大塚角満の ゲームを“読む!”
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ひさびさに書きます“ガンランサー、スキルを語る”。いやあ、いつ以来だろうなこれを書くの……。ていうかじつは、企画を立ち上げたのはいいものの我が心の中でいろいろあって、「もういいかこのネタ……」と自分の中では封印モードになっていたのです。しかし冷静に考えるとまだまだ語りたいスキルがあったことから、「ためしにひとつ書いてみるか」となって、いまキーボードをぱしぱしと引っ叩いている次第であります。その“語りたいスキル”の筆頭だったのが、その名もすばらしい“弱点特効”だったのです。
弱点特効でまず惹かれたのが、これを発動するためのスキル系統の名前だ。その名も“痛撃”。なんとも、いろいろなところが縮み上がりそうな名称ではないか。
俺はこの痛撃と言う単語を見たとき、一瞬にしていろいろな“痛撃シチュエーション”を想像してしまって言葉もなく悶絶してしまったよ。「柱の角に足の小指をぶつけてしまった」というベタなものから始まり、「肘を硬いものにぶつけて痺れが突き抜ける」、「かさぶたを剥がそうと思ったらまだ生身の皮膚につながっていて予期せぬ出血をする」、「ケンシロウに北斗神拳奥義“醒鋭孔”を食らって全身の痛感神経がむき出しになったジャギのようになる」……なんていう身の毛もよだつシーンがつぎつぎに脳裏に閃いてのた打ち回ってしまったというわけだ。
「こいつは恐るべきスキルに違いない……」
俺はそう確信した。
調べてみると弱点特効というスキルは、“有効な部位に当てた攻撃の会心率が高くなる”という効果があることがわかった。ナルホドナルホド。触られるのがもっともイヤな箇所を突っつかれたら、それがたとえ軽く触れる程度でも誰もが「イヤン」となるところ。それが、弱点に触れるたびに強烈な一撃になる確率が高まるなら、それはモンスターに対してこの上ない嫌がらせになるに違いないわな。俺は弱点特効の効果を眺めながら「うひひひひ。これはいいスキルだぞ。弱点特効で急所を突いてモンスターを身悶えさせてやる。ひひひひひ」と下卑た笑いを漏らした。
で、いろいろとやりくりして弱点特効を発動させ、「ひっひっひ」と中年オヤジそのもののニヤけ顔をぶら下げて何度かクエストに行ってみたのだが、意外なことに下卑たオヤジはすぐに姿を消し、それどころか回数を重ねるごとに俺は凛とした気持ちになっていった。そして「これはそんなひねた目で見るようなスキルじゃねえぞ」と強く思った。
弱点特効の恩恵を受けるには、当然のことながら相手の急所をしっかりと攻撃しなければならない。ということは、モンスターの身体的特徴はもちろん、生態や行動パターンもキチンと頭に叩きこんで、的確に有効箇所に攻撃を叩きこむ必要がある。中目黒目黒のように攻撃が弾かれるエフェクトを見て「あ! 変わったエフェクトが出た! ここが弱点ですかねえ?」なんて言っているようでは、一生このスキルのよさはわからないのだ。
弱点特効を身にまとったとき、俺は『角満式モンハン学 〜モンスター編〜』を作っていたときと同じ“プロフェッサー”の顔となって、慎重に、そして効果的にモンスターに攻撃をくわえるようになる。モンスターの弱点なんてたいして知らないから、そこは手探りのアナログ的な作業だ。頭を突き、腹を突き、脚を突き、尻尾を突き……という地道な攻撃をくり返しながら、“特効”が出る急所を探り当てるのだ。
この、手練なハンターだったら誰もがやっている“効果的な場所へのピンポイント攻撃”が楽しくて、俺は弱点特効の威力をさらに高めるための“スキル武装”も整えていった。少しでも会心率を高めるために“見切り+1”をつけ、長く斬れ味を維持させるために“業物”も発動させる。さらに弱点に最大の攻撃を叩きこめるように“攻撃力UP【大】”も強引につけた。これにより、
・弱点特効
・攻撃力UP【大】
・見切り+1
・業物
という、超攻撃的なスキル武装が完成したのである。「戦術なんてどうでもいいから、とにかくモンスターと力と力のぶつかり合いがしたい!」と思ったときに、俺はこのマイセットを装着している。この装備を身につけると、ちょっとだけかっこいい男になれた気がするのだ。
しかし俺、この弱点特効は武器スロットまで使って発動させているのでちょいちょい恥ずかしい間違いを犯すことがある。こんな感じで。
上記のスキル武装になったつもりでリオレイア狩猟に出向いたときのこと。こやつの弱点である頭だけを狙って突きをくり出し、会心のエフェクトが出るたびに俺は躍り上がる。
「うっひょ〜〜〜っ!! 弱点特効すげえわ!! 会心出まくり!! 超気持ちいい!!」
それを聞いた仲間たちも関心して、「へぇ〜。そんなにいいんだ弱点特効って」、「確かに会心出てるね。俺もそれつけようかな」なんて言っている。俺、得意の絶頂に上り詰めて「うん、コレはいいね。ステキスキル。ステキスギル。みんなも発動させるといいよフフン!」と珍しくオヤジギャグなども交えてエラそうな台詞をぶっ放すのだ。
しかし。
狩猟を終えて村に帰郷し、先のレイア戦で活躍した我がスキルを得意げに眺める。ところがそこに、鬼の力で躍動したはずの弱点特効の名前がない。そこで男は、ハタと気づく。
「あ……。レイアに行く前に武器を持ち替えたんだった…………。弱点特効、武器スロ使っているからこれじゃ発動しないんだった…………」
恥ずかしい勘違い男、仲間が「どうやって弱点特効つけようかなぁ〜♪」なんて話しているのを眺めながら、「ウ、ウン、ま、まああんまり無理しなくていいからね……。ハハハ……」と力なくつぶやくのだった。
※いまでは無事、武器スロなしでも上記のスキル武装ができるようになりました。
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今日のお話は、『モンハン』とほとんど関係がありません。「またかっ!!」なんて言わずに読んでやってくださいな。
週末、靴を買いに行きました。
ふだん履いているブーツがいい加減ボロボロで、やむにやまれず、しかたなく、どうにもならず、買いに行った次第だ。
さて、なんで靴を買う程度のことに“やむにやまれず”を始めとする否定の冠がついているのか? 靴に限らず、身につけるものを新調するときに登場する枕詞ってたいがいが「うきうき」とか「楽しみ」とか「ルンルン気分で」とかとか、とにかく明るくもハッピーなものになると思うのだが、俺と靴がセットになった場合はそうはならぬ。ナゼか? じつは俺、靴を買うことが大嫌いなのである。
もちろん、これには理由があります。それは、俺の足の形状に由来する。
日本人の足の形は欧米人のそれに比べて、ちょっと寸足らずで横に広く、甲が高い傾向にあるという。いわゆる“ばんびろこうだか”というヤツで、外国製のスニーカーがどうにも足にフィットせず、「むむむ……」と思ったことがある人はかなり多いのではなかろうか?
俺の足も例に漏れず、見事なまでのばんびろこうだかである。ていうか、はっきり言って見事すぎます。俺のばんびろこうだかに冠をつけるとしたら、“究極の”とか“激烈な”とか、はたまた“終末的”なんてものがピッタリな気がする。それはそれはすばらしい、チョモランマを想起させるほど甲が高い足をしているんですねぇ……。そんな足なので、ジャストフィットする靴なんてまず存在しない。スニーカーにしろブーツにしろ、海外製のものはほぼ全滅と断言していい。でも、俺は一応バイク乗りなので、どうせ買うならエンジニアブーツを始めとするゴツい逸品が欲しい。なので靴屋に入るたびに店員さんにアレやコレやと注文をつけていろいろと持ってきてもらうのだが、まともに足が入ることは絶無なので俺のまわりには“却下”の烙印を捺されたブーツたちが静かに積み上がることになるのである。これが、果てしなく恥ずかしい。
しかも以前、こんなことがあった。
どこかで書いたかもしれないが、俺は20代半ばのころスキーにめちゃめちゃハマっていた。で、あるシーズンの前にスキー一式を新調したくなり、東京の神保町にあるスキーショップ街にくり出したのだ。そこで、スキー靴専門店に入ってやたらと薀蓄をたれる店員さんに流行りの靴をアレコレと持ってきてもらったのだが、どう足掻いても俺の足はあらゆる靴に入ってくれない。「…………」と無言になる俺。すると店員さんは「おっかしいなぁ……」と小さくつぶやいた後、俺の顔を見てこう言ったのだ。
「お客さん、ちょっと足の形を見せてもらえますか?」
俺、心臓が口から飛び出るほど「ドキンッ!!」としながらも、「は、はい……」と言って靴下を脱ぐ。すると店員さんは俺の足を一瞥するや「!!!」という表情を作り、本当に「痛恨の極み!」という口調でこんなことを言ったのだ。
「うわ!! コレかぁ〜〜〜!!」
人の足を見て「コレかぁ!」はねえだろ!! と思ったが俺は恥ずかしさで何も言えず、ただただ頭をたれて「す、すんません……」と謝ったのだった。
で、ここから半ば強引に『モンハン』の話になるのだが、村で作ってもらう防具って、俺はこれまですべてがオートクチュール(オーダーメイドの高級品)だと思っていた。しかし改めてオートクチュールの定義を調べてみると“その人の身体に合わせて作った1点ものの商品”というようなことが書かれているので、基本的にデザインが同じの防具たちはちょっとコレとは違うな……ということに気づいたのです。どちらかというと、“高級な既製服”を意味する“プレタポルテ”に近いのだろう。
さて問題はここからだ。既製品ってことは、武具屋で防具を買うときは店のオヤジに自分のサイズに合うと思われる見本を出してもらって、試着室で身に着けてみると思うのよ。で、「もうちょっと大きめの……」とか「1サイズ下で……」なんていうやり取りをした上で、新品のひと品を作ってもらうんじゃないかなと。
こうなると当然、靴も同じだ。俺は武具屋に入るなり、店のオヤジにこう告げると思う。
「えっと、この“ガンキンSグリーブ”の27センチってありますかね?」
するとオヤジ、「ハイハイ〜! ガンキンSグリーブの27ね。あるよあるよ〜!」と歌うように言いながら、見本のガンキンSグリーブの27センチサイズを出してくれると思うのだ。そして俺はそれを手に取り、若干ドキドキしながら足にあてがうはず。しかし俺は前述の通りの足をしているので、どうやっても27センチサイズに入れることができない。これを見たオヤジ、「ちょっと足を見せてみな」と言って俺の足をしげしげと眺め、「痛恨!」の表情でこう言うのだ。
「うわ!! コレかぁ〜〜〜!!」
俺、あまりにも恥ずかしくなり「へ、平気平気!! こ、これの28センチ買いますわ!!」と言って1サイズ上のものを購入し、強引に足に装着してクエストに出撃する。しかし数歩歩いたとたんに両の踵部分に残念な靴擦れができ、ズボンも見栄を張って小さめのものを買っちゃったものだから股擦れなんかもできまくる。俺は「イテテテッ!! 靴擦れと股擦れが痛てえよぉ!!」と泣きながらガニ股でフィールドをウロつき、ケルビすら狩ることができずに帰郷するハメになる……。
……なんてことを、リアルにできてしまった壮大な靴擦れを見ながら想像したのでした。おしまい。
※このエッセイの“裏の章”をアメブロの公式ブログで書くつもりです。興味のある方は、そちらもぜひ。
★お知らせ★
昨日インフォメーションさせていただいた“逆鱗日和サイン本”ですが、ありがたいことにすべて完売となりました。チャリティー企画にご賛同いただき、本当にありがとうございました! そして購入できなかった皆様、申し訳ないです……。またこのような機会がありましたら、こちらで報告させていただきますね!
“ガンランス三種の神器”と呼ばれる(誰にだ)珠玉の3本のうちのひとつ“シルバークラウン”を見事に(?)完成させたところまで昨日のエッセイで書いた。今日はその続きとなります。と言っても、シルバークラウンを完成させたのはけっこう前のことで、今日これから書くネタがわりと直近の話なのです。
というのも、つぎに目指すべき2本目の神器“ゴールドクラウン”を作るにはイベントクエスト“ファミ通・状態異常を克服せよ”の配信を待つしかなく、それが実施されるのが2月18日だった。なので俺は冷たい氷属性のシルバークラウン改(シルバークラウンからシルバークラウン改にグレードアップできるのだ)を胸に抱きながら、2月18日が来るのを一日千秋の思いで待ち焦がれていたのでありました。
そしてついに、その日がやってきた。俺は目当てのイベントクエストが配信されたのを確認してすぐにダウンロードし、テキトーなガンランスを抱えてクエストに出撃したのである。なぜ選び抜いたガンランスではなくテキトーに目の前にあったもので済ませてしまったのかというと、じつは“ファミ通・状態異常を克服せよ”は下位のクエストなので、すぐさま俺は「ま、どれでもダイジョブだんべえ」と短絡極まりない群馬弁的思考に陥ってしまったというわけだ。
下位のクエストということで詳細なんかいっさい見ずに出撃してしまったのだが、“ファミ通・状態異常を克服せよ”は火山を舞台にした大連続狩猟で、討伐目的としてラングロトラ、ドスフロギィ、ウラガンキンが現れる……ということを1回やってみて知りました。そんな有様だったので当然、俺は下位の大連続狩猟だというのに回復薬グレートをフルで持っていってしまっており、討伐したラングロトラの亡骸からザクザクと回復薬グレートが出てきたのを見てオノレのいい加減さを呪いに呪うことになったんだけどな。こういうとき、機転の利く人だったらダッシュでベースキャンプまで戻ってニャン次郎をとっ捕まえ、「回復薬グレートをすぐさま村に持っていってくれ!! 早く早く!!」と言って手持ちの回復薬グレートを減らすんだろうなぁ。でも俺は機転が利かない人なので、この1回目に関してはモンスターを討伐するたびにヤケになって回復薬グレートをガブ飲みし、「わーい……。回復薬グレートが手に入ってうれしいなー……。わーいわーい……(涙)」と泣きながら剥ぎ取りをしていたんだけどね(苦笑)。
そんな感じでソロで挑んでみたわけだが、やはり下位とはいえ大型モンスターを3頭も討伐しなければいけないのでどうしても時間がかかってしまう。そのくせ、目当ての素材“ファミ通GT”は俺の引きが悪いのか報酬で1枚しか手に入らないのでなんとも効率が悪いったらない。なので俺はまたまた身内に声をかけた。
「あのぉ〜……。どうしても欲しい素材があるのですがメンドくさいクエストでして……。手伝っていただけないでしょか……?」
すぐに、身内ハンターのHが反応した。
「いいけど、どんなクエストなん?」
そこで俺は説明した。舞台は火山で、ラングロトラ、ドスフロギィ、ウラガンキンを討伐する大連続狩猟であること。そして、下位のクエストであることを……。するとHは「えー。また下位ぃ??」と生意気にも下位のクエストであることに難色を示したが、俺の「このクエストでしか手に入らない素材があるんよ」のひと言に飛びついた。「やろうやろう。すぐやろう!」と。
俺がひと足先に集会浴場に入って相方が来るのを待っていると、Hがこんなことを聞いてきた。「武器、何でいけばいいかなぁ?」と。この問いに対し、俺はこう答えた。「出てくるモンスター、ラングとガンキンだから、水属性がいいんじゃないかね」。H、「うんうん」と首を動かしてこう応じる。
「じゃあ、水の大剣でいい?」
俺はコクンと頷いてこう言った。「もう、ぜんぜんオッケー!!」と……。
そして、水属性の屈強な大剣を背負ったHが集会浴場に入ってきた。それを見て俺は、“ファミ通・状態異常を克服せよ”をクエストボードに貼る。すぐに、ボードに取り付くH。しかしそこで、Hは素っ頓狂な声を出した。
「……あれ? クエストに参加できないよ」
俺、トイレに飛び込んだら全部使用中だったことに愕然としてしまったクルペッコのような顔をして(どんなだ!)驚きの声を上げる。
「え?? なんで??」
Hが「ホラ」と差し出したPSPの画面を見ると、確かに俺が貼ったクエストに参加できないでいる。そこで俺は、ハタと気づいた。
「わかった!!w ソロのときのクセで、ついついクエスト参加人数を“1”にしちゃったんだよ俺ww マヌケだなあwww」
Hも笑いながら「はいはいw よくあるw」なんて言っている。そこで俺は一度クエストを取り消し、再度“ファミ通・状態異常を克服せよ”をクエストボードに貼り付けた。今度はしっかりと、クエスト参加人数を“4”にして……。ところが……。
「……ん?? また入れないんだけど……」
な、なにぃ……。そんなバカな!! 今回はキチンと、クエスト参加人数を確認したぞ! しかも“2”でいいところを「念のため……」とかいいながら“4”にしたのに!! しきりに首をかしげるふたり。そこでHがパッと顔を上げ、「もしかして!!」と言いながらこう言葉を継いだ。
「これって、私もこのクエストをダウンロードしていないと受けられないんじゃないの!?」
しかし、俺はこれを真っ向から否定した。
「イベントクエストは、誰かひとりが受注できれば参加できるんだよね……。なので違うと思う……」
うーん……。何が悪いんだ……。まったく見当がつかないんだけど……。そこで俺は、ワラにもすがる思いでこう提案した。
「もしかしたら、ナニカの理由でナニカが起こっているのかもしれない。ためしに一度、俺のPSPの電源を落としてみるよ」
反応の悪くなったファミコンのカセットに「ゴッドブレスッ!!」とか言って息を吹き込むのと同じ所業だ。
そして「今度こそ大丈夫だと思うよ」と言ってクエストを貼り、大剣を背負ったHに参加を促す。しかし……。
「うーん……。やっぱり入れないみたい」
俺のゴッドブレスが効かんとは!!(息吹きかけてないけど) こうなるともう、我々に打つ手はない。しかたなく俺は「ひと晩おいたら解決しているかも」と何の根拠もないことを言って電源を落とし、「また明日やってみよう」とHに言った。
そして翌日。
「もう大丈夫だろう!」と言いながらクエストを受注し、Hに参加してもらおうと思ったが、やっぱりどうやっても受けることができない。そこで、「もしかしてこれ、裸クエなんじゃないの!?」というHの発案で素っ裸になって挑戦してみたがコレもダメ。万策尽き果てた俺たちは、ぐったりとうなだれるしかなかった。
いったい、何がいけないんだろう……。思考が止まってしまった脳ミソで、クエストの説明をなぞる俺。そういえばこのクエストの詳細を見るのはこれが初めてだ。すると……。
「あ…………」
見てはいけないものを、俺は見てしまった。これをどうHに説明すればいいのだろうか……。しかし、いま隠したところでいつかバレてしまうことは明白だったので、俺はおずおずと、それでも正直に事の次第を報告した。
「あの…………。これ、ガンランス限定クエストでした…………」
ふたりのあいだに、ピュルルルル〜〜〜……という春の秋風(風流だナ)が流れる。俺の告白を受けたHは一瞬で能面のような表情を作り、絶対零度の冷徹な声でこんなことを言った。
「…………バカじゃないの…………」
今日の教訓。
クエストの詳細はしっかりと確認しましょう!!
……アホだ俺は……。
★お知らせ★
現在、エンターブレインの通販サイト“ebten”では、東日本大震災被災者支援の企画を実施しています。3月12日、13日に実施予定だったエンターブレイン10周年記念イベントの会場で販売予定だったグッズをチャリティー通販することにし、その売上金を義援金として被災地に送らせていただくというものです。僕の『本日も逆鱗日和』シリーズもイベント会場でサイン本を販売させていただく予定だったのでラインアップに加えてもらいました。これをご購入いただくと“特製トートバッグ”がもらえるほかに、『逆鱗日和』シリーズだけの特典としてサイン会で配る予定だった“特製缶バッジ3種セット”(写真参照)もいっしょに送らせていただきます。こちら、数には限りがありますので興味のある方はお早めに……。ぜひぜひ、よろしくお願いします!
↑すごくわかりにくいんですが、このサイトの“サイン本”のところをクリックしていただけると『逆鱗日和』のサイン本があるページに飛びます。ご活用ください。
いままでずーっと見て見ないフリをしてきたが、『3rd』にも“ファミ通特製武器”というものが存在する。『3(トライ)』のときに登場した火属性の神ランス“ブレインフォックス”系は据え置きで、加えて3種類ものガンランスが導入されているのだ!! 『3rd』制作チームの神様たち、ありがとうございます!! 足を向けては寝られません!! 俺はPSPをうやうやしく頭上に押し戴き、カプコンの制作チームがある西南西の空に向かって「ありがたや〜ありがたや〜」と頭を下げたのだった。
ところが、俺はプレイ時間が400時間超になったいまのいままでファミ通ガンランスを作ろうとしなかった。なぜか。それは、氷属性の“シルバークラウン”と雷属性の“ゴールドクラウン”に関しては下位の配信クエストでもらえる素材で製作できることから「いつでもチョロいな」と思ってしまったのと、氷属性も雷属性もそれなりにステキなガンランスを持っていたことから「まだあわてる時間じゃない」と『スラムダンク』の仙道君なみにニヒルに思ってしまったことが大きい。なので、つい最近までほったらかしだった。
でもあるとき、なんの前触れもなくシルバークラウンとゴールドクラウンが欲しくなってしまった。本当にいきなり、「ファミ通ガンランス、俺が作らんで誰が作るんだ!!(泣)」と悲壮感すら漂う使命感に目覚めてしまい、すぐさま配信されているファミ通のイベントクエストをダウンロードしたのである。……と言いつつ、じつは風の噂で「今回のファミ通ガンランスはめちゃめちゃかっこいい!」という話が耳に届き、すぐさま「ファミ通でかっこいいっつったら俺ダロ」と鼻の穴をおっ広げて、ファミ通ガンランス製作のモチベーションが右肩上がりになったというわけ。……ってちょっとそこのアナタ! 俺に向かって石など投げないように!
さて、まずはシルバークラウンだな。こいつを作るにはイベントクエスト“ファミ通・怒濤の突進祭り!”をクリアーして、“ファミ通ST”という素材を入手しなければならない。どれどれ、こいつはどんなクエストなんだ……と思って見てみると、なんとこれ、忌まわしき“裸クエ”ではないか。そう、防具や護石をいっさい身につけず、裸の状態でクエストに挑まなければならないのだ。
「むむ……」
眉間にシワを寄せる俺。続けてクエストの詳細を見ると、舞台は“小闘技場”で、クエストクリアーの条件は“ブルファンゴ20頭の討伐”とある。まあそれほど大事ないクエストのように思えるが、経験上、こういうクエストのときはたいがい“お邪魔もの”が混入していることを俺はよく知っている。すると思った通り、登場モンスターはブルファンゴとリノプロス、と書かれているではないか。
「むむむむ!!」
俺はゲッソリとした顔で嘆息し、すぐに身内のハンター、S君とHに声をかけた。「ちょっとちょっと。生肉やこんがり肉がたくさん手に入るおいしいクエストがありますぜ」と言って。ブルファンゴとリノプロスがウジャウジャいる狭い空間にひとりで放り出されるなんて、真っ平御免だからな。これを聞いたふたり、腹が減っていたのか「え! 肉!? いいねいいね! やろうやろう!」とふたつ返事でクエストに参加した。さあ出発だ!
このクエストはじつにシンプルで、地面を割ってボゴッと出てくるブルファンゴをひたすら狩るだけでいい。しかし小闘技場には常時、リノプロスが5頭ほどウロウロしているのでウザいったらない。ブルファンゴに斬りかかった瞬間にリノプロスに背中をド突かれ、ゴロゴロと壁際まで吹っ飛ばされることなど日常茶飯事。しかも裸のためダメージもバカにできたものではなく、下位のクエストだからと言って油断するとヒドい目に遭うことは確実である。
それなのに、ハンターとはかくも欲深い生き物らしく、突進系のモンスターがウジャラウジャラと渦を巻いているにも関わらず、1匹でも狩ったら剥ぎ取りをしたくなってしまうからタマラナイ。ブルファンゴが1匹「ブヒィィィン!!」と断末魔の声を上げて昇天したと見るや3人は我先にとその亡骸に取り付き、ざくざくと剥ぎ取りを始める。しかし何度も言うようにここは、突進系のモンスターの坩堝。剥ぎ取り体勢になったとたんに3人まとめて吹っ飛ばされてしまう。そして、俺たちは罵りあう。
「ちょっと!! なに剥ぎ取りしてんのよ!! 狩りなよ!!」とH。
「ずりい!! 自分が真っ先に剥ぎ取り始めたくせに!!」とS君。
「剥ぎ取りなんかあとあと!! 狩りなさい!! 剥ぎ取りは俺が」と俺。これではなかなか、狩りはままならない。しかも思った以上に目当ての生肉は出てくれず、やたらとファンゴの毛皮とか草食竜の甲殻なんていうイラネーものばかりが剥ぎ取れる。それでも、数をこなしていればいつしか手持ちの生肉は制限量の10個となり、それ以上は持ちきれなくなってしまう。となれば、少しでも肉を焼いて生肉の数を減らし、たくさん持ち帰れるようにしたくなるのが人情と言うもの。俺は小闘技場の隅にコソコソと移動し、軽快な音楽とともに肉焼きを始めた。それに、Hがすぐに気づく。
「!!! 肉焼いてる人がいる!! 出し抜かれた!!」
そう言ってHは俺のすぐそばまでやってきて、やおら肉焼きセットをドドンと地面に放り出す。そして鼻歌とともに肉を焼き始めたではないか。しかしそんなHを追いかけてブルファンゴまでが来てしまい、俺はこんがり肉が焼きあがる直前に突進を食らって……。憤激した俺は大声を出した。
「!!!!! ブ、ブルファンゴ連れてくんじゃねえよ!! せっかく隠れて肉を焼いてたのに!!」
しかしHも負けていない。
「そもそもひとりでいい目を見ようっていう根性が気に入らない!!」
これを聞いていたS君、苦虫を噛み潰した顔でこう言う。「なんでもいいから、早くファンゴとリノプー狩ろうよ!!w」。ハイ、ゴモットモ。
そういったドタバタを何度も何度もくり返し、俺はどうにかこうにかシルバークラウンを完成させた。目当てのファミ通STが毎回毎回1枚しか出なかったおかげで、無数のファンゴとリノプロスを狩るハメになったけどね……。おかげでホラ、生肉がこんな数になっちゃったよ。
その数、ざっと2300個。
……ってじつはこれ、ほとんどが訓練所でタイムアタックの練習をしていたときの報酬なんだけどねw
さあさあ、つぎはゴールドクラウンだ!!
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ここのところ、逆鱗日和ファミリーの中目黒目黒、女尻笠井と頻繁にクエストに出かけている。プレイを始めてから7年目にして「『モンハン』って、めっちゃ楽しいですねえ!」とこのシリーズの楽しさに気づいたらしい目黒のモチベーションが異様に高く、俺と笠井はそれに付き合っているという感じだ。
しかし何度もここで書いてきた通り目黒の防御力は産まれたばかりのイワシの赤ちゃんほどもないので、付き添い役の我々はつねにヒヤヒヤ。なので俺と笠井がクエストに出向く最大の理由は“何でもいいから目黒にモンスターの素材を集めさせて裸同然の下位ボーン装備を着替えさせたい”というものなのだが、当の目黒はどうもそれがよくわかっていない。なのでヤツの言うことは相変わらずテキトーで、同一のモンスターを狩り続けて素材を集める……なんて気は毛の先ほどもなく、やたらと目新しいモンスターのクエストにばかり行きたがる。このときも、そうだった。
「つぎ、ナルガやりましょうよナルガ。まだ『3rd』で見ていないので!」
ウキウキしながら目黒が言う。その台詞を聞いた俺、首をかしげながら目黒に言った。
「あれ? 見てないっけ? 確か下位のヤツをいっしょに狩った気が……」
フンッと鼻から息を吐き出しながら、目黒が生意気なことをのたまう。
「なに言ってんすか! 下位の時代は終わったんですよ! 上位のヤツを狩らなきゃ、狩ったなんて言えないんですよ!」
言うことだけはいっちょまえなのである(苦笑)。
まあでも、ナルガクルガは狩って楽しいモンスターの代表格だし、今回は目黒とふたりだけじゃなくて笠井もいる。俺はふたつ返事で「オッケイ!!」と言った。
しかし改めて今回のメンバーである俺、目黒、笠井という布陣を見ると、妙に懐かしい気分にさせられてしまう。いまから7年前の無印の時代は、いつもこの3人でパーティーを組んでギャーギャーワーワーと大騒ぎをしながらクエストに出かけていたのだ。初めて見たイャンクックに肝をつぶし、ゲリョスに追い回されてチビりそうになり、リオレウスの壁にぶつかって「もう俺、このゲームやんない……」と引退宣言をしたり……。本当に初期の、何を見ても驚き、感動していた時代を、俺はこのふたりとともに過ごしてきたのである。ここに、先日のコラムで書いたWちゃんやネット友だちのBが入れ替わり立ち替わり加わり、俺たちが根城にしていた“モデスト”の街は毎日がお祭り騒ぎだった。このメンバー構成は、そんな“モンハン原風景”を思い出させてくれる格好の起爆剤だ。
「よし! ナルガやっちゃいますか!!」
俺は目黒と笠井に向かって、元気な声でそう言った。遠慮も気兼ねもない仲間と行くクエストは、どんなことになっても楽しいのだ。ちなみに武器は、俺がガンランス、笠井がライトボウガン、目黒は大剣である。ずっとランスを使っていた目黒だが、「大塚さん、この“凄くさびた大剣”ってなんですかい??」と生来の運のよさを発揮して“さびた塊”で当たりを引き、あっさりと大剣使いに転向したのであった。
そんな感じで始まったナルガクルガ討伐だが、思った通り……というか毎度のこと過ぎて書くのもメンド臭いのだが、狩猟の焦点は“目黒がオチるかオチないか”という1点のみに絞られた(笑)。「わーーーっ!!」とわめきながら、目黒が言う。
「大塚さん! マル! たいへんなことがわかりましたよ!!」
ナンダナンダと目の動きだけで返事をする俺と笠井。目黒が続けた。
「俺、ナルガのどんな攻撃でも2発食らったらオチることが判明しましたっ!!」
どんだけ軟らかいんだオマエ(苦笑)。
そして、目黒の風雲急を告げる報告のすぐ後に、もうひとつ事件が起きてしまう。なんと俺の横の席に座っている若手記者のキモ次郎が、おずおずとこんなことを言ってきたのだ。
「あのぉ、大塚さん……。狩りをされているところたいへん申し訳ないのですが、さっきお渡しした原稿、早めにチェックしていただきたいんですけど……」
そう言えば数十分前にキモ次郎に「原稿チェックお願いします。早めにメーカーさんに校正を出したいので、できればすぐに見ていただきたいのですが……」と原稿を渡されていたのだ。しかし俺は、前述の通りノスタルジーに浸りながらナルガ討伐の準備をしていたのでキモ次郎の発言など右から左。「へいへい。わーりましたわーりました」と言ったまま机の上に置きっ放しにしてしまったのである。それを見かねたキモ次郎、我慢の限界に達して俺に進言してきたというわけだ。
さすがにここで「狩り終わるまで待ってろ!!」なんて星一徹的な発言をすることはできず、俺は笠井に向かってこう言った。
「笠井、わりぃ^^; 俺、原稿見なきゃだ^^;; あとたのんます^^;;;;;」
笠井、細い目を限界まで見開いて呪詛の叫びを上げる。
「きき、きったねえ!! ダメっすよ!!! ひとりじゃ無理っす!!!」
笠井が言い終わらぬうちに、目黒の悲鳴が轟いた。
「わあ!! 尻尾ビタン1発で昇天した!!!!」
これもまた、俺たちのモンハン原風景(笑)。
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上位ベリオロス狩猟での惨敗を受けて急遽、逆鱗日和ファミリーの3人による緊急ミーティングが開かれた。テーマは、ひとりで昇天の山を築き続ける“フニャフニャ目黒をどうするか”である。女尻笠井が口火を切った。
「目黒さん、いい加減下位のボーン装備から卒業すべきっすよ。いくらなんでも、上位モンスター相手にそれじゃキツすぎる」
もっともな意見である。この笠井の発言に対し、中目黒目黒はこう応えた。
「エー。そんなことないでしょ。そもそもこの装備、まだ強さの底を見せてないし」
言うが早いか目黒は武具屋に飛び込み、トントンカンカンと防具を鍛えてもらっている。そして鼻を膨らませて武具屋から出てきて、ここぞとばかりのドヤ顔で俺と笠井に向かって言った。
「防御力、127まで伸びましたよ!!! これで上位でも大丈夫ですよね??」
俺は、お地蔵さんのような顔で固まってしまった笠井に目配せしてから、いささか低い声で目黒に言った。
「……おし、ミーティングの続きすんぞ……」
104が127になったところで、上位モンスターを相手にしたら服の下に新聞紙を入れた程度にしか効果はないわ。
しかし俺はこの目黒ほど、装備に気を回さない人間をほかに知らない。俺や笠井はやれレウス装備だ、やれディアブロス装備だと言ってはとっかえひっかえいろいろな防具を身につけてきたが、目黒は無印(初代『モンハン』)の時代からず〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っと、ボーン装備一筋なのである。それを指摘すると目黒は必ず、
「大塚さんやマル(笠井のこと)は浮気性過ぎます。それに比べて、俺は一途なんです。ボーン命!! これを“こだわり”と言うんですよ」
と言って、着古したボーン装備を愛でるのだ。なんとなくかっこいいことを言っているように見えるが、要するにこれは目黒の生来のテキトーさから生まれた“めんどくさがり症候群”であって、ほかの防具のことをアレコレと考えるのが億劫なだけだ。なので無印のときに「これでいいやぁ」と決めたボーン装備をいまだに着続けているのである。俺は目黒に言った。
「しかしモンハン歴7年にもなる古株なのに、いまだレウス装備もレイア装備も着たことがないって、ある意味すげえと思うわ」
ウヒヒと笑って笠井が続く。
「ホントっすよ。そんなハンター、たぶん目黒さんだけです。天然記念物に指定して保護したほうがいいですよ」
ここまで言われるとさすがの目黒も傷つくらしく、「むむ……」と言って武具屋の防具リストを眺め始めた。そしてチラリと俺に目配せし、珍しくこんなことを聞いてきたではないか。
「まあそこまで言うなら着替えてもいいんですけどね。ちなみに、どんな防具がオススメですか?」
目黒にこんなことを聞かれたの、無印のとき以来ではなかろうか。俺は若干感動し、7年前に産んだ子鹿がようやく「よっこらせー」と言いながら立ち上がろうとしている姿を想像しながら、目黒に助言してあげた。
「目黒はランスがメインだから、下位のアグナコトル装備とかいいと思うよ。スキルでガード性能とか達人がつくからさ」
言われた目黒、アイテムボックスを覗き込んでからこう言った。「あぐなとか言うやつの素材、ひとつもありません」。
しかし、目黒がモンスターの素材をほとんど持っていないのは想定内のこと。続けて笠井が冷静な声でアドバイスをする。
「じゃあ、農場の虫素材で作れる上位のロワーガ装備とかどうですか? 大塚さんも一時期着てましたよね?」
俺は頷いた。「上位のロワーガは、超オススメ。簡単に作れるくせに、スキルが優秀だしな」
これを聞いた目黒、「おお!! それにしよう! これでも農場はマジメにやってますからね!!」と興奮の面持ちで言い、すぐさま武具屋のオヤジに話かけた。しかし10秒後、ハニワのような顔になって涙声を出す。「虫、何ひとつ足りません……」。
この後、インゴット、クルペッコ装備などを薦めるも目黒はまるで素材を持っておらず、何も作ることができない。うーん、弱った……。これではけっきょくボーン装備のままで上位に挑み続けることになってしまうぞ……。
ところが、俺と笠井が「うーんうーん」と唸っているといきなり目黒が「そうだ!!」と言い、興奮した様子でこんなことを言った。
「俺、ボーン以外で唯一気に入った装備があったんですよね。えーっと、確かザザミ装備」
言われてみると確かに、『2nd』のときだったか目黒はザザミ装備をいたく気に入り、そればかり着てクエストに出かけていたことがあった。そのときの様子を思い浮かべながら、俺は言った。
「ああ、そんな時期もあったね。目黒がボーン以外の防具を着ているのを見て驚いた記憶があるわ」
目黒は満足そうな声で「でしょう」と言い、続けて恐るべき台詞を俺と笠井に向けてぶっ放した。
「なので今回も、ボーンのつぎはザザミ装備にしますよ!!」
ピタリと止まった俺たちの時間。
きっかり20秒くらいは、俺と笠井は仏像と化していたと思う。このままいくと、俺と笠井は本当に置物になってしまうかもしれん……。そんな恐れが頭をよぎり始めたころ、目黒がこんなことを言って沈黙を破った。
「えーっと、いままで見てないですけど、どのクエストに行けばザザミは出るんですか?」
俺と笠井は仏像化の呪いを強引に解き放ち、声をそろえて絶叫した。
「『3rd』にカニいねえからああああ!!!!」
そして目黒はいまだ、下位ボーン装備です(苦笑)。
★告知★アメブロでオフィシャルブログやってます!
アメーバブログにて“大塚角満のブログ”というオフィシャルブログを始めました! ゲームとは関係のない日常のできごとを、おもしろおかしい文章でじゃんじゃんエッセイ化していきますよ! ぜひ足を運んでみてくださいね。
徐々にですがペースを上げて、以前と変わらぬ体裁でブログを書いていこうと思います。Wちゃんを始めとする被災した方々からも、「更新を楽しみにしているので書いてください!」という声をいただけたので……。では書きますか! 今日も変わらぬドタバタ劇を!!
バックナンバーをざっと見たところ、中目黒目黒と出撃した上位ベリオロス討伐で話が止まっておりました。「結果は見えているから書かなくていい」という声がアチコチから飛んでくるような気がしますが、聞こえなかったフリをして続きを書きたいと思います。
やめときゃいいのに防御力104のペラペラ装備でベリオロスの前に立ち、開幕2秒でヴァルハラに旅立ってしまった中目黒目黒。俺はそれを見て言葉を失い、ただただ、
「…………………………………………」
と頭の上に三点リーダーを出し続けた……というところまで前回のエッセイで書いた。今回はその続きである。
「だから言ったべさ。その防御力じゃ上位のベリオロスはキツいって」
諭すように目黒に言う俺。しかし目黒、まったく悪びれずにこう返す。
「くそー。いまのは油断ですよ。油断しなきゃ、まったく問題ありません!!」
油断も何も、目黒はベリオロスがいるエリアに入った2秒後に昇天させられているのだ。油断するヒマすらなかったのではあるまいか。しかし、俺が呆れて何も言わずにいるのを見て目黒は「是」と判断したのか、再び「いま行きますからね〜!!」という気合もろとも、俺がベリオロスと対峙しているエリアに入ってきた。こいつはエラいことになった。
この、屈強なモンスターを相手にするという緊張感とともに、“モロい仲間の行く末を案じる”という獅子身中の虫的なザワザワ感(なんだそりゃ)にさらされるの、なかなかどうして多大なプレッシャーである。
これはアレですね。動物園から脱走したトラを決死の覚悟で捕まえようとしているときに似ているね。
腹を空かせたトラは、子トラのときから大切に大切に育てられたことなどすっかり忘れて、捕まえにきた飼育員に挑みかかろうとする。それでも、飼育員はプロ。どうにかトラをなだめすかし、「よし! あとちょっとで捕らえられるぞ!!」というところまでトラを追い詰めることに成功する。ところが安心したのも束の間。いきなり顔にベチャリと、ナゾの黄色い物体がへばりつく。ナンダナンダと思って横を見ると、トラ脱走のドサクサに紛れて動物園を抜け出したチンパンジーが、人間をバカにしきった表情でウンコを投げつけてきた……って、長々と書いたわりにはぜんぜん今回の状況とは似ていませんでした。
どうでもいい例えは置いておいて、このときのベリオロス戦の緊張感は本当にすさまじいものがあった。俺自身は450も防御力があるので上位のモンスターと言えど対等以上に渡り合えるのだが、何度も言うように目黒の防御力はたったの104。ベリオロスの攻撃を1発食らうたびにヤツの体力ゲージは
ギューーーーーーーーーーーーーーーーーーーンッ!!
と減って、文字通り風前の灯となってしまうのである。
「ぎゃあ!! さ、触られただけなのに体力が3分の1になった!!」
目黒の悲痛な叫び声ばかりが狩場にこだまする。俺は腹を抱えて笑いながら「に、逃げろ!!w 逃げてくれ!!ww」と言うも、ベリオロスには「こっちのほうが弱い」とバレてしまったらしく、目黒ばかりが追い回されてしまう。俺は一応、生命の粉塵を持ってはいたが「使っても無駄だナ」と確信していたのでいっさい飲まない(我ながらヒドい)。そのうち、ネコにジャレつかれるネズミのようになっていた目黒は、あえなく2回目の昇天を果たした。
「なんだよアイツ!! 俺ばっか狙いやがって!!」
そう憤る目黒。しかし彼がキャンプに強制送還されたことで狩場の空気はガラリと変わり、俺の攻撃がおもしろいようにベリオロスに突き刺さるようになる。俺は「しめた!! チャンスだ!!」と叫び、ここぞとばかりに温存していたシビレ罠、落とし穴、閃光玉を使いまくって追い討ちをかけた。するとすぐに、ベリオロスが脚を引きずり始めたではないか!! 俺はわめいた。
「うおおおお!! 目黒、ベリオが脚引きずってるぞ!! いいい、いける!!」
目黒、嬉々として叫んだ。
「マジっすか!! 俺の攻撃が効いてきましたか!! よぉぉおおし!! トドメは俺のランスで!!」
俺が「え! あんまムチャなことは……」と言い終わらぬうちに、目黒がベリオロスのいるエリアに現れた。そして「あ!!」と思った瞬間にベリオロスは最後の力を振り絞って上空に飛び上がり、「い!?」と思ったときにはその巨体が目黒を直撃……。その刹那、画面に信じられないメッセージが表示された。
「クエストに失敗しました」
「ぐはあぁぁああ!!!!」
血反吐を吐き散らさん勢いで言葉にならない言葉を漏らす俺……。一方の目黒は腹話術の人形のようにパクパクと口を動かしながら、「べ、べり……。べりが……」とうわ言のようにくり返すのだった……。
東日本大震災が起きて以来、まったく文章が書けなくなっていた。「不謹慎だから」とか「この状況にそぐわないから」という思いももちろんあったが、それよりも何よりも頭が真っ白になってしまってどんな文章も頭に浮かばなくなっていたのである。
この心理状態に拍車をかけたのが、ある友人の安否がなかなかわからなかったこと。じつは初期の『逆鱗日和』に準レギュラー(?)として登場していた“Wちゃん”という女性ハンターが福島県在住で、震災後、しばらく連絡が取れなかったのである。
俺は大地震が起きた直後、震源が東北地方で、津波や揺れの被害がとんでもないことになっていると知ってすぐに、Wちゃんにメールを送っていた。「大丈夫!? 無事!?」と書いて。しかし、ふだんメールのレスが早いWちゃんからの返事はなかなか来ず、俺は焦りと不安で居ても立ってもいられなくなってしまう。俺と同じくWちゃんを遊び仲間としていた中目黒目黒も「Wちゃん、心配ですね……。何もなければいいんですが……」と顔を曇らせていた。俺たちは彼女が福島県に住んでいるということは知っていてもそれが海岸沿いなのか山間部なのかまでは聞いていなかったので、不安に拍車がかかったのだ。
そんなWちゃんから、ようやくメールが届いた。俺がメールをしてから、1日後のことである。彼女のメールには、こう書かれていた。
「いま、避難所から自宅に戻ってきたところだよ……」
やっぱり、Wちゃんも被災していたのか……。俺は、たびたびメールをするのはかえって迷惑だ……とわかっちゃいたけど我慢できず、すぐに慌てふためいたメールをWちゃんに送る。「ケガは!? 被害は!?」と書いて。すると今度はすぐに、Wちゃんから返事が届いた。
「ケガはないよ。被害で大きいのは……クルマかな。津波で流されちゃって、いまほかの人のクルマの上に乗っかってる……」
俺の群馬の実家がまさにそうなのだが、田舎で生活している人にとってのクルマはオノレの足も同じくらい重要なもの。それが奪われたとあっては一大事だが、とりあえずWちゃんがケガなく無事だっただけでも僥倖と思わねばならない。
「とにもかくにも、無事なら安心した……」
俺はそう書いたメールを送信した。
思い起こせば、Wちゃんと出会ったのはいまから8年も昔。プレイステーション2用ソフト『みんなのGOLF オンライン』のオンラインロビーでのことだ。この当時、俺は一般ユーザーと同じ感覚でネットワークゲームのロビーに出没し、いろいろな人とチャットを通じて友だちになって日がな一日ゲームで遊んでいた。ネットを通じて仲良くなり、メールアドレスや連絡先を交換した人は20人以上になろうか。その中でもWちゃんとはとくに気が合い、『みんGOLオンライン』のサービスが終了すると同時にいっしょに初代『モンハン』に引越しをしたのである。
Wちゃんは、自他共に認める“やり込み型”のゲーマーだ。仲間内の誰よりも早く武器や防具をコンプリートすることを至上命題とし、やりくりしてできた時間をすべて『モンハン』に注ぎ込んで、情熱の赴くままにゲームを遊び倒していたのだ。
「そうそう」
ふいに、俺は思い出す。
特産キノコやマカライト鉱石、火竜の逆鱗のことを教えてくれたのは、ほかならぬWちゃんだったっけ。初めてディアブロスを討伐したときも、ラオシャンロンの背中に乗ったときも、横にはWちゃんがいたんだよな……。ひさしぶりに交わしたWちゃんとのメールのやり取りが、想い出を掘り起こすきっかけになった。この状況が落ち着いたら、またネットゲームでいっしょに遊べたらいいな……。そんなことを思った。
と同時に、俺は『3rd』が発売された直後にWちゃんと交わした、ちょっと苦いやり取りも思い出していた。2010年12月初旬に、Wちゃんからこんなメールをもらったのだ。
「みどさん(Wちゃんは俺のことをこう呼ぶ)、アドパやらない?」
じつはWちゃんと遊ぶのは据え置き機でのネットワークゲームがほとんどで、『モンハン』も『ポータブル』シリーズではまったくと言っていいほど遊んだことがなかった。なのでWちゃんのほうから「アドパをやろう」と声を掛けてくるのは非常に珍しいことなのである。なので、俺はこう応えた。
「お! いいねえ。でも、Wちゃんがそう言うなんて、珍しいな」
すると数分後、Wちゃんからこんなメールが届いた。
「そうだね^^; とりあえず、ギルカの交換だけでもと思って。やっぱり、みどさんのギルカは上のほうに置いておきたいからさ^^」
ところが当時、俺は家のネットワークがルーターの故障でつながらなくなっていて、なかなかWちゃんの要望に応えることができなかった。しかも業者に工事してもらわないといけなくなり、けっきょく俺がアドパに接続できるようになったのは『3rd』が発売されてから1ヵ月ほども経ったころになってしまったのだ。俺はそれがあまりにも申し訳なく、接続できる環境になってからもなかなかアドパに入ろうとはしなかった。なのでいまだに、Wちゃんと『3rd』のギルカを交換できずにいる。それを思い出して、俺はWちゃんにこうメールした。
「Wちゃん、もしも避難で埼玉近辺に来るようなら、すぐに連絡してよ。飛んでいくからさ」
すぐに、Wちゃんからこんな返事がきた。
「ちょうどいま、どこに避難しようか検討してたとこ。近くにいくようだったら、連絡するよ〜」
壊れたり、紛失したりしていなければ、PSPを忘れずに持ってくるようにWちゃんに言おう。そしてギルカを交換して、俺の名前をいちばん上に持ってきてもらうんだ。
Wちゃんを始めとした被災者の方々に、震災前と変わらない日常が戻ってくるのはまだ先になるかもしれません。ゲームなどの娯楽で楽しむことは、ずっとずっと後のことになるでしょう。でもその日がちょっとでも早くやってくるように、僕も可能な範囲で力を出せたらなと思っています。がんばれ! 東北!!
東北地方太平洋沖地震において被災された皆様、また現在避難されている皆様におかれましては、心よりお見舞いを申し上げます。
こちらの記事に詳しいのですが、かねてより告知しておりましたエンターブレイン10周年記念イベント“eb!フェス2011〜10周年感謝祭〜”でございますが、このたびの地震の影響を鑑みまして中止となり、大塚角満サイン会、逆鱗日和ライブにつきましても中止とさせていただくことになりました。来場を楽しみにしていてくださった皆様、本当に申し訳ございません。なお、eb!フェスについての情報等は公式サイトにて発信するとのことですので(現在、更新作業中と思われます)、そちらもご参照くださいませ。
また末筆でのくり返しになりますが、被災された皆様、避難されている皆様に心よりお見舞い申し上げます。
前回の続き……。
琥珀色の牙を求めて、上位のベリオロスを討伐するために凍土にやってきた俺と目黒。下位にしときゃいいのに、上位で手に入る素材に目が眩んでの無謀な出陣である。前回のコラムで書いたが目黒の防御力は104しかないので、ベリオロスの怒り攻撃を食らったら一瞬で昇天してしまうのは間違いない。そういう意味では薄氷……どころか、底なし沼の上に置いたサランラップの上を歩くような頼りなさではあるのだが、無理に攻撃しようとせずに逃げ回ってくれていればどうにかなる気もする。なので俺は目黒に「とにかく無理せずに、落ち着いて!!」と噛んで言い含めた。すると目黒は何を勘違いしたのか「わかりました! やってやりましょう!!」と気合十分。獅子身中の虫(なのか?)を抱えたままベリオロスと対峙することになったのでした。
そして、クエストスタート。俺も目黒もとりあえず、ベリオロスとは違うエリアに落とされたようだ。そこでちょっとホッとしたのか、目黒がこんなことを言ってきた。
「そういえば大塚さん、“モンスターの体液”ってどっかで採れますかねえ? 琥珀色の牙とともに、武器の強化に必要なんですけど」
それを聞いた俺、パッと顔を輝かせて目黒に言う。
「おおお!! そりゃあいい!! モンスターの体液だったら、エリア5に涌くギィギから稀に剥ぎ取ることができるよ! 卵塊を壊さずに置いておけば、いくらでもギィギは涌くからな。そのうち採れる」
目黒、1オクターブ高い声で「マジっすか!?」と言い、続けてちょっと申し訳なさそうな声色になってこう言った。
「じゃあギィギ狩りにくり出すことにします! ……でもそのあいだは大塚さんひとりにベリオロスを任せることになっちゃうんですが……。すみません」
俺、若干華やいだ声で目黒に言う。「いやいや! 気にしなくていいから!」。
しかし目黒は本当に申し訳なく思ったのか、前言を翻してこんな宣言をする。
「……やっぱり俺も、ベリオロスをやりますよ!! ふたりでやってやりましょう!!」
俺、慌てて眼前で手を振り回し、必死になって目黒をなだめた。
「いやいやいや!! ホント、気を遣わなくていいから! 俺、ベリオ大好き! ベリオとふたりで語り合いたい!!」
これでどうにか目黒はナットクしてくれたらしく、おとなしくエリア5に向かっていった。それを見て俺も安心し、ベリオロスが待つエリアへと走った。
俺はベリオロスとサシで勝負することを想定して、準備は万端整えてきていた。回復系フルセットに閃光玉5個はもちろん、シビレ罠、落とし穴については調合分まで持ち込んでいる。武器は当然ながら、火属性のガンランス。さらに動きが素早い相手のことを考えて、スキルは納刀術と砥石使用高速化を発動させてある(あと、斬れ味レベル+1も)。いくら相手が上位だからと言って、後れを取る理由はない。
ベリオロスと対峙した俺は、そのスタイリッシュで小さな頭を目掛けてガンランスの武器出し攻撃を放った。そこを着火点に、大きな火の塊がボンッと大きく爆ぜる。ベリオロスの純白の身体に散った朱色の炎は真っ白なキャンバスに描いた赤い花のようで、ついホレボレと見惚れてしまう。
「なんて雪原に映えるモンスターだろう……」
ベリオロスを見るたびに思うことを、俺はこの日も口に出してつぶやいた。
しかし呆けてばかりはいられない。相手は恐るべき攻撃力を誇る上位モンスターなのだ。俺は、俊敏に動き回るベリオロスを必死になって追い回し、頭、そして翼を中心に攻撃を当ててゆく。立ち回りの中心に据えたのは、突きとフルバースト。これによりどうにか、牙と翼の部位破壊に成功する。それでも、やはり相手は上位モンスター。その攻撃力は暴風のようにすさまじく、俺はじりじりと体力を削られてしまう。防御力が450もある俺でこれなのだ。ここにもし、赤ん坊並みの耐久力しかない目黒が現れたらどうなることか……。
そんなことを考えた瞬間、恐ろしい台詞が俺の耳に飛び込んできた。
「大塚さん、ネコ(オトモアイルー)が卵塊壊しちゃって、ギィギが出なくなりました。なので、そっちに参戦しますね!! お待たせしてすみませんでした!!」
え! そ、そんな慌てて来なくても……!! いまベリオ、怒って……!
と、俺が言い終わらぬうちに決戦場に現れた目黒の分身。「いきまっせ〜!!」という気合の声もろともベリオロスのもとに向かおうとする。でもそのとき、ベリオロスは空高く舞い上がったかと思ったら、現れたばかりの目黒を急襲!! なんとその1発で、目黒の分身は粉々に砕け散ってしまったではないか(笑)。雪原に、目黒の断末魔の悲鳴が轟く。
「わあ!! 1発でちんだ!!!」
ホント、俺たちって無印のころからまったく成長していないのな……。
次回に続く……w
★★★お知らせ★★★
2011年3月12日、13日に秋葉原で開催されるエンターブレイン10周年記念イベント“eb!フェス2011〜10周年感謝祭〜”において、僕のサイン会とちょっとしたイベントが行われる……ってことをシツコク告知してきましたが、この“ちょっとしたイベント”の内容が決まったのでお知らせいたします。
これは、ベルサール秋葉原に設置されるサテライトスタジオで行われるトークイベントをU-streamで生配信しちゃう……という催しなのですが、僕らも“逆鱗日和ライブ”と題してトークやら『3rd』の生プレイを披露します(3月12日午後1時30分〜午後3時)。出演はワタクシ、大塚角満と、MCに週刊ファミ通の佐治キクオ。『逆鱗日和』の裏話をしたり、僕のガンランスの腕前をお見せしたり、会場に来られた方と協力プレイして遊んじゃったりします! 会場ではこの生放送を配信している様子を見られるわけですが、番組自体はeb!フェス2011の公式サイトや“このブログの右側”にも番組窓を貼り付けるので、家にいながらにして僕のマヌケ面をご覧いただけます! ぜひぜひ楽しんでくださいね!
昨日のジエン・モーラン討伐は、アレ以上のおもしろいことはなかったので続きもありません(笑)。
最近、どこかで頭でも打ったのか中目黒目黒がやたらと積極的に「狩りに行きましょう!! 付き合ってください!!」とクエストに誘ってくるので、しょっちゅうふたりで狩りにくり出している。これはたいへん珍しいことだ。と言うのも、目黒は何気に無印の時代からのハンターなので“ハンター歴7年”にもなるベテランなのだが、いままで一度として“狩りに燃えた”ことがない。そう言うとヤツは必ず「俺を燃えさせる相手がいなかっただけですよ」とニヒルに言ってのけるのだが、なんのことはない、生来のテキトーな性格が災いして途中で投げ出してしまうに過ぎないのである。
そんな目黒がついに覚醒して、無事に上位ハンターの仲間入りをした。しかも、いままでだったら「よし! 上位になった! 俺の役目は終わりましたね!」と言ってそそくさとPSPを封印していたところを、「さあ上位のクエストに連れて行ってください!!」と燃えに燃えている。最近、誰も遊んでくれないので寂しくオトモアイルーとばかりクエストに行っていた俺にとっては、渡りに船の申告である。若干感動しながら、俺は目黒に言った。
「行こう行こう! なんでも付き合うぜ!」
やっぱり、持つべきものは苦楽をともにした仲間だなぁ(シミジミ)。
すると目黒はアイテムボックスと武具屋を往復し、珍しくしかつめらしい顔をして「えーっと、これに必要なのはアレとソレと……」とブツブツ言った後にこんなことを言ってきた。
「大塚さん、“琥珀色の牙”ってなんですか?? 作りたい武器の素材として必要なんですが」
この男がこういう質問をしてくること自体、非常に珍しい。俺は答えた。
「それは、ベリオロスの牙だね。下位でも出ると思うので、チャチャッとやっちゃおうぜ」
これを聞いた目黒、「え、下位……?」と小さくつぶやいてから予想だにしなかったことをのたまった。
「……いえ、上位でお願いします。 そっちのがいいもの取れそうなのでw」
上位になった瞬間に、気が大きくなったようである。まあ俺としても、下位よりも上位のほうが歯応えがあっておもしろいし、素材を集める魅力も格段にアップする。しかし困ったことに目黒は、ボーン装備に毛が生えた程度の防具しか持っていないのだ。だ、大丈夫かな……。さすがに心配になって、俺は目黒に尋ねた。
「まあ上位でもいいけど、目黒の防具って防御力はどれくらいあるの? あまりにも低いと、ベリオロスあたりだと一撃で屠り去られると思うよ?」
すると目黒は、なぜか自信満々の顔でこう言った。
「大丈夫です! じつはさっき、武具屋で防具を鍛えてもらったんですよ!!」
俺、感心しながら返す。「へぇ〜、そいつは珍しい!! 防御力の合計はいくつになった?」。これを聞いた目黒、「ちょっと待ってくださいよぉ〜。たぶん、すげえことになってますから……」と言ってPSPの画面を眺め、鼻の穴を広げながら恐ろしいことを言い放った。
「えっと、合計で104っすね! 100越え……ってことは、大塚さんとあんま変わらないんじゃないですか??」
一撃昇天確定キターーーーッ!!! ていうか、何を基準に“100越えだからスゲエ”ってことになってるんだ!! そもそも、俺とオマエをいっしょにすんじゃねえ!! 俺はこれでも、450くらいあるわ!!
しかしどう足掻いてもない袖は振れないので、防御力104という、アナタちょっといい加減にしなさいよ的な防具をまとった目黒を連れて、上位ベリオロス討伐に向かったのだった。
次回に続く!
★★★お知らせ★★★
2011年3月12日、13日に秋葉原で開催されるエンターブレイン10周年記念イベント“eb!フェス2011〜10周年感謝祭〜”において、僕のサイン会とちょっとしたイベントが行われる……ってことをシツコク告知してきましたが、この“ちょっとしたイベント”の内容が決まったのでお知らせいたします。
これは、ベルサール秋葉原に設置されるサテライトスタジオで行われるトークイベントをU-streamで生配信しちゃう……という催しなのですが、僕らも“逆鱗日和ライブ”と題してトークやら『3rd』の生プレイを披露します(3月12日午後1時30分〜午後3時)。出演はワタクシ、大塚角満と、MCに週刊ファミ通の佐治キクオ。『逆鱗日和』の裏話をしたり、僕のガンランスの腕前をお見せしたり、会場に来られた方と協力プレイして遊んじゃったりします! 会場ではこの生放送を配信している様子を見られるわけですが、番組自体はeb!フェス2011の公式サイトや“このブログの右側”にも番組窓を貼り付けるので、家にいながらにして僕のマヌケ面をご覧いただけます! ぜひぜひ楽しんでくださいね!
ドタバタしながらもどうにかジンオウガを下し、中目黒目黒がハンターランク3になった。上位まで、もうひと息である。これに気をよくしたのか、目黒はPSPを握り締めたままこんなことを言った。
「大塚さん、このまま一気に上位になっちゃいましょうよ。どのクエストからやります??」
まるで俺が目黒に手伝ってもらっているかのような言い草だが、ここでの主従関係は完全に“逆”である。でも、これはいつものことなので俺は敢然とスルーし、つぎのように目黒に申し述べた。
「んじゃ、いくつかやるかね。俺、キークエなんてまったく知らないんだけど、長年ハンターとして生きてきたカンが働くので外さないと思うし」
目黒、尊敬のまなざしを俺に送りながらこう言った。「おお! さすがっすね! よろしくお願いします!」。
そして俺は「このあたりは100パー間違いないはず」と言いながら、“天と地の領域”(レウス、レイア狩猟)、“轟竜迎撃戦”(砂原のティガレックス狩猟)、“火山炎上”(アグナコトル、ウラガンキン狩猟)、“無双の狩人”(孤島のジンオウガ狩猟)を立て続けに張る。そしてギリギリのところでどうにかこれらのクエストをクリアーし、村に戻ってきた。「ぼちぼち緊急クエストが出るんじゃないかな……」なんて言いながら……。
しかし、緊急クエストはまったく出てくれない。
「あれ……? おっかしいな……」
俺が思う“100パークエスト”は、すべて消化してしまった。緊急が出ないわけがないんだけどな……。
見ると目黒は息も絶え絶えになりながら、「ま、まだっすかね……。このくらいのランクになると、さすがにきびしいですね……」なんて言っている。俺は「もしかしたら外しまくっているかも……」なんて口が裂けても言えず、代わりに「……たぶん、つぎのクエストをやったら緊急になると思うよ」と告げて目黒をクエストに連れ出した。そしてこの行為を5回くり返したころ(苦笑)、ようやく緊急クエストが現れてくれた。
「いやあ長かったっすね!! やっぱり上位への道のりは生半可じゃない!!」
と目黒。俺はどうにも気持ちの落としどころが見つからず、「う、うん、そだね……。そりゃきびしいよね……」とあいまいな返事をする。でもまあ、いろいろなクエストができて楽しかったので、これはこれでよかったんだけどなー。
そして現れた毎度おなじみの緊急クエスト“峯山龍ジエン・モーラン”。女尻笠井とバカをやり、辻本良三プロデューサーとめちゃくちゃなことをやった、いわくつきの緊急クエストである。それに、今度は目黒とか……。俺は、大いなる不安を覚えながら恐る恐る目黒に言った。
「さて、ジエン・モーランが出たわけだけど、やる……? そんで目黒はコレ、やったことある……?」
目黒、自信満々の声で応じる。
「やりましょう! やってやりましょう!! ……ところで、じえん・もーらんってなんですかい???」
またこのパターンか……(苦笑)。
俺は、「舞台は“大砂漠”ってくらいですから、クーラーを10個くらい持ってったほうがいいんですよね!!」と張り切る目黒に、「メグロちゃん、大砂漠はクーラーもホットも必要ないからね。そしてクーラーは10個も持てないからね」と優しく言い含め、とりあえず回復系とピッケルを忘れないようにと進言した。さあ、不安と恐怖が入り混じった緊急クエストだ!
クエストが始まってすぐに「わあ! なんだここは!!」と大騒ぎをする目黒。知らない場所に連れてこられた飼い犬のようにグルグルとベースキャンプの中を駆け巡っているうちに、支給品も取らずに船上に飛び出してしまった。すぐに「しまった! 支給品取ってきます!」と言うも、船上からはモドリ玉でないとベースキャンプに戻ることはできない。当然目黒はモドリ玉など持っていないので、さっそく“支給品ナシ”というハンデを背負うことになったのだった(笑)。
そしてクエスト開始から3分。遠くにジエン・モーランを見ながら船上を走り回っていた目黒が「ん? なんだコレ」と小さな声を漏らした。しかし俺は気にせず、大砲の弾をえっちらおっちらと運びながらジエン・モーラン目掛けてぶっ放し続ける。するとそこに目黒がやってきて、つぎのように語った。
「大塚さん、船の先からばいーんて飛び出すアレ、なんなんですか?」
ん? 何も知らないかと思ったけど、撃竜槍のことは知っていたのか。俺はちょっとうれしくなって、目黒に説明をした。
「あれは、このクエストの最終兵器みたいなものでさ。撃竜槍って言うんだ。対モンスター用のリーサルウェポンってところかな。ホラ、ラオシャンロンのときに決戦場でぶっ放したでしょう。あれといっしょ。……ていうか、よくこの船の先からアレが飛び出るって知ってたな。勉強したんだな」
目黒、震える声でつぶやく。
「り、りーさるうぇぽん…………」
目黒の顔は、いまや蒼白と言っていいほど白くなっていた。な、なんかおかしい……。どうしたんだ……? その反応が少々おかしかったので俺は若干不安になり、恐る恐る目黒に言った。
「何をそんなにビビッてるの……。…………って、オマエまさか!!!」
イヤな予感を覚えた俺はダッシュで舳先まで駆け上った。そしてそこで、キュルキュルと音を立てて回収される巨大な槍の姿を……(苦笑)。俺は怒鳴った。
「メグロォォオオ!!! 開始3分で撃竜槍のボタン押すんじゃねえよ!!w あれ、こっちの切り札だったのに!!!w」
目黒、前衛舞踏のダンサーのようにぽっかりと口を開けたまま、「だ、だって……。ボタンがあれば押したくなっちゃうのがヒトってもので……」とかなんとか念仏のようにつぶやき続けるのだった。
★★★お知らせ★★★
2011年3月12日、13日に秋葉原で開催されるエンターブレイン10周年記念イベント“eb!フェス2011〜10周年感謝祭〜”において僕のサイン会を行う……と先日から告知しておりましたが、事前応募のについては昨日、締め切りとさせていただきました。たくさんのご応募、本当にありがとうございました! 事前応募での当選者は50名様なんですが、抽選の結果これに漏れてしまった方もおられ……。まことに申し訳ありません……。ただ当日枠もございますので、お時間が許される方はぜひぜひ会場まで足を運んでいただければ! サインとともに、僕のショボいギルカももらってやってくださいね(笑)。
前回の続き。
ほとんど成すすべなくジンオウガを超帯電状態にしてしまった俺と目黒。斬れ味が黄色のワイルドボーンランスに全身ボーン装備という目黒はともかく、バリバリの上位装備を身につけている俺は立つ瀬がない。そんな俺に向かって、目黒が言った。
「その“ちょうたいでん”とやらになると、ジンオウガはどうなるんですか??」
俺、猛烈にスピードアップしたジンオウガの攻撃をしのぎながら早口でまくしたてた。
「えっと、と、とにかく速くて強くなるんだよ!!」
すると目黒は、「なるほど! わかりました!! 任せてください!!」と言って果敢に突っ込み、あっさりと攻撃を弾かれてジンオウガに轢き潰された。いったい何が「わかった」のか、皆目見当がつかない。
それにしても、改めて思ったが俺は本当にジンオウガが苦手だわ……。もう何十頭も狩っているんだから、相手の攻撃を華麗にかわした瞬間にカウンターの突きをお見舞いする……なんてことができてもよさそうなものなのに、いまだにいっさいそんなことはできません。逆に、こっちの攻撃を華麗にかわされてカウンターの電撃ブレスを食らうのが関の山です。どうなってんだこれは。……もしかしたらジンオウガというモンスターは、優秀極まる科学者たちが“世界一のガンランサー(笑)”のポテンシャル、立ち回りを数年の時を費やして研究し、完璧に封じ込める確信を得てから放たれた“対角満用リーサルウェポン”なのではなかろうか……。おそらくジンオウガは、俺の動作を見た瞬間に空気の流れや筋肉の動きを計算し、こう思うはずだ。
「角満、武器出シ攻撃。コレヲ行ッタ後ニ右ステップスル確率ハ32.4%。ソノママ突イテクル確率ハ40.2%。ヨッテ、武器出シニ合ワセテ尻尾デカウンターヲ当テルノガ、ベスト」
これじゃあ俺に対抗などできるわけもない。
こんなありもしないことを考えてしまうくらい、俺はジンオウガの攻撃をよく食らうのである。いまや、「オマエなんか、モンハンフェスタ`11の地区予選決勝でツワモノどもにしばかれまくっちゃえ!」。こういった子どもじみた台詞しか出てきません。
でも俺がなんとかしないことには、攻撃がまったく刺さらない目黒だけではどうにもならないだろう。俺は「ふんぎぃぃいいいいぃぃい!!」と歯を食いしばりながら、どうにかジンオウガに食らいつこうとした。
でも、気合だけでどうにかなるんだったら苦手なんて生まれないのだ。ジンオウガの頭の良さは、俺の遥か上をいっていた。俺は殴られ、電撃を食らい、あろうことか回復薬グレートをいくつか飲まされるほど消耗してしまったのである。下位のモンスターなのに(苦笑)。そんな俺を見て、目黒がのんびりした声でこう言った。
「……あれ?w いつ大塚さんのガンランスは火を噴くんですか??ww」
に、にくたらしい!! 俺だって必死にやっとるわ!!! だから前からジンオウガは苦手だっつってるっぺ!!
そんな、下位モンスターを相手に信じられない消耗戦を行った結果、どうにかこうにか脚を引きずらせるほどにダメージを与えることができた。これもう、完全な力技。相手と対等な下位装備だったら、俺はたぶん30回はオチてると思われる。でも、もう少しだ。勝てば官軍だ!!
俺はジンオウガに追い討ちをかけようと、ジンオウガの脚元にシビレ罠を設置した。そして、立ち上がってすぐに攻撃を加えようとガンランスを構え、突きをくり出そうとする。でも、そのときだった。
ズズン!!
重々しい音とともに、いきなり目の前に大タル爆弾が現れたではないか!! 「あ!!」と思ったときにはもう遅く、攻撃モーションに入ってしまったガンランスは生まれたばかりの恋心と同じように止まることができず、大タル爆弾の土手っ腹を豪快に貫いてしまう。哀れなガンランサーは爆風に巻き上げられ、枯葉のようにひらひらと宙を舞うハメとなった。俺は烈火のごとく怒った。
「メグロォォオオッ!!! またオマエ、おもしろ半分に大タル爆弾置いただろ!! 巻き込まれたじゃねえか!! 良三さんと同じことすんな!!w」
しかし言われた目黒、深く傷ついた顔で俺のほうを向き、いかにも「心外だ!」と言わんばかりの勢いでこんなことを言った。
「俺じゃないっすよ!!w ネコですよネコ!! 大塚さんのスティーブが爆弾を置いたんです! 俺は見ましたよ!!ww」
あ……。そういえばウチのスティーブは爆弾を置くようにしつけてあるんだっけ……(苦笑)。勘違いしたことを詫びようとする俺に向かって、目黒は笑いながら追い討ちをかける。
「……大塚さん、自他共に認めるネコ好きですけど、意外とネコのほうはそう思ってないんじゃないですか?www」
……そういうこと言うな!! 俺とネコは相思相愛だ!!(泣)
なんていうくだらないやり取りをしているうちに、ジンオウガは斃れてくれました。ヲワリ。
★★★緊急告知!!★★★
突然ですが、告知です。2011年3月12日、13日に秋葉原でエンターブレインの創立10周年を記念したイベント“eb!フェス2011〜10周年感謝祭〜”が開催されます。豪華キャスト陣によるステージイベントを中心にさまざまな催しが行われる予定なのですが、ここでワタクシめもちょろちょろと以下の企画を実施させていただくことになりました。
■サイン会
http://www.enterbrain.co.jp/10th/ebfes/sign01.html
3月12日(土)、午前11時〜午後1時までサイン会を行います。『逆鱗日和』シリーズを会場で購入していただいた方限定にはなりますが、サインのほか、『3rd』のギルドカード配布、さらに『逆鱗日和』印の缶バッジセットをプレゼントする予定です。限定100名なので、どうしても参加したい……というありがたいお方は、上記のページから“参加権”の入手を! 参加権の応募は3月7日までなのでお早目に……。なお、12日(土)は終日eb!フェスの会場にいる予定ですので、お気軽に声をかけてくださいね。
■逆鱗日和ライブ
http://www.enterbrain.co.jp/10th/ebfes/satellite.html
イベント中、eb!フェスチャンネルというUstream放送が行われ、我らが『逆鱗日和』も生放送にチャレンジします。午後1時30分〜午後3時まで、トークしたり『3rd』で遊んだり、会場に来られたお客さんと協力プレイをしたりする予定。遠方にお住まいで『逆鱗日和』イベントには行けないという方は、この機会にぜひ“動く角満”をお楽しみいただければ……。お近くにお住まいの方で、番組に出て角満といっしょに遊んでやってもいい、というお方は会場に来てくださいね。番組視聴については、公式サイトを確認してくださいな。
前回の続き。
ドタドタと孤島にやってきた俺と目黒。下位のクエストなので、支給品ボックスにはいろいろな便利アイテムが詰め込まれている。
しかし俺は、上位に昇進して久しいベテランハンター。武器も防具も「ちょっと……^^; 下位のジンオウガ相手にそこまでします?(苦笑)」と苦笑いされてしまうくらい禍々しいものを身に着けている。なので当然、支給品ボックスはスルー。アイテムは好きなだけ目黒にあげることにして、フィールドに駆け込もうとした。しかし、そんな俺を見て目黒が言う。
「大塚さん、支給品ありますよ」
うん、知ってる知ってる。でも俺、それなくても大丈夫だからサ。目黒に全部あげるよ。……というようなことを、顔の表情だけで伝える。その様子を見て、目黒はニヤリと笑ってこう言った。
「……ホントにダイジョブですか?? 持っていったほうがいいと思いますよ」
おまえにだけは言われたくないわ(苦笑)。
それでも、地図と応急薬だけはこっそりと懐に忍ばせて(セコい)ベースキャンプを飛び出す。そして間もなく、エリア5に到着したところで討伐目標のジンオウガと遭遇した。
「うおおおお!! デケェェェエエ!!!」
ふつうより若干小ぶりのジンオウガを見て、アゴが外れそうなほどビビる目黒。それを聞いた瞬間、俺は早くも(クエストに暗雲が垂れ込めた……)と確信した(笑)。
とりあえず目黒のことは放っておいて、氷属性のガンランスを抜き放って攻撃を始める。愛猫のスティーブンも、果敢に大きなモンスターに立ち向かっているではないか。しかし、一方の目黒は……。
「わあ!!! まったく刺さんねえ!!」
黄色ゲージが美しい自慢のワイルドボーンランスがジンオウガにひとつも刺さらず、1回攻撃するたびに弾かれモーションになってヨロヨロとヨロけておりました(苦笑)。って、どんだけ頼りにならねえんだ。ネコのほうが活躍してるじゃねえか。
しかし、そういう俺も相変わらずジンオウガは苦手で、強い武具に守られているからそれなりに立ち回れているように見えるものの、実際は攻撃は当たらねえわ逆に攻撃を食らうわでヒヤヒヤの連続である。こういう、余計なところだけはしっかりと見ている目黒が、笑いを含んだ声でボソリと言った。
「大塚さん、尻尾は斬らせてあげようと思ってわざと攻撃してないんですから、早く斬っちゃってくださいよww」
……どの口が言ってんだどの口がっ!!!
とまあ、ふたり揃ってテキトー極まる立ち回りをしているものだからジンオウガはなかなかヘコたれてくれない。しかも、見事に電気を溜められてジンオウガが超帯電状態になってしまった。俺は叫んだ。
「やばい!! 気をつけろ気をつけろ!!」
しかし、目黒はポカンと口を開けて緊張感のない声を出す。
「なんですかアレ。キレイですねえ」
オマエ、超帯電状態も知らんのか(苦笑)。
牧歌的なムードが広がるジンオウガ討伐は、まだまだ続く……。
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3月12日(土)、午前11時〜午後1時までサイン会を行います。『逆鱗日和』シリーズを会場で購入していただいた方限定にはなりますが、サインのほか、『3rd』のギルドカード配布、さらに『逆鱗日和』印の缶バッジセットをプレゼントする予定です。限定100名なので、どうしても参加したい……というありがたいお方は、上記のページから“参加権”の入手を! 参加権の応募は3月7日までなのでお早目に……。なお、12日(土)は終日eb!フェスの会場にいる予定ですので、お気軽に声をかけてくださいね。
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とある日。
向かいの席に座っている逆鱗日和ファミリーの中目黒目黒が声をかけてきた。
「大塚さん、あとで1時間くらい時間いただけません?」
ん? ナンダナンダ。毎日昼飯や夕飯をいっしょに食べているのに、改まって「時間をくれ」とは珍しい。俺はちょっと驚きながら、こう返事をした。
「うん、いいけど。どしたの?」
すると目黒は笑い含みの声でこんなことを言い放った。
「……大塚さん、そろそろ僕を上位にしてくれてもいいんじゃないですか?w」
……ってモンハンか!! しかも他力本願キターーーッ!!!
目黒は一応、発売日に『3rd』を手に入れたものの生来のテキトーさが火を吹いて、村クエはほとんど手付かず、集会浴場のクエストも下位にとどまり続けていたのだ。そんな状態なのに、ヤツはナゾの自信に満ちている。
「まあしばらくプレイしていなかったんですけど、確か最後に見たときは上位に上がる寸前だったと思うんです。武器と防具も、下位にしてはいいやつを揃えた記憶があります」
目黒が言う通り、下位、もしくは村クエだけしかやっていなくても、懸命にがんばればそれなりにステキな武具を作ることができる。それが『モンスターハンター』というゲームのいいところなのだ。ちょっと感心して、俺は言った。
「へぇ〜……。まったくやっていなかったように見えて、わりとがんばっていたんだな。で、武器と防具はどんなのつけてるの?」
俺の言葉を合図に、PSPの電源を入れた目黒。「……どうやって操作すんだっけな……」という聞き捨てならない独り言を言いながら、武具のチェックを始めた。そして10秒後、目黒は小さな声で「ひっ!」と呻いた後、若干震える声でつぎのように告白した。
「えーっと…………武器はワイルドボーンランス、防具は……全身ボーン装備でした^^;;;;;」
……それ初期も初期の武具じゃねえか!! なにが「下位にしてはいいやつ揃えた」だ!! しかし、目黒はまるで悪びれない。
「まあそういうことなので、大塚さん、手伝ってくださいw」
そう言ってドタドタと、集会浴場に飛び込むのだった。
まあでも、こんなのはいつものことである。俺は「まったく、しょうがねえなー」と言いながらも、気負わずにドタバタと遊べることがうれしくて、ニコニコしながら集会浴場に飛び込む。そして温泉に浸かりながら、目黒に言った。
「で、クエストは何に行くの? 上位の直前ってことは、アグナとか、ジエン・モーランの緊急クエとかか?」
これを受けた目黒、「ちょっと待ってくださいよ〜……」と言いながら受付嬢に話しかける。そしてすぐに「あ!! そうですね!! ちょうど緊急が出てますよ!!」と大きな声を出した。
なるほど。やはりジエン・モーランだったか。てことは、武器は氷属性がいいのかな。俺は温泉から上がるなり自室に戻り、武器庫を眺めながら目黒に言った。
「オッケー。じゃ、氷の武器に変えるよ」
ウンウンと頷きながら、目黒が応える。
「了解です。……ジンオウガって、氷属性がいいんですね〜」
……って、出てる緊急クエストってジエン・モーランじゃなくてジンオウガかよ!! それ、ひとつ前のヤツじゃねえか!! どこが「上位の直前」なんだっ!!! ……まあ確かに、ジンオウガにも氷属性は有効だけどさ……。
半ば呆れながら、武器と防具を選ぶ俺。そんな俺の耳にいきなり、目黒の悲鳴が届いた。
「あっ!!!」
そう言うなり、口だけをパクパクさせて固まってしまった目黒。ナンダナンダ……。何が起こったんだ!? 恐る恐る、俺は声をかけた。「ちょ……。ど、どうした? 何があった……?」。すると目黒は眼球だけこちらに振り向け、思いも寄らないことをのたまった。
「……PSPの充電が切れて画面が真っ黒になりましたwww 大塚さん、充電器貸してください^^;;;;;」
……って、そっからかーーーーい!!!
なかなかクエストが始まりませんが、次回に続きます^^;
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ハンターがかっこよく見える瞬間ってあるでしょう。たとえば、ガンナーが空を飛んでいるモンスターに弾丸を当てて叩き落したときとか、太刀が気刃大回転斬りを当てたときとか。はたまた、ガンランスが竜撃砲をぶっ放した瞬間や、回避行動だけでモンスターの突進を避けちゃったところを目の当たりにした日には、自然と「かかか、かっちょいい〜〜〜〜っ!!!」という台詞が飛び出てしまうというものだ。
でも、そんな数々の“かっちょよく見える瞬間”を差し置いて思わず「マァァアベラス!!!」とでも叫びたくなってしまうのが、打撃系武器で“めまい”を取ったときではなかろうか。もっとも危険なモンスターの眼前に果敢に張り付き、ひたすら頭部をガッコンガッコンとぶっ叩いてめまいを誘発できたときの恍惚感は、ナニモノにも代えがたいカタルシスがある。
でもめまいは長年、ハンマー、狩猟笛の専売特許的な“必殺技”であった。打撃系武器は尻尾の切断作業に貢献できない分、モンスターを長時間脚止めできるめまいが神様からもたらされた……と考えるとわかりやすいかもしれないが、昨今は規制緩和がなされてボウガンの徹甲榴弾やランス、片手剣の盾殴り、大剣の横殴りにもめまい効果が付与されている。そういう意味では“めまいの裾野は広がった”と見ることができる。
しかし、この規制緩和のムーブメントに乗ることのなかった武器も当然ながら存在する。
それが、我が愛するガンランスだ(双剣、太刀、スラッシュアックスもそうだけど)。
昨日まで「俺ら、めまい取れないけどいいよな。別のところでがんばろうな。ずっと仲良くしていような!」と肩を組んで話していたランスや大剣が「俺、今日からめまい組なんだわ^^; わりぃな^^;;」と言って傍らからいなくなってしまったという事実は、悲劇以外のナニモノでもなかった。「俺はやっぱり日陰者なのか……><」。そんな思いがついつい頭をよぎってしまう。しかし神様はキチンと、我々ガンランサーのことも考えてくれていた。なんと『3rd』では、あるスキルを発動させることでガンランスでもめまいが狙えるようになったのである!
そのスキルの名は“抜刀術【力】”。
スキル系統“抜刀減気”を10ポイント集めることで、「あらゆる武器の武器出し攻撃でモンスターのスタミナを奪えるようになる。頭にヒットさせればめまい状態を誘発させることもできる」という、斬撃オンリー武器を使うハンターにとっては“夢”と言っても過言ではないスキルが完成するのであった。これはつまりアレか。斬撃空手の鎬昂昇の指でもめまいが取れるようになる……ってことか(意味がわからない人は『範馬刃牙』シリーズを読もう)。うーん、こいつはすげえ。タマランぞ。
抜刀術【力】の存在を知った俺は、さっそく防具の調達に走った。上位に昇進してしばらく経ったころのことで、とりあえずひと通りのクエストにはいけるようになっていたと思う。はてさて、いったいどのモンスターの防具にスキル系統・抜刀減気がついているんだ? 武具屋のオヤジに話しかけ、防具のリストを穴が開くほど眺める俺。すると、あろうことか上位のウラガンキン装備である“ガンキンSシリーズ”を集めることで、抜刀術【力】、抜刀術【技】というふたつの抜刀術が発動する事実を発見してしまった。その瞬間、俺は頭を抱える。
「ガ、ガンキンか……。こいつの防具、超かっちょいいのでいつかは作りたいと思っていたけど、ガンキン相手にするの苦手なんだよな……。しかも上位……」
しかし、尻込みしている場合ではない。ニガテだろうがニボシだろうがとにかく上位のウラガンキンをしばきまくって、素材を集めるしかないのだ。
その日より、俺のガンキン詣でが始まった。じつはこれが、“明けましてウラガンキン”というコラムで書いたガンキンマラソンにつながっているのである。なんか、点と点がくっついた感じがして気持ちよくないですか? そうでもない? まあどっちでもいいんですが。
ガンキンマラソンの苦労話は以前書いた日記に譲るが、俺はどうにか、抜刀術【力】が発動するだけの防具を完成させた。こ、これでガンランスでもめまいを取りまくることができるぞ……。モンスターに何もさせずに、ピヨピヨのボコボコにすることができるぞ……!! ただでさえ性能の上がったガンランスにめまいの力まで加わったら、完全無欠の必殺武器の出来上がりではないか。
新生・めまいガンランスの最初の犠牲者として、俺はリオレイアを選んだ。まあジンオウガだろうがアグナコトルだろうが何でもよかったんだけど、指が無意識のうちにリオレイアを選んでいたのである。「レイアがやっぱりやりやすくて気持ちがいい」なんていう気はまるでありませんでした。それだけはきっちりと書かせていただきます。
抜刀術【力】でめまいを奪うには、武器出し攻撃を頭部にぶち込む必要がある。つまり、武器出し攻撃を当てたらすぐに武器をたたみ、すぐに体勢を立て直して2発目の武器出し攻撃をおみまいする……。このくり返しになるわけだ。この行動をわかりやすく効果音で表すと、
ズギャン! バッシュウウウ!! パーンッ! ガシューン、ガタッ、ガタッ、シュポン。スタタタックルリ! ズギャン! バッシュウウウ!! パーンッ……
こんな感じであろうか(さっぱりわからん)。とりあえず序盤の、ズギャン!(武器出し) バッシュウウウ!!(攻撃ヒット)、パーンッ!(めまい効果)がうまくいけば、あとは流れでなんとかなるだろう。俺は「ずぎゃんばっしゅうぱーん!!」と念仏のようにブツブツ言いながら、リオレイアに突撃した。
「食らえ!! ずぎゃんばっしゅうぱーん!!!」
しかし。
「スカッ!!!」
……武器出し攻撃、頭に入らねええええ!!
武器出し攻撃を頭に当てるなんて安い仕事だと思っていたが、いやはやスカることスカること……。「ここだ!!」と思って踏み込むとガンランスの切っ先はリオレイアの首にめり込み、それを反省して距離を調整すると、今度はリオレイアの顔の真横をガンランスが通過してしまう(つまりかすりもしてないってこと)。しかも、どうしてもめまいを取りたいものだから無理矢理頭のほうにばかり回りこんでしまい、脚やら尻尾やらを攻撃できるチャンスはすべてスルー……。(あそこでチクチクと脚や翼を攻撃していたらもっと有利にクエストを進められたんだろうな……)と思いはしたが、完全に抜刀術【力】に心を奪われてしまっていたので、それ以外の攻撃をするつもりは1ミクロンもない。
そんな、シツコイまでの努力が実を結んだのか、徐々に武器出し攻撃をモンスターの頭に入れることができるようになってきた。スカることもたびたびだが、どうにかめまいを奪えるだけのダメージを蓄積できるようになったのである。
あと1発入れば、リオレイアはぶっ倒れる……。
確信めいた予感が脳裏をよぎる。いままでは不可能だったガンランスによるめまいが、間もなく完成するのである。これが喜ばずにいられるものか!!
俺は猛烈な勢いでリオレイアの眼前に迫り、その頭に武器出し攻撃をおみまいしようとガンランスの柄を握り直した。い、いける! この距離、この角度だったら脳天のド真ん中にガンランスの切っ先を突き刺すことができるはずだ! いままさに、武器出し攻撃をくり出さんとする我が分身。しかし、そのときだった!
ハンターの真横から飛び出した小さな影がリオレイアの眼前に立ち、なんとその頭目掛けてハンマー状の武器を振り下ろしたではないか! そして……!
ドゥッ!!
驚いたことにその一撃でリオレイアは昏倒……。ピヨピヨとめまいを起こしてぶっ倒れてしまったのである。
「!!!!!」
声にならない悲鳴を上げる俺の目の前には、得意げにハンマーを担ぐオトモアイルーの姿が……。画面に向かって、俺はわめき散らした。
「オ、オトモーーーーッ!! おいしいとこだけ持ってくんじゃねええぇぇええ!!!」
まあよくあることですがね……。
でもその後、研鑽を積んだ俺は武器出し攻撃にもすっかり慣れて、ガンランスによるめまいをおもしろいように取れるようになる。協力プレイでハンマーや狩猟笛がいるときはさほど積極的に頭ポジションに入ることはしないが、切断系の武器だけのときは喜んで抜刀術【力】が発動したガンキンSを装備し、めまいを狙っている。これにより、突き刺し、砲撃、竜撃砲に加えてめまいというカードが加わり、ガンランスの立ち回りの幅がさらに広がったように思えた。
抜刀術【力】、俺的には超オススメです。愛用の武器にちょっと違う調味料を振り掛けたくなったときに、このスキルのことを思い出すといいかもしれません。
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そのスキルの存在を初めて教えてくれたのは、行きつけのバーのマスターだった。
「大塚さん、納刀術って使ってます??」
ルパン三世のような顔をちょっとだけほころばせながら、マスターは言う。きょとんとした顔で、俺は応えた。
「のうとう……? な、なにソレ」
まだ『3rd』が発売されて間もないころのこと。俺がそのスキルのことを知らなかったからと言って、誰に責めることができようか。
「一般人のマスターが知っているのに、ファミ通の副編集長であるオメーが知らないってのは、大いに責められていいのではないか?」
なんて声は聞かなかったことにして話を進める。とにかく俺は、そのとき初めて納刀術の存在を知ったのよ。おろおろしながら、俺は言った。
「え? え? その納刀術ってのをつけると、どうなんのどうなんの?」
ニヤリと笑って、マスターはこう言った。
「武器をたたむスピードが速くなるんですよ。……これね、猛烈に速いですよ。納刀術の性能に慣れてしまうと、ふつうの納刀がまどろっこしく感じるくらいにね」
な、なにぃ……? そんなステキなスキルがあったのか!! 俺はとたんに色めきたった。
「そいつはすげえ!! いま付けようすぐ付けよう!!」
しかし、マスターは声のトーンを若干下げて、こう釘を刺した。
「でも、使いすぎないほうがいいかもですよ。これに頼りすぎてヘタになるかも……」
そんなことを言われたら、ますます付けたくなるではないか。
俺はこの話を、身内の大学生・S君に語って聞かせた。「納刀術、効果がすげーんだってさ!」と。するとS君は俺と同様に色めき立ち、「おお! 前から気になっていたんだよね! いま付けようすぐ付けよう!」と言ってさっそく防具を調整して納刀術を発動させた。
「よし、さっそく試してくるよ!」
そう言ってフィールドに飛び出したS君。武器は確か、スラッシュアックスだったかと思う。そして、「ふむふむ……。ほうほう……。なるほどなるほど……」とブツブツと独り言を言いながら顔を上げ、冷静な声でこう言った。
「確かに速くなるけど、頼りすぎてヘタになる……ってほどじゃない気がするなあ。どちらかと言うと、初めて“砥石使用高速化”を付けたときの感動のほうが大きかったと思うよ」
なるほど、これはおもしろい! 人によって、もしくは武器によって体感速度がだいぶ違うみたいだな。こいつはますます、俺も試してみなくちゃいけないぞ!
さっそく俺もアレコレと素材をやりくりし、スキル・納刀術が発動した装備を完成させた。おおお……。コーフンするぜ……。スキルを試すってだけでこんなに心躍ったのって、いつ以来だろうな。もしかすると、初めて“斬れ味レベル+1”を発動させて、斬れ味ゲージに見たことのない色が現れたとき以来かもしれない。
「よぉぉおおし!! もう、ガンガン納刀しちゃうぞ!! モンスターがいなくても、抜刀と納刀をくり返しちゃうぞ!!」
ハンターの本分も忘れ、俺は大ハシャギでフィールドへとくり出した。そしてついに、激烈素敵スキル・納刀術の真価を見たのである!!
「こここ、こいつはスゲエ!! ありえねえ!!!」
俺はPSPの画面にツバを撒き散らした。
ではどれほど納刀術がすばらしいのか? 少々わかりにくいかもしれないが、がんばって文字で表してみよう。
ノーマル状態の納刀が、
ガシューン。ガタッ、ガタッ、シュポン。
って感じだとすると、納刀術ハンターの納刀は……!
ヒュイン!! シュパッッ!!
てな感じ。思わず文字がナナメになってしまうほどのスピード感だ。それくらい、速い。とくにガンランスのような重い武器だと、体感速度はさらにアップするのかもしれない。ガンランス使いのマスターが「頼り過ぎると不安になるほどのスピード」と言ったのも、大いに頷けるというものだ。
それにしても、納刀術が発動したハンターはちょっと苦笑してしまうくらい忙しない。猛烈に、せっかちに見える。その仕草は頑固で慌しい昭和一桁のオヤジそのもので、ついついその私生活を覗いてみたくなってしまう。
納刀術を発動させた昭和一桁オヤジは、仕事終わりで家に帰るなり超早口でこう言うと思うのだ。
「おうおう! けえったぞ(帰ったぞ)このやろう! メシだメシ! 早く持ってこいこのやろう!」
奥さん、すでに慣れっこで、ドタドタと納刀オヤジが食卓にやってくるころにはズラリと卓袱台に夕飯が並んでいる。それを見て、納刀オヤジは吠える。
「なにぃ〜!? 米に味噌汁にサバの塩焼きに漬物だとぉ!? まどろっこしいしめんどくせえなこのやろう!」
言うが早いか納刀オヤジ、ご飯に味噌汁をぶっかけたうえに、サバの塩焼きと漬物もその上に乗せる。それを「うりゃりゃりゃ!」と高速でぐちゃぐちゃにかき混ぜて、ずざざざざーと一気にかっこんでしまう。その間、わずか7秒。納刀オヤジは満足そうに口をモゴモゴとさせながら立ち上がり、出し抜けにこう言うのだ。
「寝る!!」
時計を見ると、まだ夕方の6時。これが、納刀術を身に付けたハンターの日常である。
でも、これはまだいいほうなのだ。納刀術に加えて、罠師、砥石使用高速化なんてものを発動させてしまった日にはとんでもないことになる。究極のせっかちオヤジは、家に帰るなりこう言うだろう。
「てやんでバーローこのやろう! 風呂だメシだ便所だコンニャロウ!! なに? 順番!? まどろっこしいこと言うな! 全部だ全部! まとめて持ってこい!!」
そして究極せっかちオヤジ、卓袱台を風呂場に持ち込んで湯船に浸かりながら飯をかっこみ、「ブッ」と一発放屁なんかもぶっ放して「出る!! 寝る!」と言って風呂から上がる。その間、わずか4秒。家に帰ってから12秒後には就寝しましたとさ……。
……えー、後半、ちょっとわけがわからなくなりましたが、納刀術ってのはこれくらいすばらしいです。……え? せっかちオヤジがぜんぜんすばらしくないからよくわからん?? そういった方はぜひ、実際に納刀術を発動させて試してみましょう(笑)。
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大塚角満

週刊ファミ通副編集長にして、ファミ通グループのニュース担当責任者。群馬県出身。現在、週刊ファミ通誌上で“大塚角満のモンハン研究所”というコラムを連載中。そこら中に書き散らした『モンハン』がらみのエッセイをまとめた単行本『本日も逆鱗日和』シリーズ(4巻)が発売中。また、そこからのスピンオフとして別の視点から『モンハン』の魅力に迫る書き下ろし作品『別冊『逆鱗日和』 角満式モンハン学』シリーズも。このブログではさまざまなゲーム関連の話題を扱うつもり。一応、そのつもり。
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