大塚角満の ゲームを“読む!”
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今日はあんまり心折れていません。なぜかと言うと……ついに壁を越えたから!! 詳細はいつかこの場所で−−。
さて、俺の進捗とはぜんぜん関係ない小話をひとつ。
このあいだの土曜日、友だちの達人ゲーマー・G君から「さっき『ダークソウル』を購入しました!!」とのメールが届いた。会うたびに「絶対におもしろいから!」、「やったほうがいいよ!!」とシツコイくらいプレゼンしていていた努力が実を結んだらしい。俺は仲間が増えたことを素直に喜び、「きっと手こずるだろうけど、強く生きろよ」とメッセージを返して自分のプレイに戻った。このときはまだ、例の“壁”を越えていなかったので、人にかまっている余裕がなかったのである。
で、その数時間後。再び届いたG君からのメールに、俺は度肝を抜かれる。
「屋根の上にガーゴイルが2匹飛来する場所でやられちゃいました! 倒すコツを教えてください!!」
……それ、俺がついこのあいだ苦労してた鐘のガーゴイルじゃねえか!!
ひと月近いアドバンテージがあったはずなのに、早くも背後にG君の足音を聞いた気がした俺はひどく怯えて、思わず「そいつは、裸&ノーガードでいくと恥ずかしがってひるむので、そこを迷わず攻めろ!」とウソメッセージを床に書き込みそうになりました。
さて、最下層話の続きです。
どうにか解呪石を手に入れて呪いを解き、ひさしぶりにMAX体力に戻った俺。再び、危険な最下層の探索に戻った。
しかし何度か足を踏み入れて思ったが、最下層ほど冒険者に“慎重さ”を求める場所はないね。毒攻撃を仕掛けてくる犬ネズミ、天井に張り付いて誰かが通りかかるのを待ち伏せしているゼリー状の敵(名前わからん)、そして“呪い”のバジリスク……。「もう1歩くらい進んでも大丈夫だろう」という、ふとした瞬間に訪れる弛緩した気持ちの隙を突いて、彼らは確実にちょっかいを出してくる。『ダークソウル』の世界に広がる土地はどこも危険極まりないが、最下層はとくに、“人が行ってはいけない場所”という気がしてならなかった。
しかしどんなに慎重に歩いていても、トラップにかかってしまうことがある。
最下層は危険な生き物が多数生息しているだけでなく、道が複雑に入り組んでいることでも冒険者を苦しめる。高低差があるうえに、細い路地のような道が枝分かれしているため、どうにも迷いやすいのだ。
そのときの俺が、まさにそうだった。道に迷い、自分がどこにいるのかさっぱりわからなくなったことに加えて、見通しの悪い曲がり角があるたびに「バジリスクがいるのでは!!?」と戦々恐々となってさらに視野が狭くなる。そして、目の前1メートル先も見えないくらい緊張した俺は、まんまとその“落とし穴”に落ちてしまった。
この落とし穴の先の光景、俺は一生忘れないと思う。そこはまさに、現世の地獄だったのだ。
落とし穴はそれほど深くなく、恐れていた落下死はなんとか免れることができた。
「よかった……。生きてた……」
ホッと胸をなでおろしながら立ち上がる俺。しかしそんな俺の視界に、不思議な丸い物体がいくつも連なっているのが見えた。ホラ、田舎の田園によくあるでしょう。害鳥避けの、目の形をした大きなバルーン。あれが6個くらい、俺の眼前にズラリと並んでいたのだ。
「あれ……? これってどこかで見たような……」
0.8秒ほどのわずかな時間、そんなことを思う。でもじつは考えるまでもなく、俺の無意識はわかっていた。この目玉バルーンがなんなのかを……。ただ認めたくなかったので、考えるフリをしたにすぎないのだ。いつしか恐怖は抑制心を越えて、感情の表面にグイと出てきた。その間、わずか1.3秒。俺はついに悲鳴をあげる。
「きゃああああああ!!!! バ、バジリスクの大群だあああぁぁぁ!!!!」
そう、落とし穴の先は世にも恐ろしいバジリスクの“巣”で、瞳孔が開いた目で見たところざっと50匹くらいがウヨウヨしていた。……まあ50匹は俺のフィルターを通した数で実際は3、4匹だと思うけど、それでも絶望的な数であることは変わりない。俺は恐怖のあまりやたらとゴロン(前転)をくり返し、その場から逃げ出そうとする。も、もう最下層ヤダ……。一刻も早くここから立ち去りたいよお!! 恐慌を来してやたらと走り回る俺を見て、HとS君は腹を抱えて笑っている。
「あははははは!!ww そんなに慌てなくても、その剣だったらバジリスクなんて一撃でしょうに!!www」とH。
「そうそうww 落ち着いて!ww 黒い霧だけ注意すれば大丈夫だから!!www」とS君。でもそんな声は、まったく俺の耳に入らない。メチャクチャな逃走劇はしばらくのあいだ続いた。
そして気が付くと俺は、バジリスクの大群を下に見下ろす、水路の高台にやってきていた。そのときに撮ったのがこの写真。
いくら恐ろしい相手とは言え、しょせんヤツは醜いイモリの化身(そうなの?)。脳ミソなんて、ないに等しいのだろう。人間様が本気になって逃げようと思えば、簡単に振り切られてしまうのだ。
「よかった……。逃げ切れたよ……」
身体中から冷や汗を噴出しながら、安堵の吐息を漏らす俺。見ると、見下ろしていたバジリスクは逃げたのか、どこかに引っ込んでしまっていた。
「よし! 完全に、撒いたね!」
さっきまでパニック顔で逃げ惑っていたのがウソのように、会心のドヤ顔をHとS君に向ける俺。するといきなり、S君が笑いながらつぎのように叫んだ。
「あ!!!w もしかしてバジリスク、裏から回ってヒデ君の後ろに……!!?www」
え……。まさかそんな……。俺、S君の声につられて恐る恐る後ろを振り向く。頼むからいてくれるな……。そんなことを願いながら。しかし……!
「わああああああ!!!! バ、バジリスクいたーーーーーーっっっ!!!!!」
俺の背後で、あろうことか3匹のバジリスクがニタニタと笑っていた。
「あははははははははっっっ!!!! おっかしーーーー!!www」
HとS君の爆笑が部屋に満ちる。ドリフターズの「志村、後ろ!!」を地で行く、コントとしか思えない俺とバジリスクのやり取りでありました……。
その後のことは、あまり書きたくない。
(C)2011 NBGI (C)2011 FromSoftware, Inc.
大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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