大塚角満の ゲームを“読む!”

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【みんGOL 6】第7回 現状をさらす

 PS Vitaが発売されて、今日で40日。ロンチタイトルだった『みんなのGOLF 6』が世に出てからも40日が経った。というわけでとてもキリがいいので(どこがだ)、今回はここまでの俺のプレイデータを写真で公開したい。スクリーンショットが好きなときに撮れるゲーム機は、こうした手抜……じゃなかった、ビジュアル的に楽しいプレイ日記が書けるからステキ。

 まずは総合的なプレイヤー情報から。

 現在の総ラウンド数は138で、段位は“みんごるマン”。まだまだヒヨっ子ですな。ショットは、最初から使える“ゲージショット”オンリー。これは、いまさらほかのものに乗り換えられなくなってしまったため、「もうおまえと添い遂げるしかない><」ってことで同じものを使い続けている結果です(苦笑)。

 キャラの使用回数は、シャオリンとユウナが双璧だ。ユウナが多いのは、リアル大会で優勝したいがために、かぐら山カントリー倶楽部の初級キャラ限定大会に出まくっていることによる。シャオリンは単純に、好みの女の子だからです(笑)。俺的に、グロリア(『みんGOL』シリーズではおなじみの、色っぽい女性キャラ)以来の“ツボキャラ”だわ。


▲せっかくなので、キャラの愛着度チェック!! MAXになっているのは6キャラで、これを見るといかに俺が女好きかということがよくわかる(笑)。ちなみに、最初にMAXまで持って行ったのは中級のサツキ。以降、シャオリン→ファティマ→ユウナ→グレース→アイザック(強烈なスピンがどうしても欲しかったため)と続く。今後はおそらく、ナル→カレンとなり、男性キャラは放っておかれる可能性大。

 おつぎは、各コースでの実績。スクリーンショットを見てもらえばわかると思うけど、はっきり言ってさらす価値すらないショボい成績です……。まともなのは、集中的にやっているかぐら山くらいか……。でも自分を鼓舞するためにも、あえていまの成績をアップしておきます。


▲アルアラビアンとレガシーの成績がヒドすぎ。ていうか、やってなさすぎ。

 せっかくなので、オンラインでのデータも。まずリアル大会の成績は、参加66回で優勝2回、入賞12回。準優勝は、いまだ一度もしていない。そして、リタイアばかりしているデイリー全国大会のランキングは、41193人中8622位である。

 ちなみに、もっとも成績がよかったのは9101人中422位というもの。これはちょっとうれしかったので、ファミ通レンジャ部隊(ファミ通の『みんGOL』好き編集者の集まり)の最強の実力者、フランソワ林(モモレンジャ)に自慢しようと思い立った。さっそく、仕事中の彼に声を掛ける。

「林君、デイリー全国大会やってる〜?」

 フランソワ林は何食わぬ顔で「ああ、やってますよ! リアル大会より、そっちがメインです」と言い、続けて「でも、思うようにランキングが上がらないんですよね〜」と声のトーンを落としたではないか。俺、ここぞとばかりに畳み掛ける。

「あ、そうなんだ〜(ニヤリ)。みんなうまいからねぇ。ちなみに、順位は最高でどれくらいだった?(ニヤニヤ)」

 ここにはもちろん、「俺の422位には敵わないべ」という打算がある。するとフランソワ林はちょっと考える仕草をしてから、あまり抑揚のない口調でこんなことをのたまった。

「詳しく覚えてないですけど、何回か入賞しただけですね。もっと上位に入れれば、ランキング上がるのかなぁ」

 ( ゚д゚ ;)

 俺は速攻で笑みを引っ込め、震える声でどうにか「あ、そなんだ……。ま、まだ入賞止まりネ……。お、お互いガンバるべね……」と虚勢を張った。つーかこっちは、何位からが入賞なのかも知らんわ!!

 とりあえず“打倒モモレンジャ”を掲げて、いまからデイリー全国大会やってきます(苦笑)。

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■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
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■ページ数
オールカラー 264ページ


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投稿者 大塚角満 : 14:59

【ダークソウル】第81回 なんで、俺ばっか

 新しいエリアに踏み込んだ当初は、たいがいのプレイヤーが生者となってプレイしていると思う。『ダークソウル』で遊んでいるときの98パーセントが亡者という俺がそうなのだから、世のプレイヤーのほとんどが“エリア侵入時=生者”だと断言できるのだ(なんて論理的)。

 ではなぜ、エリア初侵入時に生者が多いのか? その理由はたったひとつで、“篝火に注ぎ火をするから”である。そのエリアを攻略するためのベースキャンプになる篝火は、真っ先に注ぎ火してエスト瓶の回復回数を増やしておく必要がある。これは、魑魅魍魎が跋扈するロードランで生き抜くための、最低限の“約束事”なのだ。

 なので俺も、巨大下半身(なりそこない)の猛攻をかいくぐって篝火に到達したとき、迷わず人間性を消費して生者となった。生者になると速攻で殺し屋が侵入してくるのでなるべく亡者でいたかったのだが、これから始まるイザリス攻略のことを考えれば、エスト瓶を強化しないわけにはいかなかったのである。この状態になったの、エレーミアス絵画世界で謎の侵入者とジェスチャーでダンスを踊ったとき以来だわ。

 生者になった俺は、いつも以上に慎重な足取りで篝火を飛び出した。そして溶岩の海を渡り、イザリスの目抜き通り(?)に足を踏み入れる。ここから、道はいくつかの分岐を見るようになり、そこらじゅうで蠢いているデーモン像がプレイヤーにシツコクつきまとうようになる。それをいなしつつ、ひとつの通路へ。するとすぐに、黒金糸装備としか思えない衣服を身に着けた女が我が分身に襲い掛かってきた。

「うわ! なんだコイツは!!」

 黒金糸の戦士は手に炎をまとい、明らかな殺気をもって俺ににじり寄ってくる。どうやら俺に、火をつけたいようだ。火を手にした女に襲われなきゃならないほどの恨みをかった覚えはないが、そっちがその気なら受けて立たねばなるまい。俺は黒騎士の斧槍を抜き払い、「さあこい!!」と吠えて、火の女(魔女の娘グラナ、という)を迎え撃とうとした。しかしその瞬間、画面に意外過ぎるメッセージが表示される。

「闇霊:カークが侵入しました」

 ちょ…………。

 なんでこのタイミングでNPCの闇霊が入ってくんだ! 目の前に1匹、NPCの敵がいるじゃねえか!! しかもまたトゲの騎士カークかよー!! 最下層でバジリスクといっしょに葬り去ったのにぃ!!!

 怒声をあげる俺の横で、Hが笑い転げる。「またヘンなの引いてるwww ホント、運が悪いwwww」。うるせー。ほっとけ!!

 グラナとカークの同時攻撃は、それはそれは苛烈だった。この状況は、言うなればアレですね。シングルマッチだと思ってプロレスのリングに向かったらナゼかハンセンとアンドレのふたりが待ち構えていて、「え? え?」と戸惑っているうちにカーンなんてゴング鳴らされて「ちょ。まっ……」とアウアウするまもなくボコボコにされた……ようなものですな(最近、往年の名作マンガ『プロレススーパースター列伝』のスタン・ハンセンの回を読み返してしまったため、どうしてもたとえでハンセンを使いたかったw)。

 それでも俺はどうにか、グラナ&カークとの変則タッグマッチを制した。グラナは、混沌の嵐に代表される恐るべき呪術をくり出す強敵だったが、カークのほうが物騒な見た目(トゲだらけの鎧をまとっている)のわりに大して強くなかったので、冷静にひとりづつ片づけることができた。俺はホッとひと安心し、改めて先に進もうとした。

 ところが(毎度おなじみ)。

 強力なNPCを退けたばかりだというのに、またまた画面につぎのメッセージが表示されたのだ。

「闇霊:○○○○が侵入しましたwwwww」

 当然“wwwww”なんて文字は表示されないのだが、俺にはこのときはっきりと、連凧のように連なるwの文字が見えた。さらにその後ろに「ワロスwwww」という単語まで確認したように思う。

またなんかキタwwww なんで引くのwwwww」

 そう言って、腹を抱えるH。なんでと言われても、俺が知るわけねーだろ。

 侵入してきたプレイヤーは、殺る気まんまんで俺に近寄ってきた。忌々しいことに、魔術“追尾するソウルの結晶塊”でできた、青白いエネルギーのカタマリをゾロゾロと引き連れている。

「あれ、射程に入った瞬間にこっちに飛んでくるんだろうなぁ……」

 そう思ったとたんに、流れ星のような結晶塊がヒュンヒュンヒュンと飛んできた。

「うわ!!」

 とっさに前転して、ギリギリのところでソレをかわす。すると闇霊はゾロリと剣を抜き払って、殺意の刀身を振り回し始めたではないか! むむむ……。やっぱり血の通ったプレイヤーの闇霊は、NPCとはひと味違う。攻撃が多彩だし、何より隙がない!! 俺はコントローラを握り直し、どうにか闇霊と距離を取って冷静に立ち回ろうと努めた。

 この“冷静に”の思いがよかったのか、俺は闇霊相手に互角以上にわたり合うことができた。もとより、こっちの攻撃力は優秀なので1発でも当たれば致命傷になるし、侵入してきた闇霊はエスト瓶を使うことができないのでディフェンスには難がある。俺は戦いの主導権を握って何発かの攻撃を当てることに成功し、敵に背を向けさせるまで追いつめることができた。

「い、いける! 闇霊を返り討ちにできるぞ!!」

 色めき立つ俺。ざわつくギャラリー。いまや闇霊は俺を振り切り、どこかで回復の奇跡を使うことしか考えていない(ように見えた)。その後ろ姿を追う俺。回復されたら、また勝負がふりだしに戻ってしまう。そんなのはゴメンだ。ここで決着つけてやる!! 俺は「トドメだ!!!」という声もろとも、黒騎士の槍斧を逃げる闇霊の背中に振り下ろした!!

「グモォォォォォオオオオ…………!!」

 この一撃が致命傷になり、なんと闇霊は消滅。これにより俺は、グラナ、カーク、闇霊と、強敵の“3タテ”に成功したのだ!!

「やったあああああああ!!!!」

 雄叫びを上げた俺は、闇霊の亡骸に接近しようとした。ドロップされる人間性を回収しようと思ったのだ。しかしここで、この日最後の悲劇が俺を襲う。

 闇霊を追うことに夢中で気付かなかったのだが、俺はいつのまにか、デーモン像が無数に蠢くエリアにやってきていた。木の根が複雑に生い茂る歩きづらい場所で、よくこれに引っ掛かって、デーモン像に追い詰められることがある“いわくつき”のエリアである。

 このとき、俺はまさにその状況にあった。闇霊の亡骸は木の根の先にあり、急いで回収したいがために道を間違えて、行き止まりにハマってしまったのだ。

「あ」

 と思ったときには遅かった。知らぬ間に忍び寄っていたデーモン像が我が分身を取り囲み、ゆっくりと口を開けて……!!!

 ブボォォオオオオオオオ…………!!

 5体のデーモン像から同時に放たれた火炎放射に抗うことなどできるわけもなく、俺はそのまま「YOU DIED」。即身仏のように動かなくなった俺の耳に、Hの笑い声が届いた。

「またやってるwwwwww」

 次回に続く……。

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投稿者 大塚角満 : 16:59

【ダークソウル】第80回 下半身の軌道

 ぶっちゃけて言うと、俺は混沌の廃都イザリスはできることなら避けて通りたかった。

 と言うのも、俺が居間でウトウトしていたときにS君がイザリス探索をしており、何やら真っ赤な世界をウロつきながらしきりに「ここキツい……。なんなのコイツら……」とため息をついていたのを聞いたから。居眠り中の出来事だったので詳細まではわからなかったが、このときに俺には、“イザリスは真っ赤な世界で、めんどくさい敵がウジャウジャ出てくる場所”という情報が刷り込まれてしまったのでした。

 それでも、イザリスはエンディングを目指す以上避けて通れない場所っぽかったので、お通夜に向かうような足取りでソロリソロリと前に進んでみる。すると画面に“混沌の廃都イザリス”という文字が大写しになり、と同時に真っ赤な景色が俺の前に展開された。嗚呼……。ついにここに来てしまったか……。

 とりあえず目の前にあった篝火に接近し、近くに座っていたソラールさんに声をかける。話の通じる人間がいてくれたことは、そこはかとない安心感につながる。俺は気持ちの整理ができるまでソラールさんのそばに居座り、とりとめのない会話を続けた(つもりになった)。

 それにしても、このソラールさんといいカタリナのジークマイヤーといい、『ダークソウル』のNPCたちのなんと屈強なことか。俺ほどの経験と実力を併せ持つツワモノ(苦笑)ですら、このロードランの地では数えきれないほどの“戦死”を遂げている。イザリスにたどり着けたことが奇跡と言えるほどに……。なのに、ソラールさんやジークマイヤーはつねに冷静なポーカーフェイスで、人智を超えたバケモノどもを倒さなければ到達できないエリアに佇んでいるのだ。俺(っていうかプレイヤー)がある程度の道筋(センの古城のトビラを開けたりね)を付けてあげているとは言え、彼らにプレイヤーと同レベルの苦難が降りかかっていることは想像に難くない。それを余裕(かどうか知らんが)で乗り越えてくるとは……。ソラールさんやジークマイヤーは、いったいどれほどの武力と胆力を備えているのだろう。……って、これはまったくの余談でした。

 ソラールさんと別れた俺は、橋のような細道に取りついて慎重に歩き出した。眼前に広がる風景はどこまでも赤く、それが広大な溶岩の湖に起因しているものだとすぐに理解する。もう見るからに、人を寄せ付けていない景色ではないか。おそらく、地球が誕生直後の“火の玉”状態だったときを覗き見たら、あちこち(ていうかほとんど)にこんな風景が広がっていたんだろうな……。そんなことを思わせる、ある種絶望的なパノラマだった。こんなところに踏み込んでいくなんて、正気の沙汰とは思えない。

 すると間もなく、像の下半身のような物体が遠くに林立しているのが見えてきた。

「あ、アレはなんだ……?」

 その数……どれくらいだろう? 少なく見ても20体くらいの物体が、溶岩の湖に佇んでいる。ドラゴンゾンビの腰から下のような姿をしていて、やたらとデカいのが目を引きまくった。……と言うか、デカすぎて勝手に俺の視界に入ってきた。猛烈に、イヤな予感を覚えた。

 そんな巨大下半身の森を高台から眺めて気付いたのだが、どうやらコヤツらは、俺の進軍ルートを塞ぐように突っ立っているらしい。要するに、イヤだろうがナンだろうが、ヤツらを蹴散らして進むしか道がないようなのだ。溶岩の海を舞台に、これほど身体のサイズが違う敵と渡り合わなきゃいけないのか……。思わず、体重30キロ弱の小学生が、大相撲の幕内力士がひしめく狭い通路を突破しようと足掻く姿を想像してしまう。

「うーん!」

 俺は心からのため息を漏らした。

 しかし、すぐにこうも思う。

(もしもヤツらが本当にドラゴンゾンビの下半身だとしたら、どうだろう? ドラゴンゾンビで脅威なのは、口から吐き出すゲロだ。しかし、目の前のあいつは下半身だけで、ゲロを出す口がない。てことは、効果的な攻撃は何ひとつできないのではなかろうか? ……そうだそうだ! そうに違いない!)

「そうに違いない!!」

 いきなり俺が大声を出したのを聞いて、月刊少年マガジンをむさぼり読んでいたHが飛び上がった。「ビックリしたあ! 何かあったの!?」。

 俺はその声を無視して溶岩の海に飛び込み、巨大下半身のひとつに接近を試みた。すると、ヤツはすぐに俺の存在に気付いたのか、クルリと素早く振り返る。……まあ、顔がないので振り返ったってのもヘンな表現だが、とにかく方向を変えて我が分身のほうに近寄ってこようとしたのである。しかし、あの巨体を考えればフットワークなんて皆無に等しく、俺の華麗な立ち回りで翻弄できるはず。ドラゴンゾンビも1ヵ所にへばりついたまま動かなかったので、もともとこの種族は動くことを得意としないに違いない。そんな深謀を持っての接近であった。


▲空飛ぶ下半身、"なりそこない”さん。

 ところが(またか)。

 鈍重そうに見えた巨大下半身は、スキップのような軽い足取りで俺との距離を詰めてきた。ドシンバタンと大股で跳ぶように走る仕草は、どこか『進撃の巨人』を思わせるものがある。

 なにこいつ……。めっちゃ軽く動けるんじゃん……。

 しかもこいつの身軽さは、走るだけにとどまらなかった。呆然と佇む俺の目の前でいきなり「びょん!」と大ジャンプ! そのまま赤い空に吸い込まれて、どこぞに消えてしまったのである。俺は苦笑しながら、画面を見ていたHとS君に言った。

「ちょwww あいつ、何がやりたかったのwww ジャンプしてどっかにいっちゃったんだけどwwww」

 するとHとS君も、俺につられたのか大声で笑い出した。

あはははは!!ww ヤバいヤバい!!ww

 うん、おもろいよねww 敵を目の前にしながら、ジャンプしてどっかに行っちゃうなんてwww 俺、さらに笑う。

「わはははははは!!w」

 そんな、バカ笑いが止まらない俺の脳天を、思いもよらない悲劇が襲う。さきほど消えた巨大下半身がいきなり画面に大写しになり、我が分身の姿が見えなくなってしまったのだ。

「わはっ!!」

 笑いを飲み込みそこなって、むせそうになる俺。すると画面に、信じられないメッセージが表示された。

「YOU DIED」

 ……………………………………。

あはははははははっ!!www 圧し潰された!www ていうか、油断しすぎだから!www」

 腹を抱えてのた打ち回るHとS君。どうやら彼らは、巨大下半身(正式名称は“なりそこない”と言う)の滞空時間の長いジャンプを知っていて、まもなく俺に襲い来る悲劇をワクワクしながら待っていたようなのだ……(怒)。

 こうして、苦難のイザリス紀行は始まったのでした(苦笑)。

 次回に続く。

※『折れてたまるか!』でイラストを描いてくれている酔coさんのブログ“ファミツェネーゼの悶々(ゲ)生活”はこちら

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投稿者 大塚角満 : 16:43

【みんGOL 6】第6回 雪の夜の奇跡

 本日は『ダークソウル』プレイ日記をお届けする予定でしたが、急きょ内容を変更いたしまして『みんなのGOLF 6』プレイ日記を記させていただきます。放送予定だった『ダークソウル』プレイ日記は、日を改めてお届けしたいと思います。

 昨日のことである。

 都心に雪が舞い始めるほんの直前、俺は「あと1回だけリアル大会に参加してから、帰路につくことにするか」とつぶやきながらビジュアルロビーにログインした。

 時間は、午後8時過ぎ。

 帰宅したサラリーマンや学生さんたちも遊びにやってくる時間らしく、ロビーはかなりの混雑。チャットで会話をしている人もあちこちで見られた。

 そんな人たちを横目で見ながら、俺はリアル大会の番組表を開いた。雪が降ってくる前に帰路につきたかったので、なるべく直近の大会に出たい。しかし、ロビーに人がたくさんいることはリアル大会が飽和状態になっていることの動かぬ証拠で、実際、数分後に始まる大会はどれも参加者30人のMAX状態になっていた。

「うーん、残念だな。この大会に出たいけど……」

 俺が言う“この大会”ってのは、ここのところ集中して練習している“かぐら山カントリー倶楽部・IN9ホール・初級キャラ限定大会”のこと。当然、参加人数はMAXになっている。しかし、後ろ髪引かれた俺は「まだ参加できる可能性は残されている。しばらく待ってみよう」と往生際の悪いことを言い、そのまま番組表を眺め続けることにした。大会スタート直前でキャンセルが出ると“飛び入り”ができることを、俺はよく知っていたのである。

 そして1分後。天に願いが通じたのか本当にキャンセルが1名出て、参加枠が空いてしまったではないか!! 俺、キャンセルが出ることを待っていたくせに大いに戸惑い(不惑なのに)、はしたなく取り乱してボタンを連打する。

キャキャキャ、キャンセルキターーーッ!! 出させてくれ出させてくれ!!」

 この、書いてるこっち(自分のことだが)が恥ずかしくなるほどのなりふり構わぬ立ち回りがよかったのか、俺は飛び込みに成功。最後の1枠に名を連ね、この日最後の大会に打って出られることになったのだった。そして、これが奇跡の始まりだったのである。

 しかし、飛び込んでおいて言うのもナンだが、この日の俺は最悪のコンディションだった。風邪を引きずっているせいか朝から身体がフワフワしていたし、何より仕事の合間にネットに転がっている心霊体験談をむさぼり読んでしまったため精神が重苦しくなっていた(なにやってんだ)。おかげで、ジャストインパクト率は史上最悪。この直前に出たリアル大会は「チンパンジーでもここまで外さないだろう……」と自分で呆れてしまったくらいミスショットを連発し、なんと10パーセントという恐るべきジャストインパクト率を叩き出してしまっていた。なので、

「今回もきっと、ヒドいことになるんだろうな……」

 と思いながらの参戦だったのである。

 実際、序盤はロクでもないゴルフだった。

 第2ホールの11番ロングでイーグルを狙ったものの、思った通りジャストインパクトを外してボールは四次元空間に。それでもどうにかバーディーはキープできたが、俺はここで早くも優勝をあきらめてしまう。トーナメントボードに戻ったら、イーグル獲得者が続出していたから……。メープルやかぐら山のような難度の低いコースで優勝を狙うには“ノーミス”でいることが絶対的な条件だ。ロングホールでイーグルを逃したら、それを取り戻すのはじつにたいへんなのである。

 ところが、3アンダーで迎えた13番ショートホールで奇跡が起こる。珍しくジャストインパクトされた打球は4メートルの風に乗り、ピンに向かってヒュルルルと飛んでいく。そしてグリーンでバウンドするや、ガシャンと1発小気味いい音を立ててピンに激突したではないか!

「あ!!」

 と小さな悲鳴を上げて見守っていると、遠くに弾き飛ばされた打球は健気なスーパーバックスピンを始めて、穴に向かって一直線……。勢いを駆ったボールは穴をグルグルと舐めたあと、そのままポコンとそこに吸い込まれた。……そう、起死回生のホールインワンを決めたのである!!


▲スーパーバックスピンのピンショット! ここまで弾かれたけどはるばる戻ってきて……!


▲打球はクルクルショットに!!


▲そして見事、ホールインワン! イェイ!!

うおおおお!!! ホ、ホールインワンがここでキタッ!!!

 トーナメントボードに戻ると、勇躍1位に躍り出た俺に他のプレイヤーが「エースおめ〜〜!!」と祝福のコメントを寄せてくれていた。ちょっと涙が出るくらいうれしかった。

 ここから、俺のプレイがガラリと変わった。ジャストインパクト率が飛躍的に向上し、アプローチがピンに寄るようになったのである。

 ところが、勝負をかけた16番パー4(例の1オンが狙えるところ)で、俺は痛恨のパットミス! 1オンに成功しながらバーディー止まりとなり、イーグルを出した他のプレイヤーに1位の座を明け渡してしまった。

「1打差だし、優勝はきびしいな……」

 この段階で、俺は9割がた優勝はあきらめた。

 そして、1打差の2位で迎えた18番ロングホール。俺は「2位もビリも同じ。イーグル取れなきゃ話にならないから、無理してでも狙おう」と開き直り、果敢に2オンを狙った。すると、プレッシャーがかかっていなかったおかげか1打目、2打目とも見事にジャストインパクトし、ボールは見事グリーンに。しかしカップまでの距離は12メートルと長く、とてもじゃないけど1パットで沈められるとは思えなかった。

 それでも俺は慎重にラインを読み、「ダメもと!」と言葉に出しながら強気のパッティングを行った。シュルルルル〜……と線を描きながら、カップに向かって走るボール。よし、ラインに乗ってるぞ! そのままそのまま! 入っちゃえ!!!

「いけッ!!!」

 静かな編集部に、俺の叩き付けるような声が響いた。そして……!

 カランッ!

 は、入った!! 12メートルのロングパットが入っちゃったよ!!! こ、これなら優勝もありうるかも……。1位の人がイーグル以上を出していない限り、ホールインワンのポイントがある俺が有利なのでは……。そんなことを考えながらトーナメントボードに戻ると……!

「あっ!!!!」

 なんと、最終18番でイーグルを決めたのは、俺と下位にいた人のふたりだけ。1位だった人はバーディーで−11で並んだものの、やはりホールインワン貯金があった俺がポイントで上回って……!!! 俺はそこが編集部だということも忘れて、喜びを爆発させた。

やったあああ!!! は、初優勝だ!! 今度は幻じゃなく、正真正銘30人大会で優勝したぞおおおおお!!!!」

 リアル大会に参加すること、じつに60回。準優勝すらできないヘタれな俺だったが、ついに優勝を刻むことができた。

 見れば、この大会のジャストインパクト率は60パーセントを記録。しつこい俺を見て呆れた神様が、「しょうがねえなぁ……」とちょっとだけ力を貸してくれたかのような、ウソみたいな勝利でした。

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投稿者 大塚角満 : 14:50

【みんGOL 6】第5回 幻の初優勝

 これはある40代ゴルファーの、涙なくしては読めない悲運の物語……。

 先週のことである。

 いつものように仕事の合間の時間を使って、俺は『みんGOL 6』のビジュアルロビーに降り立った。家庭のよきお母さんだったら「そろそろ子どもが部活を終えて帰ってくる時間だし、そしたらスーパーに買い物に行って夕飯の用意をしなくっちゃ……」と思い始めるくらいの時間で(まあ夕方ってことだが)、ロビーには夜の喧騒が忍び寄ってきていた。200人くらいがログインしていたこともあり、かぐら山やハーベストといった人気コースを舞台にした9ホールのリアル大会は軒並み盛況で、20〜30人規模の大会もいくつか実施されている。そんな時間帯での出来事である。

 俺はログインしてすぐに、リアル大会の番組表を確認した。見ると、ここのところ集中的に練習している“かぐら山カントリー倶楽部”のレギュラーティ18ホールの大会が、まもなく開かれようとしていたではないか。18ホールのリアル大会はそれなりに時間がかかるので、会社にいるときは滅多に参加しない。仕事のせいでリタイアになることが多いから……。でもこのときは、校正が回ってくるのをひたすら待っていただけなのでプレイに支障はなさそう。そこで俺は「リタイア覚悟で、気楽に参加しよう」とひとりつぶやき、大会参加ボタンを押したのだった。

 ちなみに、この大会に参加したときの俺の装備(?)は、

・キャラ:シャオリン
・クラブ:ビッグエアー(レベル3)
・ボール:インフィニティ(レベル3)

 というもの。「パワーショットをばんばんキメて、魅惑の投げキッスポーズを堪能しちゃおう♪」。それくらい、ユルい気持ちだった。


▲このポーズが見たいがゆえのシャオリン。……あ、見た目は俺好みにだいぶ化粧されております(笑)。

 この“ノープレッシャー”がよかったのか、俺のプレイはじつに安定していた。1番、2番を無難なバーディーでスタートし、迎えた最初のロングホール。俺はここでジャストインパクトを連発して、危なげなくイーグルを奪う。

「最上の立ち上がりだ!」

 と、俺は会社の自席で狂喜した。

 その後のホールも危なげなく進行し、前半のOUT 9ホールのスコアは-10。9番のロングホールで2オンに成功しながらも痛恨の2パットでイーグルを逃してしまったが、俺にしたら上出来のスコアで前半を終えることができた。この段階で、俺はトーナメントリーダーとなった。

 INに入ってからも、俺の調子は変わらなかった。10番パー4でバーディー、11番パー5でイーグルを出してトップを堅持し、その後もバーディーを連続。15番ホールを迎えた段階で、2位のプレイヤーとは2打差をつけていた。俺、このへんから本格的に“優勝”というものを意識し始める。

(こ、これは突然悪魔にでも取り憑かれない限り、俺の優勝は堅いのでは……!)

 土壇場でしょっちゅう悪魔が憑依してジャストインパクトを1センチ以上外す……という信じがたい現象が続いていたので、俺は自分の腕をまったく信用していない。それでも2打もの大差は、俺に異様な高揚感をもたらした。

 そんなとき、それまでひと言もコメントを出していなかった2位の人が、トーナメントボードで俺に話しかけてきた。

「1位の方、すごくうまいですね!!」

 突然の声掛けに驚きながらも、ホメられて悪い気はしないので俺はすぐさまコメントを返した。

「いや……。たまたまなんです……」

 さらに、コメントを続ける。

「土壇場でいつも崩れるんです。だから今回もわからんです……」

 これを受けて、2位の人はつぎのように返してきた。

「同じく、後半で絶対ミスって優勝争いから脱落します……」

 ここまでやり取りしたところで画面が切り替わり、我が分身は16番パー4に降り立った。ここは……そう、ティーグラウンド脇にある巨大な水車の後方の舗装路にティーショットを落とすことで、1オンが狙えるというトリッキーなホールだ。ジャストインパクトのサイドスピンならば、容易に水車をかわして舗装路に乗せることができる。


▲16番パー4のティーショットは、サイドスピンでこのあたりを狙うことにしている。失敗することも多々あるが、やっぱり1オンを狙えるのは魅力的。ちなみにこれらの写真は、トレーニングモードをPS Vitaで撮影したものです。

 しかし、失敗したときのリスクを取りたくなければ、無難にバーディー狙いで回ったほうがいい。しかも、俺はこのとき2打差のトップだったので、無理をする必要はまったくなかったのだ。

 でも、そこはやっぱりみんゴルファー。俺は「よーし、狙ったるでぇ〜!」と言いながらアドレスに入り、見事スーパーサイドスピンを決めて舗装路に乗せることに成功した。

「よし!!」

 とガッツポーズを決める俺。ところが、勢い余ったボールは舗装路を飛び出して、その脇のラフにコロコロコロ……。俺は悲鳴を上げる。

デタ!! 始まったよ土壇場で!! また悪魔が取り憑いたっ!!!

 残り3ホールでズタボロになるイメージが、俺の脳裏で「ワッショイワッショイ」と踊り出した。

 それでも俺はこのホールを、どうにかバーディーで切り抜ける。トーナメントボードに戻ると、どうやら2位の人もティーショットで失敗したらしく、そこにはパーが刻まれていた。

「ほら……。後半になるとこうやってミスるんです……」

 と2位の人。それに対して俺は「僕も明らかにズレてきました……。まだまだどうなるかわかりませんよ……」と返した。

 続く17番は俺も2位の人もバーディー。そしていよいよ、最後のロングホールを迎えた。俺はここでも守りには入らず、果敢に2オン狙い。しかもこれがまんまと成功し、なんとイーグルで締めることに成功する。最終的なスコアは、-21。かぐら山18ホールで自己最高記録を樹立するとともに、念願のリアル大会初優勝を決めた瞬間だった。

 トーナメントボードに戻ると、2位の人が俺を祝福してくれた。

すごいスコアですね!! それが出せたら、どんな大会でも優勝を狙えますよ!」

 俺、マジで小躍りしながらその声に応えた。「やったああ!! ありがとうございます!! 超うれしいです!!!」。

 すると、2位の人はしばし沈黙したあとに、つぎのような気になる発言をした。

もっと参加者がいればよかったのに……。ぜんぜん優勝できたと思いますよ」

 俺、ナゼかこの発言がひどく引っ掛かった。“優勝できたと思う”って、どういうことだろう? どっからどう見ても、1位のところに俺の名前が刻まれているよ? しかも、2位とは4打差。“完勝”と言って間違いない、会心の勝利ではないですか。

 俺は釈然としないまま、リザルト画面にやってきた。戦績に、初優勝が刻まれる瞬間である。苦節1ヵ月……。ついに俺も、一流プレイヤーの仲間入りを果たすのだ!!!

 ところが……。

 信じがたいことに、我が戦績にはたったいまゲットした初優勝が記録されなかったばかりか、準優勝にも入賞にもポイントが入らなかったではないか!!! どどど、どうなってんだコレは!!! 間違いなく、優勝したのに!! 21アンダー出したのに!!! 納得できない!!!

 しかし、待てど暮らせどリアル大会の記録に変化は見られなかった。どうやらいまの大会は、スコアこそ記録されたものの成績自体は“なかったこと”になってしまったようだ。

 俺は納得いかず、アクティビティーに刻まれた“ベストスコア更新”の欄につぎのような愚痴を書き込んだ。

「かぐら山で-21出して優勝したのに、記録されなかった>< 3人しか参加していなかったとはいえ、あんまりだ><」

 すぐに、『みんGOL 6』の全国ランキングで上位に君臨するネット友だちのHさんが、つぎのようなコメントを書き込んだ。

「ミドさん(俺のこと)、リアル大会は参加人数10人以上じゃないと記録に反映されないみたいだよw」

 …………………………。

 このショックから立ち直るのに、丸2日かかりました(苦笑)。

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 12月22日に無事、『折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜』が発売となりました!! 出足も好調のようで、うれしい限りです。何度もお知らせしてきましたが、本書にはここで公開したエッセイにプラスして、約40ページに及ぶ書き下ろしプレイ日記“アノール・ロンド編”、ブンブン丸による攻略コラム、イラストレーター酔coさんの『ダークソウル』プレイマンガと、本書でしか見られないコンテンツが盛りだくさん! しかも今回はオールカラーの264ページと超豪華仕様になっています!(価格が1260円[税込]と高めなのは、その影響なのです!><) ぜひぜひ手に取ってみてくださいね!

■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。

 

投稿者 大塚角満 : 13:32

【ダークソウル】第79回 山羊頭の亡霊

 デーモン遺跡で心に残っていることは、ぶっちゃけ“ソウルの消失”しかない。前回の日記で書いた穴掘りウジ虫の罠は最たるものだが、じつはあの話には続きがあるのだ。

 宝箱の手前で穴掘りウジ虫の待ち伏せに遭い、50000ソウルもの大金を落としてしまった俺。しかし、ご存じの通り『ダークソウル』では、落ちている自分の亡骸に触れることができれば、そこにあるソウルと人間性を回収することができる。いま死体がある場所に穴掘りウジ虫が涌くことは学習済みなので、細心の注意を払えば回収くらいはなんちゃないだろう。そう確信して、俺は篝火を飛び出したのだ。

 とは言え、死体が転がっている場所にたどり着くまでに、何体かの強敵が立ち塞がるのは避けようのない事実。具体的には、まず篝火のすぐそばで山羊頭のデーモンが1体、デーモン像(ちょっとメタボな小さな敵ね)が4体、牛頭のデーモンが2体、そして穴掘りウジ虫が数匹出る。これだけの数を相手にするのはさすがに骨が折れるため、俺は何度か、篝火に引き返すことになってしまった。

 そうこうしているうちに、俺のサイフには再び20000ソウル以上の大金が貯まってしまった。それだけ、道半ばで篝火に引き返したってことですけど(苦笑)。しかしこれにより、落ちている50000ソウルと合わせると、潜在的な財産は70000ソウルを超えたことになる。これだけあればふたつくらいレベルを上げることができるし、武具の強化や素材の購入も余裕で行うことが可能だろう。その事実に気付いた瞬間、俺はにわかに緊張した。いまあの50000ソウルを失ったら、しばらく立ち直れなくなるかもしれない。

「つぎの出撃で、死んでもソウルを回収するッ!!!

 決意も新たに、俺は声に出して宣言した。しかしすぐさま、「死んだらあの50000ソウルなくなっちゃうよwww」とHに突っ込まれた。

 エスト瓶を補充した俺は、篝火を飛び出した。するとすぐに、その気配に気付いた山羊頭のデーモンが、物騒な双剣を手に襲い掛かってくる。こいつはスピード、跳躍力、そして攻撃力にも秀でた難敵だが、“不死街下層”のボスとして現れるソレと比べたらずっと御しやすい。ウザい“デーモンの飼犬”を引き連れていないから……。俺は、飛び込み斬りや武器の振り回し攻撃を冷静にかわし、カウンターを当てるように山羊頭のデーモンを斬り刻んだ。結果、難なく撃退に成功。俺はテクテクと先に進んだ。

 しかし3歩も歩かないところで、2体のデーモン像が道を塞いできた。まあ、いつものことである。こいつらは動きが遅いし、攻撃も単調なので、複数に囲まれない限りまずやられることはない。俺はメンド臭そうに「へいへい。止まって火を吐くんでしょ。知ってますよ知ってますよ」と言い、続けて「じゃ、遠慮なく背後に回ってグサっと……」とつぶやきながら、デーモン像に攻撃を加えようとした。ところがその瞬間、信じがたい事件が我が分身を襲う。

「はうッッッ!!」

 いきなり我が分身は大きくのけ反り、と同時に体力ゲージが猛烈な勢いで減少してしまったではないか!! 何が起こったのかさっぱりわからなかったため、とたんに俺はパニックである。

「え? えっ!? 何ナニなにっ!!?」

 画面を見ていたHとS君も「ちょwww 何に襲われてんの!?w」と目の前の出来事が理解できないようだ。

 俺はみるみるうちに減っていく体力を恨めしく眺めながら、どうにかカメラを動かして襲い来たモノを確認した。するとそこに、あまりにも意外すぎる敵の姿が……。我が家の居間に、3人の悲鳴がこだまする。

「な、なんで山羊頭のデーモンがいんの!!!??」

 そう、なぜか山羊頭のデーモンが剣をぶら下げて、我が分身を睥睨していたのである。この間、幾度となく篝火周辺をウロウロしていたが、2匹目の山羊頭のデーモンが襲ってきたことなどただの一度もない。それがなぜ、70000ソウルもの大金を所持しているときに限って、背後から襲い掛かってくるんだ!!

わあああ!! やめろやめろ!!! このソウルを失うわけにはいかないんだ!! 頼むからやめてくれえええ!!!

 そんな願いもむなしく、俺はこの山羊頭のデーモンにズタズタに斬り裂かれて、無残な亡骸を晒すハメに……。落としてあった50000ソウルは、デーモン遺跡の赤土にジュワッと吸い込まれてしまった。

「ホントになんで、たくさんのソウルを落としているときに限ってイレギュラーなことが起こるんだろう……ww 病み村の赤犬といい、今回の山羊頭といい、何かに呪われているとしか思えないね……www」

 笑いをこらえながら言うS君の言葉が、すごく遠くに聞こえた。そしてこのときのショックはあまりにも大きく、俺はそれから3日ほど、プレイステーション3のコントローラを握らなかった(苦笑)。

 ちなみにこの出来事と比べたら、デーモン遺跡の最後に控える“デーモンの炎司祭”も“百足のデーモン”もものの数ではありませんでした。ひとつだけ、百足のデーモンを倒した後に手に入る“黒焦げた橙の指輪”の効果(溶岩に入れるようになる)を見て、こちらの日記にある自分の行動(激しい発汗などを使えば溶岩に入れると思い、何度も焼け死んだ)が猛烈に恥ずかしくなったけど……。

 というわけで次回から、“混沌の廃都イザリス”編です!

※『折れてたまるか!』でイラストを描いてくれている酔coさんのブログ“ファミツェネーゼの悶々(ゲ)生活”はこちら

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投稿者 大塚角満 : 14:08

【みんGOL 6】第4回 弱い男の最終ホール

 どうしてもリアル大会で優勝したくてそのための戦略を立てた……ということを前回のコラムで書いた。その要点は、

・かぐら山カントリー倶楽部を徹底的に練習する
・初級キャラ限定大会に的を絞る
・初級キャラの“ユウナ”をやり込む

 というもので、実際に俺はこの作戦に則って練習に明け暮れ、条件に見合う大会を見つけては積極的に参加しているのだ。

 かぐら山カントリー倶楽部の初級キャラ限定大会は、かなりの頻度で開催されている。しかし、俺はたいがい仕事の手が空いた瞬間にロビーに降り立って大会を物色するので、理想に沿わないことも頻繁にある。

 このとき、俺が参加したのは、かぐら山カントリー倶楽部のOUT 9ホールを舞台にした“グレース限定大会”だった。グレースは中級のキャラだが、いち時期集中的に使っていたことがあるので愛着度はMAX。「これならそこそこ戦えるのでは……」と思えたので、比較的軽い気持ちで参加することに決めたのだ。

 1番のパー4。クセのない、難度の低いホールだ。ここでいきなりバーディーを逃すと急性やる気消失病に罹患するので、慎重にプレイする。結果、難なくバーディーをゲット。いいスタートが切れた。

 そして2番のパー4で、俺に神が降臨する。ティーショットを250ヤードほど飛ばし、迎えた2打目。残りは80ヤードほどだ。サンドウェッジを持った俺は、手前からランで転がすことをイメージして、若干弱めのショットを打った。すると……!

 カランッ!

 なんとチップインイーグル!! この段階で、俺はトーナメントリーダーとなった。

 続く3番ロングホールでも、神は憑いたままだった。ここは練習の結果、ティーショットであまり飛ばし過ぎるとコース途中にある建物に近付きすぎ、2打目が窮屈になってしまうことがわかっていたので3ウッドを持つ。そして、250ヤードを付近を目掛けてジャストインパクト! うん、いいところに落とすことができたぞ。

 しかし続く2打目でジャストインパクトを外してしまい、2オンには成功したものの7メートルもの距離を残してしまう。しかも、急流のように速い下りのフックライン……。こんなの、一度も入れたことねえよ……。俺は「あーあ。今回はここまでか」とやさぐれモードになり、それでもあきらめきれずに時間をかけてラインを読んでパッティングを行った。そしたら!

 カランッッ!!

 おおおおお!! 入った!! 超奇跡!!! チップインイーグルやアルバトロスもうれしいけど、超絶ラインを読んでパットを決めるってのも、こんなにうれしいんだ!!!

 勢いに乗った俺は、4番、5番で連続バーディー。このへんからじょじょに優勝を意識したのか、手が震えてくる。おかげで6番ホールからジャストインパクトがズレ始め、アプローチもまったく寄らなくなってしまった。4メートル残したバーディーパットはどうにか沈めることができたが、初優勝へ向けて暗雲が垂れ込めてきたことを確かに感じた。

 そして7番パー3。手の震えはさらにヒドくなり、ティーショットのジャストインパクトは大外れ(苦笑)。それでも運よく4メートルの距離にボールは落ちてくれたので、この段階ではまだ、勝利の女神は逃げていなかったと思われる。

 俺は3番ホールのとき以上に慎重にラインを読んで、パッティングを行った。それほど難しいラインではなかったので、外すことなど夢にも思っていなかった。ところが……。

 クルン!

 なんとボールはカップを舐めただけで入ることはせず、グリーンの上をコロコロコロ……。ついに俺はパーを記録し、1打差あった貯金を使い果たして2位以下に並ばれてしまったのである。でも、まだ打数のうえでは同率首位だ。残る2ホールをミスなく回れれば、まだまだ優勝のチャンスはある!!!

 8番パー4。手の震えと動悸は収まらず、俺は2打目のアプローチで木に当ててしまい、パットに7メートルの距離を残してしまった。

 嗚呼……。万事休す……。俺の勝負はここまでか……と思ったが、まだ運が残っていたのかパッティングに成功! ギリギリでバーディーを奪い、同率首位のまま最終ホールになだれ込んだ。

 ラストは、パー5のロングホールだ。それでも、3番ホールのようなあからさまな障害物はないので、イーグルは狙いやすい。ライバルたちも皆、確実に狙ってくるだろう。

 外すわけにはいかない……。

 俺の緊張は、いやがおうにも高まった。手のひらが汗でジットリと濡れるくらいに……。それでも、打たねばならない。俺は必死に(落ち着け! 落ち着いて打てば問題ないんだ!)と自分に言い聞かせ、震える指を懸命にコントロールしてティーショットを叩いた!

 しかし、なんとここで恐怖のイップス発症……。

 ジャストインパクトよりも1センチ早くボタンをぶっ叩いてしまい、ボールは異次元の方向に……。これがものの見事にバンカーに落ち、なんとかリカバリーを試みるも、バーディーをキープするのがやっと……。結果、思った通りライバルたちはイーグルを出しまくり、最終的に俺は8位でホールアウトしたのでした……。

 しかし真の悲劇は、この後の大会にこそ潜んでいたのです。

 次回に続く……。

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▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。

投稿者 大塚角満 : 15:39

【ダークソウル】第78回 穴掘りウジ虫に、説法は通じるか

 プリシラを誤って(?)殺害してしまった俺は、涙に暮れながらアノール・ロンドに帰ってきた。

「嗚呼……。やっぱやめときゃよかった……。せめて尻尾を切ってプリシラの短剣を手に入れられていたなら、まだ救われたのに……」

 などとブツブツ言いながら……。俺は何事も引きずるタイプなのだ。きっと半年くらいは、このときの出来事がフラッシュバックするに違いない。

「わかったから、とっとと先に進みなよ!w」

 過ぎたことは瞬時に忘れるポジティブなHにケツを蹴飛ばされ、俺は先に進むことになった。

 さてここまで来るといよいよ、未探索のエリアも限られてくる。ちょっと前にも列挙したが改めて抜き出してみると……、

・小ロンド遺跡
・地下墓地
・デーモン遺跡
・混沌の廃都イザリス
・公爵の書庫
・結晶洞窟

 残っているのはこんなところか。……うん、まだまだたくさんあったわw

 しかし俺の密かな計画だと、このプレイ日記は100話を以って大団円となるはずなのだが(カミングアウト)、これだけのエリアを残してそんなことが可能なのだろうか? 今回が78話目だから、あと22回書けるわけだ。となると、1エリアあたり4話弱……? うーん、絶対に無理な気がする……。

 ま、いっか。

 エレーミアス絵画世界を後にした俺は、一路デーモン遺跡を目指した。このエリアは途中まで進んだものの、ゾロゾロと現れた大量の山羊頭のデーモンにいたぶられ、「もうヤダ!! ここはもういいっ!><」といじけて投げ出したままなのである。しかしデーモン遺跡と、その先に広がっているという混沌の廃都イザリスは、エレーミアス絵画世界のように“行かなくてもいい場所”ではないだろう。イヤだろうがナンだろうが、エンディングにたどり着くためには絶対に避けて通れないエリアなのだ。なので俺は、萎える気持ちを必死の思いで奮い立たせ、赤い大地に踏み込んだのでありました。

 ここにくれば当然、例の山羊頭のデーモンが我が分身の前に立ちふさがる。何人も何人も連れ立って……。そして俺は性懲りもなく、何度も何度も何度も何度も(あと10回くらい続く)こやつに惨殺されるわけだが、そのことを詳しく書いているとアッと言う間にリミットの100回になってしまうので割愛させていただく。とにかく俺は度重なる死を乗り越えて、ようやくデーモン遺跡の中間あたりにある篝火にたどり着いたのであった。ここを拠点に、デーモン遺跡を攻略してやるぞ。

 で、俺はしばらくのあいだ篝火をベースキャンプとしてウロウロしていたわけだが、ここは落ち着いて立ち回ることさえできれば、かなり利用価値が高い場所だとわかった。山羊頭のデーモンやその先で待ち構えている牛頭のデーモンは確かに強いが、倒したときにもらえるソウルも多いので、動きに慣れてしまえばウハウハの入れ食い状態(?)になる。

「うん、ここは何気においしいぞ」

 50000ソウルもの大金(大魂?)を貯め込んだ俺は、ホクホク顔で篝火に帰ろうとした。これだけあれば、当面の生活費は事足りるぞ。

 しかしその道すがら、俺は遠くに煌めく宝箱を発見する。しかも都合がいいことに、道を塞いでいた牛頭のデーモンは倒してあるので、宝箱までは障害物のない、真っ直ぐな回廊が続いているだけだ。

 ここで以前の俺だったら、「わーいわーい! 宝だ宝だ!!」と一瞬でまわりのものが見えなくなり、マタタビに飛びつくネコの如く宝箱に駆け寄ったことだろう。しかし、度重なる罠や騙し討ちに遭った暗黒歴史が、俺の歩みを鈍らせる。足を止めた俺は、冷静に考えた。

(回廊の先にあるあの宝箱は、いかにも怪しい。となるとその手前に、何らかの罠があるに違いない)

 しかし、つぎのようにも思う。

だからと言って、俺に何ができるのだろう? この道を進まない限り、宝箱にはありつけないのだ。となれば、どんな悲劇が待っていようとも前に行くしかないのではなかろうか)

 俺、次第にコーフンしてきて、声に出して叫び始めた。

「いやそうだ!!! そうに決まっているっ!!! 聖騎士に後退の2文字はないのだっ!! 我は先に進むのだ!!!

 その声は、いまや絶叫である。

止めるなッ! 止めないでくれッ!!!

 俺が取り乱すさまを呆然と眺めていたHが、あきれた口調で言った。

「誰も止めないから、とっとと行きなよwww」

 前に進むことになりました。

 意を決した俺は、宝箱に向かって走り出した。何かが現れるかもしれないが、とりあえず駆け抜けてやり過ごせばいいや……と思っていたのである。

 ところが(毎度おなじみ)。

 回廊に踏み込んだところでおかしな気配を感じたと思ったら、いきなり天井が割れて巨大な怪物が飛び出してきたではないか!! こいつは……『ダークソウル』の登場モンスターの中でもっともシュールな正式名称を持つ“穴掘りウジ虫”ではないか! 口から武具を腐食させる酸を吐き出すやっかいな敵で、できることならなるべくお近づきにはなりたくない。


▲まるで俺がつけたニックネームのような正式名称を持つ穴掘りウジ虫さん。

 俺はこの穴掘りウジ虫を、慎重な立ち回りで倒した。酸の液体もさることながら、身体を振り回しての物理攻撃も強烈なので油断ならないのだ。

 しかし思った通り、この回廊には罠があった。宝箱をエサにプレイヤーを誘い込み、穴掘りウジ虫で嫌がらせをしようという魂胆だったのである。俺は、それを見破った。ここまでの幾度とない失敗は、キチンとした蓄積となって俺の血肉になっているのだ。

「よし! 俺の読み勝ちだ!! 宝物、いただきだぜ!!」

 会心のドヤ顔を作った俺は、宝箱に向かって猛ダッシュした。穴掘りウジ虫を1匹狩ったことで、完全に心が弛緩していたのである。その結果……。

「え」

 宝箱まであと少し……というところで突然天井が割れ、目の前に2匹の穴掘りウジ虫が……!

「し、しまった!! これが罠だったか!!!」

 叫ぶやいなや、距離を取ろうと思って後ずさる俺。しかしその行動も、制作陣の想定内だったようだ。

 ガララララララララッ!!!!

 なんと背後の天井から、さらに2匹の穴掘りウジ虫が下りてきた!!! そう、俺はものの見事に挟み撃ちにされてしまったのである。もう、画面はしっちゃかめっちゃか。自分がいまどこにいて、どんな体勢にされているのかもさっぱりわからない。気付いたときには、画面に例の文字が表示されているのだった……。

「YOU DIED」

「あーあ。また50000ソウルもムダにしちゃって……www」

 Hの嘲笑が、お経のようにデーモン遺跡に響き渡った……。

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投稿者 大塚角満 : 19:59

【みんGOL 6】第3回 リアル大会優勝のための1週間計画

 最近、ようやくジャストインパクト率が安定してきて、平均で50パーセントを超えるようになった。まあ、あくまでも平均なので30パーセント台を引くこともあるが、「これならなんとかリアル大会でも戦える」と思えるくらい、地に足が付いてきた感じなのです。

 なので、仕事の隙を見つけては昼間っからコソコソとビジュアルロビーにくり出し、リアル大会に潜り込んでいる。自信が付き始めたいまは、とにかく試合をこなしたくてしかたがないのだ。掛け算や割り算を覚えたてで、やたらと親の前で暗算をくり返す小学生みたいなものだろうか。

 しかし、無策で臨んで優勝できるほどリアル大会は甘いものではない。周到な準備と入念な練習、そしてキチンとした戦略を持たねば入賞すら困難なのだ(若干オーバーな気はする)。そこで俺は『みんGOL』のベテランらしく一計を講じ、“大塚角満がリアル大会で優勝するための1週間計画”なるものを立てた。それは、以下のようなものだ。

・大会に出るコースをひとつに絞る
・そのコースを徹底的に練習する

 俺程度の実力で、全6コースをまんべんなく摘まんで薄っぺらな練習をしていても、スコアはまったく伸びてくれない。それよりも、ひとつのコースにだけ焦点を当てて、目を瞑ってでもショットが打てるくらいコースレイアウトを頭にたたき込んだほうがいいに決まっている……と思ったのだ。

 しかし、これだけではまだまだ不十分。俺は、これまでリアル大会に出てみた経験から、もうちょっと踏み込んだ作戦を付け加えてみた。

・練習に使うキャラは初級の“ユウナ”オンリー
・参加するリアル大会はそのコースの“初級キャラ限定大会”

 一応、使用キャラは初級、中級、上級とも愛着度MAXのものは作ってあるし、ギアもレベル3のものを揃えてある。しかし、優秀なキャラを使用しての勝負となるとますます実力者たちとの差が開くと考え、「あまりスコアが伸びないと思われる初級キャラに絞ってしまおう!」との思いに至った次第だ。……まあコレをHに話したら、「スコアが伸びないからこそ、うまい人との差が顕著になるんじゃないの??ww」と笑われたが、俺は頑なに「この作戦で臨む!」と宣言し、実際に通勤の行き帰りの電車の中で練習に励んだのであった。

 で、昨日のことである。

 仕事の手が空いた一瞬の隙を突いて『みんGOL 6』を起動し、俺はビジュアルロビーに降り立った。そしてすぐさまリアル大会の番組表を開いて、練習条件に合致する大会を探し始める。しかし残念なことに、直近の時間帯にそれらしき大会は見当たらない。ううう……。せっかく練習の成果を発揮しようと思ったのに……。あきらめきれない俺は振り上げた拳の下ろしどころを探し、結果、もっとも俺の求める条件に近い大会に参加することに決めた。

 俺が出た大会は、つぎのようなレギュレーションだ。

●コース:かぐら山カントリー倶楽部
●ホール:OUT 9ホール
●ティ:レギュラー
●その他:グレース限定

 グレースは思いっきり中級のキャラだが、幸い愛着度はMAXなので使用に問題はない。さてさて、どんな試合になるのかな……?

 キリがいいので、続きは次回〜!

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投稿者 大塚角満 : 13:11

【ダークソウル】第77回 半竜プリシラの悲劇

 エレーミアス絵画世界の最後に陣取るボス“半竜プリシラ”は、それはそれは美しい、可憐極まりない姿をした女性でありました。彼女と会うまで、俺はクラーグの住処にいる“混沌の娘”こそ『ダークソウル』でナンバーワンの美女だと思っていたが、その個人的ランキングはあっさりと瓦解してしまう。プリシラ登場後の“角満的ミス・ダークソウル”のランキングは以下のようになった。

1位 半竜プリシラ
2位 混沌の娘
3位 異端の魔女ビアトリス
4位 俺が作ったプレイヤーキャラの“AQUA”ちゃん
5位 陰の太陽グウィンドリン(顔ほとんど見えないけど)

 青少年諸君の人気者、“世界3大おっぱい”のひとりである“太陽の王グウィネヴィア”は、じつは俺の好みではないので私的ランキングには入らない。さらにどうでもいいことを書くと、次点はソルロンドの聖女レアちゃんです。


▲素足がかわいい。

 このように並み居る美女軍団を抑えて、半竜プリシラは堂々の1位に君臨する。それほど、彼女は美しいのだ。そういえば先日、『ダークソウル』開発チームの方々と会ったときに「プリシラって、めっちゃ美人ですよね。『ダークソウル』でナンバーワンですよ」と言ったところ、彼らはうれしそうに笑って「そうでしょう。なんたってプリシラは、ヒロインのつもりで作っていたキャラですから」と出生の秘密を教えてくれた。つまり彼女は、生まれながらのエリート美女というわけだ。

 そんなプリシラが、エレーミアス絵画世界の最後で待っている。純白の衣とかわいらしい尻尾、そしてぶっそうな鎌を身に着けて……。我が分身よりも遥かに大きな身体をしているので一瞬たじろぐが、プリシラに攻撃の意志はないらしく、それどころか俺に向かって「早くお行きなさい……」と声をかけてきた。これを、S君が解説する。

「プリシラは倒さなくてもいいみたいだよ。そのまま素通りして崖から飛び降りると、アノール・ロンドに帰れるし」

 おお……。この美しい娘に刃を向けることなく、やり過ごすことができるのか! なんてすばらしい……。開発陣、わかってらっしゃる!! Hも強く頷いて「そうだよ。プリシラを攻撃するなんてサイテー。そのまま絵画世界から出ちゃいなよ」と言っている。俺は「そうだね! そうだよね!」と首肯してコントローラを握り、スッテケテーとプリシラの前を通り過ぎようとした。しかしここでS君が何かを思い出したらしく、さりげない口調でつぎのように言ったのだ。

「あ、そうそう。プリシラに尻尾生えてるじゃん? あれって切ることができるんだよねー」

 俺、ピタリと立ち止まり、S君に問いかけた。「……その尻尾って、何らかのアイテムになるの……?」。S君、「うんうん」と頷いてトドメのひと言を吐く。

「もちろん。“プリシラの短剣”っていうドラゴンウェポンになるよ〜」

 俺は能面のように表情をなくし、冷たい視線をプリシラに向けた。確かに彼女の背面からは、モコモコのキュートな尻尾が生えている。プリシラを半竜たらしめている証拠のようなものか。こ、これをぶった斬るとドラゴンウェポンに……。俺は無言になり、ただただ「はぁはぁ」と荒い息を吐き続けた。その様子を不審の眼差しで見ていたHが、強い口調でたしなめる。

「ちょっと〜! やめなよ! プリシラに触らないで。山賊はとっとと、アノール・ロンドに帰りなよ!

 俺、冷たい目線をHに向けた。

「じゃあ、あなたはプリシラを攻撃しなかったのですか? 生かしてあるのですか?」

 Hはとたんに口ごもり、痛恨の表情で白状する。

「……いや、やっちゃったけど…………w ……でもね、後に残ったのは後悔だけだよ! プリシラの短剣、あんま使いどころないし!! だからやめなよ!!」

 しかしもう、俺の耳には誰の言葉も届かない。俺は恐怖の業物・黒騎士の斧槍を抜き払うと、「御免!!!」というセリフもろともプリシラに斬りかかった。

 ブシャアアアッ!!!

 降り積もった雪に鮮血が飛び散る。と同時にプリシラは「なぜ、死に急ぐの……?」と悲しげに言い、そのまま姿を消してしまったではないか! 俺、とたんにアタフタする。「わあ! 消えた! どうすりゃいいんだ!!」。S君が苦笑しながらたしなめた。「平気平気ww 雪にプリシラの足跡がつくから、それを追って攻撃すればいいんだよ!」。おお、そんな秘密があったのか。

 俺はS君の導きに従い、目ざとく足跡を見つけてめったやたらと斧槍を振り回した。どうやらしっかりと攻撃が当たっているらしい。しかしここで再び、S君が口を開く。

「あ!! あんまムチャすると、尻尾を斬る前にプリシラが死んじゃうよ!! しっかり尻尾を狙わないと!!w」

 うわ!! そうだった!! すっかり慌てて、何も考えずに攻撃しちまったよ!! しかし、俺が持つ黒騎士の斧槍はそんじょそこらのヤワなシロモノではない。鍛え抜かれた名槍だ。攻撃力はハンパじゃない。結果、がんばって軌道修正を試みたもののそれまでのダメージが深刻だったらしく、まもなくプリシラは絶命……。当然、尻尾は切れなかった。

わあああああ!!! や、やっちまった!!! 尻尾も切れずに、プリシラを殺ってしまったああああ!!!」

 尻尾のためだけに泣く泣く攻撃したのに、その目標も達成できずに狩ってしまうなんて……。俺は画面を凝視したまま、ただただ涙を流し続けた。

 そして、この惨劇を見て誰よりも怒り狂ったのが、プリシラ擁護派だったHである。

最悪!! プリシラの命を奪った挙句に、尻尾も獲れずにおめおめと帰ってくるなんて……!!! プリシラに謝りなよ!!!

 プリシラさん、本当にスマンかった……><

 次回に続く……。

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■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。

投稿者 大塚角満 : 13:37

【みんGOL 6】第2回 リアル大会初優勝! ……と思ったら

 前回の日記で書いた通り、俺はオフラインのチャレンジモードをすべてクリアー。王冠(“10メートル以上のパットを決めて優勝しろ”など、特殊条件をクリアーするともらえるご褒美)もコンプリートし、ひとり用のモードはとりあえずひと段落つけた。となればいよいよ、オンラインに打って出て全国のツワモノたちとしのぎを削り合うしかない!!

 というわけで、この正月あたりから頻繁にビジュアルロビーに出没し、リアル大会(リアルタイムで最大30名のライバルと競うトーナメント)に参加している。リアル大会にはさまざまなレギュレーションが用意されているので、自分の適性を考慮しつつ、好きなものに参加することができるのがうれしい(段位限定などの縛りがある場合は、もちろんそれに則らなければならないが)。たとえば俺だったら、後半のアルアラビアンゴルフクラブやレガシーオブゴルフリンクスといった難コースはまだまだ手に余るので、なるべくメープルリーフゴルフクラブかかぐら山カントリー倶楽部が舞台となっている大会に参加するようにしている。まあ、こういった難度の低いコースはほかのプレイヤーも徹底的に攻略しているので、ひとつのミスが命取りになって上位に絡めなくなっちゃうんだけど……。たとえば、↓こんなふうに……。

 昨夜のことである。

 俺はHやS君がプレイステーション3の『ファイナルファンタジーXIII-2』に激ハマりしている姿をツマミに、ひとり静かに酒を飲んでいた。画面を見るたびに「おお!」とか「スゲェ!」とか言いながら……。しかしじきに、自分だけ何もしないでいることに多大な手持無沙汰感を感じ、そそくさとPS Vitaを取り出す。そしてPSボタンを押してスリープ状態を解除し、Vitaカードが入れっぱなしになっている『みんGOL 6』を起動した。いまからロビーにくり出して、リアル大会に参戦しちゃるぞ。

 しかし、多くのプレイヤーがそうだと信じているのだが、『みんGOL』をまともにプレイするためには絶対に“アイドリングタイム”が必要だよね。ある程度時間が空いてからのプレイは必ずと言っていいほどジャストインパクトのタイミングが合わず、とんでもないことなってしまうから……。「ここだ!」と思って押したところが、ジャストインパクトゲージより2センチくらい離れていたりとかネ。みんゴルファーは皆、こんな感じだと思うのだ(そうだと言ってくれ)。ホラ、野球のピッチャーも登板する前にはブルペンで肩を作るし、バイクも走り出す前にじっくりと暖機をするでしょう。それとまったく同じです。

 というわけで、俺はすぐに開かれる大会に飛び入りで参加し、「よろ〜」とか「あり〜」を連発しながら肩慣らしを行った。思った通り、序盤のショットはミスしまくりで、一向にジャストインパクトになってくれない。いつもと同じ光景である。それでも、後半に差し掛かるころにようやくカンが戻ってきて、小気味いいジャストインパクトをくり出せるようになる。結果、入賞は逃したもののまずまずの成績でホールアウトでき、俺は「うん、上等上等。つぎだつぎ!」と気合を新たにしたのだった。

 そして深夜0時過ぎ。俺はかぐら山カントリー倶楽部を舞台にした、初級キャラ限定大会に参戦した。細かなレギュレーションは、OUT 9ホールのミラー、バックティだったと思う(あいまいでスミマセン……。メモってなかったもので)。参加者は27人で、俺はこれに、キャラはユウナ(愛着度MAX)、ギアはクラブ、ボールともにビッグエアーという装備で臨んだのだ。

 ところが、気合が空回りしてしまったのか、俺は序盤からジャストインパクトを外しまくった。致命的な“大外し”こそないものの、ティーショットもアプローチも、ことごとくウサギショット(タイミングが早い)かカメショット(タイミングが遅い)になってしまう。それでも、調子がよかったパッティングに助けられて、1番ホール、2番ホールともにバーディーで切り抜けることができた。

 そして3番のロングホール。俺はここで、ビッグエアーのパワーをフルに使って2オンに成功。5メートルほどのパットも見事に沈めてイーグルを奪う。でもここは、さほど難度の高いホールではないので、たくさんの人がイーグルを取っているに違いない。俺はそう確信しながらトーナメントボードに戻った。すると……!

「あ!! 俺がトップに立ってる!!」

 思わず、悲鳴に似た声が口を突いた。なんとそのホールでイーグルを取ったのは俺と下位にいた人のふたりしかおらず、この段階で大塚角満が単独トップに……! とたんに、チキンな我が手が震えだした(苦笑)。

 それでも、俺はミスなくバーディーを重ねていった。一度、6番のパー4で2オンに失敗し、「わああああ!! やっぱりミスった!! これで終わった!!!」と落胆したものの、なんとカラーからライジングショットを成功させてチップインバーディーをゲット。ポイントの上積みにも成功し、2位との差をさらに広げる。このころになると、HとS君も俺がコーフン状態になっていることに気付き、画面を覗き込むようになった。

「あああ、あとしゃんホール(3ホール)ミスなく終えれば、は、初優勝なんでしゅ」

 緊張のため回らなくなった舌を強引に動かし、俺はHとS君に説明した。さあ、あと3ホールだ!

 7番のパー3、8番のパー4ともに、俺は無難に乗り切った。1打差の2位に5人ほどがひしめいているが、最後のロングホールでイーグルが取れれば、ほぼ俺の優勝で間違いないだろう。イーグルじゃなくバーディーでも、途中のチップインの効果が大きいので、ポイント差で逃げ切れるはずだ。

「落ち着いていければ、初優勝できる!!」

 自分に言い聞かせるように、俺は大きな声でそう言った。

 そして運命のティーショット。安全にいくなら3ウッドがいいのだろうが、ここはやはりイーグル狙いでドライバーを持つ。

「ここでやっちゃいけないのは大外しだけ……。ウサギかカメだったらヨシとしよう……!」

 そんなことをつぶやきながら俺はアドレスに入り、やおらPS Vitaのボタンを押した。

 ところが、運命のインパクト……というところで俺はとんでもないことをしてしまう。我が家の居間に、40男の悲鳴がこだました。

わああああ!!! や、やっちまった!!! ジャストインパクトを1センチ以上外しちまったああああ!!!

 そう、この土壇場でイップスが炸裂し、ジャストインパクトを1.5センチほども外してボタンを押しちゃったのだ(苦笑)。放たれた打球は明らかに、あさっての方向にすっ飛んでいる。そして、もっとも恐れていたバンカーに……。

「バ、バンカーに落ちやがった…………。なんてこった…………」

 青い顔でつぶやく俺。すぐに「マジ!? なんでここで!w」、「ホントに心が弱いなあ!!ww」という、S君とHの非難がましい声が飛んできた。

 しかし、まだ終わっていない。ここはロングホールだ。イーグルはほぼ不可能になってしまったが、バーディーだったら十分に狙える余裕がある。

「あきらめるのはまだ早い!! バーディーだったら優勝の可能性がある!!」

 そう言って、俺は2打目、3打目を打ち、グリーンに乗せることに成功。ところがアプローチがうまくいかず、7.5メートルもの距離を残してしまう。しかも、ラインはかなり速い。でも、今日はいつになくパッティングが好調なのだ。この7.5メートルは決して簡単なラインではないけれど、今日の調子だったら入れられないものではない!

「よ、よし……。打つぞ……!」

 俺は慎重にラインを読み、絶妙な力加減でパッティングを行った。芝目に乗り、カップに吸い寄せられるように球が転がっていく。よし、いけ! そのままそのまま!! 俺に初優勝をさせてくれえええ!!! 神にも祈る気持ちで、俺は画面を凝視し続けた。しかし…………。

 クルン

 なんと、カップをかすめたボールはその周囲を舐めただけで飛び出し、バーディーは失敗に……。けっきょく俺は最終ホールをパーで終えてしまう。結果、8番ホールまで1打差の1位に立っていた俺はものの見事に陥落し、最終成績は6位(苦笑)。準優勝すらできず、ギリギリで入賞だけを手にして帰路につくことになった。

「もー!w なにやってんのよ……w ホント、あんたってそういうところ弱いよねえ」

 呆れにも似たHの声を遠くに聞きながら、俺は静かにこういった。

「もう、寝る…………」

 つぎは絶対に優勝してやるぞコンニャローーーーー!!

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■書籍名
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投稿者 大塚角満 : 13:44

【ダークソウル】第76回 効かないミサイル

 エレーミアス絵画世界は、ここ2回の日記で綴った3大バカタレザコの印象が非常に強いが、ほかにも書いておきたいことがある。それは後半の道を塞いでいる“ドラゴンゾンビ”と、このエリアのボス“半竜プリシラ”のこと−−。

 エレーミアス絵画世界をひと通り見て回り、なんとなくの感覚で(ぼちぼちこのエリアの終わりに近づいているかも……)と思い始めたころ、そいつは俺の前に立ちはだかった。

 最初、その橋の上には何もいなかった。しかし、ところどころにこれ見よがしなアイテムが転がっていたので、「アイテムに目がくらんで橋に侵入すると、おかしなモノが現れるのだろう」と直感する。俺はその予想を、画面を見ていたHとS君に言ってみた。

「コレさ、あのアイテムに駆け寄ると、ヘンなもんが出てきて攻撃してくるんでしょ? わかってるんだよこっちは。それくらいのことはさー」

 この発言を不思議そうな顔で聞いていたH。「コホン」と1発咳払いをしてから低い声を出した。

「……まあそうだったとして、どうするん? アイテム取らないの?? 先に進まないの???」

 俺、ヒドくビックリして、いつもより3オクターブくらい高い声でふたりに言う。

「た、確かに……。そんな予測をしたところで、俺には進むしか道がないんだった……」

 そしてさめざめと涙を流しながら、鼻水で籠ってしまった声を出す。

お、俺が悪かった……>< 知ったかぶりなことを言ってスマンかった……;_;」

 そんな芝居がかったやり取りをしてから、俺はその橋を渡り始めた。

 すると数秒後、思っていた通りの出来事が起こる。どこぞからやたらとデカい物体が飛来したかと思ったら、それが橋の上に軟着陸。そして俺の姿を見つけるや、

 エロエロエロエロエロ〜〜〜……

 と、大量のゲロ……じゃなかった、毒の液体を吐き出しやがったのだ。なんだこの量は。とんでもないメガトンリバースをしやがって!!

 この、バーボンを飲み過ぎた後の俺の親戚のおっさんのようなことをしやがったのは、ひさびさに見るドラゴンゾンビ。飛竜の谷以来、2回目の遭遇である。

「肉弾問題、リターンズwwwww」

 ニヤニヤしながらHが言った。

 さてしかし、ホントにこいつはどうしたもんだ。ドラゴンゾンビは、外敵の気配を察知すると前述の広範囲な毒液を吐いてくるし、よしんば懐に入れたとしても今度は腕を振り回して攻撃してくる。要するに、肉弾キャラの“天敵”のような存在なのだ。飛竜の谷にいたドラゴンゾンビにはけっきょく手も足も出ず、俺は泣く泣く弓矢を手に取ってプチュンプチュンと木の矢を発射。それでもドラゴンゾンビの無尽蔵の体力は一向に減らず、俺は店に取って返してありったけの矢を買い、それをすべて撃ち尽くしてようやく退けることに成功したのである。

 じゃあ今回はどうするのか? あのころに比べたら武器も防具も見違えるほど強くなっているが、ドラゴンゾンビに肉弾戦を挑めるほどにはなっていないと思われる。ていうかそもそも、あの毒ゲロを踏んで毒状態にされてしまったら、毒紫の苔玉も花苔玉も持っていないいまでは致命傷になりかねないではないか。となればやはり今回も、矢に頼る以外に方法はない。俺はカチャカチャとコントローラを操作して装備画面を開き、手持ちの弓と矢を確認した。するとそこで、“ステキなブツ”が光っているのを発見する。

・竜狩りの大弓
・竜狩りの大矢

 こ、これは……!! アノール・ロンドで銀騎士がドロップした、ミサイルのような弓矢ではないか!!! こ、こいつがあればどうにかなるぞ!! 俺は嬉々として大弓と大矢を装備し、得意満面の笑顔でHとS君に言った。

「竜狩りの大弓は、俺のような脳筋キャラにこそふさわしい! こいつをバッチュンバッチュンッと発射して、あの酔っ払いのようなドラゴンゾンビを討伐してくりょう〜〜〜!!」

 これを聞いたS君は「おおっ!! それはいいね!!」と全面的な賛同を示したあと、「ついでに」といった感じでこんな言葉を続けた。

「で、大矢は何本持ってるの??」

 俺、チラリと画面を確認してから、フニャラ声で答える。

「えっとね、6本だね」

 これを聞いたS君、ナゼか5秒ほど (・_・; ←こんな顔になったあと、(^_^;; ←このような困り笑いとなってつぎのように言った。

「あの……w まったく足りないと思う……^^;;;」

 えええ?? マジで??? でもやってみなきゃわからないよね!?

 ってなことで竜狩りの大弓を構え、「いけええええ!!!」という気合もろとも大矢を発射した。その手応えはすさまじく、矢と言うよりはミサイルをぶっ放したかのような衝撃を感じる。大矢は胴体を軸にした錐もみ回転をしながら、緩い放物線を描いてドラゴンゾンビに。この威力なら、あの巨体がのけ反るに違いないぞ!

 ところが。

 シーーーーーーーン

 あ、あの……。ドラゴンゾンビの体力、あんま減らないんですけど……。

 確かに、木の矢あたりと比べたら威力は段違いなのだが、ドラゴンゾンビの体力がありすぎて、1ミリも効いているようには見えないのである。思わず、太平洋にストローを突っ込んで、海水を全部飲み干そうとする哀れな自分の姿が思い浮かんだ。

 俺はあっという間に竜狩りの大矢を撃ち尽くし、いくばくかの木の矢も瞬時に消費して、残る手立ては肉弾戦のみとなってしまう。途中、「そうだ! “糞団子”をぶつけて猛毒にしてやる!」と思い立って接近を試みるも、すぐに毒ゲロを引っ掛けられてこっちが毒状態に……。ミイラ取りがミイラになるとはこのことだ(意味が違う)。

 そして、万策尽き果てた俺はヤケッパチになり、「うわああああああ!!!」と泣きながらドラゴンゾンビに特攻。(どうせ瞬殺されるんだ><)と内心やさぐれていたものの、取り付いた右腕付近は毒ゲロが当たらず、攻撃もあまりしてこなかったので、思いがけずスムーズに肉弾戦を挑むことができた。結果、思っていた以上にすんなりとドラゴンゾンビの撃破に成功。

「目を血走らせて矢を撃っていた俺は、なんだったんだ……」

 そんなことを思いながらも、先に進んだのだった。

 長くなったので、プリシラのことは次回に〜。

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投稿者 大塚角満 : 19:01

【みんGOL 6】第1回? チャレンジモードクリアー!

 プレイ日記……にまで発展するかどうかわかりませんが、ちょっと書きたいことがあるのでキーボードを引っ叩いてみます。

 この年末年始、もっとも時間を割いて遊んでいたのは、何を隠そうPS Vitaの『みんなのGOLF 6』『ダーク クエスト アライアンス』でありました。

 とくに、『みんGOL6』のほうは数年ぶりに焼けぼっくいに火の状態になってしまい、アホのように遊びまくっておったよ。帰省の電車の中でも『みんGOL』、晩酌のツマミに『みんGOL』、風呂にも持ち込んで『みんGOL』(マネしないように)、もちろんトイレでも『みんGOL』……。かつて、プレイステーション2用の『みんなのGOLF オンライン』に数千時間を捧げたときと同じように、ヒマさえあればゲーム機の電源を入れて画面に没頭している自分がいた。まだオフラインの“チャレンジモード”がメインだけど、ちょっとずつうまくなっているのを実感しながらの黙々プレイは、地味に楽しいことなのでありますよ。

 それにしても『みんGOL 6』は、歯応えがハンパない。ドライバーのショットは問答無用でジャストインパクトゲージが1ドットだし、ブレも大きい気がする。コースもひと筋縄ではいかないところが多いので、スコアメイクにはかな〜り苦しんでおります。まあぶっちゃけ、もともと大してうまくないからな俺は。

 それでもめげずにコツコツと遊び続けたおかげで、うれしいことに昨日、チャレンジモードをすべてクリアーした。★だけじゃなく、王冠も全部ゲット! いやあ長い道のりだった……。


↑PS Vitaのスクリーンショット機能で撮影した写真っす。

 王冠を手に入れるには、その大会ごとに設定された特殊条件をクリアーする必要がある。“バーディーを3回連続で出せ”とか“ボギーなしで”なんていう簡単なものから、“ライジングショットを出せ”、“10メートル以上のパット(パー以上)を決めろ”といった、おまえちょっとエエかげんにせいよと言いたくなるチャレンジも用意されているのでマゾな俺は悶えまくりです。

 とくに俺が苦労したのが“ジャストインパクト率50パーセント以上で優勝しろ”ってのとラ・プロヴァンスリゾートのOUT9ホールを舞台にした“パーオン率100パーセントで優勝しろ”ってやつ……。俺は『みんGOLオンライン』の時代からジャストインパクト率が極端に低い(つまりヘタってこと)ので、このふたつの条件を見た瞬間から「苦労するだろうな……」と思っちゃいたが、実際に失敗しまくって最後まで残すハメになりました。ジャストインパクト率50パーセントはとくにヒドくて、まあ難儀したこと……。たとえば、こんな感じに。

 そのときはいつになくインパクトの調子がよく、「これだったらクリアーできる!」とウハウハしながらプレイを続けていた。使っていたキャラは、上級のシャオリン。ドライバーショットがキマったときに見せる投げキッスのポーズが大好きで(腰下の仕草が色っぽい)、それ見たさの色欲パワーでジャストインパクトを積み上げていったのだ。そしてホールアウトするころには「確実に50パーは越えた。もしかしたら、70近いかもしれない!」なんていう確信を抱く。さあいくつだ! 王冠をもらえることは間違いないから、あとはどこまで記録を伸ばせているかだ! そして見た結果画面には……。

 ジャストインパクト……33パーセント

 オイちょっと待てや……。「70パーいったかも」と思っていた俺の気持ちをどうしてくれる!!(どうもしない)

 こんなことをくり返していたため、なかなかクリアーできなかったのである。

 ちなみに、現在の俺のジャストインパクト率(総合)は、なんとわずか36.2パーセント(苦笑)。神が憑依したときには70パーセントを越えることもあるが、基本的に30パーセント前後をウロウロしている。これでは、スコアが伸びるわけもない。

 こんな体たらくだが、それでも毎日楽しくラウンドしている。最近はオンラインにも手を出し始めて、空いた時間を見つけてはリアル大会に参加するようにもなった。これを読んでくれている皆さんといっしょの大会に出ることも多々あると思いますが、そのときはどうぞよろしくお願いします。

 あと、これはお知らせになるけど、1月1日から始まったNTTドコモ主催のデイリー全国大会“ドコモダケカップ”に、ファミ通レンジャ部隊(ファミ通の『みんGOL』好きが集まって勝手に名乗っているグループ。詳しくはこのへんの記事を読んであげてください)が協力させてもらっている。大会のレギュレーションを我々が設定させてもらっているので、『みんGOL 6』のプレイヤーの方々はぜひぜひ楽しんでくださいね。ちなみに、第2回大会が1月15日に迫っているので、その告知をさせてもらおう。

【コース】
・メープルリーフゴルフクラブ
【ホール】
・OUT 9ホール
【ティ】
・レギュラーティ
【特殊ルール】
・初級キャラ限定
・デカカップ

 奮ってご参加を!!

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投稿者 大塚角満 : 15:26

【ダークソウル】第75回 襲来!! グルグル骸骨!

 俺がアノール・ロンドのボス、処刑者スモウと竜狩りオーンスタインに苦しんでいたとき(詳細は拙著『折れてたまるか!』でぜひ)、その様子を沈痛の面持ちで眺めていたS君とHがつぎのように言ったことがある。

「がんばって! この先にはもっとヤバい敵もいるんだから! “グルグル骸骨”っていう……ね」(S君)

「S君、ホントにグルグル骸骨に苦労してたよねww 何度死んだ場面を見たことか……w」(H)

 オ、オーンスタインよりもヤバい敵!!? そそそ、そんな悪魔を超える大悪魔(頭悪い表現だな……)を作ることなんてできるのか!!?

 ……てなことを思いはしたが、そのころは後に出てくるであろう敵のことなど、深く考えている余裕はなかった。100回以上も跳ね返されているアノール・ロンドのボスをどう攻略するのか、そのことにしか脳ミソのエネルギーを割きたくなかったのだ。

 それから幾星霜(1週間くらいだけど)。俺はエレーミアス絵画世界にやってきた。昨日の日記で書いた、ガラパゴス的に特殊進化したバカタレザコどもに辟易しながらも、俺は1歩1歩前に進む。何度も何度も死に、数え切れぬほど心が折れそうになったが、まだ見ぬ世界を旅している高揚感に押されて、俺の歩みは止まらなかった。

 そして気が付くと、俺はいかにも怪しげな古井戸の前に立っていた。どうやらここから、地下のエリアに入っていけるらしい。よーし、さっそく入ってみるか。俺は古井戸に近付いた。

 しかしここで、HとS君が「ガタッ」と身を乗り出した。そして意味ありげに顔を見合わせ、口々にこんなことをのたまったではないか。

「気を付けて……w」とS君。

「来るよw」とH。

 どうやらこの井戸の中で、ヤバい生き物が待ち構えているらしい。

 しかし聖騎士たるもの、その先に猛毒を持ったゴリラがいようがサイボーグになったスタン・ハンセンがいようが、前に進まなければならない。俺は若干身構えながら、静かに井戸の底に降りていった。

 そして井戸の底に降りて間もなく、俺はHとS君が言ったことの意味を理解する。いきなり、“そいつ”が現れたから。

 ギャルルルルルルルルルッッ!!!!!

 ふいに、猛烈な勢いで回転する車輪のようなものが現れたかと思ったら、そいつが我が分身に直撃! ガードする間もなく、初弾を当てられてしまう。

「あッッ!!!」っと鋭く叫ぶ俺。

「キターーー!!ww」と大きな声を出すHとS君。その顔と口調は、なぜかうれしそうである。

 しかもこの敵の攻撃、1回受けただけでは収まらなかった。なんと回転する車輪は止まってくれず、攻撃が多段ヒットになってしまうのである。

 ガガガガガガガッ!!!!

 車輪が当たるたびに、恐ろしい勢いで我が分身の体力が減ってゆく。俺は「ひぃぃぃぃ!! なんだコイツ!!」と悲鳴を上げて、真横に前転して車輪の回転をやり過ごした。俺というつっかえ棒がなくなったからだろう、車輪はバカみたいな勢いで遥か彼方に転がって行く。その様子を呆然と眺めてから、俺はナゼか「あはははは!!」と笑い転げているHとS君を問い詰めた。

「ちょっと……。なんだよあの敵は! もうちょっとで死ぬところだったぞ!」

 腹を抱えながら、Hが応じる。

「だから“来るよ”って言ったじゃんww あれが悪名高き“グルグル骸骨”だよw S君がさんざん殺られたw」

 言われたS君は笑いを引っ込め、忌々しそうな表情を作ってからつぎのように言った。

「ホントにあいつは最悪だよ……。俺に言わせたら、ヤツこそが『ダークソウル』でナンバーワンのトラウマモンスターさ……」

 じつは実際に見るまで、俺は“グルグル骸骨=ボスキャラ”だと思っていた。巨大な骸骨がフィギュアスケートの選手のようにグルグル回りながら接近してきて、トリプルアクセルばりのジャンプ攻撃を仕掛けてくる姿を想像していたのである(苦笑)。その想像と比べると、本物のグルグル骸骨のスケール感はかなり小さいと言わざるを得なかったが、S君に言わせると「そこにこそ問題があるんだよ!」となる。

「グルグル骸骨のもっともイヤな点が、ヤツが“ザコ”であることなんだよ……。ザコだからそこらじゅうにいるし、複数で寄ってたかって転がってきたりもする……。もうちょっと先に進めば、ヒデ君も身に染みると思うよ」

 どこかそうなることを期待しているかのようなS君の言葉に押されて、俺は前に進んだ。しっかりと盾を構えて。するとまもなく、新手のグルグル骸骨が転がってくる。俺、盾を突き出してグルグル骸骨の初弾を受け止めた。その様子を見て、S君がうれしそうな声を上げる。

盾じゃ無理なんだよねーーーw 俺もガードしようと思ったけど、削られて削られて……」

 S君の言う通り、多段ヒットを受け止めるたびに我が分身のスタミナは目減りしていった。しかし思っていたほどではなく、じきにグルグル骸骨のほうが目が回ったのか回転を止めて無防備になる。俺はそれを見逃さず、黒騎士の斧槍で一撃、二撃……。難なく、グルグル骸骨の討伐に成功した。それを見て、なぜかS君が激昂する。

はあ!!? なんでそれしか削られないの!!? 俺は盾を弾き飛ばされて、さんざん轢き殺されたのに!!!! 納得いかない!! 何やってんだグルグル骸骨!!!!

 あの……。なんか思いっきりグルグル骸骨のほうを応援してますけど……?w S君の言葉に続けて、Hもこんなことを言った。

「わかった!! 盾だ!! この山賊、盾を思いっきり鍛えてるから、グルグル骸骨の攻撃を受け切れるのよ!!! 出たわ脳筋……w

 なんで俺は非難されているんでしょうか……?w

 次回に続く。

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 12月22日に無事、『折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜』が発売となりました!! 出足も好調のようで、うれしい限りです。何度もお知らせしてきましたが、本書にはここで公開したエッセイにプラスして、約40ページに及ぶ書き下ろしプレイ日記“アノール・ロンド編”、ブンブン丸による攻略コラム、イラストレーター酔coさんの『ダークソウル』プレイマンガと、本書でしか見られないコンテンツが盛りだくさん! しかも今回はオールカラーの264ページと超豪華仕様になっています!(価格が1260円[税込]と高めなのは、その影響なのです!><) ぜひぜひ手に取ってみてくださいね!

■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。

投稿者 大塚角満 : 15:35

【ダークソウル】第74回 絵画世界のバカタレども

 エレーミアス絵画世界はほかのエリアとはちょっと趣が異なる、ここだけで完結された“箱庭”のようだった。出てくる敵も、外界と遮断された中で独自進化した見慣れない種が多く、そのたたずまいはガラパゴスやマダガスカルを思わせるものがある。しかもどいつもこいつも、噴飯のあまり思わずエビ反りしてエクソシスト歩きをしてしまうほど、シャレにならない攻撃を仕掛けてくるのでたまったものではない。いったい俺は何度、ここにいるザコどもに煮え湯を飲まされたことだろう……。

 そこで今回は、エレーミアス絵画世界で出会う“3大バカタレザコ”を紹介したい。

●絵画世界バカタレファイル1:鬱血亡者

 最初の篝火を出て建物の階段を上って行くと、やたらと顔の部分が腫れ上がった亡者に出会う。こいつが、悪名高き“鬱血亡者”。名前から判断するに、あの腫れ上がった肉塊のような顔には、大量の血が停滞しているのだろう。

 この鬱血亡者には“素手”と“たいまつ”の2タイプがおり、どちらもひと筋縄ではいかない実力を秘めている。とくにやっかいなのが、素手タイプが放ってくる高速の火球だ。鬱血亡者とプレイヤーが直線で並んだとみるや、猛烈な勢いで投げつけてくる。まともに食らったら、それなりの防具を身に着けていても大ダメージは免れないだろう。

 まあでも、こういった遠距離攻撃は、慣れてしまえばわりと容易く避けられるものではある。敵の背後に回り込んだりすれば当たらないわけだしね。手慣れたプレイヤーはそうやって鬱血亡者の懐に飛び込み、「オラオラ。火ぃ吐いてみろ。やってみろコラ!」とドヤ顔で剣を振り上げるわけだが、じつはこの敵の真の恐怖は、攻撃を当てた後にこそある。

 剣を突き立てられた鬱血亡者の肉塊部分からは、おびただしい量の鮮血がほとばしる。それはもう、ひどい勢いで……。噴水のように噴き出た血は四方八方に飛び散り、間近にいるプレイヤーキャラにもバシャバシャと引っ掛かるわけだが、じつはその瞬間から、目も当てられない恐ろしいことが起こる。

 ギューーーーーンッ!!

 画面中央にいきなり小さなグラフが表示されたかと思ったら、瞬時にそれは満タンに。と同時に、ちょっと看過できない勢いで、オノレの体力が減っていくことに気付く。ここで男(俺のことだが)は自分の身に起きた不幸に気付き、ノドも裂けよと絶叫するのだ。

も、猛毒キターーーーーーッ!! あの血、猛毒なのかよッ!!!!」

 そう、鬱血亡者から飛び散る血には、猛毒の効果があるのである。かかったことがある人はわかると思うが、猛毒の破壊力は本当に凄まじい。すぐに特効薬である“毒紫の花苔玉”を飲まないと命にかかわるほどだ。しかしこういうときに限って毒紫の花苔玉のストックはひとつもなく、しかもエレーミアス絵画世界は一度入ったらクリアーするまで出ることができないので、お店に買いに行くことも叶わない。けっきょく、鬱血亡者に猛毒にされたらエスト瓶をガブ飲みするか篝火に戻るしかなく、残念なことにかな〜り頻繁にこの状態にされてしまうので、なかなか篝火周辺から脱出できないのでありました。

●絵画世界バカタレファイル1:ベルカの鴉人

 我が家では“黒ハーピー”と呼ばれている、不気味なオーラをまとった有翼の巨人。正式名称は“ベルカの鴉人”という。

『ダークソウル』には忌まわしい見た目をした敵が数多く登場するが、その中でもとくに、心の奥底にある“恐怖を感じる細胞”がザワつかされるような、一種独特な嫌悪感を感じさせるのがこの敵である。見た目だけで言ったら、俺はこのベルカの鴉人がいちばん怖い。黒い翼がなければ9頭身くらいの美女(男かもしれんが)に見えなくもないが、怖いと言ったら怖い。

 しかもこいつ、見かけ倒しのハリボテではない。体力、攻撃力ともにハンパなく、攻撃回数も多いので、それだけで十分すぎるほどの脅威。しかも、鳴き声を合図に邪悪(かどうか知らんが)な翼を広げてプレイヤーに跳び付き、ほぼ即死の吸引(?)攻撃をしてくるというとんでもないオマケも付いている。エレーミアス絵画世界の後半に、ベルカの鴉人が複数で襲い掛かってくるところがあるのだが、ここはアイテムやソウルを欲しがらずに全力で駆け抜けてしまいたい。それくらい恐ろしい敵だ。

 ……まあ恐ろしいことがわかっていても、そこにアイテムが落ちていたら取りにいってしまうんだけど……。

●絵画世界バカタレファイル3:車輪スケルトン

 我が家のS君をして「『ダークソウル』でもっとも手こずった、二度と見たくない敵」と言わしめる強豪。通称“グルグル骸骨”。でも長くなったのでコイツについては、稿を改めて紹介したいと思う。

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 12月22日に無事、『折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜』が発売となりました!! 出足も好調のようで、うれしい限りです。何度もお知らせしてきましたが、本書にはここで公開したエッセイにプラスして、約40ページに及ぶ書き下ろしプレイ日記“アノール・ロンド編”、ブンブン丸による攻略コラム、イラストレーター酔coさんの『ダークソウル』プレイマンガと、本書でしか見られないコンテンツが盛りだくさん! しかも今回はオールカラーの264ページと超豪華仕様になっています!(価格が1260円[税込]と高めなのは、その影響なのです!><) ぜひぜひ手に取ってみてくださいね!

■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。


投稿者 大塚角満 : 14:53

【ダークソウル】第73回目 ジェスチャーで、「サヨナラ」

 エレーミアス絵画世界からは簡単に脱出することができない……ということを身を持って知った俺は(→参考記事)、まず最初に人間性を消費して篝火の強化を行った。「エスト瓶を5個しか持たずにこの世界をクリアーすることなど、俺には到底無理」と判断したためだ。

 さてさて、ひさしぶりの生者プレイである。全世界の暗殺者(他のプレイヤーね)が俺の世界に侵入してくる可能性がある、ノーガードの状態だ。俺はこの“対人プレイ”ってヤツがとことん苦手で、たまにやってくる無法者どもに殺されてばかりいる。通算成績は、2勝20敗くらいではなかろうか(苦笑)。勝率、じつに0.9パーセント。打率にすると、わずか9分。これは、10回勝つまでに110回も負けてしまうという信じられない数字である。生者になった俺が「早くこの世とオサラバしたい!><」と死に急ぐのも、やむを得ないと思うでしょ。

 それでも人間の性か、せっかく生を受けたのだからなるべく長生きはしてみたい……とこんな俺でも思う。

「いますぐ亡者になってしまいたい! ……でも死にたくない><」

 そんな矛盾した気持ちを内包したまま、俺は篝火を飛び出した。

 ところが数秒後、画面に恐れていたメッセージが表示される。

「闇霊“×××”に侵入されました」

 さっそくキターーーーーーッ!!! もう、なんで俺んトコに来るんだよ!! ほかにいくらでも、対人戦メインで遊んでるユーザーがいるべさ!! ひとりで黙々と遊べれば大満足の俺の世界に、入ってくるんじゃねええええ!!!

 しかし、いくらわめいてももう遅い。侵入されたからには、それ相応の対応をしなければならないのだ。打率9分の俺ではあるが、もちろんやすやすと命を捧げるつもりなどない。幸い、篝火に触ったばかりなのでエスト瓶は満タンだ。侵入者はエスト瓶を使えないので、これは相当なアドバンテージと言える。……って、毎回同じような状況にありながら、打率9分止まりなんだけどな……。しかし、今回は気合が違うぞ。この美しい絵画世界において、ひさしぶりの“対人戦勝利”を収めてやる!!

「侵入してきた無頼の徒に、目にモノを見せてやるっ!!!」

 HとS君に、力強く宣言した。

 そしてほどなく、俺は遠くから走ってくる赤黒い闇霊を発見する。当初、どこかに隠れて背後から忍び寄り、必殺のバックスタブでもかましてやろうと思ったのだが、エレーミアス絵画世界に来てまもないころだったので土地勘がなく、不意打ちはあきらめることにする。となれば、真正面から迎え撃つしかない。俺は「うおおおお!! やってやるぜ!!!」という雄叫びもろとも、闇霊に近付いた。

 しかし、闇霊の姿をはっきりと視認できるところまで来たとき、妙なことに気が付く。なんとその闇霊、防具をいっさい身に着けていない裸状態で、手にみすぼらしい槍を持っているだけだったのだ。そして対峙するなり、丁寧に「ペコリ」とお辞儀をする。どうやら良き教育を受けた、礼儀正しい暗殺者(そんなのいるのか?)のようだ。俺、当然のように面食らう。

「や、闇霊がお辞儀しやがった! おおお、俺はどうすりゃいいんだ!!」

 狼狽する俺に向かって、S君が冷静な声で「とりあえず挨拶を返そう」と言うので、慌ててジェスチャーの中からお辞儀を選ぶ。すると闇霊さん(もう呼び捨てになどできぬ)は満足したのか、続けて“エイエイオー”のジェスチャーをくり出してきた! 俺、「あわわわわ……」と言いながらジェスチャーを選び、「え、えいえいおー!」と口に出して言う。「あんたら、何やってんのw」とHが笑ったのが聞こえた。

 その後、俺と闇霊さんは、競うようにジェスチャーをくり出しまくった。お互いに攻撃は一度も出さず、ただ無言で向き合って篝火のまわりで不気味なダンスを踊っているのである。丸っきり、どこぞの民族の宗教的な儀式だ。

 しかしもう、くり出せる新しいジェスチャーはほとんどない。相手も俺と同じくらいのレベルだろうから、やれることも変わりないはずだ。もしもネタが尽きたら、どういうことになるのだろうか……? 平和なダンスパーティーは終わりを告げ、血の惨劇がスタートするのか……?? そ、そんなのイヤだ! 俺はいつまでもこうして、闇霊さんと踊っていたいんだよ!!><

 そんな俺の心の声が届いたのか、闇霊さんはジェスチャーを止めた。そして、無言で佇んでいる。

「な、何を考えているんだろう……?」

 固唾を飲んで、闇霊さんの動きを見守る俺たち。すると5秒後、闇霊さんは“手招き”のジェスチャーをしてからクルリと方向転換し、そのままパタパタと走り出したではないか。手招きは、「ついてこい」という意味か……? でも、闇霊さんが向かった先にあるのは……! 俺は慌てて「行ってみよう!」とHとS君に言い、闇霊さんの後を追って走り出した。

 行ってみると思った通り、闇霊さんは壊れた吊り橋の上に立っていた。俺が前回の日記で書いた、落下死をした吊り橋である。ま、まさかこの上で、ガチンコの斬り合いをしようってのか……? 若干身構える俺。しかし闇霊さんに攻撃の気配はなく、それどころか会ったときと同じように、「ペコリ」と丁寧なお辞儀をしたではないか。

「え……? ま、まさか……」

 衝撃の予感に突き動かされて、吊り橋の上で走り出した俺。しかしそれよりも早く闇霊さんは手を振るジェスチャーをし、なんとそのまま吊り橋から落ちてしまったではないか!!

「ああああ!!! な、なんで!!!??」

 あまりにも突然の出来事に、呆然と立ち尽くしてしまった俺。なんの意味もないやり取りだったが、この殺伐とした世界で初めて血の通った人とコミュニケーションができた気がして、心がちょっぴり温かくなってたのに……。

「たまにいるんだよね、ああいう人。やたらと強い武器を落として、そのまま消えていったりとか……。なのでときたま、対人プレイをしたくなるんだよねー」

 S君の言葉に、俺は小さくうなずいた。いままで、怖さばかり先に立って対人プレイをしてこなかったけど、ここには独特のユーモアと温かさもあるらしい。

 ちょっと対人プレイに心が動いた、ある日の小さな出来事。

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■書籍名
折れてたまるか! 〜『DARK SOULS』プレイ日記〜
■発売日
発売中
■価格
1260円[税込]
■ページ数
オールカラー 264ページ


▲『折れてたまるか!』のオビ付きカバー。

 

投稿者 大塚角満 : 16:37

【ダークソウル】第72回 絵画世界への招待

 黒い森の庭でシフを倒した俺を待っていたのは、思いもよらない“自由”だった。強制的に“つぎは○○に行かねばならない”という縛りがなくなり、どこに行くのも、何をするのも“気の向くまま”となったのだ。ま、『ダークソウル』は全編を通じて、そういう空気に満ちているゲームなんだけどね。

 とは言え、ここまで来た俺に残されている選択肢はそれほど多くない。俺は、私設ナビゲーターのS君に助言を求めた。

「つぎに行けるのは、小ロンド遺跡、地下墓地、デーモン遺跡、混沌の廃都イザリス……ってところかね? どこに行こうかな」

 S君は軽くうなずいて「うーん、どこでもいいと思うけど……」と言ったあと、何かを思い出した顔つきをしてつぎのように発言した。

「そういえば、あそこ行ってないよね? アノール・ロンドの中から行ける“絵画世界”に」

 俺は小さく「あっ」と言った。アノール・ロンドをウロウロしていたときに、スタイリッシュな装いをした“絵画守り”という敵がうじゃうじゃいる大ホールにぶつかり、そこに掲げられている巨大な絵に干渉できることを知ったのだ。アノール・ロンドにはいい思い出がないので(単行本『折れてたまるか!』参照)近寄らずにいたが、息抜きがてらそこに行くのも悪くない気がした。

「うん、いいかも! よーし、さっそく行ってみるかな!」

 言うが早いか、俺はアノール・ロンドに向けて歩きだした。

 ちなみに、ものすごくどうでもいいことだが、俺はかっちょいい固有名詞が無数に登場する『ダークソウル』の中でも、この“エレーミアス絵画世界”という言葉がいちばん好きだ。とくに“絵画世界”の幻想的な響きが持つ神秘性にものすごく惹かれてしまって、初めてこの世界に降り立ったときには鳥肌が収まらなかった。雪に覆われた抒情的な景色が神秘性に拍車をかけてもくれたので、一瞬「ここはいっさい敵が出ない、平和なステージなのではなかろうか」と思ってしまったくらいである。

 しかし俺はここで、いきなりとんでもないミスを犯してしまう。たぶん、この世界に来た人の5人にひとりは同じことをやっちまったと思うので、代表して恥をさらしたい。

 エレーミアス絵画世界に入ると、プレイヤーキャラはいかにも危なっかしい吊り橋の上に降り立つ。しかしここで、俺は手持ちのソウルが30000以上あることに気付き、とたんにビビッてこんな発言をしたのだ。

「げ。ソウルが30000以上もあった。こりゃマズい。あんまレベルアップもしたくないから、どっかの鍛冶屋に行って武具を強めてしまおう」

 言うやいなや俺はクルリと振り向き、吊り橋の上を進行方向とは逆に向けて走り出した。それを見たS君とHが「あっ!!」と言ったが、時すでに遅し。吊り橋の切れ目から足を踏み外した俺は、谷底に向けて真っ逆さま……。そしてもちろん「YOU DIED」……。

「わああああああ!!! ちんだああああああ!!!!」

 声の限りに俺は叫んだ。来た道を引き返しただけのつもりだったのに、なんで転落死すんの!!? まったく納得できず、血が出るほど目を見開いている俺に向かって、Hが笑いながら言った。

また落ちてるし……www ていうか絵画世界は、基本的に一度入ったらクリアーするまで出られないはずだよww いまは篝火に触る前に死んだから、アノール・ロンドに戻ると思うけどwww」

 ……マジかよ!!! そそそ、そういうことは先に言ってくれ!!!!

 ……ね、みんなコレ、同じことやったでしょ(願望)。

 けっきょく俺は、不慮の事故(不注意なだけだが)で置いてきてしまった30000ソウルを回収するために、再び無策で絵画世界に入っていった。

 短いけど、キリがいいので今日はここまで〜。

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■ページ数
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投稿者 大塚角満 : 16:17

【ダークソウル】第71回 灰色の大狼シフ

 新年、明けましておめでとうございます! 本年も当ブログをよろしくお願いいたしますー。

 さて、今年もシツコク『ダークソウル』プレイ日記を綴ろう。できれば、エンディングまで……。なので若干、スピードアップを図りたい。

 黒い森の庭での最大の出来事は、何を置いても“灰色の大狼シフ”との一戦だろう。シフ戦を振り返って頭に浮かぶのは、“強い”とか“心が折れた”と言った『ダークソウル』の“頻出語”ではなく、“深い悲しみ”とヒリヒリとした“心の痛み”である。俺の百数十時間に及ぶ『ダークソウル』行脚の中で、もっとも剣が鈍った戦い……。それがこのシフ戦なのだ。

 しかし当然のことながら、事前情報をほとんど持たない俺は、黒い森の庭の最深部で待ち構えているものの正体を知らなかった。きっとまた、貪食デーモンや爛れ続けるもののような、剣を振るうことに1ミリの躊躇いも起こらない、異形の存在が待っているに違いない。俺は若干緊張しながらも、気合のマグマをたぎらせながら光の入り口に入っていった。

 光の入り口の先は、だだっ広い広場になっていた。敵と思しき生き物は何もおらず、そこには無数の墓標のようなものと、大きなお墓があるだけである。見ると、墓石のまわりにはたくさんのメッセージが書かれていて、ひどく興味をそそる。俺はさっそくそのひとつに近付いて、○ボタンを押してみた。すると。

「悲しみ」

 ひと言、そう書かれているだけだった。「え?」と思って別のメッセージも見てみたが、それもまた「悲しみ」である。な、なんなんだこのメッセージは……。いったいこれから、どんなことが起ころうとしているんだ……? そのとき、テレビの前にやってきたHが画面を見るなり「ああ……。ここに来ちゃったんだ……」とつぶやいたのが聞こえた。ますます俺は、わけがわからなくなった。

 しかし、ボーッと突っ立っているだけでは何事も起こらなそうだったので、俺はこの空間で唯一意味がありそうに見えた大きな墓石に接近した。するとすぐに、画面がムービーに切り替わる。どうやらボス戦が始まったようだ。

 画面に現れたのは、大きな大きな狼だった。ちょっと驚いてしまうほど、“ふつうの”狼だった。異形のものが跋扈するロードランにおいて、これほどナチュラルな姿をした生き物は返って異質に見えてしまう。それくらい、シフは奇をてらわない姿をしていたのだ。ふさふさに生えた体毛はどこまでもやわらかそうで、風に打たれてたなびいている。小さな青い目は明らかな“意志”と“知性”を示しており、大きな体躯からは体温の迸りすら感じさせた。現実世界にいても何ら違和感のない、生き物としての完璧なルックス。ただ1点を除いては……。

 俺は美しいシフの姿に見惚れながらも、小さな悲鳴をあげた。

「あ、あの狼、デッカい剣をくわえてる……」

 シフに見られた唯一の異質な点は、口にくわえられた大剣だった。その剣と鋭い双眸は、明らかに俺に向けられている。侵入者に対する敵意を雄弁に物語る、武器と視線ではないか。

 ムービーが終わると、すぐに戦闘に入ってしまった。ここに踏み込んでしまった俺には、戦う以外の選択肢はないらしい。俺はやむを得ずシフに近付き、黒騎士の斧槍をズバンと振り下ろした。

 ブシュウッ!!

 シフの身体から、鮮血がほとばしる。それを嫌がったのか、シフは軽いフットワークで俺から距離を取り、体勢を立て直そうとした。どうやらこいつは遠距離攻撃を持っていないようで、ひたすら肉弾戦で挑んでくるようだ。となれば、脳筋キャラの俺の土俵である。再度斧槍を構えた山賊は一気にシフとの距離を縮め、その懐に飛び込んでズバズバと武器を振り回し始めた。おもしろいように、シフの体力が削れてゆく。このまま決着をつけられそうだ。

 ところが。

 もうちょっとで倒せる……と思ったそのとき、思いもよらない援軍が現れて、シフを護ろうとした。

「ちょっと!! やめなよ!! シフがかわいそうじゃん!!!

 そう言ったのは、なんとH。どうやら狼もしくは犬をそのまま形にしたようなシフに感情移入してしまい、やられる姿を見ていられなくなったようだ。H、さらに金切り声でまくし立てる。

やめなよ山賊っ!! 犬がかわいそうじゃん!! あああ>< ……がんばれシフ!!! そんな脳筋に負けちゃダメ!!!

 あの……。俺、ここで負けたら先に進めないんですけど……。

 しかし「そんなことは関係ねえ!」とばかりに、Hがシフを応援する声はさらに強くなる。しまいには、俺が持つコントローラを奪おうとまでする始末である。

 が、そんなHの応援もむなしく、シフは俺の剣の前に斃れてしまった。両者ともにいっさいの小細工をしない、真っ向勝負のベストバウトだったと俺は思う。もちろん、Hにはそんな理屈は通用しないけど。

「シフがやられちゃった……。……ていうか、サイテー!! イヌを殺しちゃって!!」

 どっちがプレイヤーキャラなのかよくわからなくなってきたが、Hが言わんとしていることや、メッセージに見た“悲しみ”の意味はよくわかった。

 この一戦を終えたときに俺の脳裏をよぎったのは、『デモンズソウル』でのワンシーン。聖女・アストラエアを決死の覚悟で護っていた暗銀の騎士、ガル・ヴィンランドを倒したときのことだ……。先に進むためにはやむを得ない戦いだったが、終えた後には言い知れぬ虚しさと悲しみだけが残った。あのときと同様の悲愴感が、シフの亡骸のまわりに漂っていた。

 それでも、俺は前に進む……。

 次回に続く。

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投稿者 大塚角満 : 16:11

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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