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【MHP 3rd】第72回 ゴールデン・ゴールド

 モンハン4人衆のひとり・小嶋慎太郎さんから「今日の夜、時間あります? ご飯いきません??」とお誘いを受け、「ヒマですヒマです! いきましょいきましょ♪」と2秒で返信をして渋谷で落ち合うことになった。

 で、妙齢の男ふたりで若者だらけの渋谷のセンター街を歩き、「非常に居心地が悪い」「アウェー感がひどい」とかなんとかブツブツ言っているうちに、目当てのお店に到着する。そこで、かなりアツくて楽しいトークを展開しながらご飯とお酒を摂取し、「さてボチボチ出ましょか」とアウェーな街に出たところで時間はいまだ午後9時30分。「まだ宵の口ではないか」「もう1軒行かねばなるまい」とかとか言っているうちにも、足は自然と新宿に向かって動き出している。その姿は孤島のエリア8に帰ろうとするリオレウスそのもので、俺たちは口々に「早くホームに帰ろう」と言い合ったのだった。

 で、やってきたのが小嶋さんの第二の故郷である新宿ゴールデン街。敷地面積わずか数坪の古めかしい飲み屋さんが文字通り軒を連ねる、昭和の忘れ物みたいな繁華街だ。俺はこの不思議な空間に足を踏み入れるといつも、タイムスリップをしてしまったんじゃないかという錯覚を覚える。細い路地の間から、この街を愛したいまは亡き文豪や音楽家、映画監督といった憧れの人々がヒョイと顔を出すような気がして、妙に心が浮わついてしまうのだ。

 そんなステキな街をテクテクと歩いていると、小嶋さんが「ネコちゃんのいるお店に行きましょうよ♪」と愉快そうな声で言った。新宿でネコちゃんとなると……ま、まさか……。俺、とたんにニヤけ顔になって、小嶋さんに向けて気持ちの悪い声を出した。

「いやぁ^^ そんなぁ^^ ネコちゃんのお店だなんて、恥ずかしいなぁボク^^^^

 すると小嶋さんは「ここでーす」と言いながら小さくてシックなお店の入り口を指さし、「ども〜」という挨拶もそこそこに店に入っていった。それにくっついて俺も、ヨタヨタと店に吸い込まれる。すると店の奥のソファーの上で、体重6キロ以上はあると思われる大きな大きなキジトラのネコが堂々と居眠りをしている姿が目に飛び込んできた。

「ウチのアイルーですw」

 とお店のマスター。な、なるほど……。ネコちゃんとは、ホントにホントのネコちゃんのことだったのね(何言ってんだ)。しかし自他共に認める“ネコLOVE”な俺。とたんに相好を崩して「お〜〜〜^^ よちよち、いいこでちゅねぇ〜〜〜^^」と文字通りの猫なで声を出し、ネコ(ケンちゃん、という)を愛で始めた。それが、楽しい宴の始まりの合図だった。

 聞くと小嶋さんはこのお店の常連さんで、マスターともとても仲がいい。マスターは先ほどの発言にもある通り根っからのハンターさんらしく、「『3rd』、ちょうど300時間超えましたよー」と小嶋さんにうれしそうに報告している。俺はとたんにうれしくなって、マスターにこう言った。

「お! じつは僕もやってるんですよ。『3rd』は、450時間くらいになったかな」

 マスター、目を見開いて「おお!」と言い、俺の顔を見ながらこんなことをのたまった。

「やってますねー!! ってことは、『モンハン』、相当お好きなんですね?」

 俺、笑いながら応えた。「そうなんです。昔から好きで、けっこう遊んでるほうだと思いますよ」。

 これを聞いた小嶋さん、「あはははは!!」と大笑いし、「ガスッ!」と俺のわき腹を思い切り小突いた。そして「まあ確かに、言ってることに間違いはないですww」と言い、ハイボールをうまそうに飲み干した。

 カウンターの7席ほどしかない小さなお店は大盛況だった。入れ代わり立ち代りいろいろなお客さんがやってきて、アイルーのケンちゃんに挨拶をしていく。それでも、長居をしていたおかげか俺たちふたりとマスターしか店にいない時間ができ、我々3人はすばやくPSPを取り出して同時にこんなことを言った。

「やっちゃいますか!」

 と。

 このわずか8文字には、「オンライン集会浴場に集まってギルドカードの交換をし、さらに1クエストくらいはやっちまいますかね!」という長くて深い意味が込められている。ハンターは例外なく心が通じ合っているので、わずかなキーワードしか発しない“モンハン語”で意思の疎通が図れるのだ。

 俺は(とりあえず自慢の装備で行こう)と思い、もっとも立派なスキルが発動している装備に、作ったばかりの“ゴールドクラウン改”を背負って集会浴場に飛び込んだ。するとすぐに、ガーグァフェイクを頭に乗せた小嶋さんの分身が現れる。さっそく、ギルドカードを交換。小嶋さんと『3rd』のギルカを交換するのは、なにげにこれが初めてのことだ。どれどれ、どんな装備をしているのかな……と小嶋さんのギルカを見ると、手には片手剣の“ゴールドマロウ”が握られていた。

 黄金色に輝くこの片手剣は、見た目がとても美しい。性能もすばらしいので、片手剣使いにとっては憧れの一振りなのではなかろうか。

 それにしても、ゴールドマロウか……。

 俺も、何の気なしにゴールドクラウン改を背負ってきている。偶然にも、ゴールドがかぶったということだ。

 そこで俺は、ハタと気づく。この場所で、ゴールドか……。うん、これはなかなか粋なシチュエーションだぞ。俺はクスクスと笑いながら、小嶋さんとマスターに向けてこう言った。

ゴールデン街に来て、ふたりそろって“ゴールド”の武器を身につけているんですねw」

 これを聞いた小嶋さんとマスター、にっこりと微笑んだ。

「確かにw ゴールドだらけですねw」と小嶋さん。

「これ以上はない“ご当地装備”ですねw」とマスター。

 なんのことはない偶然だけど、こういう“小さな奇跡”はゴールデン街の浮世離れした雰囲気によく馴染む気がした。

 そして俺たちは3人で、ここにはちょっと書けないような屈強なモンスターの狩猟に出かけた。そこで俺と小嶋さんは速攻で1オチずつするという面目丸つぶれの立ち回りをし、パーティーを窮地に追い込む(笑)。それでもどうにか目的を達成し、「我々がオチたおかげで緊張感のある狩りができましたな」、「あえて背水の陣を敷いてみましたが、やはりこのほうがモチベーションが上がりますな」とかとか、いつまでもオノレの体たらくを正当化し続けたのだった。


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投稿者 大塚角満 : 14:43

大塚角満

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週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。


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