大塚角満の ゲームを“読む!”

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【MH4G】第13回 意思ある緑の重戦車、ゲネル・セルタス(その2)

 前回の続き。

 ……と言っても、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開するだけですが(ボソ)。

 開幕早々、“常盤色(ときわいろ)の闖入者”ことアルセルタスにムシャムシャと喰われてしまった俺。それを見て、危機感なく笑い転げるTさんのもとにゲネル・セルタスが突っ込んでいった……というところまで前回の日記で書いた。その続きである。

「ぎゃあああああああ!!!!!!」

 天空山に、Tさんの金切り声が鳴り響いた。突っ込んでくる緑の重戦車を見て腰を抜かしてしまったのか、Tさんは避けもガードもせぬまま(双剣だからガードできないけどw)、なすすべなく轢き潰されてしまったではないか。まるで、非暴力主義を貫いて武力に身をさらす聖人のような、それはそれはいさぎのいい轢かれっぷりでありました(感動)。

 ……って、感心している場合じゃねえ! ゴロゴロと転げるTさんを見て、「は、腹いてぇwww」と笑っていた俺だったが、急に我に返ってSkypeで怒鳴った。

「ちょっと!! 少しは抵抗しろや!!w 緊急回避してみるとかよー!w」

 するとTさんから、衝撃の返事がもたらされた。

「え??? 緊急回避って、どうやんの????」

 オマエそれでよく双剣使ってるな!!!!!

 と目の前にいたら言ってやりたかったが、いまはそれどころではない。ゲネル&アルセルタス夫婦を相手に立ち回らなければいけないのだから!!

「ととと、とりあえず態勢を立て直して、隣のエリアに逃げ……」

 言い終わらぬうちに、ゲネルの追撃がTさんを襲った。結果……。

 ぷち。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!」

 開始7分。Tさん、天に召される。

 まあ、突進をまともに食らってパニックになっているところに追撃されたら、こうなるのも仕方がないであろう。俺、「うぷぷ!!!」と噴き出しそうになるのを必死に堪えながら、Tさんを励ました。

「ドンマイwwwww 気を取り直して、がんばろう!!ww」

 しかしTさん、ゲネルがすっかりトラウマになったようでキャンプから動かない。

は、鼻息がかかっただけでちんだ……。もう怖くて近寄れない……。私、虫捕ってるから、そのデッカいのは任せた^^;」

 俺は「うおい!!!」と憤った。「こっちのデカい虫も手伝えよ!!!!」。

 俺に促されたTさんが、しぶしぶとアルセルタスとゲネルの待つエリアに現れた。これによりモンスターどもの敵視が分散し、俺に「ほっ……」っとひと息つく間を与えてくれる。まだまだ火力には期待できないが、こういう“間”を作ってくれるだけでも十分にありがたいのである。

 しばらく、俺たちは無言でゲネル夫婦と渡り合った。こいつらとやり合うといつも、シッチャカメッチャカのカオスが狩場に展開してしまうのだが、この日も平常通りの混沌ぶりである。

(ここはなんとかゲネルに乗って倒し、主導権を引き寄せないと……)

 俺がそう思った瞬間、なんと高台からジャンプしたTさんがゲネルの背に飛び乗ったではないか!!! ここまで、幾度となくいっしょにクエストに出掛けているが、彼女がモンスターに乗るのは初めての出来事である。こいつはタマゲた。アルセルタスもビックリ。

 しかし程なく、Tさんはゲネルに振り落とされて、地面に叩きつけられてしまう。ああ……。惜しい……>< ……でも残念には違いないけど、彼女がモンスターに乗れるようになったのは大きな大きな進歩である。俺はSkypeで、Tさんを褒め称えた。

「惜しい!! でも、ナイス乗り!!! つぎはきっと倒せるさ!!!!

 しばしの沈黙ののち、Tさんから返事がきた。

「……乗ったら、何したらいいの???^^;;;」

 ……って知らなかったのかよおおおお!!!!!(怒)

 この後まもなく、「は、鼻息が!!!!!」という断末魔とともにTさんが2オチ目。いよいよ後がなくなったが、「まだいける!!! モンハンは2オチ目からだっ!!!!」と奮起して立ち回るも、アルセルタスの突撃に転ばされたところにゲネルに詰め寄られ、あえなく失神!!

わあ!!! 気絶しやがった!!! やめろやめろやめろ!!!><」

 と泣き喚いたところで緑の重戦車に通じるわけもなく、そのまま失意の3オチ目を喫してしまった。

 …………………俺が^^;;;;;

 これに喜んだ(?)のがTさんである。

「うおおおお!!! 失敗!!! クエスト失敗!!! 角満のせいで失敗!!!ww まあまあ、ドンマイドンマイ^^ 私、責めたりしないから^^ 今度がんばれよ^^^^

 俺、若干釈然としないながらも、(そ、そうか。戦犯は俺だったのか……)という気持ちになり、

「し、しぃましぇん……。つぎ、がんばります……」

 とうなだれたのだった。

 ……って!!!

 なんで俺が励まされなきゃいけねえんだ!!! オメェもがんばれよ!!!!

 ……というわけで、狩り三昧の3連休だ〜!!


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投稿者 大塚角満 : 15:31

【MH4G】第12回 意思ある緑の重戦車、ゲネル・セルタス(その1)

 前回の続き

 同僚の美人ドSゲーマー・Tさんと、“あの”ゲネル・セルタスの討伐に行くことになった。“あの”なんて書いている時点で、俺がこのモンスターに対して良い印象を持っていないことがよくわかる。まあ簡単に言ってしまうと、俺はこのモンスターが苦手なのだ。

 かつて俺は、無印(初代『モンスターハンター』のこと)で初めて出会ったディアブロスに対し、あまりの威容と迫力に完全に気圧されてつぎのような一文を書いた。

“ディアブロスは、100メートルを9秒台で駆け抜けるアンドレ・ザ・ジャイアントである”

 デカいくせに速く、速いうえにタフ……。人間に置き換えたら矛盾せざるを得ない能力をその巨体に棲まわせ、圧倒的な迫力のもとにハンターを追い詰める……。ディアブロスはそんな、特別なモンスターであった。

 そして、いま−−。

 当時のディアブロスと雰囲気をオーバーラップさせる、デカくて、堅くて、そして速いモンスターが存在する。

 そう……。

 それこそが“意思ある緑の重戦車”ことゲネル・セルタスなのだ。……って、まるでディアブロスが後進に後を譲って絶滅したかのような書きかたをしてしまったが、今日もヤツらは砂漠のスプリンターとして元気に走り回っていることを付け加えておきます。

『モンハン4』を遊んでいた初期のころ、最初の壁になったのが何を隠そうゲネルであった。何がイヤかって、ガンランスは武器の性質上、相手の懐に潜り込んでしまうことが多々あるのだが、そうすっと脚長なゲネルの軒下に入った感じになり、狩場の全貌がつかめなくなって、

「あれ??? いま俺、ナニやってたんだっけ???」

 という状態になってしまうのだ。この状況、運動会のときに建てられたテントの下に入ったとき、そこがテントの下であるということを意識しないのとよく似ている。自分がいまどこにいて、どんな体勢でモンスターと対峙しているのかもわからなくなり、結果、「あれ??」と呆けているうちに天に召されてしまう……。ゲネル・セルタスとは、そういうモンスターなのだ(そうか?)。

 そんな恐るべきモンスターの討伐に、超絶初心者のTさんを伴って出発する。Tさんは天空山に来るのも初めてだったので、「ここでハチミツが、あそこの金の鉱脈からはレビテライトとか採れるよ」と親切に教えつつ、ひと通りのエリアを回った。そんなことをしていると当然、ゲネルのナワバリに踏み込むことになり……!! 俺のあとからエリア5に入ってきたTさんが、遠くに見える緑の物体を一瞥したまま動かなくなった。と同時に、俺のスマホがブルルと震える。見れば案の定、TさんからのSkypeであった。

ちょっと!!!! 向こうになんかでっかい虫がいる!!!!!」

 その威容を見て、明らかにキモを潰したようだ。俺は素早くTさんのもとに駆け寄って思いっきり蹴っ飛ばし、同時に「あれがゲネル」とSkypeを打ち返して「ガシャン!!!」とガンランスを構えた。このとき持っていたガンランスは、近衛隊正式銃槍。防具は、まったく強化していないスキュラ装備一式である(これはいまも変わらずw)。下位とは言え、屈強なゲネル・セルタスを相手にするにはかなり心許ない。いや、自分ひとりだったらどうにでもなるのだが、討伐に時間がかかればかかるほどTさんがやられてしまう可能性が増えるので、なるべくすみやかに狩ってしまいたかったのだ。

 そういう意味では圧倒的に、俺の装備は不十分だった。ニュー3DSを持つ両手のひらに、じんわりと汗がにじんだのがわかる。……でも、やるしかない! この先にはまだまだ、ゲネルなど足元にも及ばない屈強な連中が待ち構えているのだ。こんなところで、足踏みをしているわけにはいかねえんだよ!!!

おし!!!! お嬢、いくぞ!!! ひるむことなく突っ込めえええ!!!!」

 Tさんに檄を飛ばすためにSkypeに入力し、鼻息荒く画面に目を戻すと。

 むしゃむしゃむしゃ

 いつの間にか現れたアルセルタスにがっちりとホールドされ、我が分身がうまそうに喰われているではないか!!!!

うはwwwww なんか角満がジタバタしてるwwww ウケるwwwww

 Tさんから、またまたSkypeが飛んできた。ウケねえよ!!!!! 笑ってねえで助けろや!!!!!

 オープニングからそんなバカなことをやっていると、忘れかけていたゲネルが突進してきて……!

 中途半端なまま、次回に続くw

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投稿者 大塚角満 : 13:53

【MH4G】第11回 誰の爪?

 出社してPCを起動し、買ってきたアイスコーヒーを飲みながら本日のスケジュールをチェックしていると、同僚の美人ドSゲーマー・TさんからSkypeが飛んできた。

「キミさ、火曜ダンジョンの超地獄級って、ノーコンクリアーできる??」

『モンハン4G』もコラボしていた、パズドラの話である。ちょっと憤慨しつつ、俺は答えた。

「たったいま出撃して、1階でちんで帰ってきたばっかだわい……」

 するとTさん、自分が切り出した話題に興味がなくなったらしく、まったく違うことを言ってきたではないか。

「双剣、超楽しくて、いますぐ家に帰ってモンハンしたいんだけどw」

 本日の、午前11時の会話である。いま出社したばっかだろ……と腹の中で思いつつも、俺は優しく「うんうん」と頷いた。

「わかるわかるw そうなるんだよなー。ナルハヤで家に帰って、ネットにつないで遊ぼうぜ!」

 俺の言葉にTさんは「やったー!!!」と狂喜し、その勢いを駆ってつぎのように畳み掛けてきた。

「じゃあさ、いま持っている“オーダーレイピア”を強化するための素材を集めたい!! 連れてって〜〜〜!!」

「ふむふむ」と俺は頷いた。「いいよー。……で、どんな素材が必要なの?」。するとTさん、「よくぞ聞いてくれました!!」とばかりに、自信を持って語りだした。

「昨日、何度もチェックしたので完璧に覚えてる! ……えっと、レビなんちゃらってのとライトなんちゃら、あと、なんちゃらの爪ってので全部だよ!」

 まるで“ナンチャラ”っていう名のモンスターがいるかのような発言だが、そんなのは当然いるわけもない。俺は脳内でTさんの言葉を翻訳し、噛み砕いて尋ねた。

「ナルホド。レビテライト鉱石とライトクリスタル、あとは……竜の爪ってことかな?」

 Skypeの向こうで、Tさんが飛び上がったのがわかった。

「そうそう!!! それそれ!!! さすが角満!!! ……ついでにこれらを、私にプレゼントしてくれてもいいんだよ?^^」

 俺、心底バカにしきった態度で「ふっwwwww」っと鼻で笑ってやった。

「ふ!!! ……甘い!!! 口に入れた瞬間にすべての歯がC5レベルの虫歯になっちゃうデザートくらい甘すぎる!!!! ……あのね、モンハンってゲームはね、重要な素材はすべて自分の力で獲ってくるしかないんよ! 武具もそうだけど、おいそれと他人はあげられないようになっているのさ!! 強くなりたければ、自分の力で強くなるしかない……。それがモンハン!! それがハンター!!!」

 興奮してまくし立てる俺をSkypeごしに見ながら、Tさんはしらけたような声を出した。

ああ、そう。じゃああとで、素材集め手伝ってよ」

 俺、ここでいきなり冷静になり、「ふふん」とニヒルに笑いながらこんな提案をした。

「しかし、何もかもが渡せない……ってわけでもない。たとえば、いまキミが言った竜の爪。なんとこの素材はプレゼントすることができるのだ。というわけで、必要な分だけあげましょう」

 Tさん、ここぞとばかりに感激のダンスを踊りだした。「わーい!! やったやった!! 4個ちょうだい!!!」。

 なんだ。竜の爪4個なんて、安いもんだな。

 俺はアイテムボックスの中から4個の竜の爪を取り出し、そのままTさんに「はい」と手渡した。それをうやうやしく「ははーっ!!」と言って受け取り、Tさんは武具屋に向かって走り出す。「もう1回、見てくる!!!」と言って。その姿に、俺は10年前の自分をオーバーラップさせていた。

(ひとつ素材が手に入るたびに武具屋に走って、リストを確認する……。そうしたところで早く武器が手に入るわけじゃないんだけど、なぜかそうしちゃうんだよな^^; 俺も、そして世のベテランハンターも、みーんなそうだった。これが本当の、モンハンの原風景……)

 若かった昔を思い返しながら目頭を熱くしていると、武具屋ににじり寄っていたTさんが思いもかけないことを言ったではないか!!

あれ!!!? いまもらったの、違う爪じゃん!!! 私が必要なの、“重甲虫の爪”ってヤツだよ!! そっちをちょうだいよ!!

 俺、「うわあああ!!!!」と絶叫した。

それゲネル・セルタスの素材じゃねえか!!!!! あげられるわけねえだろ!!!!  ……ていうか、竜の爪返せよ!!!!!!(大激怒)」

 しかしTさん、修羅と化した俺のことなどまるで眼中にない。

「ねえねえ、そのゲネルなんちゃらってのに連れてってよ〜〜〜^^ もちろん、キミが狩り担当、私は採集担当で^^^^」

 ……というわけで、じつは俺もゲネルの素材が欲しかったことから、急遽天空山に向かうことになりました。

 次回に続く……。


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投稿者 大塚角満 : 16:39

【MH4G】第10回 ガンライスと召喚獣

 超初心者ドSハンター・Tさんにモンハンのイロハを教えながら、毎日のように狩りをしている。俺らにはすっかり刷り込まれてしまった“ハンターの常識”も、彼女のようなルーキーには意味不明のことも多々あるので、本当に初歩の初歩から教えるようにしているのだ。↓こんな感じで。

T:なんか、採集ができないんだけど
:採集のときは、武器をしまいましょうねー

T:なんか、攻撃が全部弾かれるんだけど
:真っ赤っかになる前に、武器は砥ぎましょうねー

T:(チラリと俺を見て)肉、もぐもぐ
:……俺が食べたからって、いっしょに食べなくていいんだよ!w スタミナゲージで判断しろや!!w

 日々、こんなことのくり返しなのだが、10年前の自分を見ているようで逆に新鮮。俺はいつも腹を抱えて笑いながら、“イロハのイ”をTさんに叩き込んでいるのである。

 ただ、こういったハンターの基本については流れるように答えれらるのだが、ことつぎの質問については「あ……う……!」と言葉に詰まってしまったよ。ある日、都内の居酒屋で狩り会をしていたとき、Tさんはこんなことを言ってきたのだ。

「ねえ、この虫の棒、どうやって使うの? さっぱりわからないんだけど」

 メインの武器種を決めるとき、Tさんはアレコレ迷った末にあろうことか操虫棍を選んでいた。その理由は、「怖いモンスターが跋扈するフィールドに放り出されても、虫がいっしょにいてくれれば多少は安心」というもので、“使いやすさ”とか“手に馴染みやすいか”といった、本来見るべきところは度外視しての“わがままな選択”であった。

 しかしそんな質問をされたところで、操虫棍を持ったことが1回くらいしかない俺(それ1回確定だろ)。役に立つ答えなど返せるわけもない。なので、俺は正直に言いました。

「知らんわwww 俺、操虫棍なんて使ったことないもん。だから言ったろ? 最初は大剣とか片手剣にしておけ、って……」

 言われたTさん、「ええええ!!? 頼りにならないなぁ……」とプリプリするも、返す刀でこんなことを言ったではないか。

「ところでキミの武器、なんか爆発してかっこいいね。ガンライスだっけ??」

 俺、口に含んでいたビールを毒霧のように噴き出した。

「なんだその新種の民族料理みてぇな名前は!!!(怒) ガンライスじゃねえよ!!! ガンランスだよっ!!!!!

 しかしTさん、基本的に俺の話はあまり聞いていない

「ふぅん。で、キミは自称・日本一なんだって? 『逆鱗日和』に書いてあったけどw」

 噴いた毒霧を、思わずすべて吸い戻した。

「日本一じゃねえよ!!! “世界一(笑)”だよ!!! いちばん恥ずかしい間違えかたをすんじゃねええええ!!!」

 そんな無慈悲なやり取りをしつつ、この日もクエストに。見ればナルホド、Tさんは、猟虫をプィ〜ンと飛ばしはするもののモンスターに当てる気はなく、さらに操虫棍の真骨頂であるジャンプ斬りもいっさいしないので“乗り”になることもない。

 猟虫を使わず、さらにジャンプもしない……って、それただの棒っきれじゃねえか!!!  

 ……と言いかけたところで、Tさんが不満そうにこう切り出した。

「ねえねえ、このカメムシなんだけどさ」 

 カメムシ……って、猟虫のことを言ってんのかこの女は。まあ、続きがありそうなのでとりあえずそこはスルーし、俺は返事をした。「猟虫がどうかした?」。

 するとTさん、この日イチバンの爆弾発言をぶっ放す!!

「カメムシ君、いつになったら召喚獣みたいになるの??」

 俺、本気で居酒屋の椅子から転げ落ち、生ビールと枝豆のカラを頭からかぶった。そしてヒィヒィと泣きながら立ち上がり、ありったけの声をTさんに叩きつけた。

召喚獣って……なるわけねぇだろぉぉぉぉおおお!!!! 操“虫”棍って言ってるべ!!! いったいどんな姿に成長すると思っていたんだ!!!」

 Tさん、「エー」っと不満そうな声を漏らしながらつぎのようにのたまう。

バハムートみたいな、でっかいドラゴンになるんだと思ってた」

 俺の声は、すっかり掠れていた。「どこでどう脳内変化したら、猟虫がバハムートになると思うんだあああああああ!!!><」

 ……てなことがあり。

 すっかり操虫棍から興味が離れたTさんは翌日、こんな告白をしてきました。

今日から双剣使いになりました^^;;;; ……双剣、めっちゃ速くてかっちょよくて、しかもモンスターを討伐できるようになった!!!! 双剣最高!!!!www

 ここからようやくスタート……かなw


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投稿者 大塚角満 : 15:18

【MH4G】第9回 アイルーはシビレ罠にかかるのか?

 今日は極め付けに、『モンハン4G』とは関係のないことを書く。

『モンハン』シリーズで連綿と使い続けられているアイテムのひとつに“シビレ罠”がある。シュタッと地面に設置すると、ビリビリとモンスターを痺れさせる機構が発動され、そこに乗っかった連中の動きをしばし封じるというスグレモノだ。

 思うに、長きモンハン世界の歴史の中で、シビレ罠と生命の粉塵が発明されたときの衝撃は、筆舌に尽くしがたいものがあったのじゃないかと想像する。連日のように新聞、雑誌、webメディア等で報道され、

“画期的すぎる発明品!!”

“もうモンスターは怖くない!!”

“誰でもかかってこい!! ……でもゲリョスと古龍はご遠慮願います”

 なんて見出しが誌面に踊ったはずだ。クエストの成功率は飛躍的に向上し、負傷するハンターも激減したに違いない。そういう意味でシビレ罠と生命の粉塵は、“モンハン世界の2大発明品”と言えるのではなかろうか。

 そんなシビレ罠だが、基本的には“大型モンスターに効果がある”アイテムである。デカい分には問題がないらしく、レウス、レイアはもちろん、あの重量級のグラビモスや超長級(なんだそりゃ)のガララアジャラあたりも、

!!!!! うっは!! なんじゃこりゃ!! シビレるシビレるビリビリビリ!!

 と、シビレ罠で悶絶してくれる。ただ小さいモンスターは苦手としていて、もっとも小型のものでもドスランポスやアルセルタスが関の山。ジャギィやケルビになんて総スルーされるし、ブナハブラやオルタロスにいたっては「ふんwww」と鼻水を引っ掛けられる始末である。当然、アイルーやメラルー、オトモアイルーもシビレ罠に掛かることはなく、ついつい、「どういう仕組みか知らないが、なかなかうまくできているもんだなぁ〜」と、思わず感心してしまったりする。

 しかし。

「ちょっと待て」

 ここで、ある著名なモンスター学者が疑義を申し立てた。かつて『角満式モンハン学〜モンスター編〜』という、モンハン世界のモンスターを分析、研究した学術書を上梓したこともある“角満先生”という人物で、実施に基づく考察と仮説(妄想ともいう)には昔から定評がある。そんな彼が、“アイルーはシビレ罠にかからない”とされる“定説”に対し、疑問の言葉を投げかけたのだ。いわく、

「アイルーがシビレ罠にかかるかどうか、実際に試した人物はいるのかえ?」

 なるほど……。

 確かに、実際に狩りのフィールドで見る分にはかかっていないように見えるが、実験室の中で試してみたという話は聞いたことがない。角満先生は、おごそかに続けた。

「ならばどうするか?? ……実験してみればいいだけのこと!」

 というわけで、リアルアイルーを使った実験が行われることになった。

 用意するものは、じつに簡素である。

・ネコ2匹
・紐1本

 これだけ。たったこれだけの実験道具で、ある程度の結果が見えてくるというのだ。さっそく、その様子を覗いてみよう。

 まずは準備として、1本の紐を円の形にして床に置きます。

 そう、シビレ罠に見立てているわけだ。俺……じゃなかった、角満先生はすかさず、1匹目のネコの名前を叫んだ。

「ミュ〜〜〜〜ウ!!! これ、なーんだ!!」

 ミュウと呼ばれた飼いネコ、居眠りしていたベッドから降りて、律儀にもトコトコと歩いてきた。そして……!!

 ビリビリビリッ!!!!


わな〜〜〜〜ん……

 なんとあっさり、紐で作った円の中に入ってくつろぎ始めたではないか!!! つまりモンハン的に言えば、「シビレ罠にかかった!!!」ってことになりますよね!!?(なぜか懇願口調)。

 いやあ、ネットに転がっていた“ネコほいほいの作りかた”ってのを読んで試してみただけなんだけど、こうもあっさり、ミュウを捕らえられるとは思わなかった。となれば調子に乗って、もう1匹のネコも入るかどうかを試してみなければならぬ。俺はさっそく、残る1匹の名を呼んだ。

アクア〜〜〜〜〜!! こっちきて、これ見て〜〜〜!!!」

 呼ばれたアクア、すぐにチョコチョコと歩いてきた。そして、ワクワクする俺を尻目にシビレ罠の前でピタリと止まり、ジィ〜っとこちらを見つめてくる。

 アクアは、こんなことを思っていたのではなかろうか。

(……なんだかイヤな予感がするニャ)

 俺、若干小躍りしながらアクアを促した。「アクア! ほれほれ、そこに入りたいだろ!?」。

 しかし、2匹目のネコには罠を見破られてしまったようで……!


ジィ〜〜〜〜〜〜〜……

アクア 「これは、シビレ罠だニャ」


プイッ

アクア 「こんな罠には引っかからないニャ。ネコをひとくくりにするのは浅はかだニャ」

「あああ〜〜〜!! アクアさ〜〜〜ん!!!><」

 ……というわけで、“ネコはシビレ罠にかかるのか?”という突発的な実験の結果に導き出された結論は、

“ネコによる”

 というものになりました。

 ……しかしこれのどこが、モンハンの記事なんだ……。


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投稿者 大塚角満 : 15:11

【MH4G】第8回 また、会えたね

『モンスターハンター4G』のプレイを開始するとすぐに、ハンターライフのパートナーであるオトモアイルーの設定に入ると思う。名前や毛色、耳の形などを決めることができるので、かな〜り自分好みのアイルーを生み出すことができる。ゲームに感情移入する上でも、ここはじつに重要なポイントのひとつだ。

 このオトモアイルーの設定をするとき、ネコ好きハンターたちの多くはきっと、キョロキョロと自分の家の中を見渡したはずだ。そして、こんな感じで声を出したに違いない。

「タマ〜! ちょっと来て〜!」

 もしくは、

「ヴェルザンディちゃ〜〜〜ん♪ おいであそばせ〜〜〜♪」

 そう、飼いネコを呼んだのである。オトモアイルーの名前を任意で付けられるとなれば、リアルで自分が愛でている愛猫のソレをつけたくなるのが親心ってものであり、せっかく名義貸し(?)をするのだから本人(本猫、か)にもそのシーンを見せたくなるってもの。しかも毛色や耳の形も選べるので、実際に愛猫の姿形を眺めながら少しでも容姿を近づけようとするのが心理だと思うのだ。

 もちろん、俺も例外ではない。オトモアイルーの設定をするとき、すぐさま飼いネコの名前を呼んだ。

「アクア〜〜〜!! こっち来て〜〜〜!!」

 と。ウチにはミュウ(♂)とアクア(♀)という2匹の飼いネコがいるが、こういうときは容姿に優れるアクア(世界でいちばんかわいい)に出番をお願いすることが多い。まもなく、名前を呼ばれたらどこにいても飛んでくる懐き度MAXのアクアがやってきた。

 この顔と模様を参考にしつつ、毛色はアイルー柄、耳は寝かせたタイプを選択。そして名前は、

「う、うーん……。どっちにしよう……」

 と迷いながらも、最終的には“アクア”と名付けた。こうして、我がハンターの筆頭オトモが誕生したのである。

 俺はさっそく、このことをTwitterで報告した。

 するとこのツイートに対し、以下のようなリプライをしてくれる人が複数いたのである。

「“オリガミ”じゃないの!!?」

「“オリガミちゃん”はどうしたんですか!!?」

 おおお……! オ、オリガミのことを覚えてくれている人がいたなんて……!! 俺の頬を、感激の涙が伝った。

 じつは筆頭オトモの名前を付けるとき、「どっちにしよう……」と悩んだ理由がここにある。

 フォロワーさんの言う“オリガミ”とは、『モンスターハンターポータブル 2nd G』のときに苦楽をともにしたオトモアイルーのことで、たびたび俺のプレイ日記に登場していた。その後、『モンハンポータブル 3rd』の時代になってもオリガミのことが忘れられず、ネコバァが斡旋してくれるアイルーのリストにその名前が出てくるまで、俺はオトモアイルーを雇わなかった(詳細はこちら)。それくらい、オリガミという名のオトモアイルーに愛着を持っていたのである。

 ではなぜ、筆頭オトモにオリガミと名付けなかったのか? リプをしてくれたフォロワーさんに、俺はこう答えた。

「自分でオリガミと名付けちゃうのはちょっと違う気がして、まずはアクアにしました^^;」

 そうなのだ。任意で名前を付けられる以上、欲しかったらいくらでもオリガミネコを生産できるのだが、それではどうにも物足らないのである。死んでしまった恋人の代わりに、その容姿、声、思考などをすべてコピーしたアンドロイドを作っても満足することができなかった……なんてSFがよくあるが、それに近い感情なのかもしれない。

「いつかどこかで、オリガミに再会できたらいいなぁ……」

 ないものねだりなのかもしれないけど、やっぱり考えちゃうよねえ。

 そんな、ある日のこと。

 同僚の美人ドSゲーマー、Tさんに、「らいとくりすたる、ってどこにあるの?? 掘りに連れてけ。もしくは、ちょうだい♪」と懇願という名の脅迫をされたので、「ハイハイ。ライクリは人にあげられないから。自分で掘れや」と言って、“氷海”に連れて行くことにした。手ごろなところでウルクススの討伐を選び、「俺がモンスターを相手にしているあいだに、掘りまくりなよ」とTさんに告げて、キャンプを飛び出す。と言いつつ真っ直ぐウルクススには向かわず、「とりあえず、ハチミツだけ^^」とニコニコしながらエリア8に入っていった。ここと、その隣のエリア5にハチミツの木があるのだ。

 エリア8に入り、わーいわーいとハシャギながらハチミツをほじくっていると、左端にスカウト待ちのオトモアイルーがいるのがわかった。ここで彼に声を掛けると、クエスト終了後に雇うことができるのだ。

 俺はこのエリアに来るたびに、「もしかしたら……」の期待を込めてアイルーに話し掛けることにしていた。しかし出てくる名前は、フルート、モカ、クリスタル、ヘルガ……と、なかなか“目当てのあのコ”になってくれない。

(もしかしたら、もうオリガミはいないのかもな……)

 うっすらと確信しつつも、心の中にずっと(でも会いたい!!)の気持ちがあるので、話し掛けずにはいられないのだ。

「まあ、違うアイルーだろうけど^^;」

 そんな言葉を口に出しながら、奇抜なkawasakiカラーのアイルーに声を掛けてみた。

 そして−−。

 その瞬間、俺のまわりの時間がピタリと止まった。バタバタと走り回るTさんの姿も、どこかにいるウルクススの存在も、完全に頭から消え去ってしまったと思う。

 いた……! いてくれた……!!! また俺に会いに来てくれたんだ!!!! 半分涙声で、俺は叫んでいた。

オリガミ……!! オリガミが、帰ってきたああああ!!!!

 そのときの写真がこれ。

 感激にむせび泣く俺に、緑色のオリガミは「はじめましてニャ」と言った。俺のことは、まったく覚えていないようだった。そっか……。『2nd G』の時代から数えたら、もう6年だもんな。当たり前だけど、あのときのオリガミは、もう……。

 毛色も、特技も、性格も違う、ただ名前が同じだけの緑色のアイルー−−。

 それでも、俺の喜びには一点の曇りもない。この緑色のアイルーは、連綿と続くオリガミの系譜から産み落とされた、紛れもないオリガミなのだから。

 ちょっと泣き笑いの表情で、「はじめましてニャ」と言ったオリガミに俺は言葉をかけた。

「はじめまして。……でも俺はずっと、キミの祖先といっしょにモンスターに立ち向かっていたんだよ。だから、はじめましてだけど、はじめましてじゃないんだ。……またよろしくな、相棒!!!

 俺の言葉の意味がわかったのか、画面の中のオリガミは、

「ダンナ! このボクに任せておくニャ!!」

 そう言って、エラそうに胸を張った。

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投稿者 大塚角満 : 14:02

【MH4G】第7回 “浪漫コンボ”完成!

 何度も言うように、俺は『モンハン4』のデータを引き継がなかったので、『4G』はイチからのプレイである。となればここはやはり“どんなハンターに育てていくか”という方針を立てるべきであろう。

 最大の注目ポイントは、メインで使っていく武器だ。

『逆鱗日和』の読者の皆様はきっと、「はいはい。言わなくてもわかってるよ。アレでしょアレ」と半ば呆れながら指摘してくるかと思うが、じつは今回はちょっと悩んだのである。“アレ”が第一候補だったのはもちろんだが、コレだけ多くの武器種があり、しかもいろいろな新モーションなんかも追加された現状を見て、

「いつまでもナントカのひとつ覚えでいいのだろうか!!?」

 と思ってしまったのだ。最近、よくいっしょに遊んでいる同僚の美人ドSゲーマー・Tさんがテキトー極まりない動きで操虫棍を振り回しているのを見てますます「お、俺はこの武器のままでいいのだろうか!?」と思ったことも大きい。そこで俺はTさんに、「ちょっと、お嬢の貸して」と言って3DSを強奪し、“浮気候補”と目していた操虫棍、チャージアックス、スラッシュアックスあたりをひと通り触ってみた。なぜ自分の3DSではなく、Tさんのを借りて“試し斬り”をしたのかと言うと、

「我が分身にガンランス意外の武器を触らせるわけにはいかぬ」

 と思ったから。

「だったら最初から浮気なんか考えるんじゃねーよ!!」

 と突っ込まれそうだが、そこはなんというか、そのー……まあフクザツな男心ということですよ^^; ちなみにTさんは、最初に全武器種を触りまくっていたので、データが汚れる(?)ことへの感慨はゼロであったことを書き添えておきます。

 でまあ、ほとんど初めて触る操虫棍、ガチで初めて触ったチャージアックス、『3(トライ)』以来となったスラッシュアックスをガシャガシャといじくった結果、俺はひとつの結論に達した。

……やっぱ俺はガンランスだな^^;;; 融通のきかない頑固じじぃバンザイ」

 ふりだしに戻るを出して、けっきょくガンランスで生きていくことになりました。

 そうと決まれば話は早い。やることは、ガンランスの集中的な強化、そしていままで以上に腕を磨いていく。これだけである。

 まず最初に手を付けたのが、初期装備として用意されているアイアンガンランスの強化だ。これをすぐさまアイアンガンランス改にし、さらに、

「序盤のダイヤモンド、マカライト鉱石ッ!!!!」

 と涙ながらに絶叫して、マカライト鉱石×3、大地の結晶×2、モンスターの体液×3という希少素材を投入して“スティールガンランス”を作った。しかも今回は、過去のどの『モンハン』を遊んでいたときよりもマメに採集をしているおかげで、つぎの強化先である“討伐隊正式銃槍”もあっさりと作ることができちゃった!! これには小躍りせずにはいられない。

「やったやった!! 早くも討伐隊正式銃槍だ!! いつになく順調!! 怖いほどにスムーズ!!!」

 とりあえず、現時点のクエスト難度を考えたら、武器の強化は必要十分だろう(村★3くらいの時代)。さてここからは初心に返って、“ガンランスの扱いかた”の復習に入ろうではないか。俺はできたばかりの討伐隊正式銃槍を背負ってフィールドに飛び出し、ジャギィやドスジャギィを相手にボカンボカンと砲撃をくり返したのだった。

 そんな、ある日。

“ミスター・モンスターハンター”こと『4G』のディレクター、藤岡要さんと酒を飲んでいたとき、話題がガンランスのことになった。「今回も、ガンランスでやりはるんですか?」と尋ねる藤岡さんに「もちろん!!!」と答えると、彼はちょっと考える仕草をしてから非常に気になることをのたまった。

「あー、いいですねえw ガンランスは今回、新しい動き……というか連係が入りましたし」

 え。

 俺は心の底から驚いた。

ガンランスに新しい連係が!!!!? そそそ、それマジっすか!!?」

 まったく知らなかった。藤岡さんは、俺が知らなかったことのほうに驚いたようだった。

「えええ???ww 知らなかったんですか!??w 相変わらずのフシアナですねww まあそれでいいですよ、大塚さんはwww」

 じつは先日の東京ゲームショウの『4G』のステージで、藤岡さんが「いろいろな武器に新しい動きが入っています」と言及したのを聞いて、隣にいた江野本ぎずもにこう尋ねられたのだ。

「大塚さん、ガンランスにも新しい動きとか連係って入っているんですか? さっき体験プレイしたから、気づきましたよね??」

 この質問に対し、俺は「いや」と首を振った。

「……いや、けっこうたっぷり遊ばせてもらったけど、まったく気づかなかったわ。これだけガンランスを使い込んでいる俺がわからなかったってことは、ガンランスの動きは『4』と変わらないってことだな」

 ドヤ顔で断言する俺に江野本は「あー、そうなんだー!」と納得の表情だったが……思いっきり新しい連係が入っていたそうです!!!! ……ま、どうせ江野本はこの記事は読まないだろうからどうでもいいや。

 さて問題は、どんな連係が入ったのか、ってこと。俺は「はぁはぁ!!」と荒い息をつきながら藤岡さんに詰め寄った。「どどど、どんなのが追加されたんですか!?」。すると藤岡さんは愉快そうに笑いながら、こともなげにこう言ったではないか。

「なんと、フルバーストから竜撃砲に技がつながるようになったんですわ。フルバーストをバババンとぶっ放した後、間髪入れずに竜撃砲に入れるはずですよ!」

 キターーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!! ガガガ、ガンランスの2大フェイバリット、フルバーストと竜撃砲がつながるなんてッ!!!! これはスゴイ!! 全ガンランサーの夢実現!!! 俺は興奮してまくしたてた。

「すげええええ!!! これは完全に、キン○バスターとキン○ドライバーを間を空けずに炸裂させるようなものじゃないですか!!! なんて危険なコンビネーション!!!」

 藤岡さんは、しかつめらしい表情で頷いた。「“浪漫コンボ”と呼ばれています」

 となればさっそく、試し斬り……ならぬ“試し撃ち”をしなければならぬ。俺は、「フルバーストと竜撃砲のやりかた、わかります?w」と茶化す藤岡さんを睨みながらドスジャギィ討伐にくり出し、すぐに背中に乗ってドスジャギィを倒したところで雄々しく叫んだ。

「おおおおし!!! まずは……フルッッバーストォォオオオオ!!!!

 ズババババンとフルバーストをぶっ放したのを確認し、間髪入れずに竜撃砲の操作をした。すると……!!

「うわ!!!! ホントにつながった!!!! 浪漫コンボ完成ッ!!!!

 そう、ガンランスの2大必殺技が本当につながったのよ!! こいつはすげえ……! さあ焼けろ、ドスジャギィ!!! まもなく、竜撃砲の巨大な火炎がガンランスの切っ先から飛び出した。

 ボワンッッ!!

 ところが……。

 藤岡さんがニヤニヤ笑いながら俺に言った。

「大塚さん、竜撃砲が1ミリもドスジャギィに当たってませんよwww」

 え……? と思ってよく見ると、確かにドスジャギィには火の粉のひとつもついていない。こ、これは、いったい……。茫然自失とする俺に、藤岡さんが解説してくれた。

「フルバーストを放つと、反動で後方にステップバックしちゃうじゃないですか? そのせいで、竜撃砲の射程が足らなくなるんです。このコンボをするときは、フルバーストの踏み込みを深くするなどの対策が必要ってことですねえww」

 な、なるほど……。それゆえの浪漫コンボか!!!!

 いやでも、こんなにかっこよくてド派手な連係は、ほかの武器では聞いたことがない。バッチリと使いこなして“世界一のガンランサー(笑)”の名をハンター界に轟かせてやろうではないか!!!

 やっぱガンランス最高だわ^^

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投稿者 大塚角満 : 13:28

【MH4G】第6回 新米ハンターを育成せよ!

 前々回の日記で紹介した新米ハンター、“お嬢”こと同僚の美人ドSゲーマー・Tさんは、ホントの本気で『モンハン』シリーズに触ったことがない。もともとゲーム大好き人間で、しかも俺よりひと回り以上年下なんだから、PSPの『モンハン ポータブル』シリーズなんてドンピシャな世代だと思うのだが、それも「1回もやったことがない」と断言する。聞けばまわりの友だちに「さんざん、いっしょにやろうって誘われた」というが、それでもカタクナにプレイはしなかったそうだ。となると逆に、その理由を聞きたくなるというもの。なので俺は尋ねた。「なんでやらなかったの?」と。Tさんはこんな風に答えた。


ハイタッチが苦手だから」

 …………は?? ハイタッチ???

 あまりにも意外すぎる単語の登場に、俺は目を白黒させるばかり。するとTさんは「これでは真意が伝わらない」と判断したのか、もうちょっと詳しく説明してくれた。

「ほら、みんなで遊ぶゲームって、うまくいくと“いえーい!”、“うえーい!”とか言ってハイタッチするでしょ?? その、キラキラキャッキャした雰囲気がダメ……。苦手……。リア充感ハンパない……。ちにたい……

 なんか知らんがダークサイドに堕ちつつ、Tさんは話を続ける。

「そもそも、大人数で集まって何かするのも苦手……。ずっと引きこもってチクチクと素材を集めたり、育てたりしたいのよ……。クラブ?? 合コン??? 何それどこの名物料理デスカ???

 話がモンハンとまったく関係のないところに突き進みそうだったので、慌てて俺は制した。

「わ、わかったわかった。安心しろ。俺も目黒も大人数より、仲のいい数人で集まってバカを言いながら遊ぶのが好きだから。人見知りバンザイ

 そして、付け加えた。

「というわけで、いっしょにやりますか!! 一狩り行こうぜ!!

 気心知れた人間が相手だったら、問題はないのだろう。俺の掛け声に、Tさんが同調した。「いこうぜーーー!!!」

 というわけで、超絶初心者のTさんといっしょに狩りに行くことになった。Tさんにとっては初の協力プレイである。

 ちなみに、彼女がソフトを手に入れてから5日間が経過していた。この間、Tさんは「ひとりでがんばってた!!」と言い、慣れない操虫棍をぶら下げてフィールドを駆け巡っていたようである。しかしさすが初心者。“集会所”も“ギルドカード”も“フレンド登録”も“食事”も、とにかくイチから10まで何も知らないとのことだったので、ひとつひとつを丁寧に教えていった。

:おし、集会所作ったぞ。入ってきていいよー。
:ん?? シュウカイジョ?? ナニそれ。
:集会所ってのはハンターが集うところで、ここで相談して……。
:あ!! なんか腕相撲ある!! 
:……って入ってきてるじゃねーか! んじゃ、テキトーなクエスト貼るから、それを受けて……。
メシー!! 飯おごってー!!
:……オメェ、ホントに集会所知らなかったのかよ!!!

 そんなやり取りをしつつ、「まずはこのへんから……」ということでドスジャギィの討伐クエストに行くことにした。昔は、「まぁとりあえず」とビールと枝豆を注文するかのようにイャンクック討伐に出向いたものだが、いまの時代はドスジャギィがその対象だ。俺はTさんに、「とりあえず、ピッケルと虫あみがありゃいいよ! 身軽な状態で行こうぜ!!」と声を掛け、遺跡平原へと出発した。

 キャンプに着き、「支給品とは……」、「ハンターのマナーとは……」、「モンスターとの共存とは……」という基本中の基本を説明しようとすると、耳をパタリと閉じたTさんがスッテケテーとエリア1へ消えていった。それを、「まったく、最近の若者は……」とブツブツと言いながら追いかける。まるで、俺のほうが初心者みたいではないか。

 エリア1でTさんは、草や虫のポイントで採集をしていた。どうやらこのへんはチュートリアルで叩き込まれたらしく、しっかりと基本が身についているらしい。採集が大好きな俺は「感心感心♪」と眺め、トッテオキのポイントを教えてあげることにした。

「お嬢、ここにハチミツあるぜ〜♪ たっぷりと持って帰るといいよ♪」

 するとTさん、パタパタと俺の横にやってきてハチミツ採集の態勢になった。しかしすぐに、「あ……ダメや」といい、なにやらガチャガチャと3DSをいじくっている。不審に思った俺が「ん? なにしてんの?」と尋ねると、不満そうな顔をしたTさんがこんなことを言ったではないか。

「このゲーム、アイテムの持てる量が少ないね。すぐにいっぱいになっちゃうよ

 クエストが始まって、まだ数分しか経っていない。採集したポイントも、2、3ヵ所だけである。それなのに、持ちきれないほどのアイテムを手に入れたってのか?? 俺、(これは……もしや!!)と思い、「ちょっと! 見せてみ!」と言ってTさんから3DSを強奪した。そして、アイテムポーチを見てみると……! Tさんのアイテムポーチには、以下のようなものがギッシリと詰め込まれていた。

・角笛
・火薬草
・空きビン
・たいまつ
・毒ビン
・LV2 通常弾
・LV1 散弾
・火炎弾
・回復弾
・石ころ
・ペイントの実
・鉄鉱石
・虫の死骸

 etc……

 俺、たまらず悲鳴を上げた。

うは!!!! カラスの巣かよ!!!!ww

 言われたTさん、不思議そうな顔で反論した。

「なんだよー。採集でアイテムを集めるのは、どんなゲームでも基本だろ?? でも、さすがにこれしか持てないと取捨選択が難しいね。みんな、よくやりくりしてるなー」

 興奮のあまり、俺は群馬弁になった。「だからクエスト前に、いらねーものは置いてこいって言ったんべーーー!!!」。

 でも同時に、こんなことも思ったよ。

(これって無印のときに、俺や目黒も通った道なんだよなーw)

 って。いや俺らだけではなく、程度の差こそあれどんなハンターも、“マイファーストモンハン”(最初に遊んだ『モンハン』作品のこと)の序盤では似たようなことをやっていたと思うのだ。Tさんはたまたま、俺と遊んでいるがためにネタにされてしまうが、

(こういったやり取りもまた“モンハンの原風景”のひとつなんだよなぁ……)

 アイテムをがしゃがしゃといじくっているTさんを眺めながら、俺はしばしのあいだセピア色の思い出に身をゆだねていた。

 そしてTさんが、「よし! 整理終わり!!」と鋭く叫んだのを合図に現実に戻り、俺たちはドスジャギィを目指して走り出した。その道すがら、俺は何気なくこんなことを尋ねる。

「そういや、ハチミツは採ったかい??」

 Tさん、「当然!」と言わんばかりに力強く頷くも、続く言葉はあまりにも信じられないものだった。彼女は、こう言ったのだ。

採った!! そして、捨てた!!

 …………ナニを言ってんだコイツは!!!? ハ、ハチミツを!!? すすす捨てただと!!? 俺、その真意をはかりかねて、つっかえつっかえ問いただす。

「どどど、どぼぢでハチミツを捨でだんだ!!!?」

 しかしTさん、シレッとした顔でこんなことを……。

「どうしてって……ハチミツでしょ?? あんま重要そうじゃないじゃんwww それよりネムリ草とか火薬草とか、いかにも使えそうなものを優先して採っておいてあるよ^^」

 もう原風景がどうのこうのなんて言ってられねええええ!!!! 俺は慌ててノートを取り出し、思いついたことをガリガリと書いてTさんに渡した。それが↓コレ。

 新米ハンター育成ゲームは、まだ始まったばかりだ。

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投稿者 大塚角満 : 16:22

【MH4G】第5回 ドMハンターの思考

 前回の日記で、新たな狩り仲間として同僚の美人ドSパズドラー・Tさんをスカウトした話を書いた。新たなハンターが身内に加わることはことのほかうれしく、狩猟へのモチベーションも高めてくれるので、これからも随時、スカウト活動は続けて行こうと思っている。

 いっぽうで、せっかく3年ぶりに“逆鱗日和なブログ”が復活したのだから、『モンスターハンター』の黎明期(無印〜『モンハンポータブル 2nd』くらいまでか)で苦楽をともにした“旧友”たちにも、「またいっしょに狩りにいこうよ!!」と声を掛けたいとも思った。そこで、ハンターたちの攻略バイブルと言われている『本日も逆鱗日和』という書物を紐解いてみると、黎明期に俺と頻繁に遊んでくれていた狩り友たちは以下のような人々だとわかった。

・Aちゃん
・B君
・Wちゃん
・Kちゃん

 ……って疑惑の人の集まりみたいだが、彼らは顔も本名も性別もわからないネット友だちなので、コンタクトを取るのはなかなか難しい(連絡先を知っている人もいるけどね)。俺は再び『本日も逆鱗日和』に目を落とし、接触しやすい身の回りの人々を抜き出していった。すると、

・中目黒目黒
・女尻笠井
・河合リヱ

 こんな人々と、無印や『2(ドス)』、『2nd』等で遊んでいたことが判明した。

 この中で、目黒、笠井とはいまだにつるんでいるので、あえて声を掛ける必要はなし。実際、昨日も3人で『モンハン4G』の話をしていて、

「俺は『4』のデータを引き継ぎますんで、大塚さんのクエストを手伝ってやりますよ!!」

 と目黒に豪語されていた。しかし、目黒が『4』でプレイしたのは闘技大会のイャンクック討伐だけなので、引き継ごうがイチから始めようが知ったこっちゃないレベルなんだけどな。

 さて、残る河合リヱだが、彼女は『逆鱗日和』の序盤のヒロインのような存在で、現在は週刊ファミ通の副編集長という要職についている。彼女を知らない人のためにその姿をさらすと、


(『本日も逆鱗日和』より。イラスト・ぽん吉さん)

 こんな感じの女性だ。宝塚女優を思わせるギラリと光る双眸は健在で、かつて俺のヘッポコプレイに向けていたギラギラ光線を、いまは週刊ファミ通の校正紙に照射しているという。

 そんな河合リヱだが、かつてのドSな雰囲気はすっかり鳴りを潜め、きびしくも心優しい副編集長になったと風のウワサで聞いた。いまならばきっと、イラストにあるような足蹴にされることはなく、仲のいい狩り友として再スタートが切れるのではなかろうか?? そう確信した俺はさっそく、河合リヱにメールを出した。

「河合さ〜ん♪ またいっしょに遊ぼうよ〜〜〜(はぁと)」

 するとすぐに、河合リヱからじつに簡潔な返事が送られてきた。それが、↓これなんだが……。

「きめぇ」

 き、きめぇ…………?????

 きめぇ……ってどういう意味??? 「きメェ〜〜〜」ってヒツジのマネかなんか?? もしくはどこかの方言とか……って!!!!!

「きめぇ」ってどういうことやねん!!! き、き、き、気持ち悪いとでもいいたいのか!?(だからそう言ってるだろ)

 一瞬キレかけたが、俺は別の可能性に気がついてしまった。

 あっwww はっはぁ〜〜〜ん。わかったぞ。これはテレ隠しだ。うれしさをごまかすために出てしまったツンツン発言に違いない。要するに、愛情の裏返しってわけだ^^ なぁんだwww 河合さんもテレ屋だなぁwwwww

 ……てな内容のメールを再び河合リヱに送ると、今度は本格的にブチ切れた返事が送られてきた。

安定のドM思考! さすがのキモさですね!!w 『モンハン4G』の発売日に海外出張に行ってて出遅れたから、アンタの相手をしている暇はないのだよ(-_-)ノ」

 なるほど……。

 女心は、フクザツだなぁ(←アホ)。

 ……って、皆さん、あんま本気にしないでね(笑)。

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投稿者 大塚角満 : 14:41

【MH4G】第4回 生焼けルーキー誕生!

 今回、『モンスターハンター4G』をイチから始めるにあたり、俺はひとつの方針を立てた。それは……、

“新たな狩り仲間を増やす!!”

 こと。もちろん、中目黒目黒や女尻笠井を始めとする“元祖・逆鱗日和ファミリー”ともドタバタと狩りをするつもりだが、心機一転、最初からプレイをするのだから狩り仲間の幅も広げたいと考えたわけだ。

 そしてどうせなら『モンハン』シリーズにまったく触れたことのない、産みたての卵のような人々を仲間にしていきたい。それが大局的に見れば『モンハン4G』の裾野を広げることにつながるわけだし、何より俺がエラそうにふんぞり返れるルーキーが増えることは僥倖以外のナニモノでもないので、ここは積極的に動いていこうと思った次第である。

 そこでまず、ブログ“大塚角満の熱血パズドラ部”ではおなじみのキャラクター、同僚の美人ドSパズドラー・Tさんに声を掛けた。彼女はパズドラだけではなく、ひと通りのゲームを遊ぶゲーマーなのだがナゼかモンハンとは縁がなく、いままで一度も触ったことがないと言っていたのだ。そこで俺は発売前から「お嬢(俺はTさんのことをこう呼ぶのだ)、『モンハン4G』が出たらいっしょに遊ぼうよ〜。宇宙一楽しいゲームだよ〜」と毎日のように言って口説き、ついでに、「この本を参考にすると、すこぶる順調にプレイできるよ♪」と9月26日に発売になった『本日もやっぱり! 逆鱗日和』を紹介して、彼女からの返事を待った。そしてついに、発売当日になって、

「そこまで言うなら、いまからお店に行って買ってくる!! ハンターデビューや!!

 と口説き落とすことに成功し、無事にTさんは新米ハンターとなったのでありました。

 その夜。

 ぼちぼち寝ようかなと思っていたタイミングで、Tさんからメールが届いた。開けてみるとひと言、

「今日は寒かったのでコタツを出して、お肉を焼いて食べました

 とある。俺、メールを眺めてしばし考えたが、

「……なんでお嬢は、俺に夕飯の報告をしてきたのだろう……???」

 とメールの意味がわからず、素でTさんにつぎのように返した。

「へ、へぇ〜〜〜! よかったね!! 焼肉、うらやましす!!

 するとTさんから、怒りに燃える返事がきた。

「違うよ!!! モンハンでお肉を焼いたの!!!! おめーがやれって言ったんだろが!!!(怒)」

 ……だったらコタツの話なんかくっつけなきゃいいのに……と思いながらも「大事なルーキーなんだから!」とグッと飲み込み、やさしい口調で俺は言った。

「おお!! やってますなあ!! 肉焼きはハンターの基本中の基本だよ!! どう? ちゃんと焼けた??」

 一転して、うれしそうなメールがTさんから届いた。

うん!! うまく焼けたよ生焼け肉!!!

 俺は驚きのあまり、ネコを抱えたままヒンズースクワットを17回ほどやってしまった。そして、怒鳴る。

生焼け肉じゃダメなんだよ!!ww もっとこんがりと焼けるだろが!!!」

 言われたTさん、「えー……」と不満そうに声を漏らしたのち、半ば開き直ってこんなことをのたまった。

「だって生焼け肉って、“ミディアムレア”ってことでしょ? このくらいがいちばんおいしいんだよ?? 失敗していくつかこんがり焼いちゃったけど、ほとんど生焼け肉にしておいたわ。おいしそ〜〜〜♪」

 俺は二の句が告げなくなり、「まあいいわ……。とりあえず思うまま遊んでみなよ……w」と言って、その日の会話は打ち止めにした。

 つぎの夜……。

 またまた寝入りばなにTさんからメールが来た。ナンダナンダと開けて見ると、そこにはこんな一文が。

「ねえねえ^^ 武器は何がいいの??^^

 どうやら熱心に『モンハン4G』で遊んでいて、いよいよ本格的な狩りに出発する段階のようである。俺はうれしくなり、「感心感心♪♪」とつぶやきながらつぎのような返事を送った。

「いい質問!! なんとなくだけど、女性に人気なのは双剣、大剣、片手剣あたりな気がするよ。あと、ガンランス^^

 しばしののち、再びTさんからメールが。

「ふぅ〜〜〜ん……。じゃあ、強い武器はどれ??」

 ちょっと考えてから、俺は返した。

「どれも一長一短だけど……ハンマーは安定して強いんじゃないかなぁ。あと、ガンランス^^

 しかしTさん、俺のメールなどまったく見ている気配がない。

ヘンな虫がくっついてる棒は?? 強い?? 使いやすい??」

 操虫棍のことを言っているのだろう。俺は「ふむふむ」と頷いた。

「操虫棍は、ちゃんと使いこなせればメチャクチャいいらしいよ。モンスターにもバンバン乗れるし。でも、ガンランスも悪くないお^^

 そうメールを打ったところで、Tさんが畳み掛けてきた。

決めた!!! 虫にするー!! いきなりデカいモンスターに襲われたら怖すぎるから、この虫を連れてくことにするわ^^ わーい! 行ってこよー♪」

 俺、ここでとうとうブチ切れた。

「ガンランスの話も聞いてくれよぉぉおおおお!!!!(泣)」

 しかし、それ以降Tさんからのメールはなく、俺は「いーんだいーんだ俺なんて……」と涙で枕を濡らしながら不貞寝したのであった……。

 いやでも、こういった純粋無垢なハンターの誕生は本当にワクワクする。近々、いっしょに狩りにいってみよーっと。

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投稿者 大塚角満 : 13:20

【MH4G】第3回 ハチミツに呪われた男

 まだ発売日のお話です。ですので、九州に居座っております。

 佐賀県の某所で行われていた『モンハン4G』発売記念オフ会の会場からそそくさと辞去し、俺はヨーコちゃんに連れられて一路、“佐賀の我が家”と言ってはばからない“いつもの居酒屋”にやってきた。前回の日記でも書いたが、この居酒屋の店長とは6年来の仲で、俺が佐賀を訪れるといつも、うまいお酒と料理、そして『モンハン』で歓待してくれる。ひさびさの再会にドキドキしながら店の前まで来たとき、ふと思ってヨーコちゃんに尋ねた。

「そういえば店長、俺が来ることは知っているんだよね??」

 するとヨーコちゃん、「うふふふふ」といたずらっぽく笑った。

「じつは席の予約をしただけで、大塚さんのことは秘密にしています♪ 店長を驚かせてやろうと思って」

 おお、それはなかなかおもしろいではないか! 俺はドキドキをドギドギくらいに強めながら、馴染みの居酒屋のドアを開けた。

 すると目の前に店長がいて、「大塚さん、いらっしゃい〜。おひさしぶりですー」と、まったく取り乱すことのないクールな口調で俺を迎えてくれたではないか。正直、頭の上から「!!!!!!!!」とか「※*$%@#&*?!」なんて記号が乱れ飛ぶことを予想していたので、ちょっと拍子抜けだ。ヨーコちゃんも不満そうで、「店長、感動が薄い!!」とプリプリしている。しかし店長はどこ吹く風で、

「『モンハン4G』の発売日にヨーコが予約してきたのを見て“もしや……!”って思っていたし、何より……」

 と言い、ニヤニヤ笑いながら奥の席を指差した。「ん?」と思って覗き込むと……!

「大塚さん!! お待ちしてました〜!!」

 なんとそこにいたのは、狩王決定戦の初代チャンピオン、Jast25'sのこんぺい師匠とraven君!! 6年前、初めての佐賀の夜もふたりは共にいてくれた。そう考えるとこの日は、思いがけない同窓会のようなものではないか。

「なるほど〜! このふたりがいて、さらにヨーコちゃんが席を予約したとなれば、俺が来るのはほぼ確定みたいなもんだなw 残念ながら、えのっちはいないけど」

 相棒の江野本ぎずもに0コンマ2秒ほど思いを馳せるもすぐに忘れ、俺はドカリと席についた。そして店長に「とりあえずの生ビールと、おいしいものをテキトーにおねしゃす!!」と注文し、返す刀でカバンに手を突っ込んで新型3DSを取り出す。そしてうやうやしく「では皆さん、さっそくですが……」と切り出し、恥も外聞もなく言いたいことを口にした。

「……俺とヨーコちゃん、引継ぎしていないセミの幼虫みたいなハンターなんです!! ドスジャギィでもオチるくらいヘボいんです!! なのでここはひとつ、我々の狩りを手伝ってくださいな、初代チャンピオンのおふたり^^」

ぐは!!!ww さっそくキター!!!ww」とJast25'sのふたり。

ドスジャギィでオチたの、大塚さんだけですからね!!(怒)」とヨーコちゃん。

 俺は3人を「まあまあ^^」と押さえつつ集会所を作り、「もうクエ貼りましたから^^」と言ってビールをグビリと喉に放り込んだ。いやあ、今日はなんてステキな発売日なんだろう^^^

 まもなく、3人がドタドタと集会所にやってきた。俺はキークエストというものに昔からまったく興味がないので、本当にテキトーに、ゲネポス10匹の討伐やらアルセルタスの討伐といった“いま遊びたいクエスト”を貼ってゆく。そして見事にどのクエストでも1オチするという快挙を成し遂げて、3人から「さすが、必ずオチをつけますね!!www」と笑われたのであった。

 しばらく遊ぶうちに、狩りのメインフィールドが地底洞窟になった。キャンプからいきなり数十メートル下にジャンプする、あのフィールドだ。

 どんなクエストでも、ハンターランクの高いJast25'sのふたりは支給品ボックスには見向きもせず、目標に向かって突っ走っていった。俺とヨーコちゃんはそれを頼もしく眺めながら支給品を漁り、ノンビリとキャンプからダイブする。そして着地の瞬間、俺は必ず、

「衝撃分散! バキの5点着地ッッッ!!!」

 と、ボソッつぶやいてハンターを方向転換させていた。それが耳に入ったのか、ヨーコちゃんが不思議そうな顔で「え??」と言った。

 そんなクエストがしばらく続き、相変わらず俺は「5点着地ッッ!!」と言いながら着地しての方向転換をくり返していた。すると、必ず俺の後からガケを飛び降りていたヨーコちゃんが、クスクスと笑いながらこんなことをつぶやいたではないか。

「振り向けば、大塚さん♪」

 今度は俺が、「え?」という番だった。「なんのこと??」と尋ねると、ヨーコちゃんはさらに笑ってこんなことを言うのだった。

キャンプから飛び降りて後ろを振り向くと、必ず大塚さんがハチミツを採っているんですもんwww こんぺいさんたちはハチミツなんて見向きもしないで、モンスターに向かっていっちゃうのに^^;」

 つまり、↓この状態。


※スマホで撮影した写真です。汚くてゴメンナサイ。

 なんだか自分のパンツを見られたような気分になり、俺は「うう……。なんか恥ずかしい……」とうなだれたのだった。

 それからまた、いくつかのクエストを消化した。俺とヨーコちゃんは採取メインでフィールドを駆け回り、狩猟はJast25'sのふたりにお任せする……というスタンスを崩さずに。他力本願男の面目躍如といったところだが、そのうち俺は、あることに気づいてしまった。なぜか、キャンプを飛び出していくつかのエリアを巡るあいだ、ヨーコちゃんのキャラが俺にピタリとくっついて離れないのだ。目指す素材は違うはずなのに、なんで……? 不思議に思い、ヨーコちゃんに聞いてみた。

「ヨーコちゃん、なんで俺にくっついてくるの?」

 するとヨーコちゃん、いたずらを見つかった子どものような顔で「あw」と言い、その行動の意味するところを白状した。

「だって……大塚さんの後をついていくと、必ずハチミツがあるんですもん^^;」

 うは!!!! 俺はクマのプ○さんか!!!!

 確かに俺は、無印の時代から徹底したハチミツ至上主義の男で、隙あらば狩猟そっちのけで巣に取り付き、ハチミツを根こそぎ採って帰ることをくり返してきていた。この10年間で手に入れたハチミツは、おそらく10000個ではきかないだろう。おかげで『モンハン4G』でも、発売から2日後の段階ですでに、250個を越えるハチミツを備蓄するに至っている(竜人問屋の“アイテムを増やす”を利用せずに)。いやでも、クエストに出るたびに「わー!! ハチミツだハチミツだ!!!><」とアリクイのようにはしゃぎ、ハチミツをペロペロと舐めている姿を見られていたなんて……。俺はこの日2度目のパンツさらしに恥じ入り、「ハチミツは、ほどほどに……w」と自虐的につぶやいたのだった。

 ……そんな、ハチミツ至上主義が祟ったのか。

 ある日、家の庭に出て落ち葉の掃除なんかをしていると、頭上から強烈な敵意というか殺意というか、とにかく物騒な気配を感じまくって「なんだ!?」と叫びながら上空を仰ぎ見てしまった。すると、視界に入った家の軒先に、信じられない物体がぶら下がっているのが見えて……!!!!! それが↓コレなんだが……。


スズメ〜〜〜〜ん……

 俺、さすがにこれには腰を抜かすほど驚いた。

ぎゃああああ!!! ハチミツでたぁぁぁあああ!!!

 突如現れたリアル蜂の巣!!! まるでモンハン世界からまろび出てきたような形状と大きさには驚きを通り越して失禁しそうだったが(恐怖のあまり)、これ、思いっきりスズメバチの巣で、よく見りゃぽっかり空いた入り口から、マフィアのような凶悪なお顔がチロチロとのぞいているではないか!!!!

 もしもこのリアル蜂の巣からボタボタとハチミツが垂れ、相方のオトモアイルーに、

「ダンナ! ハチミツにゃ!! 巣の下をまさぐるにゃ!!!」

 と言われたとしたも、さすがに「あ、いや、遠慮しときます……」と言ってそそくさと逃げ出すだろうな……。

 しかしこれ、いままで傍若無人にハチミツの乱獲をしてきた呪いだろうか……?

 あー恐ろしや……。

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投稿者 大塚角満 : 14:11

【MH4G】第2回 そそくさのダンス

 まだ九州でのお話。

 新型ニンテンドー3DSと『モンハン4G』のソフトは手に入れたものの、ACアダプターを忘れてきてしまった俺。泣く泣く“充電器を納品せよ!!”という名のクエストに出発し、我が家で6個目となる3DS用のACアダプターを購入して、なんとかこの日の“狩り始めの儀”に参加する資格を得たのでありました。

 さてこの日、俺は佐賀県に滞在していた。ここを訪れるのはかれこれ……10回目くらいになるかな。関東人としては、トップクラスにランキングされる佐賀県訪問頻度なんじゃないかと確信している。とはいえ俺も、いまから6年前に初めて訪れるまでは、

「さ、佐賀……? サガってどこにあるの??」

 っていう感じだったんだけど。佐賀県のイメージとして心にあったのは“アリがデカいらしい”ってことくらいで(佐賀の皆さんゴメンナサイ)、ぶっちゃけものすごく印象が薄かった。そんな土地に、なぜ何度も訪れることになったのだろうか?

 じつは『逆鱗日和』シリーズの3作目である『本日もニャンと! 逆鱗日和』の発売を記念して、全国の読者に“角満といっしょにモンハンしたい人、大募集!”と呼びかけたことがあった。で、非常にたくさんいただいた応募の中から数名様をピックアップし、北は青森、南は九州まで全国各地を巡らせてもらったのだが、その中のひとつに佐賀県の居酒屋からのお声掛けがあったのである。この、佐賀の居酒屋での一夜があまりにもステキで楽しく、桃源郷にいるかのような心地よさにすっかりメロメロになってしまい、以来何かと理由をつけては頻繁にこの地を訪れるようになった。結果、「佐賀県こそ、我が第二の故郷である!!」と言ってはばからぬほど“佐賀LOVE”の男になったのである。

 そんな、勝手知ったる佐賀駅に到着すると、いつも俺の案内をしてくれるヨーコちゃんという女性が改札口で待ってくれていた。6年前、件の居酒屋の店員さんとして“角満の狩りツアー”に応募してくれたのが彼女なのだ。

「大塚さん!! お久しぶりです〜〜〜!!」

 弾ける笑顔で、ヨーコちゃんが言った。

「ヨーコちゃん!! 今回もお世話になります!!」

 同じく笑顔で俺も返す。何度目かの、ステキな佐賀の1日が始まった瞬間だった。

 今回はいつもの居酒屋で“九州の逆鱗日和ファミリー”と合流する前に、「『モンハン4G』の発売を記念した佐賀のオフ会が行われているので、そこにお連れしていいですか?」と打診されていたので、「行きます行きます!!」とふたつ返事で応じていた。なのでまずは、その会場へ。着くと、夕方の6時くらいだったがすでに20名ほどのハンターが集まっていて、ワイワイギャアギャアとにぎやかに狩りをされていたではないか。

 なんとなく気になったので、参加者のひとりに声を掛けてみる。

「……あの〜、ここにいらっしゃる皆さんは、ほとんどが『モンハン4』からの引継ぎ組ですか……?」

 その人は、こともなげに頷いた。

「ああ、そうですね。全員ってわけじゃないですけど、ほとんどが前作から引継いでいると思いますよー」

「で、ですよねーーー!!」と顔を引き攣らせつつ、俺とヨーコちゃんは居酒屋の末席にこっそりと移動していった。我々はふたりとも前作のデータは引き継がず、イチから始めることを決めている(ヨーコちゃんは『モンハン4』のROMを紛失しちゃったのが理由だがw)。そして、ひそひそと相談した。

ハ、ハンターランクが数百の人たちに「キノコ狩りを手伝ってくだしゃい!!」なんてとても言えない……w なのでしばらくはふたりで、そういったクエストをやりますか^^;」

 ヨーコちゃんも、苦笑いをしながら頷いた。「そ、そうですね^^; それがよさそうですね^^;;」。

 そこで俺たちはまず最初に“狗竜の狩猟を披露せよ!”のクエストを受注した。これは、「やっぱり最初はハンターらしく、狩猟に行きたい!」ってことで、選べる範囲ではもっとも容易で、かつそこそこの手応えがあるもの……という基準から選出したものだ。ちなみに、武器は俺がガンランス、ヨーコちゃんは、「ずっと大剣オンリーでしたけど、『4G』からは心機一転して双剣使いになります!!」ということで、真新しい双剣を背負っていた。さあ、記念すべき『モンハン4G』の最初のクエストだ!!

 遺跡平原のキャンプに降り立ち、まずは支給品ボックスに取り付く。さて、ひと通り俺の分を……と物色していると、俺の真横に立っていたヨーコちゃんのキャラがいきなり、“ピキューン”と回復したではないか。「へ?」と思って彼女を見ると、テレ笑いここに極まれり……って顔をしている。ヨーコちゃんはその顔のまま、以下のように泣き叫んだ。

「……モンハンやるの久しぶりすぎて、操作をまったく覚えてない!!>< ボタンを間違えて、薬草飲んじゃったよぉ!!><」

 俺、ゲラゲラと笑いながら「あるあるwww」と言い、ショボくれているヨーコちゃんを連れてフィールドに飛び出していった。

 それにしても、我が手の中にある新型3DSの、なんて快適なことか。画面は程よい大きさに改良され、3D表示機能も格段にパワーアップ。ボタンが増えたことによる恩恵も、これからいろいろと受けていくことだろう。「ああ……。いいわぁ……。最高ぉ……」とウットリしていると、目の前にこのクエストの親玉、ドスジャギィが現れた。俺、現実に戻ってヨーコちゃんにシャウトする。

「出た!! いくよ、ヨーコちゃん!!」

 相棒も、元気に応えた。「はい!!! がんばりましょう!!!」

 しかしヨーコちゃん、双剣を使うのは数年ぶりだということで、動きがどうにもぎこちない。その行動に途中で気がつき、思わず目が釘付けになってしまったのだが、ヨーコちゃんはドスジャギィを目の前にして「シャキーン!」とカッコよく双剣を出したかと思ったら、「そそくさ〜……」という感じですぐにそれを背中にしまってしまうのだ。

 シャキーン!

 そそくさ〜……

 シャキーン!

 そそくさ〜……

 シャキーン!

 そそくさ〜……

 出して、しまって、出して、しまって……というナゾのダンスをくり返すハンターを前に、ドスジャギィもさぞかし面食らったと思うが、見ているこちらもタマラナイ。

あはは!! ヨーコちゃん、何をしてるのwww その幻惑のダンスはいったいwwww」

 ヨーコちゃんが泣き声を出した。

「大塚さん、双剣ってどうやって使うんでしたっけ!?(泣) このコ、剣を出したらすぐにしまっちゃうんです!!><

 ここぞとばかりに「がははは!! めっちゃおもろい!!www」とバカ笑いをしていると、いつの間にかドスジャギィのターゲットが俺に移ったらしく、急に集中砲火を浴びるようになってしまった。こちとら、羽化したてのチョウチョの如き軟らかさのブレイブ装備一式のハンターである。

「あっ!!!!!!!」

 と思ったときには時すでに遅く、ドスジャギィのタックルをモロに浴びた瞬間に“力尽きました”の文字が……。

「わあ!! 一発でちんだ!!!!」

 まさか記念すべき1回目のクエストでオチるなどと夢にも思っておらず、俺は酸欠のニシキゴイのようにパクパクと口を動かすだけ……。それを見たヨーコちゃんは「あ……w オチちゃった……www」と申し訳なさそうに笑ったあと、ちょっと勝ち誇った表情を作ってこんなことを言った。

「私を笑ったバチが当たりましたね^^」

 ……記念すべき発売日は、まだ始まったばかり……。

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投稿者 大塚角満 : 13:49

【MH4G】第1回 さあ、狩りの季節

 2014年10月11日。

 ずっとずっと待っていたこの日の朝。俺は長崎県内のホテルで目を覚ました。時計を見たら、午前7時ちょうど。いつも自宅で目覚めるのと同じ時間だ。でも今日は目を覚ました場所も、心の中のざわめきもふだんとは違う。……そう、ずっと待っていた『モンスターハンター4G』が発売される日なのだ。

「ちょうど、発売記念カウントダウンが始まったころだなぁ」

 カーテンを開け、優しい朝日に目をしばたたかせながらそんなことを思う。発売を祝う場にいられないことは少々残念ではあったが、どこか懐かしい感じがしていたもの事実だった。

 というのも、いまから8年も前になる2006年2月、今日と同じように首を長くして待ち望んでいた『モンスターハンター2(ドス)』の発売のときも、俺は出張で台湾に行っていて発売記念イベントに立ち会うことができなかったんだよな。日本の狩り仲間の嬌声を遠くに聞きながら「ぐむむむむむ!!!!」と歯噛みをし、「もういい!!! いまから太平洋に飛び込んで泳いで東京に帰る!!!」と大暴れして、同行の記者に羽交い絞めにされたんだよねぇ……(しみじみ)。

 『モンハン』の新作発売時に都内にいられなかったのは、おそらくこの時以来だ。考えてみると、『モンハン4G』に拠点として登場する“ドンドルマ”は、この『2(ドス)』からの復活組である。ドンドルマを舞台とするふたつの作品の発売時にオノレの拠点にいられなかった……ってことに、俺は何か運命的なものを感じる。もしかすると、大老殿(たいろうでん)におわす大長老が、

「ハンターのドンケツから、ゆっくり上がってきなされ」

 そんなことを言っているのかもしれない。

 なので俺は決意した。

 『モンハン4G』は『モンハン4』のプレイデータを引き継ぐことができるが、俺はこれを行わない。そこそこ遊んだデータではあるけれどすっぱりとそれは忘れ、またイチからプレイしていくことを心に決めたのだ。

「駆け出しのハンターに戻って、このゲームのすべてを味わいつくさせてもらいますよ、藤岡さん」

 遠き地にいる『モンハン4G』のディレクターに向かって、俺はそっとつぶやいた。

 さて、発売日に地元にいない俺がどうしているのかというと、じつは事前に九州の狩り仲間とコンタクトを取って、なんと長崎市内のショップでソフトとニューニンテンドー3DSを予約しておいてもらったのである!! そして先ほど、電車とタクシーと路面電車を乗り継いでそのショップに赴き、無事に『モンハン4G』を入手することができたのでありました!!! わー!!! やったやった!!! パチパチパチ!!!

 しかも、俺はこのまま九州に滞在を続け、こっちの“逆鱗日和ファミリー”と合流してソフトの開封式と“狩り始めの儀”を開催する予定なのだ。かつての逆鱗日和を読まれていた方はご存知かもしれないが、じつは九州には心安らぐ狩り仲間がたくさんいて、俺は『モンハン』の新作が発売されたり、また都会の生活に疲れたりするたびにこの地を訪れ、命の洗濯をすることにしている。新作の発売当日に訪れるのはもちろん初めてだが、これもまた、逆鱗日和の新たな一歩にふさわしい幕開けなんじゃないかと思ったりした。

「まあ何はともあれ、夜の狩り始めの儀に備えて、買ってきたソフトとハードの準備をしよう〜^^」

 ホテルにチェックインした俺は、買ってきたソフトとハードをベッドの上に広げてみた。これらを持って、会場に向かうのだ。

 えーっと……。

「ん……………………………………?」

 なんとなくの違和感を覚えた俺は、携帯充電器やバッテリーなどが入っている出張用の袋の中身を、すべてベッドの上にぶちまける。

 そして、気づく……。

「……ニンテンドー3DSの充電器はどこだああああああああああああ!!!!!!!」

 ……そう!! やっちまったのよ!!! ニンテンドー3DSの充電器を忘れてきてしまったのよ!!!

 そういえばソフトとハードをピックアップしたとき、店員のお兄さんが、

「こちら、ハードには充電器が付属されておりませんが、お持ちでしょうか?」

 とわざわざ確認してくれたのに、俺は「ふふん!」と鼻で笑って、店員さんにこう返したのだ。

「いや(俺はこの業界の記者になって20年のベテランですよ? 一応、編集長ですよ?? そしてモンハン歴10年のベテラン中のベテランでもあるんですっ! そんな俺がハハハハハ!! 3DSの充電器を持ち歩かないわけがないでしょう!! あります! 持ってます! だからもちろん)ダイジョブですよー」

 そう自信満々に告げて、親切な店員さんの申し出をお断りしていたのである!! あああああ!!! あのときカバンを開けて確認しておけば!!!><

 というわけで狩りをするまえに、ニンテンドー3DSの“充電器採集クエスト”に出かけてきます……。モンハンのクエスト風にいうなら、

 “充電器を納品せよ!!”

 こんな感じか(ヤケクソ)。ていうか俺、ニンテンドー3DSの充電器、すでに家に5つもあるんですけどそれは……。

 なかなか狩りにいけないけど、やっぱりブログの1発目はこの言葉で締めなきゃな。

 全国のハンターの皆さん、長い長い狩りの季節がやってきましたね!! 狩りのお供に、復活した“逆鱗日和なブログ”も、どうぞよろしくお願いします!!

 さあ、ご唱和ください!!! せーーーーーの!!!

 一(ひと)狩り、いこうぜ!!!!!!!

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投稿者 大塚角満 : 16:40

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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