽を漏らした。
「うおおおおお!!>< そうだよね!>< 俺は甘えていたよね!>< いつのまにか俺は、“エンジョイハンティング”の男から“効率ハンティング”の男になってしまっていたよ>< おーいおいおい>< うん、わかった!! お嬢の言う通り、俺はもとの大塚角満に戻るよ!>< いや何も言うな>< わかってる! わかっているよ!!!><」
むせび泣く俺をポカンとした顔で見ていたTさん、ちょっとおびえた声で、
「え……?ww あ、いや、べつに、そんなつもりは1ミリもなく言ったんですけど……w ただ違う装備も見てみたいなー……みたいな……」
なんて言ってた気がするが、まあいいってことよ(何言ってんだ)。スキュラS装備を脱ぐ決意をした俺は、さっそくつぎなる防具の候補を探し始めた。
とは言えじつは前々から、「つぎに作るとしたら……これかな」とおぼろげながら思いを寄せていた装備がある。それは何を隠そう“ゴアSシリーズ”で、セットで揃えることで発動する“バイオドクター”のスキルに興味津々だったのである。というのも、当ブログの第37回“怒りと悲しみのブラキディオス”で書いたが、俺はコイツの“爆破やられ”が大嫌いで、「一生無効にしておきたい“やられ”の圧倒的第1位!!」に選出したいほど。調べによると爆破やられは、バイオドクター(もしくは細菌学)を発動させれば無効にできるとのことで、心情的にはピッタリ。地獄の使者のような見た目も悪くないので、スキュラSに続く我が装備は「もうコレしかない!!」と思った。そこで、Tさんに宣言する。
「お嬢、決めたよ!! つぎはゴアの上位装備を作るわ!!!」
するとTさん、「ほう! ゴア・ママダか!!」とスレイブ間々田が聞いたらキレそうなことを言いつつ、パタパタと集会所を出てゆく。そして数分ののちに「おっしゃ!!」と言うと、思いもよらない“宣言返し”をしてきたではないか。
「女子のゴア装備、超悪女っぽくてきゃわわあああ!!!! 私も作る!!! これからは悪女の時代や!!!!」
悪女っぽい……ってか、めっちゃ悪魔なんですが……。
まあでも、同じ装備を目指すなら素材集めの手間は省ける。その瞬間から我々の、ゴア素材集めが始まった。
さて、ここで多くの読者の皆さんが、「はいはいw どうせ上位のゴアが狩れなくて苦労するんでしょww わかってるわかってるwww」と思ったことであろう。……でも、見くびってもらっては困る。このころにはTさんのプレイヤースキルもかな〜り上がってきていたので、上位のゴア・マガラもふたりで10分程度で狩ることができるようになっていたのだ。なので立ち回りについてはまったく不安はなく、一度たりともオチることはなかったのだが……。
狩猟回数が7回を数えたころ、ゲッソリとした声でTさんが漏らした。
「おいコラ……。その“闇玉”とやらは、ホントに存在する素材なんだろうな……? まったく出る気配がないんだけど……。それがあれば、全身の装備を作れるのに……!!」
ゲッソリ声を俺が返した。
「運がよけりゃ、落し物でも手に入ると思うんだけど……。……俺も闇玉があれば、全身作れるのにぃぃぃぃ!!!」
そう……。やる前からわかっていたのだが、まんまと“黒蝕竜の闇玉 ”が物欲センサーに引っ掛かってしまい、まっっっっったく出てくれないのである!! 余裕で狩れる……とは言っても、10回を越えるとさすがにキツい。でも、そんな12回目……。
「あっ!!!!! 落し物で闇玉拾ったああああああ!!!!!!」
そう叫んだのは……Tさんだああああ!!!! うおおおお!!! マジかよ!!!! 先を越されちまったあああああああ!!!!><
「やったやった!! おっさきー^^ あ、安心して^^ キミが出るまで付き合ってやっから^^^ たっちーさん優しい^^ 天使すぎ^^^^」
憤慨して、俺は言った。
「当たり前だ!! 抜け駆けは許さんぞ!! さあつぎ!! つぎだつぎぃぃぃい!!!」
そして13回目のゴア・マガラ討伐が始まったのだが……。
開始2分で……。
Tさん、1オチwwwwww
俺、「わああああああ!!!!」と悲鳴を上げてからTさんを糾弾した。
「オイごらぁあああ!!! なに油断してんだよ!!w 回復もしねえで闇雲に突っ込んで昇天しやがって!!! じじじ、自分が闇玉を手に入れたからって!!><」
するとTさん、「てへぺろ♪」とウザいことを言ってからつぎのように発言した。
「いやあ、完全に慢心したわwww 回復もせずにテキトーに突っ込んでたらオチちゃったwww ごめんごめんwwww」
けっきょく……。
俺の闇玉、出てくれず……。
おしまい。
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大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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